咎を受けし御使いの最後の旅~二人の御使いと二人の劉備~
建国
益州攻略を成し遂げて一カ月後、星達も無事に桜楼村に帰還を果たした。兵の被害も少なく済み、四千弱の少ない兵力はほぼ無傷で帰還を果たした。
益州は成都を首都とし、蜀県と名を改めて、新たな役職として県を思い仕える者と言う意味を込めて県思士と名付けられ、そこに法正を置き、周りは厳顔の紹介の元、美羽や星、紫苑と行った目利きが采配を振るった。
劉璋はあれ以降星にべったりになっており、どうやら懐かれた様だった。正直一騎という男が居るのでちょっと困った顔をしたが、劉璋の子犬のような目で見つめられ、諦めたようだった。
厳顔、魏延の両名はそのまま紫苑と共に桜楼村に付いて来ることになった。
これが益州の大まかなあらましだ。え?春蘭と秋蘭?華琳にお仕置きを受けております。
荊州に関しては桜楼村の改修作業が終わり次第、そこを首都と定めることが決まった。それまでの仮首都として襄陽が定められた。さらに荊州は冥県と名付けられた。
なぜ冥なのか。それを一騎が語った時は皆『あぁ、こう言うやつだったな。鄧艾士載という男は。』と半ば呆れ返って聞いていた。その理由とは・・・
一騎「国の名前を代表地区に名づけるのなんてよくあることだろ?え?冥の理由??俺は天の御使いじゃないからな。だったら反対の冥土の使いぐらいは名乗っても良いんじゃない?だったら国号は“冥”!俺は冥王。いや、冥皇を名乗ろう。俺みたいな化け物には相応しいと思わないか?はっはっは!!」
だそうだ。県思士には勿論劉表。補佐は今の所優秀な奴が居ないとのことで上級文官が数人その代わりを務めている。
その後、しばらくしない内から涼州から使者が到着、冥国に帰順するので受け入れてほしいと言う連絡があり、それにより涼州を魏県とした。魏を名乗れたのは及川の治めている所で建国宣言が成されて、国号がなんともはや“晋”となったことで、じゃあ魏って使ってもよくね?と一騎の一言が魏県の設立になったのだった。
ちなみに県思士は馬騰がなり、補佐は鳳徳が付く事になった。鳳徳は武人じゃ?って思う人が多かったが、どうやらこの外史の鳳徳は文官肌らしい。勿論武も有るので雪蓮曰く『呉だったらすぐになじめただろうね~』だそうだ。文武両道が孫呉の智将の最低条件らしい。
これで大陸の西部一帯を冥国としておくことが出来た。これを機にいったん皆集まろうと言う事になり。桜楼村に一刀達も呼びよせて、これからの方針を話し合う事になった。
桜楼村(現在改築中)
一騎「だいぶ進んだな。」
桂花「青年団が頑張ってくれたおかげよ。城の建築場所を中心に一気に区画を決めてそこから建築を始めてるわ。」
柊「お姉が頑張る所為で私の頑張る場所が無かった、グスン」
桂花「わ、悪かったわよ!」
一騎「ははは。柊も補佐を頑張ったんだろ?いい子いい子。」
一騎はそのまま柊の頭を撫でてやると柊は頬を染めながらも黙ってなでられていた。
桂花「それで来賓館はもう完成してるからそこで軍議でいいのよね?」
一騎「ああ、そこで頼む。」
軍議の場所を決めながら一騎は桂花と柊と三人で建設中の街を散策して行った。しばらくして来賓館にほとんどの将が集まり、最後に一騎と桂花、柊も到着し、軍議を開始した。
一騎「さて、これからの事を話し合いたいと思う。残すところ孫堅率いる孫呉と及川率いる晋を残す所になった。どちらをまず攻めるかだが・・・」
雪蓮「ちょっと良いかしら。」
一騎「ん?どうした雪蓮。」
雪蓮「母さんのことだから晋を攻めてる間にこっちに攻め入ってくる可能性があるわ。母さんで無くても、周瑜や魯粛、諸葛瑾や張昭と言った智将がそろってるし、油断できないわよ?」
一騎「ふむ・・・及川たちならばもうすでに転移による奇襲も出来なくなるだろう。ならば此処は周囲を固める事を重点に置く事にするか?」
雪蓮「それに・・・さ。」
一騎「心配か?」
雪蓮「・・・ん。」
柊「じゃ、それでいきましょう。」
桂花「ふぁ、そういう方向で。」
華琳「異論はないわ。」
雪蓮「はえ?で、でもいいの?これは言ってしまえば私情じゃない。」
一刀「それこそ良いんじゃないかな?元々鄧艾旅団って身内、家族を大事にする感じだったからさ。」
桃香「うんうん!孫呉の考えに通じるところがあるよね!」
雪蓮「皆・・・ありがとう!」
そんなほんのり温かな空気の中、これからの配置を決める為の話を開始した。
一騎「それじゃまずは魏県防衛には一刀達をそのまま使うって事で良いかな?」
一刀「ああ、任せてくれ!」
桃香「うん!晋には好きにはさせないよ!」
月「そうですね。」
詠「あ、それと一騎。翆達が完全に合流して連携も取れて来てるし、栄華達はそっちに戻しておくからね。特に季衣と流琉が寂しがってたらから大事にしてあげるのよ。」
一騎「ああ、分かったよ。それじゃあ次はこの冥県の防衛だが、桜楼村の建設はそのまま桂花、柊に任せる。防衛隊に益州攻略組に任せても良いか?」
沁「俺は構わねえぜ?だが紫苑は連れていってやんな。さすがに可愛そ過ぎんぜ?」
紫苑「沁さん////」
一騎「そうだな・・・すまん紫苑。寂しい思いをさせてるな。」
紫苑「いえ、大丈夫ですわ。私に構わず貴方は貴方の思うまま突き進んでください。それが私の願いです。」
華琳「愛されてるわね。一騎?」
一騎「か、華琳?睨まれても困るが・・・」
紫苑「ふふふ。」
沁「んん!詰まる所紫苑は残ってくれる方向でいいのか?」
紫苑「ええ、それに・・・焔耶ちゃんが心配ですからね。桔梗と一緒に鍛え直しておきますわ。」
一騎「ああ、厳顔に魏延か・・・彼女等ともゆっくり話をしなければな。よろしく頼む。」
華琳「と、言う事は合流した栄華達と荊州攻略組が・・・」
一騎「ああ、呉攻略組という事だ。大将には・・・雪蓮。君がなるんだ。」
雪蓮「・・・ま、一騎の事だからそんな事言うと思ったわよ。分かったわ。母さんを超えるいい機会だわ。私の武、私の家族、それを母さんに、孫呉の皆に示す。」
一騎「良い答えだ。それじゃあ解散。紫苑、厳顔たちと話もしたいし伝言頼まれてくれないか?」
紫苑「はい、分かりましたわ。」
こうして大方針も決まり、一騎は華琳とたまたま居合わせた斗詩を連れて厳顔たちが居る宿を目指して歩き出した。
此処は桜楼村の新築された宿屋。ちなみに店主は元村長さん。
一騎と華琳、斗詩は現在宿の前で元村長、現宿屋店主と談話中だった。
一騎「それにしても村長さんが宿屋をやっているとは驚きですよ。」
元(“元”村長なのでモトさんで)「いや何、余生を面白おかしく生きるのにいろんな人が訪れる宿屋はうってつけでしょう。元々いろんな人を屋敷に泊めてましたからねぇ。」
一騎「ははは。貴方も人が悪い。人間観察で面白おかしく生きるなんて。」
元「はっはっは。これも一騎殿の影響ですかな?」
二人「「はっはっは!!」」
他愛の無い話をしながら紫苑が出て来るのを待っていると、話を付けて来た紫苑が宿から出て来た。
紫苑「一騎さん。桔梗たちが話を聞くそうです。」
一騎「そうか。いくぞ、華琳、斗詩。」
華琳「ええ」
斗詩「はい」
二人は一騎の後に付いて歩き、宿の中へと入って行った。
2人が宿泊中の部屋に入る一騎達四人はそこで酒を片手に待ち構える厳顔とその脇で入ってくる人物全員にガンを飛ばす魏延の姿があった。
一騎「お初にお目にかかる。鄧艾士載だ。彼女達の主をしている。」
厳顔「おお、儂は厳顔だ。まさか紫苑を手なずけている男がこのような若造だとはな。」
紫苑「桔梗。口が過ぎるわ。私達よりも上よ?」
厳顔「・・・本当か!?」
紫苑「ええ。」
厳顔は紫苑の言葉を聞くや否やあんぐりと口を開けて放心してしまった。実際一騎は見た目十代となんら変わらず、二十代だと言っても冗談だろう?と言われる容姿をしている。故に一騎はもう慣れっこだった。
魏延「紫苑様、それこそこの男にだまされてるのでは?それが真実だとは到底思えません。」
紫苑「あら焔耶ちゃんは私の目を疑うと?」
魏延「正直・・・今回ばかりは曇っていらっしゃるのではないかと。」
魏延は悪びれもせず、言ってのけた。
斗詩「仮にも本処遇が決まっていない身の上で失礼ですよ。」
華琳「ええ・・・お仕置きが必要かしら?」
一騎「待て二人とも。彼女の言い分ももっともだ。だが・・・目上の者に対する態度はなっていない。たとえ建前でも受け答えはしっかりするべきだ。この責任は教育者にある。いかがか?厳顔。」
厳顔「う、うむ。それは然り。儂の教育が足りぬ証拠でしょうな。」
魏延「な!?き、桔梗様!!」
厳顔「ならばどんな罰でも。こんな馬鹿弟子でも儂にとっては娘も当然、如何なる罰でもうけよう。」
一騎「そうか?ならば・・・」
そう言って一騎は厳顔に近づくと、顔を近づける。
厳顔「う!?///////////」
魏延「な!?」
紫苑「あらあら。」
華琳「む。」
斗詩「・・・むぅ。」
一騎の行動に厳顔は頬を染め、魏延は驚愕し、紫苑は微笑み、華琳と斗詩は頬を膨らませた。その光景を目にすると笑い出してしまった。
一騎「・・・くふふ。あはははは!いや失敬。悪かった。華琳も斗詩もそんなにむくれるな。」
華琳「そ、そんな事無いわよ。って斗詩もなの?」
斗詩「あ、え?いえ、あの・・・あう/////」
魏延「き、貴様!」
魏延が喰ってかかろうとした時、一騎はすかさず話を続けた。
一騎「罰は特にないさ。さてと・・・俺はあくまで君達と今後の話をしたかっただけだ。」
厳顔「今後?」
一騎「ああ、俺達は大陸を統一したいと考えている。まあ最終目的は別にある訳だが・・・それは今は話せない。それはちゃんとした信頼を勝ち得たら話すよ。それを踏まえてどうするかを話したいんだ。」
華琳「まあ、そこの魏延はともかく厳顔は欲しいわね。利口そうだし。」
斗詩「か、華琳さん、例え事実でも失礼ですよ。」
どっちもどっちである。
一騎「どうだ?待遇は悪くはしないが・・・」
その話の最中部屋の扉が開かれたのだ。
藍「一騎様。全領地の楔の打ち込みは完了しました・・・が・・・タイミングが悪かったですか?」
厳顔「・・・なんじゃ?尾・・・なのか?」
魏延「こ奴・・・妖などを飼っているのか!桔梗様、やはりこのような輩すぐに討ちはたさねb」
魏延の言葉は最後まで紡がれることは無かった。紫苑の手には颶鵬が、華琳の手には絶遠が、斗詩の手には双剣『双幻』が握られ魏延に突きつけられた。
魏延「あう・・・」
藍「皆さま、そうお怒りになる気持ちは分かりますが・・・間違っておりません。なにせ・・・私は一騎様に名実ともに飼われて、あいたたたたたた!?!?!?か、一騎様アイアンクローは洒落になっておりません!痛いです痛いですぅ!!!」
一騎「いやあれか?こうすれば藍のおふざけは無くなるのかなぁ??って思ってさ。で?誰が誰に飼われてるって??」
藍「いえ冗談です、間違ってないのは妖の部分であって、飼われてるわけではありません!!はい、私は一騎様の家族です。そこまで自分を貶める事はもう言いませんから、ああ、ミシミシ言ってる・・・あ、でもなんか良くなって・・・駄目です何かに目覚めてしまいますぅぅぅぅ!!!!」
一騎「はぁ、まったく・・・報告は分かった。じゃ、北郷邸に帰って良し。」
藍「い、痛かった・・・でもたまにはいいかm」
藍の言ってはいけないような言葉を遮るように一騎は外套を翻し藍を北郷邸へ強制送還する。
一騎「もう面倒だ。おい厳顔、魏延。俺と戦え。そうすれば色々分かるだろう。武人と言う物は武を交えて初めて分かりあうものだろう?いいか?」
厳顔「む?お、おお、それは構わんが・・・いやしかし・・・」
一騎「終わったらちゃんと説明するさ。」
厳顔「わ、分かった。おい焔耶、かまわぬな?」
魏延「はい!私達二人を相手できるなど、我等を見下し過ぎです。目に物見せてやります!」
厳顔「おう!その意気じゃ!覚悟しておけよ?鄧艾!」
一騎「いいだろう・・・遊んでやるよ、小娘共。」
こうして予想通り魏延がバリバリ反発して呆れた一騎は二人を武で屈服させる見え地を選んだ。
あとがき
冥国誕生。冥皇爆誕!!そして一騎は厳顔、魏延両名を確保の為にバトルイン!!
しかし相手にならないのでは?と思われる。
だがそこまであっさり終わっては途中参入の意味が無い雑魚キャラだ!
なので一騎には痛い目にあってもらう予定です。
次回『進軍開始』
ではまた次回。
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ついに建国です。
ただメインはむしろ蜀の大老と反骨でしょうか・・・
あ、桔梗さんなんですか?大老じゃない?それは紫苑だ?そうですか・・・振り向かず走ることをお勧めいたします。
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