No.752493

【真・恋姫†無双if】~死を与えることなかれ~16話

南無さんさん

こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます
この人物が、一騎撃ちにどう影響を及ぼすのか…
稚拙な文章、展開、口調がおかしい所があるかもしれません。
それでも、暇な時間に読んで頂けたら嬉しいです。
よろしくお願いします。

2015-01-19 18:17:16 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6207   閲覧ユーザー数:5150

「姉様!!」

 

 

蓮華が雪蓮の本隊に合流した時は、既に二人の王による一騎討ちが始まりを告げ、

 

暫しの時が経過していた。

 

 

「誰か、誰かある!!」

 

「はっ!!」

 

「何故、この様な状況になった、説明をしろ」

 

「御意!!」

 

 

雪蓮の近衛兵から詳細を聞き、一筋の汗が滴る蓮華。雪蓮の強さは身にしみて

 

理解していたが、よもや、ここまで無茶をするとは、と内心驚いていた。

 

 

「…ご苦労、下がってくれて結構だ」

 

 

近衛兵を下がらせ、雪蓮に視線を移す蓮華。一進一退の攻防を目の当たりにして

 

雪蓮に違和感を覚えた。

 

 

「姉様の剣が…」

 

 

雪蓮の剣術、武の動作に集中して凝視していたら、冥琳と率いている部隊が駆けつけて来た。

 

 

「蓮華様!!」

 

 

冥琳は下馬し蓮華の隣にやって来た。そして、先程の蓮華と同じ様に

 

何故、一騎討ちをと疑問をぶつけたが蓮華は近衛兵から耳にした経緯を伝えた。

 

 

「何と言う無茶を…」

 

 

冥琳は蓮華と同じ様な反応をとる。

 

 

「ねぇ、冥琳…」

 

 

額に手を押さえていた冥琳はその仕草を直ぐに解き、ずれた眼鏡の柄を親指と中指で

 

クイッとあげ元の位置に戻した。

 

 

「姉様の武に違和感を覚えない?」

 

「違和感…ですか?」

 

「ええ、何て言うのかしら。苛烈に攻めている姿勢は今までと変わらないのだけれど

 力に頼りすぎて暴力的な剣になっている、そう見えるの」

 

「………」

 

 

冥琳は眼を凝らして雪蓮の武に注視した。確かに蓮華の言う通り、暴力的な武になっている。

 

仮に野性の力を解放したとしても、漆黒の意思が纏わりつき過ぎていると感じた。

 

何時もなら豹変しても、流麗な剣捌きが時折顔を見せているのに、

 

冥琳は考えられる事態を思案し、一つだけ勘付いた。

 

 

「おい、そこのお前!!」

 

 

再度近くに居た近衛兵を呼びつけ、冥琳は雪蓮が春蘭らと闘っていた情報の詳細を求めた。

 

 

「お前は、夏侯惇らと闘っていた雪蓮の剣筋を見ていたか?」

 

「…はい。しかと、拝見しておりました」

 

「そうか、なら質問するが夏侯惇らと闘っていた時、雪蓮はあの様に力任せに武を奮っていたか?」

 

「いえ、剛の中にも技が垣間見え夏侯惇を翻弄としておりました。

 …しかし、今、孫策様のあの様な豹変振りに、私も戸惑って驚きを隠せない次第でございます」

 

「…そうか。助かった。ありがとう」

 

「礼を頂ける様な事など何も、私はこれで…」

 

 

近衛兵は一礼して下がっていった。この証言を得た事により冥琳は勘付いていた推測が、

 

雪蓮の異変の答えであると確信した。

 

 

「…違和感の正体。わかったのかしら、冥琳」

 

 

答えを導き出したと同時に蓮華から問われる。冥琳は頷き異変の原因を口にする。

 

 

「気負い――だと思われます」

 

「…気負い」

 

「はい。怨敵を目の前にして無駄に力が入ってしまわれているのでしょう」

 

「…姉様は大丈夫かしら、今から加担するのは無理よね」

 

「…ええ、雪蓮の性格上、自分の手で決着をつけなければ納得しないでしょう。

 一騎討ちは戦場の華、もし邪魔を致せば叱責どころでは済まされません」

 

「決着。…ねぇ、冥琳。暗殺の事なんだけど本当に曹操が企てたと思ってる?」

 

「…蓮華様はどう思われているのですか」

 

「私は…」

 

 

蓮華は華琳が暗殺を企てた事を当初から疑問に感じていた。

 

曹操が掲げている覇道、暗殺とは掛け離れている王なる道。

 

あの曹操が志を曲げてまで、搦め手を使う筈が無い。

 

なら、導き出される答えは一つしかなかった。

 

 

「…憶測だけど許貢の暴走だと思うわ。実行理由は曹操の信頼と出世欲」

 

「…お見事にございます」

 

 

冥琳は感嘆した。こんな状況下でも惑わされずに本質を導き出した事、

 

その成長が嬉しかった。

 

 

「姉様はこの事を」

 

「存じ上げていないかと。…いえ、気付いていたとしても心を曇らせ

 全て曹操の策によるものと本質から目を背けているのかもしれません」

 

「そして、その曇天とした心が力一辺倒の武に成り下げているのね」

 

 

心模様は空の様、虚ろに色けり顔を変える。晴れがあれば雨もあり激しく雷が落ちる時もある。

 

でも、彼女の心の中心は何があろうと不変である。北郷一刀、

 

彼が現れ共に過ごす時間が重なった結果、雪蓮の心の中心を占めていた。

 

彼がそれ程の男でなければ、心が曇天とせず普段の力を発揮できたであろう。

 

蓮華と冥琳は暫し無言となり戦況を見詰めていた。もう、雪蓮を止める事など不可能に近い。

 

 

「…姉様」

 

(…とはいえ、雪蓮。私が危険と感じたら身を投げ打ってでも止めに入るぞ。

 それが私に託された願いであるからな…)

 

 

各々、胸に思いを秘めながら、静観し鳴り止まない金属音だけが木霊する。

 

そして、両部隊、それぞれの将兵が、激しい一騎討ちを繰り広げている二人の王に目を奪われる。

 

それ故に――孫呉の鎧甲冑を装備して埋伏している匹夫の輩に誰もが気付く事はなかった。

 

 

「ひひひ、何と言う好機、此処で孫策を亡き者とすれば、……ぐふぐふふふふ」

 

 

 

 

 


 
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