「ねえプロデューサー、ちょっと訊いても良い?」
「はい」
凛とした雰囲気の女子高校生、渋谷凜がスーツの男性に話しかける。
話しかけられた男性、武内は高身長、三白眼で無表情、貫録を感じさせる重低音な声音と、近寄り難い雰囲気だ。
場所は老舗芸能事務所346プロの新築ビル、その30階に特設されたシンデレラプロジェクトルーム。
二人は新人アイドルとプロデューサーと云う関係だ。
「もしかして前に会った事ある?」
「はい」
「ええっ!? そうなんですか!?」
驚いたのは凜ではなく、凜と同じくシンデレラプロジェクトの新人アイドル、島村卯月。
クールな凜とは対照的に、表情豊かな少女。
「それならそうと言ってよね」
「すいません……」
呆れ顔の凜と、表情を変えず、首に触れる武内。
とある日の夕方。
武内は職場の事務員の女性に買い物を頼まれていた。
花屋の前に立ち竦む武内、首に触れている。
店内から凜が顔を出す。
「何かお探しでしょうか?」
笑顔で尋ねる少女に、武内は内心ハッとする。
少女の笑顔が花の様だと思った武内だったが、口下手な彼は伝える事が出来なかった。
「何を買えば良いのか、わからなくて」
「色々あって迷いますよね、どれも皆綺麗ですから」
「あ! なんだかあの歌みたいですね!」
卯月が朗らかに発言し、回想を遮る。
「卯月……、いや、私もそんなに覚えてなかったんだけどね」
「すみません、私も。それより」
「ん?」
「聴かせていただけませんか、歌を」
「えっ」
首に手を当てながら要求する武内に、凜は困惑する。
「私も聴きたいです!」
「うう、わかったから……」
目を輝かせながら要望する卯月に、凜はたじろぐ。
そして歌い出す凜。
たどたどしくも透き通った声で。
百人百様の花の歌を。
訊き惚れる卯月と、無表情ながらも聞き入っている武内。
そこへ未央が現れる。
「えっ? 何々? 何してるとこ?」
半目で未央を見返す凜と卯月、首に手を当てる武内。
三人を見て未央は首を傾げる。
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過去捏造系です。
原作のイメージを損なう場合があります、苦手な方は閲覧をご遠慮ください。
タイトル元ネタはスマップ(或いは槇原敬之)