黄「私の名は、趙忠・・・・・帝付の宦官、十常侍の一人を務めさせていただいています」
一刀「(なっ!!!??)」
十常侍といえば、必要以上の権力を持ち、漢王朝を腐敗させた原因とも言われる、党錮の禁など幾多の政争を起こした宦官である
そんな十常侍までもが女性化している事態に一刀は流石に焦っていた
そのような欲望の権化まで性別が逆転しているのであれば、今後どういった行動を取ればいいのか分からない
迂闊な事をすれば、自分どころか白蓮までもが失脚し、幽州全土に要らぬ災厄が降り掛かる事になる
そんな事になれば、自分が今までして来た事が完全に水の泡になってしまう
一刀「(どうすりゃいいんだよ・・・・・)」
史実とはまるでかけ離れたこの世界が本当に憎らしく思えてくる一刀であった
黄「報告は聞いています、黄巾党の討伐お疲れ様でした・・・・・霊帝様がお待ちです、それぞれの軍の代表者及び補佐役は玉座の間に赴くように」
「!!!??」
これはとんでもない事である、たとえ州の太守や刺史であろうとも帝と謁見する機会など余りに稀なのだ
下手な地位昇進よりも、帝と謁見し自分達の味方に付ける方が今後圧倒的に有利になるのは明白である
傾「それは、帝が直々にお会いになりたいと仰られたのか!!?」
黄「はい」
傾「むうう・・・・・それでは致し方ないか・・・・・」
楼杏「皆様方、本当に運が良いですね」
風鈴「はい、帝から直々にお声が掛かる事なんて、そうそうある事じゃありませんよ」
黄「それと、天の御遣い様はどちらにいらっしゃいますか?」
一刀「っ!?・・・・・自分ですけど」
一瞬身構えてしまう一刀
鶸や蒼もそうであったが、天の御遣いというのは漢王朝にとって歓迎すべき名称では決してないはずだ
涼州連合とは考えが違うとすれば、下手をするとこの場で死刑宣告、あるいは即座に抹殺されてしまうかもしれない
そんなネガティブな思考ばかりが頭の中をよぎる最中、趙忠は次の言葉を伝える
黄「そうですか、貴方様も来てくださいませ、帝が貴方様とも会いたいと仰られていましたから」
一刀「えっ!!?帝がですか!!?」
黄「はい、貴方様のお話をぜひ聞きたいと仰られていました」
白蓮「凄いぞ一刀♪帝自らが指名してくるなんて、これ以上ない名誉だ♪」
星「今までの苦労が報われましたな♪」
菖蒲「おめでとうございます、一刀様♪」
鶸「ええ、帝に認めてもらえる良い機会です♪」
蒼「蒼達もお母さんと一緒に何度も洛陽に来た事があるけど、帝と直接お話しした事なんてないんだよ♪」
一刀「あ、ああ・・・・・」
これは、一刀も思ってもみなかった事である、今の一刀の地位は幽州ではナンバー2にまで確立しているが、大陸全土からすれば微々たるものである
帝と謁見するには今後数年の年月がかかると思っていた為、一瞬趙忠の言葉を疑ってしまったが、これはまたとない機会である
ここで帝とコンタクトを取る事が出来れば、漢王朝に北郷一刀という人物の顔と名前は覚えてもらえる
それだけでも圧倒的に違うのだ
しかし
「・・・・・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
それを良しとしない諸侯から憎悪と嫉妬の視線が一刀に降り掛かる
天の御遣いという訳の分からない存在に帝との謁見が許されるなど面白くないのは当然であろう
もちろんこの視線に一刀は気付いている、今後自分の身の回りに物騒な事が起きるのは想定した方がいい、しかし仮に暗殺者が差し向けられたとしても、全てを跳ね返す自信が一刀にはあるので何も問題は無い
黄「それでは主だった人達は、私に付いて来て下さいませ」
そして、一同は趙忠の後を付いていき洛陽の都に入る
一刀「なっ!!?」
桃香「うそ!!?」
驚きの声を上げたのは一刀と桃香だけだった、眼球に飛び込んできたのは、想像を絶する光景だったのだ
そこには、ボロボロの家屋が立ち並び、いたるところにゴミが散乱し生臭い汚臭が立ち込め、埃が舞っている
本来なら商いで賑わっているはずの大通りにはボロボロの服を着て物乞いをする人達しかいなかった
そんな見ていて吐き気のする光景を進んでいくと、時折建物の奥から悲鳴が聞こえてくる
おそらく無法者が庶民を襲っているのだろう
一刀「(ぐっ!!)」
出来れば、今すぐにでも駆け出し助けに行きたいが、帝と謁見するという千載一遇の機会を不意にする事も出来ない
一刀「(畜生!・・・・・)」
奥歯に何か物が挟まっている様な異物感を無理やり押し殺し、一刀は趙忠の後を付いて行った
この洛陽の治安維持は官軍の仕事のはずである、先の黄巾党の乱で大勢の官軍兵士がいたはずなのに完全に持て余しているのは明白である
その官軍も数ばかりを揃えて、黄巾党に対してやられっ放しだった
調練も訓練も全く施されていないのだろう
治安体制のちの字もないそれは、まさに廃都寸前の状況とでもいうべきか
そして、洛陽の宮殿に近付いていくとそれまでの壮絶な光景が嘘のように、いきなり建物が豪華になる
前に麗春が言っていた、庶民と貴族が隔絶された境界線というものだろう
その境界線には過剰なまでの警備態勢が敷かれている
外側の貧困層を中に入れさせない為の防壁である
宮殿の周りのごく一部の人間が富を独占し、他はそのごく一部の人間の欲を満たす為に血税を吸い上げられる
まさに富める者と貧しい者、支配する者とされる者、貧富の格差を象徴する光景である
一刀「なんだよこれは・・・・・」
桃香「どうしてこんな事に・・・・・」
華琳「これが漢王朝の実態よ・・・・・」
炎蓮「そうだな、前来た時よりもさらに悪化しているな」
一同の目には、この余りに偏った光景がまさに今の王朝の現状を象徴しているようにしか見えなかった
しかし
麗羽「流石天子様が治める都、身分がしっかり区別されておりますわ♪私も見習わなければいけませんわね、お~~~~っほっほっほっほっほ♪」
ここに、事の本質を理解出来ていない馬鹿がいた
そして、玉座の間には
袁紹軍代表、麗羽、真直、斗詩
袁術軍代表、美羽、七乃、巴
孫堅軍代表、炎蓮、粋怜
曹操軍代表、華琳、綾香
劉備軍代表、桃香、朱里、愛紗
公孫軍代表、白蓮、一刀
そして、その他諸侯の代表及び補佐役が一堂に会していた
傾「天子様のおな~~~り~~~~~~~!!!」
そして、大将軍の帝到着の報せが響き渡り、一刀を含めた一同は一斉に頭を垂れる
空丹「おお、月よ、この者達がコウキントウというお菓子を作ってくれた者達なの?」
月「くすくす、違いますよ天子様♪先ほども説明しましたが、黄巾党というのは大陸を騒がせた賊の事を言います♪」
空丹「むぅ、よく分からないの・・・・・」
月「しかし、この人達は空丹様の為に身を粉にして働いてくださった、大変有能な人達ですよ♪」
空丹「そうなの?それでは褒美を遣わすとしよう♪皆の衆、面を上げよ♪」
その言葉を聞き届け、一同は顔を上げ帝の顔を見る
一刀「(あれが・・・・・帝・・・・・)」
なんというか、完全に世間知らずな箱入り娘という感じだ
さっきの隣の娘との会話を聞いていても、喋っているのは稚拙な話で、政には興味が無いという態度がヒシヒシと伝わってくる
空丹「傾」
傾「はっ!!」
空丹「この中で最も手柄を立てたのは誰?」
傾「はっ!それは私めにございます!」
「・・・・・・・・・・」
玉座の間の一同の目が途端に吊り上る
最も何もしていない輩が自身の功を堂々と持ち上げれば当然であろう
しかし、大将軍や帝の前で異議を申し立てる訳にもいかず、全員が苦虫を噛み潰しながら押し黙った
空丹「そうなの?それじゃあ何進に褒美を与えるわ♪何がいい?」
傾「何も欲しい物などありませぬ、王朝の為に尽力する事が大将軍の役割ですゆえ」
既に大将軍という絶対的地位を獲得している傾にとってこれ以上の昇進は望めないし、かといって給与も十分に貰っていて、物も唸る様にあるため必要ないのだ
必要なものと言えば、今の地位を維持する為の信用くらいである
それと同時に、自分の地位が脅かされる事を防ぐ為に、他の者達の地位が伸びないように楔を打つ事も必要である
その為にも他の者達の功績をあたかも自分の功のように仕向ける必要があるのだ
この世間知らずの帝は、傾の目には利用しやすいお飾りの傀儡にしか見えないのだろう
空丹「ふむ、あなたの忠義には感心させられるわ、これからもその力を王朝の為に使って」
傾「ありがたき幸せにございます」
そして、拳包の礼をしながら傾は玉座の横へと退いて行った
空丹「それでは、次に功があるのは誰?」
月「そうですね、次の功は・・・・・曹操さんであると思われます」
麗羽「な~~~んですって!!それは聞き捨てなりませんわ!!」
傾「袁紹、帝の御前だぞ!!!口を慎め!!!」
麗羽「・・・・・・・・・・」
異議を唱えようとした麗羽を傾が押しとどめる
大将軍という地位の前には麗羽もぐぅの音も出なかった
月「黄巾党の情報を多く官軍に齎し、勝利に多大なる貢献をしたと伝え聞いています」
空丹「ふむ、良くは分からんが偉い事をしたのね?だったら褒美を遣わすの♪」
華琳「はっ!!ありがたき幸せにございます!!」
空丹「それで、どんな褒美が良いの?」
月「曹操さんは、今回の黄巾党討伐も含め長年陳留の刺史を務め、なかなかの善政を敷いていると聞いていますので、地位特進が望ましいかと」
空丹「ふむ、曹操よ、それで良いかの?」
華琳「一切の異議もありません」
月「それでは、曹操さんには西園八校尉の地位を与えましょう」
華琳「御意に」
綾香「おめでとうございます、華琳」
麗羽「(ほっ、良かったですわ♪)」
西園八校尉は、自分の司隷校尉と比べれば比較的位の低い位置にあるため安堵する麗羽だったが
華琳「(今更漢王朝の地位を貰ったところで、意味は無いんですけどね)」
既に形骸化し、瀕死状態の漢王朝の地位を上げた所で何がどうなるものでもない
しかし、これはこれで使える場面があるかもしれないので、貰っておくことにする
空丹「次に名を上げたのは誰?」
月「そうですね、次は・・・・・孫堅さんでしょう、かなりの数の黄巾党を討ち取ったみたいですので」
空丹「そうなの?それじゃあ褒美を上げるの、何が・・・・・」
炎蓮「・・・・・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
空丹「恐っ!!?」
炎蓮「?・・・・・何がでございましょう?天子様?」
きょとんとして炎蓮は後ろを振り返る
恐いものが後ろにいるのかと思ったが、各諸侯の他に何もいなかった
空丹「恐いのはあなたよ!!孫堅!!」
炎蓮「?・・・・・私めのどこが怖いのでしょう?」ゴゴゴゴゴゴゴ
空丹「そ、それは、その、あの・・・・・か、顔が恐いわ!!」
炎蓮「申し訳ありません、しかしこれが親からもらった顔ですので、取り替えろと言われましても無茶が過ぎますぞ」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
空丹「あうううう・・・・・」
月「そ、それで、孫堅さんは、いかような褒美がお望みですか?」
炎蓮「何もいりませぬ」
月「え?本当になんの報酬もいらないんですか?」
炎蓮「ええ、お構いなく」
粋怜「・・・・・・・・・・」
美羽「(あうううう、やっぱり孫堅は怖いのじゃ~~~)」
七乃「(生きた心地がしませんよぉ~~~)」
巴「(せっかくの報酬を蹴るなど、一体何を考えている?・・・・・)」
袁術陣営から見て孫堅陣営は後ろにいるが、後ろからでも分かるくらいの威圧感があった
自分達を差し置いて報酬を受け取ることなど言語道断と言いたいが、後ろからの圧力が否が応でも口を閉じさせる
空丹「つつつ、次・・・・・」
月「あ、はい・・・・・次は、公孫賛さんですね」
空丹「?・・・・・それは誰?」
白蓮「え!?」
月「そうですね、何処の陣営の人でしたっけ?」
白蓮「す、すみません!私が公孫賛です!幽州涿郡の太守です!」
月「ああ、そうでした!すみません!」
白蓮「(おいおい、頼むぞ~・・・・・)」
自分の影はそこまで薄いのかと泣けてくる白蓮だった
月「公孫軍は、騎馬隊の機動力を生かし、幽州のみならず、各州の諸侯と連携し黄巾党の討伐並びに捕縛、黄巾党壊滅に多大な貢献をしたと思われます、その中でも天の御遣い様の武功、及び幽州での善政は大陸中に響き渡っております♪」
空丹「まあ、それが聞きたかったわ♪しそれで、噂の天の御遣いは何処♪」
白蓮「はい、この北郷一刀が天の御遣いです」
隣で同じように頭を垂れている一刀を指示し、紹介をする白蓮
空丹「あなたが天の御遣いなの?♪」
一刀「あ、はい、一応そう呼ばれています!」
月「(このお方が、御遣い様)」
空丹「そうなのそうなの♪後で禁中に来てほしいわ♪いっぱいお話聞きたいわ♪」
一刀「え!!?」
いきなりの帝からの申し出に一刀は度肝を抜かされた
帝と謁見するだけでもまだまだ掛かると思っていたのに、禁中に入るなどと言ったら気の遠くなるような年月がかかると思っていたからだ
天の御遣いという虚名、恐るべしである
空丹「案内は黄にさせるのわ、きっと来て欲しいの♪」
一刀「あ、はい、自分でよろしければ」
空丹「やったわやったわ♪面白いお話が沢山聞けるわ♪」
月「うふふ♪良かったですね、空丹様♪」
空丹「楽しみだわ♪黄よ、後で案内してあげて♪」
黄「畏まりました、天子様♪」
まるで子供の様に大はしゃぎする空丹に、月と黄は頬を緩ませるのだった
詠「(あいつが、幽州を短期間で目覚ましい発展を遂げさせた天の御遣い・・・・・)」
霞「(へぇ~~~、あいつがか、いつか試合ってみたいわ)」
華雄「(天の御遣いの実力、押し量ってみたいものだ)」
恋「(・・・・・・・・・・)」
音々音「(あいつが、噂の天の御遣いですか・・・・・)」
氷環「(流石一刀さんですわね♪)」
炉青「(私も一刀さんのお話、聞いてみたいどす♪)」
帝の護衛として玉座の間に待機していた董卓陣営は、かつて恋に突っかかって来た一刀が天の御遣いだと聞いて好奇心を隠せなかった
月「その前に、公孫賛さんと御遣い様に功を労いませんと♪」
空丹「そうだったわ、何でも言ってみなさい、何でも好きなものをあげるわ♪」
白蓮「それでは、この北郷一刀に多大なる栄誉と地位を・・・・・」
一刀「いいえ、自分よりも、この公孫賛に栄誉と地位を与えて下さい」
白蓮「ちょっ!!?一刀!!?」
一刀「自分は、公孫賛の一家臣に過ぎません、主を差し置いて自分如きがそのようなものを受け取る事は出来ません」
白蓮「・・・・・一刀ぉ」
空丹「おおぉ~~~、見上げた忠臣ぶりね♪ますます気に入ったわ♪公孫賛には州牧と校尉の地位をあげるわ♪」
麗羽「(な、な~~~んですって~~~~~~~!!!)」
自身の司隷校尉を脅かしそうな所まで登って来た白蓮に流石の麗羽も警戒感を隠せない
おまけにいきなり州の代表にまで上り詰めてきたのだから質が悪い
しかし、帝の決定に異議を申す訳にもいかないので、ここはぐっと堪えた
白蓮「謹んでお受けいたします!!」
空丹「それじゃあ次ね♪」
月「次は・・・・・劉備さんですね、義勇軍を率いての行軍ですが、その功績は目を見張るものがあります」
空丹「劉備・・・・・はてなの、朕の名は劉宏、劉備とは・・・・・」
桃香「はい、私は劉備、字を玄徳と申します!」
傾「天子様、その者は、かの中山靖王劉勝様の末裔を名乗っています、それが真実なら天子様とは遠い親戚という事になります」
桃香「え!?」
空丹「親戚?どうも実感がわかないわね・・・・・何か証はある?」
傾「その者が持っている剣がその証らしいのですが」
空丹「ふむ、その剣を見せて」
桃香「あ、はい!これです!」
腰の靖王伝家を空丹に向けて差し出す桃香
空丹「趙忠よ、これを鑑定して、本物かどうか見て」
黄「畏まりました」
そして、桃香から靖王伝家を受け取った黄は舐めまわす様に剣全体を調べる
桃香「(ドキドキドキドキ)」
今までにないくらいに緊張する桃香
無理もない、この剣が劉勝のものだという絶対的証拠など持ち合わせていないのだ
桃香「(もし偽物だったら恨むよ~、お母さん~!)」
愛紗「(桃香様だぞ!偽物であってたまるか!)」
朱里「(はわわ、はわわわわ~~)」
ここにも一人、気が気でない軍師がいた
黄「・・・・・分かりました~、天子様」
空丹「どうなの?本物なの?」
黄「これは~・・・・・・・・・・」
空丹「・・・・・これは・・・・・なんなの?」
桃香「(あうう~~、そんな引き伸ばさないでぇ~~~)」
愛紗「(うぬぬぬ~~、もったいつけおって~~~!)」
朱里「(はわわわわぁ~~~)」
無駄にも○たぶる黄の焦らしっぷりに桃香と朱里は焦りを募らせる
黄「これは~・・・・・本物に間違いありません!!」
桃香「え!!?」
朱里「はわわ!!?」
空丹「そうなの?」
黄「この剣の柄に刻まれている紋章、はめ込まれている宝石、刀身の形、全て文献通りでございます!!」
空丹「それじゃあ、この者が劉勝の末裔で間違いないの?」
黄「それは、家系図を調べてみなければ分かりませんが、その可能性は十分にあります~」
空丹「ふむ・・・・・まだ実感が湧かないけど、とりあえず宜しく」
桃香「はい!!よろしくお願いします!!」
朱里「よ、よろしくお願いしましゅ!!はわわぁ~~//////////」
愛紗「良かったですね♪桃香様♪」
ようやく緊張状態から解放された三人は、肩の荷を下ろしたのだった
空丹「それで、劉備はいかような褒美がいいの?」
桃香「私は・・・・・え~~~~と・・・・・」
自身が帝と親戚かもしれないという事で頭がいっぱいになり、桃香は次の言葉が出てこなかった
楼杏「・・・・・それでは、劉備さんは義勇軍を率いているため納めている土地がありません、ですから徐州の刺史を務めて頂くというのはどうでしょう?」
黄「徐州ですか~?」
楼杏「はい、最近徐州の刺史、陶謙さんがお亡くなりになったと聞いています、帝の親戚の劉備さんだったらきっと陶謙さん以上の統治を期待できるでしょう」
空丹「ふむ、劉備よ、それでいいの?」
桃香「はい!!ありがたき幸せです!!」
まさか自分が徐州なんていう豊かな土地の刺史に抜粋されるなんて思っていなかった桃香は喜んで返事をするのだった
月「では、劉備さんには都尉の地位を与えましょう、都を治めるのになんの地位もないのでは困りますし♪」
桃香「ありがとうございます♪」
風鈴「うふふふ♪おめでとう、白蓮ちゃん、桃香ちゃん♪」
そして、風鈴も自らの教え子達の出世に祝福の言葉を漏らすのだった
しかし、ここには素直に喜べない人物がいた
一刀「(おいおい、陶謙が死んでいるだって?史実と違うじゃないか!)」
陶謙といえば、徐州を劉備に譲った事でも有名だが、生前は反董卓連合にも参加し、その後は曹操と敵対している
つまり、今はまだ生きていなければならない人物である
一刀「(一体どうなっているんだ!?俺は陶謙の顔すら見ていないし、俺が陶謙の死に関わったとはとても思えない!)」
生きているはずの人間が死んでしまっている現状に、一刀は軽い混乱状態に陥っていた
一刀「(やっぱりこの世界は、パラレルワールドという解釈でいいのか?)」
そういう解釈で進めれば全ての辻褄は合う
もともと主要な武将や軍師の性別が逆転している時点でおかしいのだ、こういった史実と違う経過があったとしても不思議じゃない
実際、劉備玄徳である桃香が過程や時期が違うとはいえ、史実通りこうして徐州の刺史になろうとしているのだから、そういった意味では何も問題は無い
空丹「それでは、次は誰?」
月「次は・・・・・これで終わりですね、もう目立った功を立てた諸侯は居ません」
麗羽「は?」
空丹「そうなの、それじゃあこれで「ちょちょちょ、お待ちくださいませ!!」・・・・・なに?」
麗羽「天子様、この袁本初の事を忘れて頂いては困りますわ!!私も黄巾党討伐に尽力していますのよ!!」
傾「こっちの足を引っ張ってばかりだったくせに、よくもそんな偉そうな事が言えるな」
麗羽「なっ、なんですって~~~~!!!いくら何進大将軍でも、聞き捨てなりませんわよ!!!」
斗詩「(麗羽様ぁ~~~、完全にばれちゃってますよぉ~~~)」
真直「(あぁ~~~もう、いい加減大人しくしててくださいよぉ~~~)」
そう、袁紹軍は陣形も何も考えずその有り余る物量に物を言わせ無駄な突撃をしてばかりで、その被害は黄巾党の被害と大差ない
おまけに大将である麗羽が独断専行を繰り返すばかりで、足を引っ張ってばかり
だから真直が恥を承知で幽州に援軍を要請する事になってしまっていたのだ
傾「とにかく、お前に褒章は何もない!!!帝の前でこれ以上事を荒立てれば、斬るぞ!!!」
麗羽「うう・・・・・ぐううう・・・・・」
大将軍という官位の威圧に麗羽は成す術もなく崩れさった
空丹「もうなにもないの?それでは解散なの、趙忠よ、天の御遣いを後で連れてきて♪」
黄「承知いたしました~♪」
傾「お主達も長い間の討伐で疲れているだろう、ここで休んで行くがいい、それとお主達の軍を洛陽郊外に数日駐屯させることを許可しよう」
白蓮「一刀、頑張って来い♪帝に指名されるなんて、この上ない名誉なんだからな♪」
一刀「ああ、分かっている、今後乱世が起きないようにする為にも、しっかりやって来るさ」
白蓮「(いや、それもそうなんだが・・・・・まぁ、一刀なら大丈夫だろう」
Seigouです
自分の戯曲の文字数なんですが、なるべく8千から1万字に抑えたいです
それは何故かというと、自分の戯曲を楽しみにしてくれている人たちの為にも、なるべく早く更新したいのと、文字数が一定の方が読みやすいと思うのです
余り文字数が増えすぎても途中で疲れてしまい止めてしまう事もあるでしょうし
たまに一話につき2,3万字を超えてしまう事がありますが、それはあくまで特殊な事例です
前作の北郷伝は、擬音表現を多用し過ぎて無駄に文字数が増えてしまっていますので、この鎮魂の修羅と阿修羅伝ではそういった反省を踏まえて書いているつもりです
さて、またまた中途半端ですが・・・・・待て!!!次回!!
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初会の修羅