No.750580

短編ネタ 真・恋姫†無双 ~俺が、俺達が、運び屋だ!~

piguzam]さん

第一話~乱世に現れたアホ

2015-01-11 13:50:06 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:5881   閲覧ユーザー数:4974

前書き

 

 

 

 

 

ドーモ、皆=サン。 PIGZAM]=デス。

 

 

 

新年明けましておめでとうございます~~ww

 

 

 

いや~、本当はもう少し早く投稿するつもりだったのですが、問題が発生致しまして。

 

 

 

今年新年明けて一発目のお話は、恋姫†無双のネタをやらせて頂こうと考えてたんです。

 

 

 

それで、去年の12月中頃から書き始めたんですが……。

 

 

 

まだ最後まで書けて無いというのに、現段階で200キロバイト突破ww(;・∀・)ハッ?

 

 

 

こりゃどう考えてもサイズオーバーで一度で終わらせられない……。

 

 

 

という事で、今回は一発ネタでは無く、短編完結作品として投稿させて頂きます。

 

 

 

後今回は挿絵を幾つか用いるつもりでしたが、例の如く作者に絵の才能は皆無。

 

 

なので主人公の絵はとあるゲームを使う事にwwどんだけ手抜きだ俺ww

 

 

鍋島元次「まぁ俺の絵はある意味酷かったしな……でも、読者さんからの絵はかっこ良くて嬉しかったぜ」

 

城戸定明「俺もとある読者の方にかっこ良く書いてもらえました。本当にありがとうっす」

 

と、まぁ2014年は自分的に中々大変でしたが、読者の方々からの応援や挿絵。

心が暖まるご好意の数々が嬉しかったです。

我が主人公たちも大変感謝しておりますので、今年もこいつらをよろしく……。

 

 

橘禅「待てやゴルァ!!まーだ真打ちが登場してねぇだろぉ!?」

 

あっ。

 

橘禅「忘れてたんかい!?まぁ殆ど執筆されずで忘れられても仕方ねーけどさ(泣)今年は俺も頑張ってフェイト達とイチャコラするんで、よろしく頼んます!!後挿絵プリーズ!!」

 

と、こんな一癖も二癖もある主人公達ですが……

 

禅、元次、定明「今年もよろしくお願いします!!!」

 

 

 

では、本編の方をどうぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時はらんす、じゃなかった乱世。

 

 

酔っ払ってトチ狂った思考でテクノブレイクした俺は転生なう、であった。

 

「いやいやいや。なうであった、じゃねーべ」

 

未だ正常に動かない頭で何とも馬鹿な事を考えながら、俺は一面に広がるだだっ広い大地を見渡す。

現在の所持品、死ぬ前に買ってきたビール×7と、つまみに柿ピーやらサラミ、チー鱈やら入った袋。

そしてゴリゴリマッチョなピンクビキニのおっさんに渡されたスマホが一丁。

 

「うぅ……」

 

「あ、兄貴ぃ……」

 

「痛いんだな……」

 

そして襲い掛かってきた暴漢が3名、と……刃物使って来たから遠慮無くシバいちまったけど、マジで乱世に来ちまったんだなぁオイ。

とりあえず人死にはまだ見たくねぇから、殺さねー様に無力化出来て良かった。

しかし身体能力がかなり上がってるのは補正なんだろうか?

何か体の内側から良く分からんパゥアーが沸き上がってくるで御座る。

まぁとりまそんなこたぁ置いといて……。

 

「そこのお姉さんや。折角手加減して生かしたんだから、勝手に殺さないで下さいよ」

 

後は『隠れてこっちを見てる人達』に釘差しておかにゃいかんね。

俺の呼びかけで岩陰から『3人』の女性が出てくる。

 

「ほう……気付いておいでだったか。それならそうと言って下されば良い物を、中々に人が悪い」

 

その中で少々変わったデザインの白い衣服を着こなし、『明らかに殺す為の武器』……槍を持った女性が含み笑いを浮かべながら俺に言葉を返した。

後の二人は武器を持っていない事から、問題は無いと分かる。

っていうか雰囲気が荒事とは無縁っぽいし。

 

「まぁ、助けてくれんのかなー?って思ってたんスけど結局自分で解決しちまいましたし、人死には極力見たくねぇんで」

 

「しかし、この者達は明らかに追い剥ぎ。狙われた立場の貴方が擁護するなど、普通では考えられませんよ?」

 

「ですねー。この御時世では珍しい……というよりも、随分と奇抜な考えかとー」

 

「あらま。オチビちゃんってば随分キツイのね。っというかまだ俺に覚悟が無いだけなんだけど」

 

肩を竦めて白い服の女性に答えた俺を変な物を見る目で見てくる知的な女二人にも言葉を返す。

っていうか、ここに送られる前にゴリゴリマッチョなピンクビキニパンツのオカマ(ヤヴァイ声)見た時「あれ?」とか思ったけど、確信したわ。

 

 

 

ここって乱世は乱世でも『恋姫』の世界じゃござんせんかい。

 

 

 

どう考えても死亡フラグに溢れた時代です、本当にありがとうございます。

それにしてもいやはや、生前は目の前の二人含めて皆さんにたっぷりとお世話に(意味深)なりましたとも。

ありがたやーありがたやー。

 

「……何故、私に拝むのですかな?心なしか足に視線を感じるんだが……」

 

「あぁ、気にしにゃーで下さい。足コキンさん」

 

「何ですかその称号は!?初対面でその呼び方は有り得ないであろう!?」

 

ついでに郭嘉……今は戯志才だっけ?にも手を向けてしっかり拝む。

拝まれてる本人は戸惑ってるが、でもそんなの関係ねぇ!!

とりあえず目の前にある桃源郷にありがたやーありがたやー。

 

「むー……何故、風にだけは拝まないのでしょう?拝まれたい訳では無いのですがー。何か釈然としませんねー」

 

ゴメン、俺ロリにはNOタッチなんだ。

睨んでんだか瞑ってんだが分からねぇ少女の視線はスルーして……。

俺は、地面に転がってこれから殺されるのかと顔を真っ青にしてる盗賊達の前に座り、袋からビールを取り出す。

ついでにつまみも幾つか封を開けて……。

 

「良し。おっさん達……まずは、飲もうや?」

 

「「「「「「――は?」」」」」」

 

先ほどまで顔色を青くしてた盗賊も、恋姫のメンバーも揃って目を丸くして、素っ頓狂な声を挙げる。

全員の「何言ってんのコイツ?」という視線をスルーしながら、俺はビールのプルタブを空けるのだった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

さて、まずは現状確認って事で、皆に酒とツマミを振る舞いながら、俺はおっさんや趙雲達に色々質問した。

まぁ結局分かったのは、俺は間違い無く乱世に来ちまったって事だけだったけどな。

これからどうすっかなー、とか考えていた俺だが、目の前でビールや摘みの有り得ない美味さに彼等は驚き、俺に製法を聞いてきてる。

しかもビールの缶ですらこの時代じゃオーバーテクノロジーだもんね。

そりゃ色々と聞きたくなるのは分かるけど、俺は適当に茶を濁しておいた。

だって製法とか分かんねーし。

 

「これは俺が故郷から持ってきた……まぁ、最後の品みてーなモンでね。どっちみちもうこれでお終いだから、聞いても意味ねーって」

 

そう答えると、盗賊3人組は口をあんぐりと開けて俺を見つめていた。

その広がった鼻に虫とか詰め込んでみたい。

俺の故郷という話を出した辺りで恋姫組の3人は、俺が予言にある『天の御遣い』なのでは?と聞いてきたが、それも適当にはぐらかす。

さすがにまだ人を殺す覚悟も出来て無い内から担ぎ上げられても困るからなぁ。

 

「あ、あんた……そんな大事な品を……こんな美味いモンを……見ず知らずの俺達に振舞ったってのかよ?アンタの身ぐるみ剥がして、殺そうとしてたのに……」

 

「あー、まぁ、ねぇ……結局んトコよ。お宅等腹が減ってたから襲い掛かってきたんだろ?なら、一人で食べ切れない量があるんだし、分けて食ったら落ち着くんじゃねぇかと思ってた訳。素手でも対応出来たからな」

 

「……」

 

「人間てなぁ、大抵が美味いモンを食ったら落ち着くだろ?だからまぁ、偶々皆で分けて食える量を持ってたから分けたってだけさ。血生臭い事して食うより、皆で分けて食った方が美味いじゃん?相手が憎い訳じゃねぇなら、一緒に笑って酒を囲めねー訳がねーんだよ」

 

まぁ今現在の情報を手に入れる為にっていうのもあるけど。

俺の言葉を聞いて呆然とするおっさん達から視線を外すと、今度は呆れた表情の趙雲と目が合う。

 

「それは確かな事ですが、この乱世に措いては賢い選択とはいえませんな……この様な事を続けてたら、何時か貴殿は手痛いしっぺ返しを食らう事になりますぞ?」

 

「いやいや。勿論こんな事は時と場合に措いてしかしねーって。今回は素手の俺でも充分に対応出来たし、いざって時は趙雲さんが居たからな。それを見越しての事だよい」

 

「おおー?その様な裏まで考えていたとはー……お兄さん、中々侮れませんねぇ」

 

「お嬢ちゃん程にゃ、腹黒いつもりは無いんだけどなぁ……」

 

「むー……まさか初対面で腹黒とハッキリ言われるとは……」

 

「そりゃーもう。こうじわわーっとそういう気配が溢れ出てっからねぇ」

 

じとーっとした目で見てくる程立にそう言って最後にビールをグビリと一気に飲み干し、最後の一切れとなったサラミを食す。

やれやれ。長々と語ったが、平和主義のジャパニーズ生まれな俺からしたら、食事を分けるだけで矛が納まるって素敵な事なのだよ。

唖然とした表情で俺を見る盗賊や、感心した様な顔の趙雲から視線を受けつつ、ゴミを袋に纏めて立ち上がる。

聞きたい事も聞けたし、いっちょ行きますかねぇ。

 

「じゃ、俺は行くわ。色々と情報ありがとさん。後おっさん達。こんな事はもうしねーで働いた方が良かよ?俺みて~な対応してくる奴ぁ、早々居ねーだろうしよぉ」

 

「「「……」」」

 

「おや。もう行かれるのですかな?私としては、貴殿と一つ武を交えたかったのだが……」

 

「冗談は勘弁だって趙雲さん。常山の昇り竜なんて言われてる人とやりあいたかーねぇよい。ってか得物無しの俺にどうしろってのさー」

 

「ふむ。それはまぁそれという事で」

 

諦めて首チョンパされろと?言いよるわ、この足コキンめ(笑)

流し目で割りと物騒な事言い出す趙雲さんに言葉を返しながら、俺は手を振って歩き出す。

本当は何やら俺に興味が湧いたという恋姫3人が同行したいと言ってきたが、俺の決めた行き先は前に行った事があるらしく、断念。

 

っつー訳で、目的地まではぶらり一人た「だ、旦那ぁ!!」び?

 

背後から聞こえた声に従って振り返ると……何やら俺を襲った方の3人組が、俺に向かって深く、深~く土下座してた。

WAHT?何事だよこれ?

その光景に驚いて眼を丸くしていると、3人のリーダー的な立ち位置だったおっさんが顔を上げて、キラキラした目で俺を見てくる。

続いて後ろのデブとチビも同じ様な視線で、っておい待ておまっ――。

 

「旦那の深い情のお心遣いに惚れやした!!是非、是非!!俺達3人を旦那の元に置いてもらえやせんでしょうか!?」

 

「旦那が命じるなら、どんな仕事でもやります!!やり遂げてみせます!!ですから!!」

 

「だ、旦那と一緒に過ごさせて欲しいんですだな!!」

 

「「「おねげぇします!!」」」

 

……姫断ったら漢着いてくるとか聞いてないお。

まぁ一人じゃ何かと心細かったってのもあったんで、OK出す代わりにその場で黄布党の証の黄色い物は全部捨てさせたけど。

過去との決別って事で盛大に燃やしちまえ!!って言ったらマジに焚き火しちゃうとかビビッた。

 

 

 

 

かくして、俺の乱世漫遊の旅路は幕を開けるのであったー(棒)

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

さて、あれから凡そ一ヶ月。

 

 

 

現在俺と3人組(おやっさん達)は後に呉の領土となる会稽(後の交州?)という地に根を下ろしていた。

いやはや、あの旅はどうなる事かと思ったぜ。

何せ金も無い、食料も無いの無い無い尽くしの旅路だったし。

しかしあの時に役に、いや俺達の命を延ばしてくれたのが、あのゴリゴリマッチョな漢女の貂蝉からもらった謎のスマホ。

まさかあのスマホに武器がインストールされてるとは思わなかったデス。

 

「しかも入ってた武器が『コレ』だもんなー。最初は何の冗談かと思ったぜ」

 

俺は町の川縁の階段に腰を下ろしながら、あの時に出した武器を眺める。

長さは30センチ位の細長い1本の金属で出来た、見た目は只の銀と黒いグリップで出来た円筒。

しかしスイッチ部分を捻って『気』を流し込めばアラ不思議。

 

ビジュウゥンッ!!

 

筒の先から青白い光の刃が!!

しかも軽く石の部分に触れると、その部分がドジュウゥ!!とか音立てて真っ赤に焼けながら切れてる。

はい、まさかのライトセーバーでした☆

しかも緑と青、つまり色違いの二本が入っているという。

 

いや、確かに生前はスターウォーズ大好きっ子だったけども……振り回してみたかったけども……こんな時代にこんな代物……ッ!!

 

 な ん て 素 敵 な ん だ ッ

 

もうなんかこれだけでテンション上がっちゃって、最初はもう「ヤーハー!!」な気分だったのしか覚えて無い。

その’絶対に殺す剣’で狼とか熊を狩って捌いて食べるという行為で、旅の食料面はかなり裕福になってたからなぁ。ライトセーバー様々だぜ。

オマケにおやっさん達の普通の刀で捌いて近くの村に持ってけばそれなりの金になったしな。

他にも賞金とか村からの褒賞目当てで山賊ブッチめたり。

一回黒髪の山賊狩りとか呼ばれてる美少女(誰ダッケナー?)と共闘して武を褒められたりもしたけど。

それから2週間くらいしてやっとテンションが落ち着いたら、3人が疲れた顔で溜息を吐いてた。

うん、なんかゴメン。

とまぁ落ち着いた所でスマホの自分の成長記録とやらを確認してみれば、更に驚くべき事態!!

 

 

 

なんか俺、気とは別にフォースが使えちゃうらしい(笑)

 

 

 

町中の道中で「いやいや何をそんな馬鹿なwww」とか笑いながら丁度馬が地面にこいた馬糞に冗談のつもりで手を翳して振ったら、馬糞が猛スピードで飛んでったのには茶ぁ吹いた。

一緒に卓を囲んでた3人はラーメン吹いてたけど。

しかもそのままどこかで見た事ある様な金髪クルクルツインテの小柄なお嬢さんの顔面にビシャアァ!!ってなったのにはもっと吹いた。そんなバナナ。

幻聴なのか、「フォースを信じるのだ」とか頭の中に響いたんだけど?どゆことなのオビ=ワン先生?

ちなみに3人は鼻から麺がちょろり。何て汚えアクセントなんだろうか。

彼女の傍に居たこれまたどっかで見た事ある猫耳フードのお嬢さんは絹を裂いた様な悲鳴を挙げながら失神。

更に隣のこれまた(ryなオデコ出した黒髪の美女さんなんて、泣きながら「誰ダァアアア!!出テ来イィ!!」ってぶっとい刀振り回してる。オイ早く下手人出ていけよ。

何事かと周りを囲んでいた野次馬達が誰がやったのかと困惑する中、俺はサッと飯を平らげてお代を卓の上にそっと置き、四人でそっと店を出る。

そして静かに移動したその時、野次馬の中にこの辺りで暴れてるという小さな盗賊団の頭領の顔(人相描きと一致)を発見。

 

 

世を苦しめる悪人を見つけた俺は――そっとフォースプッシュで彼を押した。

 

 

いきなり囲んでいた側から弾き出されて訳の分からないといった顔の頭領。

皆の視線が頭領に集まる中、黒髪の美女は彼が下手人だと思った様で、目を光らせながらそのデカイ剣を振り上げる。

当然、身に覚えが無い頭領は顔を青くして「違う!!お、俺じゃねえ!?」と叫ぶが……運悪く、地面に落ちてた馬糞が手についちゃったらしく、彼は犯人として身柄を拘束される。

その事を勇ましく馬糞まみれの金髪ツインテのお嬢さんに報告する黒髪の美女。しかし――。

 

「」

 

「か、華林様……ッ!?立ったまま……気絶してる……ッ!?」

 

哀れ、主人に褒めてもらう事も叶わず、金髪ツインテのお嬢さんは後からやってきた衛兵によって馬糞を取り除かれながら、城へと運ばれて行った。

黒髪デコパッツン美女にボッコボコに殴られて「お、俺じゃないんだぁ……ッ!!」と呻くおっさんという哀れな姿を見た俺達はいたたまれず、そっと町を抜けだした。

そーいやぁ店の人に何も言わずに出て行っちゃったけど、まぁちゃんと店にお代は払ったし、大丈夫だろう。

しかしおやっさん達もあの騒ぎに紛れて飯代ちょろまかしたりしない分、成長してんだなぁ。

そんな事を話しながらウンウンと頷く俺に、3人は目をきょとんとさせる。何だこの汚えイベント画。

 

「へ?……旦那が俺達の分も払ってくれたんじゃあ……」

 

「え?」

 

「「「え?」」」

 

おかしいな?と首を傾げながら俺達は互いに顔を見合わせる。

……俺、ちゃんと金は四等分してる……よね?

 

「い、いや。今日の売上げはまだ旦那が持ったままじゃあござんせんでしたかい?俺達まだ今日の給金はもらってませんし……」

 

……あら?

 

「「「「…………」」」」

 

互いに顔を見合わせ、一つ頷き――俺達は、そっと町を後にした。

 

 

 

 

まぁ、そんなこんな旅路の中で、他にも色んな人と出会った訳ですよ。

とある城下町で久しぶりに懐が暖かくなったから皆で媚館に行こうぜー、とか言ってたら偶々その町に居た関羽さんに「見損なったぞ!!そこへ直れ!!」とか言われて青龍偃月刀で追い掛け回されて逃げたり。

また別の町で筵を売っていた将来の蜀王が悪~い奴等に絡まれてたのを助けてあげて良い雰囲気になったのに、おやっさんの「旦那!!今度こそ媚館へ行きやしょう!!」って言葉で何か目の前の王様のオーラが重い笑顔になって現れて逃げたり。

幽州を回って行ったら趙雲さんと再会して、武器を手に入れたと口を滑らせたら試合を挑まれて俺のケツを狙う神速の槍突きから逃げたり。

結局戦って趙雲さんに勝った所を見られて影の薄い幽州の太守様に配下になってくれーと迫られて逃げたり。

 

 

 

……え?逃げてばっかり?いやそんなこたぁ無いよ?

 

 

 

もう前の世界にゃ戻れないって踏ん切り付けて、人を殺す覚悟もして、どーしようもない悪党を叩き斬ったし。

 

 

 

そんな感じで波瀾万丈な旅路を過ごし、俺達はやっとこさ目的地に着いたは良いんだが……。

 

 

 

「おう。ここに居たのか一(はじめ)、って何してんだよ?こんな街中で剣なんざ出しやがって」

 

何故に、俺ぁ孫呉の初代王と縁を結んじまったんだか、トホホ……。

後ろから投げ掛けられた声の主を認識した俺は心中でひっそりと溜息を吐き、ライトセーバーの刃を仕舞う。

夢だと良いなーとか思いながら振り返ると、そこには現実が待ち侘びてました。

健康的に焼けた肌にグラマラスっつーかエロい躰を申し訳程度の布地で隠し、ピンクっぽい色の長い髪を翻す妙齢の女性。

切れ長の瞳は見るものを自然と威圧する、一種の王のオーラを自然と醸し出している。

エロい躰しておられますが駄菓子菓子、手を出す事無かれ。

何せ俺と同い年の娘と俺より少し年上or年下の娘が3人もおられるHITODUMAなのだから。

正確にゃもう旦那は死んでるらしいからMIBOUJINだけど。

 

「いーえ。特に何かあるって訳じゃねーっすよ、文台さん」

 

孫呉の初代王、孫堅文台その人に、俺は座ったまま礼をしながらそう答える。

王様にこの態度は無礼と取られるのが普通だろうが、俺は特例って事で許されてる。

目の前の美人のプロフィールを頭の中で思い返す中、文台さんは「そーか」とどうでも良さそうに答えながら、俺の隣に腰を下ろす。

そのまま瓢箪の蓋を抜いて酒をかっ喰らい始めやがりました。

うえっ、これは長丁場になる予感……。

 

「んぐっ……ぶっはぁ!!美味え~!!……んで、一よぉ。何時になったら俺の軍に入りやがるんだよ?あぁ~?」

 

「まーたそれっすかぁ?何べんも断ってるじゃないっすか。もうその話は酒と一緒に飲み干して下さいよい」

 

「馬鹿かオメェ?たった一人で劉表の兵隊五十人を楽々膾切りにしてこの俺を助けただけじゃ飽きたらず、もう斬るしかねぇと思ってたこの左腕を治す治癒術持ってるわ、しまいにゃウチの梨晏すら片手間に制する男を「はいそうですか」と諦めると思ってんのか?」

 

「そこはほら。その左腕を治した謝礼として、俺の入隊を諦めるって事で……」

 

「んなもん却下だバカタレ。いい加減俺が優しく言ってる内に俺のトコに入らねえと、その粗末なモツ切り落とすぞ?」

 

「あれ?何で俺罵倒されてんの?おっかしーなー命の恩人だよね俺?っつうか粗末って……」

 

何時もの誘いにお断りを入れれば、文台さんは何時も通りにブチキレ一歩手前の虎みてーな顔で俺を睨んでくる。

それを「まーまーまー」と言いながら宥める俺。

うん、おかしいよねこの構図?最近心の涙が枯れ果てそうなくらい流れてます。

でも涙は枯れない。悲しみがあるかぎり……うん、詩人でもいけるんじゃねーか、俺?

そも何で俺はこんな大英雄と知り合ってしまったんだろうか?

……やっぱあの時のお節介の所為なんだろうなぁ。

過去に戻れないとはいえ、誰かこの人との繋がりをぶった切って欲しいです。

 

 

俺が文台さんと出会ったのは……そうそう、旅の途中の事だったな。

 

 

やっと旅の終着点が見え始めた荊州で孫堅と劉表の戦いの真っ只中に迷い込んでしまい、俺はおやっさん達とはぐれちまったのよ。

夜だったし、雨も振ってた所為で視界が最悪だったから、場所感覚も全然だったしよぉ。

さすがに戦場を歩くのは初めてだったからかなり困ったが、そんな俺の出くわした現場が史実で言うところの孫堅文台が死ぬ所。

確か土砂崩れに巻き込まれたんだったっけ?

そんでこの恋姫世界の孫堅さんも同じ様に土砂に巻き込まれてた訳だが、埋まってしまったのは左腕だけで他は無事だった訳だ。

しかしその身動きできない所で劉表の兵に見つかっちまい、あわや兵隊達の慰み者になる寸前で迷子の俺がログイン。

そん時はこれからチョメチョメされそうな女性が孫堅さんとは露知らず、俺は劉表の兵隊を一人残らずブッた斬った。

更にライトセーバーに驚いてる孫堅さんの腕を潰してた岩をフォースで避け、腕を同じくフォースの治癒術で頑張って治した。

そんで正気に戻った文台さんに自分の陣地まで連れてってくれと頼まれて連れて行ったら、似たような服装の綺麗なお姉さん達の群れに着いた訳です。

 

 

 

うっはハーレムキタコレとか思ってたら、いきなりお姉さん達の一人に斬りかかられたとです。

 

 

 

うん、何でいきなり斬り掛かられたか訳ワカメだよね?

 

 

 

はい、回想入りまーす。

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

『おーい!!お前等ぁ!!』

 

『ッ!?大殿!!ご無事で……ッ!?貴様!!』

 

『へ?うぉおデンジャー!!?(ビジュンッ!!)』

 

『『『『『ッ!?』』』』

 

名も知らぬ美女を支えながら頼まれた陣地とやらに連れてったら、翻る孫の旗の元に着いた。

あれ?これってこの人も恋姫のメンバーフラグ?とか考えてた所で、これまた見覚えの無いお姉さんに斬りかかられたなう。

ギリッギリで支えてたお姉さんから手を離し、フォースで腰のホルスターから引き寄せたライトセーバーで応戦する。

周りのお姉さん達はライトセーバーに驚いてる中で、俺は目の前のお姉さんの鉄鞭だけを焼き切る様にライトセーバーを振るう。

しかし、何時もの様にライトセーバーは相手の武器を焼き切る事無く、鍔迫り合いの体勢になってしまう。

げ?このお姉さんも趙雲さんと同じでかなりの気の使い手かよ。

 

『な!?く!!怪しげな術を使うなんて!!アンタ!!大殿に何をしたぁ!!(ギャリン!!)』

 

『おっとぉおお!?待って待って!!一度冷静に話しましょ……』

 

『せやぁ!!』

 

『聞いてくれないのねってほいさっさぁ!!』

 

面倒な使い手と当たったと嘆き悲しむ俺を他所に鍔迫り合いから弾いたお姉さんは横薙ぎに鉄鞭っぽいものを振るい、俺はそれを防御しながら上に受け流す。

ライトセーバーと当たっても切れないのは、俺のライトセーバーが俺の『気』の力で作られてるからだ。

同等、若しくは格上の気の力とぶつかると、本家のライトセーバー同士が当たった時の様に弾きあってしまう。

だからこそ一定以上のレベルの気の使い手と当たると、映画さながらの殺陣をする羽目になっちゃうのよ、これが。

ちなみに俺が今使ってるライトセーバーの戦い方、即ちライトセーバー・コンバットは、かのジェダイマスターオビ=ワン・ケノービが尤も得意とした、別名マイノックの戦法とも呼ばれるフォーム、ソーレスだ。

チート化した肉体で頑張って鍛えた修行の成果を見せちゃる!!見ていて下さい、マスターケノービッ!!

なんて考えてる間も剣戟は続き、俺目掛けて突き出される鉄鞭に向けて突きを合わせ、くるりと絡めて剣筋を真上にずらす。

 

『ッ!?』

 

『そぉい!!(ドンッ!!)』

 

『うぁ!?』

 

更に突きを繰り出した勢いを使ってタックルを当て、その場で回転。

普通なら距離が近すぎて剣が振るえないが、回転して一瞬背を向ける事でパーソナルスペースを確保した。

 

『よおぉっこいしょぉ!!』

 

『(バシンッ!!)うあぁ!?』

 

更に回転した余白で下からすくい上げる様に振るった剣筋で相手の剣を上に弾き飛ばし、相手の手から離れた鉄鞭をフォースで足元に落として踏んづける。

良し、武器を取り上げて無力化成功。凄い気迫で俺に迫るお姉さん、怖かったデス。

 

『く!?まだ……ッ!!』

 

『へいへいへーい。動いちゃやーよ?(ビュウゥンッ!!)』

 

『う!?』

 

体勢が崩れて尚、戦おうとしたお姉さんの首を☓の字に交差する様にして、今度は緑に輝くライトセーバーを出して構えた。

さすがにこうされちゃ動き様が無いので、お姉さんは忌々しく俺を睨むだけ。

何で怪我人を連れてきたらこーなんのさ?

 

『いきなりなんて事しやがるんですかこのヤロー、あっ違った。この女郎ー』

 

『く……ッ!?(これじゃ動けない……ッ!!)』

 

『梨晏!?』

 

『つーかお姉さーん?俺は連れてけって言われたから連れてきたけど、何でお姉さんの仲間の方々に攻撃されてんすか?せめて説明くらいしてくれても良くね?』

 

目の前のお姉さんの首元にライトセーバーを当てながら尋ねる。

っていうかあの人って間違い無く孫呉の関係者だよ。

今もあの人の側に恋姫に出てた孫策さんと黄蓋さんが居るし。

っつーか黄蓋さんの弓矢が俺向いてるぅうう!!

 

『くはは、わりぃわりぃ。雑兵斬った程度じゃお前さんの腕は測れねぇからな。試すにゃ丁度良いかと思ってそのままにしてたぜ』

 

『ひっでぇ』

 

命の恩人を試すかフツー?

軽く扱いの酷さにしょげてると、お姉さんは豪快に笑いながら黄蓋さんに顔を向ける。

 

『おい祭。こいつは俺の命の恩人だ。弓を下ろせ。梨晏も止めろ』

 

『えぇ!?お、大殿の命の恩人!?……ご、ごめんね!?私、早とちりしちゃって……ッ!?』

 

『それならそうと言って下されば良いモノを……』

 

『お前等並の奴等相手でもあいつが使えるか試したかったからな。それにアイツの剣、飛んできた矢に気を纏わせて跳ね返しやがるから撃たなくて正解だぞ、祭』

 

『なんと……いや、あれだけの気で形作られた刃なら、それも可能でしょう』

 

お姉さんの言葉を聞いて目の前の梨晏……多分真名だろうけど、とかいうお姉さんは首に剣を当てられたままに謝り、黄蓋さんは弓を下ろしてくれた。

俺はその状態で周りを見渡して、その場の全員が武器を下ろしてるのを確認してから、二本のライトセーバーを彼女の首元から外す。

俺に気まずそうな視線を向けてくる目の前のお姉さんに対して肩を竦めながら、鉄鞭から足を退けて拾い、彼女に返した。

それを恐る恐る受け取ったお姉さんは何か言いたげにしていたが、俺はそれより気になる事があるのよ。

呉の宿将とか言われてる黄蓋さんに命令出来て、敬語で対応される人物なんて居たっけ?とか思ってる俺の側に、あの戦闘狂で有名な孫策さんが笑顔を向けてきて――。

 

『ごめんなさいね。戦の最中だから、皆カリカリしてるのよ……私は孫策。性は孫、名は策。字は伯符というの。貴方の名も聞かせてくれる?』

 

『あっ。こりゃご丁寧にどうも。俺は……あー、性は尾美(おび)、名は(はじめ)ってモンです。面倒だったら尾美一(オビ=ワン)と呼んで下さい』

 

 

 

 

 

 

『ぷっ。な、なによその略し方は?アッハハ♪まぁ、貴方が良いならそう呼ばせてもらうけど……改めてお礼を言わせて頂戴、オビ=ワン……『母様』を救ってくれて、ありがとう』

 

『いやいやそん……ゑ?』

 

『ん?どうしたの?』

 

突如フリーズした俺に首を傾げる孫策さんだが、何か今おかしな言葉が聞こえたぞ?

孫策さんから視線を外して助けたおねーさんを見る。

よく見れば、孫策さんそっくりの髪の色に、孫策さんを更に成長させた様な顔付き。

俺の視線を受けている件のお姉さんは、何やらニヤニヤと笑って俺を見ているではないか。

おい嘘だろ~……って事はつまり……。

 

『……孫堅?まさか孫堅文台さん?あの江東の虎っていう?マジモンの大英雄?』

 

『くくっ。大英雄たぁくすぐってぇじゃねえか。まぁ、確かに俺が孫堅だ。そしてこいつらは俺の部下。驚いたか?』

 

『何じゃ堅殿?こやつに話しておらなんだのか?』

 

『その方が面白そうだったからな』

 

余りの予想外な人物の登場に俺はぶったまげ、その人物は大笑いするという謎の空間。

このお姉さんが孫堅だとか予想GUYデス。

後、俺に謝ろうとしてボスとの会話の間に入れなくてやきもきしてるお姉さん、グッジョブ!!

ちなみに彼女は孫策の片腕として有名な、あの太史慈らしい。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

というのが、俺と文台さんのファーストコンタクトであったとさ。

その日から俺がおやっさん達と合流して別れる時まで、そりゃ散々に誘われたもんだ。

まぁ全てに拒否の返答返してたら段々と機嫌が悪くなって、終いにゃ「その股間にぶら下がってるモノを斬られるか、俺に仕えるかならどっちが良い?」なんて言われて急いで逃げたのはいいおもひで。

しかも追ってきたから必死に撃退してこの会稽に逃げ込んだって訳だ。

更に言えば、あの劉表との戦いで文台さんが一時的に行方不明になった事から、あの戦場で孫呉から逃亡した兵がかなり多かったらしい。

最早軍としての体裁を保てなくなっていた文台さん達は袁術の元に客将として収まった。

まぁ何れ反乱するだろうけど、恋姫の孫呉もそうだったし。

それでもまぁ、袁術程度の小娘に顎で指示されるのは堪らなく苛つくんだろう。

お陰でこの地で再会した時から文台さんは結構不機嫌な時が多い。

大抵は俺を無理矢理に士官させようとして押し掛け、断ると不機嫌になって浴びる程酒をかっ食らって誰かが迎えに来るというパターン。

典型的な駄目親父じゃねえか。

しかもこの前文台さんを引き取りにきた程普さん(呉にゃ珍しい色白の美人)に伺った所、文台さんてば袁術との謁見の時は殺気を出して袁術や張勲を怯えさせて憂さ晴らししてたとか。

……英雄ってのは大人気無いよい。

何だか面倒な人を助けちまったなぁ、とか思いつつ溜息を吐いてると、ギロッて擬音が出そうな程の目付きで睨まれた。

ヤダ、俺の南海覇王が鞘に納まっちゃう。

 

「ったく……良いか一?今はまだオメェが何処にも士官してねぇから優しくしてやってるが、これで仮に袁術んトコなんかに行ってみろ?俺ぁ何すっか分かんねえぞ?」

 

「文台さん文台さん。辞書で優しいって言葉調べて。赤線引いて」

 

「そもそも何でオメェはそんなに仕官を嫌がる?褒賞なら雪蓮をやるって言っただろうが。何なら蓮華とかも付けるぞ?他に冥琳とか祭はどうだ?いや祭じゃ歳がアレか……乳もちょい垂れかけだし、最近肌の曲がり角も……」

 

「おーい文台さーん?ちっとはボクチンの話も聞いてー。っつうか昼間っから酒かっ食らってなんつう危ねえ話題を出しやがりますかあーた」

 

「誰の、何と、何が、どうなって……なんじゃと?」

 

急に背後から聞こえた声とモッサリとした濃厚な殺気に、俺と文台さんは揃って飛び上がってしまう。

おかしい、何故に俺が殺気を向けられにゃならんのだろうか?

もう背後に誰が居るかなんて分かりきってる事だけど、一応俺と文台さんはゆっくりと振り返る事に。

 

「……よ、よう……祭」

 

「これはこれは堅殿に孺子よ。随分と面白そうな話をしておいでではないか?んー?」

 

「あ、いや、そのだな?」

 

「こんな面白そうな話、二人だけというのは些か無粋ではないか。儂も話に混ぜてもらおうかの♪……で?……儂の、乳が、どうで、肌が……なんじゃったかな?」

 

少し引き攣った声音で挨拶する文台さんに何時もの覇気は見受けられないし顔も引き攣ってる。それで良いのか大英雄?

まぁそりゃそうでしょうよ、こちらに殺気を振り撒きながら腕組みしつつヤヴァイ笑顔浮かべてる黄蓋さんが居るんだもん。

更にその後ろには「あららー♪」とか言いながら笑ってる孫策さんと疲れた顔でやれやれと頭を振る周瑜さん。

そして苦笑しながら俺に小さく手を振る太史慈さんの3人が。今回は随分豪勢なお出迎えで。

 

「こんちゃーっす皆さん。それと黄蓋さん。とりま俺にも向けてる殺気は全て文台さんにオナシャス。全部文台さんが勝手気ままに言ってた事なんで。いやー酷ぇ話っすよねぇ?人の居ない所でこんな事言っちゃってるんですもん」

 

「ちょ!?一テメェ!!俺を売るってのかよ!?見下げ果てたぞ!!それでもタマ付いてんのか!!」

 

「黙らっしゃい!!全部あーたが勝手に言ってた事でしょーに!!俺を巻き込まないで下さいよい!!それとタマならどでかいのがぶら下がってまさぁ!!」

 

「何て汚い遣り取り……」

 

少しでも被害を拡散しようと、逃げようとした俺の足を掴んで離さない文台さんと、必死に逃げようとする俺の遣り取りを見て、周瑜さんが呆れる。

しかし、これは下手すると命が消えるかもしれないからこその遣り取りなのです。

故に、俺は鬼にもなろうぞ。

 

「ハン!!こんな状況で女を見捨てて逃げようとする奴にそんな大層なモンぶらさがってるわきゃねぇだろうが!!」

 

「あっ。そこは安心して下さいって。文台さんを女だなんて思ってませんから(笑)」

 

「何だとクルァ!!首ちょん斬られてぇのか!?」

 

「今ここで文台さんを庇ったら、どっちみち俺の”性龍艶月刀”は黄蓋さんにちょんぱされて泣き別れ……ならば!!俺は喜んで文台さんを見捨てよう!!さぁ黄蓋さん!!一思いにばっさりとどうぞ!!なんならじっくり煮たり焼いたりも可!!」

 

「テメ!?ふざけん――」

 

「うむ。では暫し堅殿を借りてゆくぞ?」

 

何時の間にか文台さんの背後に移動していた黄蓋さんが文台さんの首根っこをひっ捕まえながら、ニッコリと微笑んで俺達に聞いてくる。

俺達はそれをDATYOU倶楽部さながらに「どうぞどうぞ」といって差し出すだけであった。え?「じゃあ俺が」ってやらないのかって?そんな馬鹿な(笑)

 

「ぬおぉおおおお!?一テメェ覚えてろぉおおおおお!?キッチリ落とし前つけさせてやっからなあぁぁぁ……」

 

黄蓋さんに引き摺られて声をエコーさせていく文台さんを、俺はにこやかに手を振って送り出すのだった。

さーて、これから飯でも食うとしますか。

残っていた孫策さん達も一緒に来るとの事だったので、俺達はおやっさんと合流して、現在の宿へと足を運んだ。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「ん~~!!美味しい!!何なのこのお肉の美味しさ!?」

 

「あぁ、これは確かに美味だ……予想外の才能だな」

 

「ほんとねぇ。このべーこん?っていうお肉もだけど、この外はカリカリで中はモチモチした食感の四角い饅頭は最高よ。ねぇオビ=ワン~城の専属料理人として来ない?それなら良いでしょ~?」

 

「そして『実は料理人兼武官で雇いました。オラ戦え』という事後報告オチに繋がるんですね分かります」

 

「さっすが♪大当たり~」

 

「おぅふ。そこはさすがに否定して欲しかったぜぃ……」

 

昼飯に、とある『裏ワザ』を使って作っていたパンと燻製したベーコンを焼いてサラダを付け合わせた簡単な昼食。

しかし今の時代だとこれらの食事は帝すら食った事の無い超が付くほどに高級な食事に思えるんだから何とも言えねえな。

おやっさん達も美味そうにバクバクと食ってるし。

そしてこの裏技というのは、例のGM(ゴリマッチョ)から貰ったあのスマホである。

このスマホ、存在を見る事が出来るのは俺だけなのだが、その情報量は半端じゃない。

検索したい事を入力すれば、政治の詳しい内容から料理のレシピに至るまで、その全ての情報を啓示してくれるのだ。

正直、このスマホが目の前の美周郎や蜀のはわわ、あわわ軍師の手に渡ったらそれだけで大陸が制覇出来てしまうのです。

まぁ俺以外にゃ見れねえからそうなる事は無え訳だが。

更にもう一つ度肝を抜く機能があるのだが、何と野菜や果物、果てはビールや酒の菌や種を取り寄せる事が出来る。

試しに生前は見る事が無かった丸々一個のでかいチーズを選択したら、指定しておいた籠の中にゴトンとかいって出てきた。

つまりこのスマホ一つあれば、GIJUTU、NAISEI、SEISAN、RYOURIという四つのチートが出来てしまうのである。

俺自身もBURYOKUチート感が否めない存在なので、正に無双状態な訳。

やったね俺!!未来が増えるよ!!って感じだ。

そしてこのスマホの存在がバレれば誰もが俺という存在を何としても確保しようとするだろう。

狙われる理由がマッハで俺の胃もゴーゴーゴーなのです(震え)

そうやって食事を終えて一息吐いていた所で、周瑜さんが真剣な表情で俺を見てきた。

 

「なぁ尾美殿。本気で士官する気は無いか?梨晏ですら一蹴するその武力もそうだが、この様に画期的な食事を編み出すその技法も、在野に置くには勿体無さ過ぎる。それに貴方の配下である三人から聞いたが、貴方は読み書き計算も出来るのだろう?ならば、士官すればどの軍でも重宝される。何故、士官を拒む?」

 

「そーねぇ。どうしてオビ=ワンはそこまで嫌がるのよ?母様が色々と褒賞もあげるって言ってたのに、貴方は絶対に首を縦に振らない。もしかして私じゃ不満な訳?」

 

「おいおいおい。文台さんに続いてお二人までんーな事言い出さんで下さいよぉ」

 

かなり本気で俺に士官を迫る周瑜さんとそれに便乗して不機嫌そうに話す孫策さんに、俺は溜息を吐きながら応対する。

しかも太史慈さんまでそれに便乗してウンウンと頷く始末。誰か何とかして。

え?俺が漢文を書ける理由?あぁ、ハワイで親父に(以下略。

 

「オビ=ワン君も何か理由があるんだろうけど、もうそろそろ教えてよ。これだけ誘いを断るって事は、もうどっかの軍に入るとか決めてるの?……まさか、袁術とか?」

 

「ちょっと~止めてよ梨晏。それ当たっちゃったら、私今からオビ=ワンを斬らなきゃいけないんだけど?」

 

本人が居る目の前で何て物騒な会話してやがりますかこの人は。

さすがにコレ以上の面倒は御免だったので、俺は袁術の軍に入る事は絶対に無いとだけ答え、ソレ以外の質問はのらりくらりと躱す。

そうやって穏やかな午後を過ごし、やがて三人は仕事の為に城に引き上げていった。

……何か段々とこの土地に居辛くなってきたなぁ……どうしたもんか?

孫呉の皆さんは俺がここに居る限りは諦めてくれねえだろうし……う~む。

一人で悩んでも仕方無いって事で、俺は夕方におやっさん達を集めて会議を開く事に。

三人寄れば文殊の知恵とかっていうし、四人ならもうちょい何とかなる筈……ッ!!

 

「って事でどうすんよ?」

 

「い、いや。どうすんよっていいやすか……」

 

「俺達は、旦那が行くなら何処にでも行きますよ?」

 

「な、なんだな」

 

結果、零が四人集まっても零でしたんぬ。

三人共舵は俺任せかよい。

 

「そもそも、旦那は何で孫堅様のお誘いを断ってらっしゃるんで?今よりも安定した給金が出るし、あんなに綺麗な方々が嫁に来るかも、だなんて良い事尽くめでやしょう?」

 

「いやいや周倉(おやっさんの名前)さんや。正直あんなじゃじゃ馬どころか暴れ虎なんて俺にゃ無理ってもんよ。俺はもっとお淑やか~な子が良いのよねぇ」

 

「「「あぁ、なるほど」」」

 

声揃えてなるほどって言っちゃったよ(笑)

 

「大体どっかの軍に士官したりしたら、他の国へ自由に出入り出来ないから嫌なんだよな~。観光とか、したいじゃん?」

 

「確かにそうですけど、何時迄もお誘いを蹴ってるのは色々とマズイんじゃないッスか?日に日に孫堅様のご機嫌が悪くなるのも速くなってますし……」

 

韓仲(チビの名前)の言う事に、確かにと俺は頷く。

何かしら文台さんを納得させるには、やっぱ俺達が根無し草のまんまじゃ難しい。

 

根無し草。字面にすれば格好良いがつまるところ無職(ネイキッドスタイル)。蛇は嫌いかね?

 

かといってRYOURIチートで屋台とか店を繁盛させても……城の専属料理人兼武官として引き抜かれるか召集されるだろうなぁ。

あー、どうしよ、マジで……とか思いながら部屋の窓から会稽を流れる水路を眺める。

何故かこの世界の水路というのは驚く程に整備されていて、特に海洋に近い南海のあるこの会稽には数多くの船が出入りしている。

近くの船乗りに聞いた所じゃ、この大陸を流れる河川の側に、必ず何処かの町の船着場があるそうだ。

呉軍の水軍が強い理由が、海に面した土地だからこそだったんだっけ?

まぁつまり交易品が結構集まるらしいって話を聞いてたから、この会稽に住んだ訳だが。

そんな事を考えながらボーッと水路を眺めていると、恐らく袁術の軍の物と思われる……金ピカの悪趣味な船の一団が目に入った。

それも軍で使う、超大型の楼船だ。

そんな大型の船が何隻も来るもんだから、前を通っていたどこかの商会の中型船が慌てて船を避ける。

 

 

 

やれやれ、まるでスター・デストロイヤーの行軍みてえじゃねぇ……か?

 

 

 

……あっ、そうだ。

 

 

 

「決めた。運び屋やろう」

 

「「「え?」」」

 

「そうと決まりゃ善は急げ。早速船を作らねぇとな」

 

「「「ええええええええええええぇ!?」」」

 

驚きで目を見開き絶叫する三人を放置して、俺は色々と考えを巡らせる。

しかし改めて考えても、デメリットはそこまで無い。

ならば、後は実行に移すだけ……ッ!!

 

「周倉のおやっさん!!今直ぐ木板を持って来てくれい!!設計図を書くからなるべく綺麗な面のヤツ!!早めにな!!」

 

「ッ!?へ、へい!!」

 

「韓仲さん!!確かこないだ商会の護衛をした時に、船乗りの元締めの一人と仲良くなったって言ってたよな!?」

 

「は、はい!!確かにそう言いました!!」

 

「そんじゃあこの辺で造船のできる倉庫があるか聞いてきてくれ!!それでその倉庫を極秘で貸してもらえるかもな!!頼むぜ!!」

 

「お任せ下さい!!」

 

「よーし!!んじゃあ唐周(デクさんの名前)さん、アンタは資材や鉄なんかを集める係だ!!ガラクタでも何でも良いからありったけの鉄やら何やらを集めてくれ!!勿論合法な範囲でな!!」

 

「わ、分かったんだな!!」

 

三人が慌ただしく出て行く中で、俺は頼りのスマホを使って必要な情報を片っ端から集めていく。

こうなりゃトコトン拘った船を作ってそれで気の向くままに動く事を仕事としよう!!

それなら大陸漫遊しつつ金も手に入る。

しかも仕事を受けるかどうかは俺達の自由だなんて……ッ!!

 

 な ん て 素 敵 な (ry

 

我ながら冴えすぎるおつむの出来に畏怖しながら、俺は夜な夜な設計図を書き、秘密裏に四人で姿を眩ませて造船を開始するのであった。

この計画を文台さんに知られた日にゃあ邪魔されんのは丸分かり。

だから呉の中でも隠密に長けた周泰ちゃんと甘寧が軍に加わる前に、俺は作業を進めていく。

 

 

 

さぁ、どの国にも縛られない自由な商売の始まりだっ!!!

 

 

 

かくして、俺の突拍子も無い思いつきから、『尾美水船運送会社』が発足したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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