No.752001

艦隊 真・恋姫無双 23話目

いたさん

今回、長いです。

2015-01-17 11:55:40 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1756   閲覧ユーザー数:1556

【 勝利後 の件 】

 

〖 益州 成都城内 広場 にて 〗

 

劉焉達益州軍から、勝利を得た一刀達!

 

劉焉達の悪事、自分達の正当性を知らしめる為、異例の公開裁判を開いた!

 

劉焉、趙韙、董扶の三名が、一刀と艦娘、恋姫達の前に縛られて横一列に並ばされる。 周囲は、人が近付かないように柵をめぐらし、兵達を配置! 桔梗と焔耶で警戒をしていた。

 

劉焉「縄を解けぇえええッ! 無礼であるぞ!! 下郎!!!」

 

趙韙「やいやいやいッ!! この方はなぁ!! 益州の州牧、『劉君郎』様なんだぞぉおおッ!!? 早く……縄目の恥を解かねえぇかあぁあああッ!!」

 

董扶「……………」

 

紫苑「お静かに───!!」

 

『………………………』

 

争乱の原因になった君主と臣下の態度に、ただならぬ迫力を醸し出して注意する紫苑! その迫力により騒ぎ立てる態度を改め、少し大人しくなった。

 

しかし、董扶以外の二人は、一刀を睨み付ける事を止めなかった。

 

 

☆ーー☆ーー☆ーー☆ーー☆

 

 

『──────ザワザワッ ザワザワッ』

 

 

成都城内にある広場にて……多くの群集が裁きの結果を見ようと、柵に張りついていた。 老いも若きも……男女問わず……固唾を呑んで見守る。

 

漢王朝に正式に任命された州牧が……『天の御遣い』を名乗る者に捕らわれたのだ! 

 

これが……ただの反乱であれば、過去にも例は幾つもある。 

 

そもそも、漢王朝自体……高祖劉邦の反乱から始まって、幾つもの乱を収め強敵を下し、遂には大陸に秩序を齎した王朝。 ………別に驚く事もない。

 

それが、伝説の『天の御遣い』が現れ、現皇帝……つまり『天の代理人』に異議を申し立てたのである! しかも、その御遣いは……見たことの無い衣服を纏い、日に当てるとキラキラと光を反射させた!

 

しかも──彼に仕える配下も異質! 

 

目を見張る美姫、驚異的な武力、複雑怪奇な絡繰りの武具!

 

しかも……あれほどの激しい戦であったのに関わらず、敵味方の戦死者は『0』!

 

そして、支持する将も……益州に名高き将軍達!

 

この将軍達は……『天の御遣いが《流れ星》より降臨するのを目撃した!』との証言をしているので、民達の期待は弥(いや)が上にも高まったのだ!

 

☆ーー☆ーー☆ーー☆ーー☆

 

 

 

一刀「劉州牧──! 貴方の事は他の者の証言、残されていた物により大方の目的が分かった! 民達に過酷な重税を行い、兵力を増強、漢中の五斗米道を有らぬ罪を着せて壊滅させて、洛陽と連絡を絶やす事!」

 

劉焉「…………ふんッ!」

 

一刀「そして……天の御遣いを演じ、益州を独立させ……あわよくば、皇帝に成り代わろうとした! ………そうだな!?」

 

趙韙「あぁ? おかしな事を言うじゃねえか! 益州には、漢中のように得体の知れない輩が、わんさかといやがるんだ!! そんな輩を抑えて、治安を維持するには兵は必要! 兵を維持するに……金が必要!! 当然な事さ!!」

 

劉焉「………趙韙の申す通りだ! 我々は漢の御為に動き、忠誠を尽くしている!! それが、このような出来事を引き起こし、我々を捕縛して漢に刃向かおうとしている貴様達こそが、益州を掠め取る盗人に過ぎん!!!」

 

問いを投げかけた一刀を、侮辱する趙韙と劉焉! 

 

その様子を横目で見ながら……加賀が進み出て問い掛けた!

 

加賀「私達の目の前で、存分に言った事はどうしたの?」

 

劉焉「儂がか? ふんッ! そんな戯れ言など……とうの昔に忘れたわ!!」

 

加賀「私や貴方と相手をした仲間、周りを囲んでいた者は……全員覚えているのだけど?」

 

劉焉「それがどうした? お前達だけの証言なら……我が臣、我が兵、我が民が納得と思っておるのか!? 儂を濡れ衣で殺せば……益州の民も、漢王朝も黙っておるまい! お前達は、どのみち反乱軍として処刑されるのだ!!」

 

趙韙「────へっ! ざまぁみろってんだぁ!!」

 

董扶「………………」

 

加賀の問い掛けに対しても、知らぬ存ぜぬを通す劉焉!

 

趙韙も鼻で笑い、罵声を飛ばして悪態をつく。

 

董扶だけが………目を閉じ……何も語らない。

 

加賀「そう……。 そこまでシラを切るのであれば、証拠を聞かせてあげるわ! 霧島……例の準備を──ッ!!」

 

霧島「了解です! スピーカーのセット準備開始!」

 

夕立「────はぁい!!」

 

川内「まかしときなぁ!!」

 

加賀は、霧島に合図を送り、実行を開始した。

 

 

◆◇◆

 

【 逆転に次ぐ逆転 の件 】

 

〖 益州 成都城 広場にて 〗

 

霧島「────加賀さん! スピーカーの準備は終了! 会場に全員聞かせれるように、手配は整えてあるわ!!」

 

加賀「ありがとう……霧島! それでは、これが証拠よ! よく聞いてみなさい!!」

 

広場に置かれた二台の『木の箱』より、高揚した劉焉の声が響き渡る!!

 

 

〓〓〓  〓〓〓  〓〓〓

 

電『───貴方の軍勢は、既に崩壊しています! これ以上、私達に対して争いをしても、意味などありません!! もぅ、こんな戦を止めるよう、残っている兵士さん達を止めて下さいぃいいいッ!!!』 

 

雷『電………!』

 

劉焉『ふんっ! 何をほざくかと思えば──笑止!!』

 

『─────!?』

 

劉焉『よく聞くがいいッ!! 儂は、漢王朝の《皇帝》に即位できる血筋、《天の御遣い》として……担ぎ出され英傑だ!! 確かに、お前達の主こそが御遣いかもしれん! だがな! 誰が出身も分からぬ者を信じるッ!?』

 

 

〓〓〓  〓〓〓  〓〓〓

 

 

加賀「あの時の会話は、ここに居る私の仲間が記録してくれたの。 貴男が自慢気に語る会話を……そのままにね!」

 

劉焉「こ、これは───や、奴らの謀略だ! 儂を嵌める為の罠だ!! 騙されるではないッ! 騙されるんじゃないッ!!」

 

 

〓〓〓  〓〓〓  〓〓〓

 

 

『くっははははっ!! ──民も、兵も、臣下さえもッ!! 儂を更なる地位に上げる『足場』であり『土台』であり『贄』であるのだッ!! 儂さえ、儂さえぇ!! 命があれば──他のモノなど、全て無用!!!』

 

 

〓〓〓  〓〓〓  〓〓〓

 

 

董扶「───────!」

 

趙韙「だ、旦那…………?」

 

劉焉「ち、違う! 儂では無いッ!! 儂は、こんな事を言わんッッ!!!」

 

必死に狼狽しながら、不定の言葉を撒き散らす劉焉に、加賀の額に青筋が浮かび上がり、しなやかな指を劉焉に向けて、更に鋭く糾弾した!!

 

加賀「貴男達の用意した……『天の御遣い』の道具の用途も、益州兵から証言を得ているし、物的証拠も押収したわ! ……貴男に逃げ道なんか、すでに無い!! 自分の罪を認めなさい!! 劉州牧!!」

 

縛られながらも……往生際悪く……顔を地面に向けて伏せる劉焉に、止めの言葉を差す加賀!

 

趙韙「旦那──! これは、いっ、一体………!?」

 

劉焉「…………………クックックッ」

 

趙韙が説明を促す為にと、太った身体をにじり寄らせて近付くと……突如、劉焉が笑いだした!!

 

★☆☆

 

劉焉「…………クックックッ! アーッハッハッハッハッ!! ここまで暴露されれば認めねばなるまい! 下郎共ッ!! 儂はな……高貴なる身分! 貴様等と違うのだ!! どこか分からぬ馬の骨共とは───違うのだよ!!!」

 

霧島「………開き直り? それとも何か考えでも?」

 

訝しげる霧島を、目ざとく見つけた劉焉は、ニヤリと不気味な笑い顔を向けた!

 

劉焉「なぁ~に……至極簡単な事よ! 皇帝の血族に並ぶ儂を、自称『天の御遣い』如きに罪を裁かれる! 果たして、漢王朝……いや、皇帝陛下の面目が……立たぬであろうと思うてなぁ!」 

 

長門「どういう事だ! 応えてみせろッ!!」

 

劉焉「自称でほざく輩に、この益州州牧を裁こうなど。 ………くくくッ! 大それた考えをする……愚かな奴らだと……笑ってやったのよッ!!」 

 

雷「ちょっとっ!! 聞き捨てならないわね! 司令官が天の御遣いじゃないとでも云うの!? 散々、自分は天の御遣いの芝居をやろうとしたのに!?」

 

劉焉「儂には資格があるからな! 皇帝の血筋……即ち『天の代理人』たる資格を持つからこそ許される!! それが、庶民の願望だけで認めたのならば……今頃……雨後の竹の子のように、自称『天の御遣い』だらけだ!!」

 

電「───ですが、司令官には! 一刀さんにはッ!! 資格はあります!! 貴男達の攻撃を……死者も出さずに去なし(いなし)、撃退して見せたではないですかッ!!」

 

劉焉「フッ……確かに重要だが……忘れておるようだな? 幾ら活躍しようが、民に支持されようが……『天の御遣い』は『自称』にしか過ぎん!!」

 

港湾棲姫「誰ガ認メレバイイノ? 成都ノ民ハ一刀ヲ信ジテイルッ!! 少ナクトモ……貴男ヨリハ遥カニアルワッ!!!」

 

劉焉「皇帝陛下が、漢王朝が認めれば──天の御遣いを名乗れるのだ! 当たり前であろう! 世の中で最高位の者が、物事を認めてこそ名乗れるのだ! ─────民の要望など……為政者の邪魔だ!!!」

 

金剛「こんなヤツが、益州のstate governor(州知事)なんて世も末ネ!」

 

劉焉「儂が……苦労の末に、洛陽から移ったのはッ! 次代の皇帝になるためよ! お前達が……お前達が邪魔さえしなければ……! 儂は、天の御遣いを足掛かりにして、皇帝となり、大陸を支配出来たものがぁあああッ!!!」

 

『───────!!』

 

雛里「───で、ですがッ! 貴男の非道は、洛陽の皇帝陛下にも聞き及んでいる筈ですよ!? 追討の命が益州近隣に出ているって、水鏡先生が!?」

 

劉焉「荊州の劉表、西涼の馬騰等に命令が出ておるが、果たして周囲を険しい峰に囲まれ、東から行軍を阻み長江がある益州の地に、攻撃を仕掛けて来る者がおるかな? 例え……十万の兵が来ても……無理な話よの?」

 

雛里「────あっ!」

 

劉焉「それにだ! 劉表といい、馬騰といい……世に聞こえし者達だから指名されたのであり、自称『天の御遣い』では……討伐行為など役不足! 逆に反乱を引き起こした事で、咎を与えられるかもしれんぞ!?」

 

龍田「そうかしら~? 貴男の行った治世は~漢王朝に反する行為なのに、それを見逃すような政(まつりごと)じゃないわよね~?」

 

劉焉「だからこそよ! 既に漢王朝中心の高官達には、多額の賄賂を贈っておるわい! この世の沙汰も金次第! だからこその賄賂よ!!」

 

天龍「てめぇ!! きたねぇえぞぉおおおッ───!!」

 

劉焉「おっと、儂を傷つけてしまうと困るのは……お前達だぞ!?」

 

龍田「天龍ちゃん!! 抑えてぇ! 抑えてぇえッ!!」

 

天龍「く、くそぉ──ッ!!」

 

劉焉「ふんっ! つい、要らぬ事まで愚痴たか。 まぁあいい!! 儂は、自分の高貴なる血によって守られる!」ニヤッ 

 

そして、劉焉は多くの民衆を前に、恐怖を叩きつけたッ!!

 

劉焉「洛陽から使者が訪れて調査を開始すれば、お前達など……『天の御遣い』を語りし反逆者として……裁きを逆に受けて終わりよッ! そして、その愚かな行いを信じて動いた貴様ら愚物達も───ただでは済まされん!!!」

 

一刀「───────!!」

 

劉焉「その時に、被害者である儂は、ある事ある事語れば……どうなるか……その惚けた頭でも……分かるのではないかなぁ? う~ん???」

 

加賀「────クッ!」

 

朱里「で、でもッ! 洛陽では……宦官の勢力が『ある方』の力で弱まりつつあると聞いています! 『その方』直属の方に出向いて貰えば───!!」

 

劉焉「馬鹿な事……。 奴は漢王朝の為に……始終宮廷内に居らず、どこかに出掛けては功績を挙げる──天上人! 貴様等のような輩如きに、このような山深い遠国へ直属の配下を寄越す程……到底……暇な人物ではないわ!!!」

 

朱里「うぅ……………!!」ガクッ!

 

雛里「………朱里ちゃん!!」

 

劉焉は、一刀達の倫理を殆どを逆手に返し論破! 

 

逆に劉焉達の正当性、その後の展開に変化を付けさせたのだ!! 

 

意外な結末に………騒ぎ出す観衆、苦渋の顔を浮かばせる一刀達!!

 

ーーー

 

趙韙「あっ、あっしらは!?」

 

劉焉「聞いた通りよ! 簡単に捕まり……儂に恥をかかした愚劣な臣下などに用は無い!! 下がれ、下劣な者よ!!」

 

趙韙「だ、旦那───!? 旦那ぁあああッ!!」

 

董扶「…………………」

 

劉焉「後は、証拠となる『絡繰りの声』と『用意していた物』だけか。 ぐふふっ! 検分の者に、絡繰りの声は声真似の上手い者の仕業、用意していた陛下の服や乗り物は、儂からの献上品だったと報告させれば、それで済む!」 

 

焔耶「劉焉!! お前は、益州の民を──なんだと思ってぇえええ!!?」

 

劉焉「儂には『金の成る木』よ! 当然であろう!? それに、漢王朝の皇帝側近にも、既に高額の賄賂を贈ってあるわ!! 全部、益州の民達の税金だから、儂の懐は全く痛まないのだがなぁ──! ハーッハハハハッ!!!」

 

一刀「あんた………腐ってやがる!!」

 

桔梗「このような者を……上に戴いていたとはッ!!」

 

紫苑「────許せないわッ!!」

 

『─────────ッ!!!』

 

劉焉「この世の中で、漢王朝からの命令など、愚直に従う者が悪いのだ! 巧みに、自分の都合の良いよう事実をねじ曲げて、利益を上げて己を肥やす! これぞ、今の世の治世、漢王朝の政治なのだよ!!」

 

劉焉は……そう叫ぶと……怒りで顔を真っ赤にする一刀、艦娘、恋姫、そして直接の被害者である民衆を望みながら、高笑いを上げた!! 

 

劉焉「カッ──カッカッカッカッカッ!! 所詮……地位と血統があれば……何よりも優先されるのだ! それが、現在の国の政治体制! ───全く、有り難い王朝での高官様達だわい! これで、貴様らも終わり──!?」

 

しかし、その高説を遮る……冷ややかな女性の声が!

 

 

??「─────ほぅ? 漢王朝も舐められたものだな! 劉焉よ!!」

 

 

柵の外より、声を上げる若き女性の声が聞こえたのだ!!

 

 

◆◇◆

 

【 ?? の正体 の件 】

 

〖 益州 成都城 広場にて 〗

 

劉焉「誰だぁ!? 儂の話を邪魔する不届き者は!?」

 

??「───そういう貴様こそが、哀れな道化よ! 私が……この場に来た事で……お前の野望、謀、そして命脈さえも……完全に閉じるのだ!!」

 

────ガチャン! ガチャン! ガチャン! 

 

真っ赤に色に染められた、西洋のプレートアーマーを着用した者が、柵に近付く! そして、柵に近付くと……劉焉に……そう呼びかけたのだ。

 

劉焉「そ、その鎧……! ま、まさかぁ? まさかぁあああ!?」

 

??「どうした? お前の自白……しかと聞かせて貰った! この『漢王朝大将軍 何進』が一語一句も漏らさずに──しっかりとなッ!!」

 

直ぐ傍に黒衣の女性が控えており、素早く近付くと小声で『よろしいので?』と伺いを立てる。 甲冑姿の『何進』は、鷹揚に頷くと……黒衣の女性の手により、頭のヘルメットを取った。

 

港湾棲姫「───────!?」

 

何進「劉州牧……何とも滑稽な姿になったな。 これも……日頃の行いか?」

 

そこには、白い髪を靡かせ、白陶器以上の肌の白さを持つ……麗人が、にこやかに佇んでいた。 他の者なら……いざ知らず、一刀と艦娘達が見間違う訳は無い!! その顔立ち、姿は……『深海棲艦』そのものだった!!

 

ーーー  ーーーー

 

一刀は、横に居る港湾棲姫を───思わず見比べる!!

 

一刀「………『何進』が……深海棲艦?」

 

同時に……一刀の周りの艦娘達が……一斉に戦闘体勢をとった! 

 

ーーー

 

加賀「───迂闊でした! 劉焉の行動に気を取られ……こんな間近まで『深海棲艦』の接近を許す事になるとは……!!」

 

赤城「皆……気を付けてぇ!! 『戦艦レ級』以上の強さを感じるわ!」

 

ーーー

 

瑞鶴「───翔鶴姉ぇ……アイツ……倒せる? わ、私達……勝てるの……かなぁ? ………ねぇ? ねぇってばぁ!!」

 

翔鶴「────────ッ!!」

 

ーーー

 

天龍「……龍田ぁ、オレは……情けねんだよ……。 せっかく、強い奴が来たのにさぁ……。 アイツを見た瞬間! あ、足が震えて……動けないんだぁあああッ! 日頃……他の奴を怖がらせているくせになぁ!!」

 

龍田「天龍ちゃん………」

 

ーーー

 

島風「アレがそう? アレが于吉や左慈が探っている? それなら早くぅ……知らせてあげなきゃ……あ、あれッ!? 足が動かないッ!! 何で!? 何でなのぉ────ッ!?」

 

ーーー

 

川内「…………………」

 

夕立「う~ん? これは………キツイよね? 流石に川内でも………」

 

川内「いや……こんな時こそ……『夜戦忍者』の出番だ!! 闇より舞い降りた赤い影! 白いマフラーは勇気の印!! 『夜戦忍者』出動──グエッ!」

 

夕立「まだぁ──日中ぅうううッ! しかも『改二』にもなっていないのに!! 混乱し過ぎだぽぉーい!!! 」

 

ーーー

 

金剛「皆……いざとなったら……提督を連れてRun away(逃げなさい)! 私が何とかしマース!!」

 

『─────!!』

 

ーーー

 

 

紫苑「私が……動けない!?」

 

朱里「…………うぅぅぅ」

 

雛里「………こぉ、怖いぃぃいいよぉぉ!」

 

焔耶「か、身体が………!?!?」

 

桔梗「チィ──ッ! 話に聞いておったが……これ程とは!? まさに……数百の虎に囲まれたような迫力よぉッ!!!」

 

ーーー

 

歴史上の何進は……『肉屋のオヤジ』だったはずなのだが……。 

 

そこに居るのは、若き女の子! しかも……かなりの強者らしく……艦娘側、恋姫側も動けない!! 普通の人である恋姫側は分かるとして、日頃『深海棲艦』と戦う艦娘側が……冷や汗を流し、様子を見守るしか無い!!

 

何進の正体を見抜いたのだが……自分達との力の差を思い知り、動く事ができなかったのだ。

 

ーーーーーー

 

しかも、他の観衆は……何進を熱狂的に受け入れていた! 

 

声援を送る者! 

 

手を振り支持して居る事を態度に示す者!

 

涙を流して伏し拝む者!

 

『何進様は──俺の嫁ッ!』と……己の器量を過信する者!

 

観衆は、何進の不気味な力に、全く気付く様子はなかった………。

 

ーーー

 

一刀「…………………」

 

于吉達──管理者側が警戒していた『空母水鬼』──初見の出逢いであった!

 

 

◆◇◆

 

【 何進の裁き の件 】

 

〖 益州 成都城 広場にて 〗

 

劉焉は驚愕の表情のまま……何進を問いただす!

 

配下の二人は……驚きの余り、しばらく唖然としていた。

 

★ーー★ーー★ーー★ーー★

 

『大将軍 何進』……現皇帝陛下の皇后『何皇后』の義姉。 多額の献金で何皇后の義姉妹となり、その事に準じて将軍位を賜る。 

 

始めの内は、只の成り上がりと噂されるが……賊討伐、内部腐敗の粛正に手腕を発揮し、現皇帝陛下の権力を著しく回復させる功績があり、今では押しも押されぬ大将軍として……更なる活躍振りを見せていた。

 

劉焉の下にさえ、その容貌と活躍は伝え聞いており、一度だけ……成都近くを通ったと云う事で謁見も果たしていた相手である。

 

★ーー★ーー★ーー★ーー★

 

 

劉焉「な、なぜ!? このような辺鄙な場所に……洛陽の耳目を集める何進大将軍が……此処に居られるのだ………!!」

 

何進「知れた事よ。 大恩ある陛下の命を受けながら……洛陽の指示に悉く(ことごとく)反発を示し、己の私腹しか考えない劉州牧! ────貴公等の討伐を成すためよ!!」

 

劉焉「そ、そそ、そんな馬鹿なぁあああッ!? 儂のような品行方正な者を……どのような罪過でぇ!?」

 

何進「ほぅ~? 先程の狼狽ぶりや高圧的脅迫は……全て戯れ言だったと言いたげだな? 私には、貴公に向けられる観衆の熱き怒りで、火傷を負いそうなんだが……。 どうも……貴公の顔は、余程の不感症とみえる!」 

 

劉焉「何進大将軍───儂の地位と血筋! この下郎共の言葉! どちらを信じるッ!? どちらに重みがあると思われるのかッ!!?」

 

何進「それを云うなら……『上手く描かれた餅の絵』と『形が歪でも食べられる餅』───空腹の者が欲しい餅は……どちらかな? これが先程の問いの応えだ! 劉州牧よッ!!」 

 

何進は、劉焉の問い掛けに苦笑しながら……皮肉を込めて返す。 それでも、劉焉は『分からないのか?』『理解したくないのか?』と云う主旨の弁論を続けた!

 

劉焉「年若い大将軍ゆえ……知らぬと存じる! 高祖の血統を受け継ぎ、益州の州牧になる儂を信じず!! 数多くの不平不満を訴える事しか出来ぬ庶民、天の御遣いと自称する反乱軍の肩を持つとは……正気の沙汰と思えぬッ!!」

 

何進「………至極当然な事なんだが……どうしてこうも……難しく考えたいらしいな。 全く……頭の固い名族の長老殿には……困ったものだ!」

 

劉焉「────更に、更にッ!……洛陽の皇帝陛下に親しい方々には、儂の政に関しては、既に許しを得ております! そ、それに……洛陽の高官達が、儂の政策に賛成の意を表してくれたはずッ!? 今さら罪過を問われても!!」

 

何進「フッ……お前の考えは、手に取るように分かるのさ。 そうだな……賄賂を贈り込んだ奴の名前でも言ってやろうか? それとも……賄賂の件、漢中での軍事行動の真の目的、そして……天の御遣いと皇帝簒奪の企みを!!」

 

劉焉「───────!!」

 

いい加減……劉焉の弁論に飽いた何進は、劉焉の最大の陰謀部分を突いて黙らせると、傍に居る黒いベールを被った者を呼び寄せ、劉焉達に顔を見せた。

 

何進「この者に見覚えあろう? ………劉州牧と配下の者共よ?」

 

趙韙「テ、テメエェ─────ッ!?」

 

董扶「………そうか……納得がいったわい………」

 

劉焉「────鬼灯! き、貴様ぁあああッ!! 寝返りながら──よくも儂の目の前に顔を出しおってぇえええッ!!?」

 

その者は、何進の容貌によく似た………劉焉に仕えている鬼灯であった!

 

鬼灯「───何進配下の将『鬼灯』! 劉州牧の策略を調査する為、内部に潜り込んで探りを入れたのだ! その証拠の竹簡も……既に何進様に渡してある!! お前達の野望は───終わりだ!!!」

 

何進「……そのお陰で、漢王朝内の腐敗分子共を綺麗に一掃できて、私は非常に助かっている。 ………礼を述べさせて貰うとしよう! だが、処罰は軽くなるどころか──更に重くなるがな?」

 

鬼灯の才と意外な人脈の多さを理由に、賄賂の送付を任せていた劉焉にとっては、最大の痛恨事象であった!!

 

劉焉「なっ!? ま、まさか!? ───い、いや!! そ、それより何進大将軍よ! この者達を見るがいいッ!! この者こそ『天の御遣い』を自称する……皇帝陛下に牙向く反乱軍だぞ!? 即刻に処分をするのだッ!!!」

 

《まずは、矛先を儂よりも……あの下郎共へ! その隙に逃走を!》と咄嗟に思案して命令に近い口調で提案したのだが………?

 

何進「ふむ……変わった衣装、見慣れぬ兵器、白き輝く装束の者に率いられし軍か。 ふふふっ……この者達にも、別件で用があるが後回しだ。 好物は後から食べるのが……私の主義なのでな?」 

 

劉焉「武官の頂点に立つ貴女が! 反乱軍を目前にして──儂の白黒を付けるより、早く討伐を行わなければ、逃げられてしまうぞ!!」

 

何進「しかり……! 優先にやらねばならぬ件を実行しなければ、私の威信にも関わる! では……陛下の命が下りし劉焉側の賊将討伐!! 開始させて貰う!!!」

 

何進は剣を抜き──劉焉の前に立つ!

 

─────────────!

 

劉焉「お、おのれぇ───! 何進め!!」

 

趙韙「だ、旦那ぁあああッ!!」

 

董扶「……………!」

 

何進は、目配せすると……鬼灯が剣を三本持ってくる。

 

何進「…………流石に……手向かいも出来ない案山子を斬るのは……気が引ける!! そこの三人………剣を取り立ち向かえッ!! 勝てれば……無罪放免としてやろう? どうだ…………?」

 

劉焉「フッ……フッハッハッハッ!! 儂に、この儂に剣を与えるのか? 良かろう! この勝負──受けた!!」

 

趙韙「殺されるぐらいならぁ、やってやるぜぇ!!」

 

董扶「……………」

 

鬼灯は、縄を短剣で切り……束縛を外す。

 

そして、三人が剣を掴むのを見て───何進はニヤリと笑う。

 

何進「そうか……! ならば……始めようか?」

 

何進も、剣を構えて………三人に対峙するのであった。

 

 

ーーーーーーー

ーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

前作にて……お二人より応援コメントをいただき、気合い入れて早速小説を書き始めましたんですが……。 

 

推敲に推敲を重ねて文章が増えていき……結局、劉焉の処分が、次回に続くハメに……。 話も上手く纏まったか心配しております。

 

現段階では……これで良いかなと云う事で出してますが。

 

もしかしたら、ちょこちょこと直さて貰いますので……ご了承ください。

 

 


 
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