No.758242

魔法使いの大家族 12話:魔法と身体能力

nさん

生存確認と久々の更新!

2015-02-14 00:12:49 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:474   閲覧ユーザー数:474

 

 

 

 

「あっ!あのなぁ伊邪那岐!昨日も言ったはずだぞ!?僕はあまり喧嘩とかが好きじゃないからそういう訓練はだな!」

 

「これも魔法使いの修行の内!魔力がいくらあろうとも体を鍛えていなくては生き残れんぞ!」

 

昨日と同じく、伊邪那岐が秋をしごいている

彼の腰には紐で繋げられて彼が走る度に複数のタイヤが踊っている

それだけではなく、両足に10kgと両腕に20kgの重りが巻かれている

昨晩整えて眠ったはずの髪の毛が再びアホ毛のようにピンッと一本だけ立っていて秋の動きとともに動いているようにも見える

 

「でもこんな走り回るぐらいだったら集中力とかの方が大事なんじゃないのか!?

そもそもこんな走りながら魔法は唱えられないぞ!MHDがあるから現代じゃいいかもしれないけど!

それにお前は僕の魔力を使用したらいけないからな!?」

 

「だったらMHDに頼ればいいではないか!秋!お前は甘い!甘ったるいぞ!

かまわん!寧ろ現在の魔力で十分に足りている」

 

大剣を振り回しながら秋を追いかけまわしていた

今度は夏希はおらず、二人だけで修行を積んでいるため誰も伊邪那岐を止める者はいなかった

秋はまだ走るという行動と魔法を使うという行動を一度に行えない

普通の魔法を扱える高校生でさえも魔法を唱える場合は一呼吸を置いて魔法を唱える

それが普通の高校生の場合なのだが春樹や夏希レベルともなれば魔法を走りながら複数同時に発動できるレベルまでに到達している

唱える魔法が最高のものであっても一度歩みを止めて唱えてしまえばおのずと相手に自分を攻撃する隙を与えてしまう

その隙を少しでも減らすため、伊邪那岐はその秋の弱点を少しでもなくすために彼を追いかけまわしているのであった

 

「できるのなら走りながら妨害呪文でも唱えてみるがいい!

春樹や夏希が出来てお前にできないものはない!さぁ!やってみろ!」

 

息を切らしながら秋は自分を追いかけてくる伊邪那岐を見た

自分の左腕のMHDに手を翳した

禁と書かれているMHDの文字が解という文字に変化する

それと同時に秋のMHDから左腕まで青緑色の光の線が浮かび上がる

伊邪那岐に向かって手を広げ狙いを定める秋だが、足はまだ動いて走っている

 

「お前がやれって言ったんだからな!?召喚者捕縛!」

 

秋の左手から魔力で作られた紫色の鎖が放たれる

その鎖が伊邪那岐を包み込もうとするがそれを伊邪那岐は眉の一つも動かすそぶりを見せず、瞬時に鎖をみじん切りにした

しかしそれは伊邪那岐を騙す巧妙な秋の仕掛けた罠だった

伊邪那岐は気付くと足が動かない事に気付く

 

「捕縛は鎖だけじゃない・・・

そうやって虎ばさみにもできるし、落とし穴も作ることができる」

 

「そんなに機転が利くなら・・・」

 

次は自分の足元に剣を当て虎ばさみを切り裂いた

そのまま秋に向かって大剣を投げつけると走り続ける秋の脾腹を伊邪那岐の大剣が突き刺した

 

「ほんとに投げるとは思わなかったぞ・・・伊邪那岐」

 

「秋ならこの程度の事はできると思ってな

出来ていて心底ほっとしている」

 

伊邪那岐が大剣を刺したのは魔力の塊で形成された人形だった

ここまで緻密に作られる魔力人形は秋と同学年の生徒では作れないであろう

魔力人形は通常、忍法でいう変わり身に近い物になる

 

だが秋の作った魔力人形は極めて再現度が高い尚且つ、機動性も備えているのだ

変わり身として使うならまだしも機動性をつけるとなるとさらに魔力と集中力が必要とされる

そこまでいくと世界でも一握りの魔法師や魔導師しか扱えない代物になる

さらに秋は自分の身を隠すため、周囲の景色と自信の魔力で幻覚を作り出し、その風景に紛れていた

 

「召喚者の私をも欺こうとは・・・しかし、実際秋のその魔法が分かったのも私が秋の召喚者だからだな

 

これは一本取られた」

 

伊邪那岐が秋を探しながら辺りを右往左往していると突然、秋が現れた

すぐさまそれが彼の作り出した分身と気付いた伊邪那岐は自分の大剣を召喚して秋を切り裂こうとしたが、大剣が一向に出現しない

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

叫び声をあげ、伊邪那岐の背後から秋が突然現れた

秋が伊邪那岐の大剣を叫びながら両手で振り上げて伊邪那岐に向かって振り下ろそうとしている

一瞬戸惑う伊邪那岐だったが、秋の剣筋を見て数㎝だけ右に移動した

スレスレで躱された大剣は地面に突き刺さり秋の両手では引き抜く事は出来なくなってしまっている

伊邪那岐はため息をつくと大剣を蹴り飛ばしてその衝撃で秋を数m先まで吹き飛ばした

身を翻して大剣を地面に突き刺して少しでも蹴りの衝撃による飛距離を短くしようと踏ん張る秋、5mまで吹き飛んで踏ん張っている途中で瞬時に近づき、伊邪那岐が足元から一気に地面と平行になった秋の腹部に渾身の蹴り上げを繰り出した

蹴られた秋は腹部がゴム風船の様に膨れ上がり、さらに伊邪那岐の足に付着してたちまち伊邪那岐の全身を飲み込んだ

完全に包み込まれた風船を見て秋はようやく姿を現した

額には汗を浮かべ、息は乱れている

自らが召喚した伊邪那岐の大剣の隣にある引きずられた後に足をかけて腰を下ろした

 

「ふぅ~・・・やっと捕らえる事が出来た」

 

指を掲げて 満足には音の鳴らない指を擦らせると伊邪那岐を包んでいた風船は突然光を生み、周囲5mほどを焦土に変化させた

秋は大剣を抜くと召喚陣を出現させてそこに大剣をしまい込んだ

爆発させた場所からはまだ煙が立ち上がり、地面の焦土しか見る事は出来ない

秋が様子を窺いに行こうと腰を上げたその瞬間、自分の背後に何者かが佇んでいるような気配を感じるとすぐさま振り向き、再び大剣を召喚して身構えた

 

「秋、まだまだ私を甘く見ている様だなっ・・・!!!!!」

 

伊邪那岐が音も無く秋が見つめている方向から現れるとその手に天之尾羽張が握られていた

天之尾羽張は伊邪那岐が最も使っている大剣、そしてもっとも召喚者として使う武器の類である魔宝具、魔宝具は召喚者が使うメインウェポンである

その魔宝具が召喚者の特徴と能力を表す

例えば、伊邪那美でいう黄泉平坂ノ扉による武装放出による砲撃である

それが伊邪那岐の場合は武器召喚による自身の攻撃能力を上げる法具である

だが召喚者に一つとは限らず、召喚者によっては無限に魔宝具を使う者もいる

 

「おい!それは本気じゃないのか!?」

 

「まだ能力を使っていないのだからこれは本気ではないだろうっ!」

 

斬撃をすれすれで避ける秋に続けて横に薙ぎ払う様に伊邪那岐は天之尾羽張を振り回す

伊邪那岐が爆発に巻き込まれ手傷を負うという計算だったため魔法陣を展開する事を秋は止めていた

 

「このままでは秋が二つに分離するぞ!」

 

「なんでこんなにっ・・・!訓練で本気にならないといけないんだっ!」

 

秋が嫌々声を上げたその時、彼の腕が赤色に輝き、その手には天之尾羽張が握られていた

だが伊邪那岐の手にしている天之尾羽張とは若干形容が異なり、秋の持つ天之尾羽張は少しだけ歪な形をしている

お互いに鍔迫り合いをしながら攻撃の機会を窺っている

 

「まだ私の天之尾羽張には遠いなっ!しかし!やはり私の主である限り、こうでなければ困る」

 

「いきなり真面目な話するなよ・・・それに今斬り合えてるのだってお前の剣術を僕の視覚で得たものを元にしてそれをただ自分にものとして付加してるだけさ

だから伊邪那岐への対抗策の一つでもあるし、弱点でもあるのか!」

 

「秋は優しいから私に手加減をしていると思っているが爆弾の威力やこの完成度を見てそうではないと思う時もある

だが本当に本気で相手をされる場合、きっと私は塵も残らぬほどに粉々、というよりもかき消されてしまいそうだ」

 

「褒めてくれて僕もうれしいけど伊邪那岐だってっ・・・!手加減しているはずだ」

 

伊邪那岐を押しやって秋はようやく鍔迫り合いから解放された

すかさず伊邪那岐が秋に向かって瞬時に近づくがもうすでにそこは秋のテリトリー、悪い笑みを浮かべながら伊邪那岐の足元から黒い球が勢いよく飛び出した

あまりの出来事に伊邪那岐は身を翻し、秋から数m離れた場所に着地しようとする

 

「まだまだ!」

 

着地しようとする伊邪那岐の足元は若干ではあるが青白く発光していた

そこに降り立つのは明らかに罠だと考えた天之尾羽張を地面に突き刺してそれを飛び越えて回避した

激しい爆発音と共に天之尾羽張が融解していくのを目の当たりにして秋の全力を見て察した

召喚者の使う魔宝具は通常、先ほどの様に融解する事は有り得ない

なぜなら召喚者自身しか扱わない為、その弱点はその召喚者か召喚者のその武器の能力のすべてを知っている限りでなければ召喚者の魔宝具を融解させる方法は無いのだ

それに加え、融解させると言っても秋は本当にその魔宝具を融解させたわけではない

魔宝具といえどそれは召喚者の魔力を消費して使っている事に変わりはない

なぜ、秋はそんな魔宝具を融解させるという現象できるのか、魔法の武器を融解させる方法は武器の魔力とそこに触れる箇所にその魔力と同じ魔力の膜を作り、それと同化させ融解させる

しかし、魔力の武器ならまだしも魔宝具はそれほど簡単ではない

魔力の武器も純粋な魔力100%ではない事もある為、魔力を付加して使われる場合、それに付加された魔力は防ぐ事ができても付加されている剣や槍自体は防ぐことはできない

魔宝具は限定的な物質の為、融解という事では無く、送還という方法をとる

召喚者のいる世界にその武器を送還する事によって召喚者の武器を召喚者の世界に飛ばし、相手の手数を減らして自分を優位にする

まるで融解したかの様に見えた天之尾羽張は秋の魔力で融解している様に見えたという事なのだ

 

「私の武器を溶かしたのかと少し焦った

送還はできても融解はさすがの秋も人間業ではない為にできない

と言ったところか」

 

「強制送還だけでも魔力の消費量は尋常じゃないんだぞ・・・

ほんとにこれが終わったら寝込みたいぐらいに魔力を消費しているのに・・・いくら死なないと言っても本気でやりすぎだぞ伊邪那岐」

 

「これでこそ全力の戦いというもの!

禁術ばかり使いおってからに!」

 

追尾してきていた黒球をマントで振り払い

 

「天羽々斬(あめのはばきり)」

 

伊邪那岐が呟くと今度は手元に日本刀の様な刀が握られた

濡れているような質感を放つその刀は見るからにただならぬ気を発していた

 

「げっ!それは駄目だろう!」

 

「それほどにまで送還された事が悔しいという事だ!」

 

伊邪那岐の持つもう一つの魔宝具、天羽々斬通称神産みの剣がその威力を発揮する前に秋はその場に座り込んだ

 

「わかった!わかったから!もうやめよう!

それにそれが出てくるっていう事は伊邪那岐、僕の魔力を食ってるだろう

その時点でこの修行は終わりだ」

 

「あ」

 

「僕は言ったはずだぞ?」

 

「むぅ・・・」

 

秋は転移魔法で伊邪那岐の傍らに大剣を送った

伊邪那岐も天羽々斬をしまいその大剣の柄に顎を乗せた

 

「秋?今、池の近くか?」

 

突然の夏希の念波入電

秋は内心、不思議に思いつつもその入電を取った

魔法化のすすむ現代では旧時代で使われた携帯電話の代わりに念波入電と呼ばれるものが使われる

携帯電話は相手先の電話番号と呼ばれるものさえ入っていれば電話を掛けることができたのだが、この念波入電は相手の顔を記憶する

相手が自分を入電させるに値する者と思われているまたは頭に残っているという条件を踏まえて自分の魔力を使用して相手と離れていても話しかけることができる

では魔力の無い者は遠方の知り合いとどう連絡を取っているのかというと、魔法端末と呼ばれる薄緑の電光掲示板を小型化したようなもの自宅などでは魔法通信端末というものが設置されている

その為、一般人による電話の代用品の念波による会話もできるのである

 

「夏兄?どうかした?」

 

「お客さんが来てるから玄関まで迎えに行ってやってくれ

まぁ特殊なお客さんっちゃあお客さんだから頼んだぞ」

 

「あっあぁ・・・そのお客さんなら今目の前にいるから・・・うん・・・わかった・・・」

 

秋の目の前では驚愕の光景が広がっていた

どこからともなく現れたのかはたまたどこからここまで入ってきたのか、秋には全く見当がつかなかった

しかし、今言えることは彼の前には老執事を隣に日傘をさして立たせ、座り込む彼を見下す

 

「あら?もう終わったの?」

 

神ヶ原葵だった

 

「げっ・・・ごきげんよう」

 

「げっ?今確かにげっ?っていう言葉が聞こえたのだけれど」

 

「キノセイデス」

 

「伊邪那岐?今、雁間君はこの清廉潔白で国魔高校高等部一の美少女であり神ヶ原家の令嬢に対してげって言ったのかしら?」

 

「言ってました!確かに言ってました!」

 

伊邪那岐が警護で葵に跪き手を差し伸べながらそう言った

老執事が召喚したのかパラソルが差せるまるで庭でお茶をするときに使うような陶器製の机と椅子を取り出した

お茶菓子と紅茶を机に三つほど備えると椅子を葵の分だけではなく秋と伊邪那岐の分も召喚した

 

「座りなさい」

 

無言で立ち上がり、伊邪那岐と秋はほとんど同じタイミングで席についた

老執事は葵に日光が当たらないように黒い布を持って彼女の後ろで遮っている

 

「あのぉ・・・神ヶ原さん・・・そっちの執事さんは・・・?」

 

「私の執事に決まっているじゃない

 

雁間君は私の手が負えないほどおバカさんになってしまったの?それともおバカすぎてカバと結婚でもしたいのかしら?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「お嬢様、彼もデリケートなお年頃なのですから少しは気を使って差し上げないと」

 

「それもそうね

でも私は雁間君の事が好きすぎてたまらないからそう言っているだけよ」

 

「そうでございましたか・・・

秋様、申し遅れました

私めの名前はセバスチャンと申します

葵お嬢様の専属執事であり、神ヶ原家の終身雇用執事です

以後、お見知りおきを」

 

「ちょっと待ってくれ・・・なんで二人はここに?」

 

伊邪那岐がお菓子と紅茶に夢中になっている間、秋は二人との話を進めようとした

しかし、一向に葵は秋を睨みつけるだけで何も答えようとしない

セバスチャンは伊邪那岐のおかわりにこたえるためにほぼ無限に紅茶を沸かし続け紅茶を提供し続けている

 

「本当に鈍感というか・・・ここまでくると呆れるわね」

 

「お嬢様は心配なのでございますよ」

 

セバスチャンの横やりに伊邪那岐は飲食をやめ、葵は彼を睨みつけた

秋は勢いよく紅茶を伊邪那岐に吹きかけ、セバスチャンは白いハンカチを召喚し、紅茶まみれの伊邪那岐に手渡した

 

「なっなんで!?」

 

「単純な理由よ

前に言わなかったかしら私はあなたのことが好きなのよ?

だから秀才の弱点や使える魔法を教えてあげようと思って

それに秀才との約束は明日よ?」

 

「そんなことの為にわざわざ・・・」

 

「気に入らなかった?それとも私が雁間君にこの前の続きでもさせようとして来たとか哀れな妄想でもしていたのかしら」

 

秋は黙り込んだが冷たい視線を浴びせ続ける葵とは目を合わそうとしなかった

自分の事を少なからず心配して自分のところにまで執事をつれてきてまで来てくれたのだろう

関秀才はいわゆるストーカーに近い面を持っているため、狙われるのは自分でいいのだが秋はやるせない気持ちに襲われていた

 

 

「これを好意と受け取るか受け取らないかは雁間君次第なのだけれど

セバスチャン、例の紙を」

 

「かしこまりました」

 

丁度いいタイミングで伊邪那岐への紅茶注ぎが終わったセバスチャン掌を胸の辺りまで掲げ魔法陣を展開した

するとそこからA4サイズのコピー用紙が現れ静かに秋と伊邪那岐の目に入るところに流した

 

「平均的に魔法は扱えるようだな

得意魔法は物質変換か、興味深い

だが秋の敵ではないな」

 

「それが伊邪那岐、どうやら禁忌魔法は一切禁止だし、それに僕は二等生だからお前の出番はないぞ」

 

「なっなにぃ!?それではどうやって秀才に勝利するのだ!?」

 

「雁間君は彼の魔力切れを狙うそうよ

貴方を使っていることを知っているのはせいぜいこの場とこの敷地内にいる人間だけでしょう

魔法破壊?という雁間君のお母さんが使っていた魔法も使えないでしょうし、どうして勝つかなんて私にも見当がつかないわよ

セバスチャン、貴方にもいいアイデアはないの?」

 

「申し訳ございませんお嬢様、秋様、お言葉ですが・・・秋様の基礎魔法訓練を明日のギリギリのお時間まで行ってみてはいかがでしょうか

禁忌魔法等を使えるほどの魔導師であれば基礎魔法も使えるはずだとこのセバスチャンは思うのです

ただ、使えないのではなく、使わないという事も失礼ながらあるかと思いますし」

 

「セバスチャンさん・・・使えたら僕は二等生なんかじゃないですよ・・・」

 

「これに限っては私も雁間君の発言に同意せざるをおえないわ」

 

セバスチャンはがっくりと肩を落として口いっぱいにお茶菓子を頬張る伊邪那岐に再び提供し続け始めた

あまりの空気の悪さに思わず葵も自らの口にティーカップを当て紅茶を飲み始めた

 

「まぁどうするかは当日で考えるよ

僕は基礎魔法は扱えないからそれこそセバスチャンさんの言った通り、できるだけ基礎魔法の訓練を積んでみるよ」

 

「私が雁間君に会っているなんて知られたら学校全体が多分驚くだろうし、秀才なんてきっと顔を真っ赤にして憤慨するはずよ

そんな顔を見てみたいのもあるけど雁間君の命が危なくなるかもしれないから

いざとなったら禁術でもあなたが化け物にでもなる魔法でも唱えても構わないと私は思ってる

私や雁間君のご家族が上手に誤魔化してもらえると思うし、伊邪那岐にもお菓子代を頂戴しなければならないし

流石に食べ過ぎだから明日、雁間君のピンチを救わなきゃあなたを殺すわ」

 

「うっ・・・うむ!」

 

葵が冷たい視線で伊邪那岐を睨むと伊邪那岐は飛び上がるほど仰天し秋の背後に隠れた

それからしばらくしてセバスチャンはお茶のセットとテーブルと椅子を送還し、雁間家の庭前に停めたリムジンで葵は自分の屋敷に帰って行った

 

「まだ修行はするのか?秋」

 

「ぎりぎりまで基礎魔法の訓練は積んでおくよ

だから伊邪那岐は休んでいてくれ」

 

秋はそう言って伊邪那岐に手を翳し彼を送還した

自分の部屋で魔術書の一冊や二冊、簡単に読破しようと考える秋だったがもう午後3時、時間が許す限りと明日に支障がない事を考えて明日までの時間を頭の中で入念に予定を組んでいた

 

 

 
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