許昌炎上
西区 雪蓮・蓮鏡サイド
雪蓮「チッ!ちょっとやり過ぎなんじゃないの?あんた達!」
私が剣を振るうと、目の前にいた三人の男の首が跳ね飛ばされた。
それをしっかり確認はせず、すぐ後ろに迫っていた暴徒をすぐ様斬り伏せた。
鮮血が雨のように舞う。
炎で紅く染まっている許昌と同じ色の血が地面に降り注いだ
「ガァァァァ」
斬ったすぐ側から、また新手が現れる。
私は剣を構え、そいつの接近を待ちかまた。
そしてそいつが拳を振り上げると、それと同時にそいつの頭から矢が生えていた。
そいつはそれに気付いたかのように動きがゆっくりになり、ドサッと倒れた
秋菜「雪蓮さん?無事ですか?」
矢を放ったのは秋菜だったようだ。
私は秋菜を見るや、少し安堵したのか、微笑んでいた
雪蓮「えぇ、こちらは無事よ。この騒動、恐らく徐福が関係しているわ。華佗曰く、暴徒は全員ヤク中だろうって」
秋菜「やはり…えぇ、こちらも同じ意見です。現在は軍総出で沈静化に当たっています」
やはり秋蘭や秋菜は優秀だ。対応が速い。流石は魏の将ね
だが、イマイチ今回の騒動の狙いがわからない。
この程度の戦力で、許昌を落とせるとは思っていたのかしら?
というか、この暴徒達は…
蓮鏡「どりゃー!!母様!こっちは片付いたわ!って、秋菜!あなた無事だったのね!」
トンファーを振り回し、敵をなぎ払う我が娘、蓮鏡がやって来た
秋菜「そっちも無事みたいだな」
蓮鏡「当たり前よ!こんな素人相手に、私がやられるもんですか!」
そう、蓮鏡の言う通り、暴徒は皆動きが素人なのだ。恐らく暴徒の大半は普通の街市民だ。
制圧する事自体は容易いだろう。この程度なら半日もあれば片がつく
秋菜「せっかくだ、このまま雪蓮さんと蓮鏡にも、西区の沈静化を手伝ってもらっても?」
雪蓮「えぇ、構わないわ。もとよりそのつもりで来たのだから」
そう、半日もあれば片がつく。なら、この騒動が本命じゃない?
本命じゃないとすれば、これは恐らく…
東区 咲夜・流琉サイド
咲夜「陽動、だろうな」
流琉「陽動、ですか?」
東区で季衣と合流した私と流琉は、そのまま季衣の部隊と共に東区の沈静化に当たっていた。だが、それもそう長くはならないだろう。長く見積もっても半日で片がつく。
もしこれが本気で許昌を落としに来ていたら、こんなヤク中の一般市民を使わないで、もっと強い奴らを当ててくる筈だ。
だが今回の相手はズブの素人。
そこから考えられるのは、恐らく時間稼ぎ。雑魚をここに当てて、本命が何処かにある
季衣「やぁぁぁ!流琉!こっちは片付いたよ!次はどこに行けばいい!」
流琉「流石季衣だね!って、私に聞かないでよ!今はもう、将じゃないんだよ!」
季衣「いやほら、ボクより季衣の方が頭いいからさ!」
流琉「はぁ…もう、季衣ったら…」
いや、今はとりあえず街の沈静化が先だろう。
大した事ないとは言え、被害が出ているのも確かだ。野放しには出来ない
咲夜「さぁて、次は向こうに行くぞ!季衣!さっさと働いて終わらせたら、美味いもん食わしてやる」
季衣「ほんと!?ボク頑張っちゃうよー!」
流琉「あ、あはは…季衣ってほんと単純…」
もし私が敵で、ここを陽動とするなら、私ならこの混乱の隙に…
咲夜「おいおい、まさか…」
中央区 月サイド
秋蘭「1番隊から3番隊は怪我人を優先的に城へ避難させるんだ!4番から5番はその支援!6、7、8は火消し!残りで暴徒の沈静化に当たれ!」
氷華「まったく、街の門番は何をやっていたのかしら!?こんな事態になるなんて!救護班!手当てを早く!城の備蓄を使い切っても構わないわ!」
城へやって来ると、秋蘭さんと氷華ちゃんの怒声が響いており、城の中は喧騒に包まれていました
月「秋蘭さーん!」
私は一度地表に降り、秋蘭さんの元まで駆け寄ります。
秋蘭さんは私に気付くと、こちらに早足で来てくれました
秋蘭「月か!お前がここに来たという事は、【晋】も動いていると見ていいのだな?」
月「はい。皆でそれぞれ分かれて、事態の収集に当たっています」
秋蘭「そうか、それは有り難い」
そう言うと、秋蘭さんは少し肩の荷が下りたのか、ため息を吐きました。
私はそれを確認し、秋蘭さんに私達の見解を話します
秋蘭「なるほど、そんな気はしていたが、やはり徐福だったか。やってくれるな、まったく」
疲れたように悪態を吐く秋蘭さん。伝える事は伝えたし、私がここに居る理由はない
甄姫「しかし、被害は思っていた程ではない。まだ何か…いえ、もしかしたらこれ自体が時間稼ぎも……!?まさか徐福は!?」
伝令「も、申し上げます!」
甄姫ちゃんが何かに思い当たると同時に伝令さんがやって来ました。
見かけない人。この辺の人じゃないよね。すごく慌ててるけど…
秋蘭「なんだ!?」
伝令「洛陽より救援要請!洛陽並びに北郷様、曹操様、孫権様、劉備様、劉協様が徐福に襲撃されました!至急救援との事ですが…」
秋蘭「なに!?」
甄姫「チッ!やはりそう来ました!」
洛陽が襲撃!?
秋蘭「この状況では無理だ!この暴動を収束し次第向かう!」
甄姫「してやられましたわね。恐らくは許昌だけじゃなく、蜀も呉の主要都市も同じような事になってるでしょうね」
そんな…いえ、悲観している場合じゃありません!
月「とりあえず、この事態の収束が先決です!洛陽の事は私から【晋】に伝えておきます!」
秋蘭「あ、あぁ、そうだな。すまんが頼む。そうだ月、ついでと言ってはアレだが、お前の魔法とやらで、火消しを手伝ってやってくれないか?」
月「ふふ、もとよりそのつもりでしたよ」
私はライフルを構え、空高く飛び上がります。
上空に上がり、街を見渡し、火がついている家屋をライフルのスコープで覗きます
月「水天砲」
引き金を引くと、バァンという音と共に弾丸が発射され、程なくして弾丸が砕け散る。
その砕け散った破片が水となり、家屋に着いた火を消していきました
月「この街を、壊させはしない!」
とにかく、早くなんとかしないと!
南区 零士・詠・華佗サイド
詠「まさか、敵の狙いは洛陽じゃ!?」
ゴム弾を装填したショットガンで周辺にいた暴徒を鎮圧していると、詠が何やら叫んでいた
この暴動、徐福がやったにしても、多少決め手に欠けるとは思っていた。
暴徒はどれも一般市民、訓練を積んだ兵士なら容易く制圧できる。
恐らくは半日程で沈静化するだろう。つまり、これは陽動、時間稼ぎ。
敵の本来の狙いは何なのか。その答えを、詠は導き出したのだろう。
それにしても、洛陽が狙いか
詠「やってくれるじゃない、徐福!この騒動なら、例え洛陽に救援伝令が来ていても、対応出来ないでしょうね!」
詠がストレスを発散させるかのように、麻酔弾が装填された拳銃を乱射し始めた
零士「その話が本当なら、本当に危ないのは一刀君達か。洛陽の守りが破られるとは思えないけど、敵は未知数だ。希望的観測は出来ない」
狙いは洛陽…いや三国か。
この暴動もそうだが、徐福はずっと隠れながらこれを計画していたということか。
なかなかの策士じゃないか
月「詠ちゃーん!零士さーん!」
僕らを呼ぶ声と共に、月が空から降りてきた。その表情はとても困惑していた
詠「月!どうしたの?」
月「ら、洛陽が襲撃を受けたみたい!さっき北郷さん達から救援要請が!」
詠「チッ!でしょうね!」
予想は的中したようだ。まさに最悪の展開だな
華佗「零士!この辺の怪我人の応急手当は済んだ!別の場所に行くがいいか?」
…とりあえず今はどうする事もできない。今直面している問題を片付けないといけないな
零士「わかった。恋!」
僕は叫んで恋を呼ぶ。恋は周辺の暴徒を薙ぎ払ってから駆け寄ってくれた
零士「恋、ここの防衛を任せるよ。僕は華佗について行く」
恋「ん、わかった、いってらっしゃい」
後手に回っている。予感もあったし、前兆もあった。気付くべきだった。
徐福は姿を隠しながら、徐々に街を、三国を侵食していたんだ。それも血を流さずに
零士「あぁ…認めるよ。僕らは確かに、平和ボケしていた」
そう後悔しながらも、僕は華佗と共に燃える許昌を奔走した
北区 咲希サイド
私は悠香と共に大ジャンプし、燃える許昌を見下ろしながら北区を目指していた
燃える、と言っても小規模だ。この程度なら大火災になる事はないだろう。
問題があるとすれば、暴徒の存在。
好き勝手に暴れまわっているあいつらのせいで、住人に被害が出ている
私は許昌全体に氣を張り巡らせ、街の状況を確認する。
狂気があちこちに蔓延し、恐怖や悲しみが広がっている
咲希「!?へぇ…悠香、先に行ってろ」
悠香「え!?ちょっと!?」
氣を張って索敵していると、懐かしい氣を放つ人物がいるのを確認した。
しかもその人物は、あろうことか私に向けて殺気を放っている
私はそいつの元まで降りる事にした。
そいつは私を確認すると、気を引き締めたように表情を変え、私を睨んでくる
咲希「よぉ、久しぶりだな、友紀」
元司馬昭隊、副官。王異こと友紀が私の目の前に立っていた
友紀「………」
友紀は何も話さない。ただジッと、私を睨んでくるだけ
咲希「これはお前の仕業か?」
私が聞く。すると友紀は、少し笑って口を開いた
友紀「さぁ、知らないな」
……?どういう事だ?知らないと答えた友紀の言葉に偽りがない?
それどころか、知らないと答えて知ってる風を装っている?
咲希「お前…どうしてここにいる?」
私は、嘘を吐いてるかどうかはわかるが、何を考えているかまではわからない。
私の目はただ感情を色にして視せてくれるだけ。
そして、目の前にいる友紀の感情は、何らかの目的の為に私に殺気をぶつけているだけだ
咲希「………」
いや、殺気をぶつけているのは友紀だけじゃない。
屋根の上に後二人いる。
一人は隠す気すらないのか、直接的にぶつけてくるが、もう一人は少し分かりづらい。
殺す事に興味がないみたいだ
友紀「私がここに居る理由は、お前に会いに来た為だ。お前を、倒す為に!」
そう言った途端、友紀は二刀の小太刀を引き抜き、私に接近してきた
それと同時に、屋根の上に居た二人の内の一人が私に向けて矢を放った
この速度だと、矢が先に到達する
そう判断した私は、先に矢を処理しようと手を突き出す。
そして飛んできた矢を掴んで潰すと、その感触に違和感を覚えた。
鏃に何かが内包されていたのだ。それが何なのか理解すると…
咲希「あ」
と言う間抜けな声が漏れると同時に、チュドーンと矢が爆発した
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