第二章 『三爸爸†無双』 お正月特別編
本城 玉座の間 (時報:桂花八人目 妊娠五ヶ月)
【緑一刀turn】
元旦の祝賀の宴。
俺たち三人は玉座に着いて奥さん達と子供達、二刃と駕医、貂蝉と卑弥呼を見渡した。
「「「
『
『新年好!明けましておめでとうございます!』
『あけましておめでとうー♪』
「「おめっとさ~ん♪」」「あけましておめでとーなの~♪」
『おめでとうなのにゃ~~~♪』
みんなの笑顔でこの玉座の間が一層明るくなった。
全員揃っての新年の挨拶が、俺たちにとって最高の瞬間だ。
しかも今年の元旦は今までと少し違う。
何が違うかと言うと……………そう!
お察しの通り!振袖をみんなにプレゼントしたのだっ!!
奥さん達は勿論!子供達にも作ってあげましたっ♪
クリスマスで子供達が大いに喜んだ事に奥さん達も気を良くした結果、俺たちの国の正月もどんな物か再現しようという意見が上がり、その第一歩としての振袖姿である。
これもクリスマスの準備と並行して行っていたので結構ハードだったが、この光景を見たらそんな物は一気に吹っ飛んだ♪
俺たちのすぐ横で華琳、蓮華、桃香が互の振袖姿を見ては感心してくれているし♪
「一刀、この振袖という服は貴方たちが作った服の中で一番ね♪」
「そうね、布地が多くて肌の見える部分がこんなに少ないのに華やかなんて今まで無かったんじゃないかしら♪」
「華琳さん、蓮華さん、それは言い過ぎだよ。月ちゃんのメイド服とかも肌を出さずに可愛いじゃないですか。」
「「「ははは♪桃香、気にしない、気にしない♪お正月なんだから明るく行こうじゃないか♪」」」
華琳、蓮華、桃香の振袖姿が眩しくて何を言われても笑って許せてしまうぜ♪
そうそう、振袖と言えば『既婚者が着てはいけない』とよく耳にするが、あれは俗説であってそんな事は無いのだ。
振袖の持つ意味は………………………各自で調べてみてくれ。
その時はくれぐれも矢が飛んでくるのを警戒する様に!
「ご主人さまー!早く始めようぜ!子供達が待ちきれなくてシビレ切らしてるぞ♪」
翠の声に逸る者達が同意して声を上げ始めた。
これから一体何を始めるのかと言うと!
新春各組対抗母娘合同天下一品大双六駅伝大会だっ!!
「題名長い上に『大』が二回も入っとるやないかい!」
「「「ツッコミありがとう、真桜。それでは始める前にルールの説明を再度しておく!
この房都を巨大な双六盤に見立て、マス目の代わりに旗を立ててあるのでサイコロを振って出た目進む。
旗の有る場所には最初から何をするか決めてある場所と、籤を入れた箱が置いてある場所があって、籤の方は引いた紙に書いてある指示の事をしてもらう。
この玉座の間を出発して、城壁の外の練兵場で折り返し、ここへ一番最初に戻った組が優勝だ!
因みにこの大会も街の皆さんに中継されるので、大いに盛り上げてくれ!」」」
奥さん達も子供達も声を上げて応えてくれた。
今頃、街中の各所に設置したモニターの前でも街の皆さんが歓声を上げている事だろう。
「「「それでは第一班!隴西郡組!月、詠、恋、ねね、霞、マオ、音々さん、春姫、訓、恋々、音音、雰、树莓、音肆!さあ、最初は誰が賽ころを振る?」」」
「ここは当然『神速』と呼ばれたウチの出番や♪行くで、雰!」
「おーーーー♪」
ここで使う賽ころはお昼のテレビ番組で見たことが有る様な大きな賽ころの縫ぐるみだ。
霞が雰にこれを振らせて出た目は『六』。
「よっしゃああああ♪さすがウチの子や♪行くで、雰!」
「わーーーーい♪」
振袖姿の霞と雰が突っ走って玉座の間を出て行った。
裾が乱れるのも気にせず走るとは………さすが霞………。
「さあ、我々も後を追いますぞ♪」
音々さんの声に第一班が下駄をカラコロと音をさせてのんびりと出発した。
部屋を出る前に、月が振り返って小さくお辞儀をする。
この大会が『駅伝』と銘打ってあるのは賽ころを振る人が順番に交代するからだ。
コースをかなり蛇行させて設定したので、コースに沿って移動しなくていいメンバーはショートカットで目的地に向かう事が出来る。
故に霞と雰の様に走って行く必要が無い訳なのだ。
「それではご主人さま、行ってまいります♪」
「「「ああ、気を付けてな♪」」」
全員で月に手を振って送り出す。
さて、霞が六番の旗に到着するまで時間が有るから、次の班に行ってしまおう。
「「「では、第二班!仮面組…………って!出オチじゃないのか、この班は?それに恋が第一班に行っちゃってるじゃないか!」」」
「それは仕方ありますまい、主。私だってそれくらいの空気は読みますぞ。」
第二班の班長、星は口を尖らせていた。
第一班が『董卓軍組』と名乗れない事と、月達の気持ちを汲んでという事を言いたいのだろう。
星がそこを考えてくれていたのなら俺たちには何も言う事は無い。
「「「悪かったよ、星。いや、星華蝶♪」」」
「解かって頂けたのなら結構♪おお、そうだ。主たちも我ら第二班で参加しませぬか♪」
「「「いやいや、俺たちは審判兼賞品だからいつもと同じで出られないって。」」」
星の顔を見れば解かってて言ってるのが見え見えだ。
臨月の星が心配だし、螢の顔を見れば心が揺らぐ。
しかし、ここは断腸の思いで断らなければ!
「星華蝶ちゅわん。ご主人さまたちも辛いのだからぁ、無理を言ってはダ~~メよぉん。」
「私だってだぁりんに御主人様たちと揃って一緒にキャッキャウフフとイキたい処なのだぞ。我慢するのだ、星華蝶よ。」
貂華蝶と巫女華蝶の援護………………らしい?様な、そんな気がしないでもないけど、やっぱり気色悪い妄想ののたまいを、姿を視界に入れないで、都合の良い部分だけ聞き入れた。
こいつら自前で用意した振袖モドキの気色悪い扮装をしてるから見たくないんだよ!
「「「とにかく、第二班!仮面組!星、貂蝉、卑弥呼、璃々、白蓮、駕医、二刃、麗羽…………麗羽!?」」」
「どうかなさいましたの?むねむね団『爆乳の袁』のこのわたくしが入らずして仮面の戦士を名乗ろうなどと片腹痛いですわ。おーーーーーっほっほっほっほっほっ♪」
まあ、むねむね団は華蝶連者との戦いの果て、いつの間にか正義に目覚めた事になってたし……………別にいいか。丁度いいハンデになるだろ。
「「「それと、斗詩、猪々子、美以、ミケ、トラ、シャム…………ああ、南蛮戦隊ねこ連者か。そして螢、牡丹、白煌、揚羽、升謌、虎々、花鬘、仁亜、マンクス、タマ、ベンガル、キジ、ペルシャ、ソマリ。さあ、誰が振る?」」」
「ここはやはり天の国の正月という物を実際に見せて貰う為にも♪」
星の言葉に全員の目が二刃に向けられた。
「あ、あたしっ!?」
二刃が驚いて周りをキョロキョロと見回すのを、駕医が肩に手を置いて笑い掛けた。
二刃の振袖姿を見ると向こうに居た頃を思い出すな。
駕医にも紋付袴を用意したのでなかなか絵になっている♪
「そんなに緊張するな♪楽しもうじゃないか♪」
「は、はい、駕医さん♪」
うんうん、夫婦仲が良くて結構な事だ♪
二刃が賽ころを手にして軽く転がし。
「ええ!?一だなんて!?」
「「「一だと正門の所だな。着いたら連絡してくれ。」」」
恐縮する二刃を仮面組のメンバーが励ましながら出発して行く。
う~ん…………貂蝉と卑弥呼が居ると『仮面組』と言うより『奇面組』だな。
「「「では第三班!貧乳党…………」」」
またツッコミ辛いのがエントリーしたな。
しかもこのメンバーでいいのか?
朱里も仮面組に居ないと思ったらこっちに来てるし!
華琳達三王の様子は…………笑ってるから大丈夫か。
「ちょっと、早くしなさいよ!子供達が待ってるのよ!」
「「「おわっ!桂花!そ、それじゃあ……え~、改めまして、第三班!貧乳党組!桂花、朱里、雛里、風、思春、明命、金桂、銀桂、丹桂、連翹、黄梅、來羅、柊、龍里、藍里、嵐、烈夏、燃秋、藍華!」
桂花が居るから子供の比率が高いな。
まあ、烈夏が統率してくれるだろ。
「烈夏、あなたが賽ころを振りなさい♪」
桂花が烈夏に優しく声を掛けて賽ころを渡した。
初めて会った頃は子供でも容赦が無かった桂花も、今ではすっかり子供に優しくなったな。
お、烈夏の出した目は五か。
「媽媽、行こう!」
「よし!では先に行っているぞ、桂花。」
思春が振袖姿で生後五ヶ月の燃秋を背負って走り出す。
霞とは違って裾を乱さず走るのは見事だけど…………それでいて速いのはちょっと怖いぞ………。
「五番目の旗の場所はどこよ?早く教えなさいよ!」
俺たちに対する桂花の態度は………まあ、昔に比べればかなり柔らかくなった方か。
「それじゃあ爸爸、行ってくるね♪」
金桂たちが可愛いからその分で大幅プラスだと思っておこう。
『兄さんたち、聞こえる?正門に着いたわよ!』
二刃の声が玉座の間のモニターから聞こえてきた。
仮面組が揃って正門に着いたみたいだな。
俺たちはモニターを見ながら夏に赤壁で使った通信機に向かう。
「「「穴の空いた箱が置いてあるだろ。そこから一枚取り出してくれ。」」」
『はいはい……まさか三国志の世界でテレビのバラエティーみたいな事をするなんて思わなかったわよ…………え~と、お題は【福笑い】ね。』
古典的だが子供達には丁度いい遊びだよな。
二刃は子供達に【福笑い】の説明をし始めていた。
『これはね、目隠しをして顔を作る遊びなの。あたしがやって見せるからみんなも次にやってみてね♪』
『は~い♪』
俺たちも小学校の一年生くらいまでは爺ちゃんと正月にやったもんだ。
懐かしいなあって!あの台紙の方の絵!俺たちの写真じゃないかっ!!
顔のパーツを取り外されてのっぺらぼうになってる………。
「「「真桜!お前の仕込みかっ!?」」」
「別にええやんか♪福の神って注文やったしな♪父ちゃんたちは子宝授ける福の神やろ♪」
そう言われると…………今回は許してやるか。
『二刃おばちゃん!おめめはそこじゃないよぉ!』
『え~?見えないから分かんないな~♪』
螢が抗議してるけど、二刃のヤツ、ワザとやってるな!
『爸爸のおかおはもっとカッコイイもんっ!』
いいぞ、螢!もっと言ってやれ♪
「あははははははははははははははははははははははは♪これは面白い遊びだな、一刀♪」
「「「春蘭………お前、笑い過ぎ…………」」」
「本人よりいい男なのではないか♪そう思いませんか?華琳さま♪」
「ぷっ………ククッ………そ、そうね…………プフッ♪」
華琳………笑いが堪えきれてない………それに他のみんなも………グスン。
『たとえ福笑いとは言え、ご主人さまのお顔が崩れちゃうのは悲しいわねぇん………』
『どれ、私が代わりにヤってみせよう!』
二刃が目隠しをしたままその場を譲った。
あいつ、目隠しを外さないで貂蝉と卑弥呼を見ない様にしたな………誰か俺たちにも目隠しくれないかな?そうだ!このモニターにモザイクを入れられる様に真桜に頼もう!
『うわぁ、さすが卑弥呼ねえ。ほら、二刃も見てみなよ♪』
『ちょっと、璃々!目隠し取らないで……………え?これって………兄さんたち本人より整ってる……パーツは同じ物なのに、配置のバランスが本人より良いからなのね………』
「「「それは何か?俺たちの顔はバランスが崩れてるって事か?」」」
「個々の部位は整っているのだから大丈夫よ♪」
「「「華琳…………それ暗に崩れてるって言ってるのと同じだから………」」」
『おーーい!誰か早く真桜を呼んで来い!これを写真に残しておこう!』
『あら、白蓮さんにして機転が利くじゃありませんこと♪おーーーっほっほっほっほ♪』
『呼びに来んでも、もう来とるでぇ~♪』
あいつ、いつの間に!あ、しまった!モニターの改造をまだ頼んでないぞ!
『一刀ぉー!着いたでぇ♪』
『おとーちゃん、ついたでぇ♪』
え?霞と雰が着いたのか?正門も気になるが霞の方も見なくちゃ!
『ほんで、ウチと雰はここで何したらええんや?ん?なんやそのでっかい筆は?』
現場では警備隊の兵がそこでする事の指示を伝える事にしてある。
霞と雰には【書初め】をして貰うのだが、雰はまだ文字が書けないよな……しょうがない。こっちからも指示を出すか。
俺たちはまた通信機を使い霞に話し掛ける。
【霞turn】
『『『霞、聞こえるか?』』』
「おー♪おとうちゃんのこえや♪」
「雰、ちょい静かにしとき。聞こえとるで、一刀。」
向こうの姿が見えんで話すいうんは、やっぱり慣れんなぁ。
『『『説明書は読んだか?』』』
「読んだで。書の上達を願う儀式なんやな♪どうも最近ウチの事を春蘭と同じに見る奴らが居るみたいやから、ここで一発知的な所を思い出させてやるわ♪」
綺麗な字を書いて…………待てよ?
「なあ、一刀。もしかしてウチが使う筆って、この槍みたいにでっかいヤツなん?」
『『『ああ、折角だから派手に行こうと思ってな♪お題は目出度い言葉なら何でもいいぞ。それから、雰には普通の筆で絵でも描かせてやってくれ。』』』
なんか道のど真ん中にまたでっかい紙も用意され始めとるし………めでたい言葉か?どないしよ………。
「なあ、おかあちゃん。雰はなにかいたらええのん?」
「そやな、初日の出の絵なら描けるやろ。ウチは………よし、決めた♪」
ウチは筆を桶に入った墨に浸けて書く文字と紙の大きさを見定める。
「霞さん!頑張って下さい♪」
聴衆の中から月の声が聞こえた思うたら、みんなもう来とるやんか♪
「霞!ボク達が頭脳派集団だって所を見せつけてやんなさい♪」
「霞ちゃん、自分らしく思いっきりやるのです♪」
「……霞、がんばれ♪」
「墨を飛ばして振袖を汚すではないですよー!」
「霞!武人らしく猛々しい書を期待しているぞ♪」
「「「霞媽媽!がんばってー♪」」」
みんなも見とるしちびっ子もおるんやから気張ったろやないか♪
「ほんなら行くでええええええっ」
ウチの飛龍偃月刀と比べたら軽いもんや♪
っと!あかん、あかん!危うく墨つけたまんま振り回すトコやったで。
ここは慎重かつ大胆に…………。
「うおりゃああああああああああああああああああああっ!!」
【緑一刀turn】
霞は気合一発、六畳はある紙へ一気に書き上げた!
そして書かれた文字は………………。
『懐妊』
「「「霞………めでたさの方向性が違う……………」」」
『判っとるって♪ほんまは新春らしいモンいうことやろ。ほんでもウチら全員の願いも込めたんや♪今年も気張ってもらうで、一刀!』
街の人達が囃し立てるのを、霞は豪快に笑って手を振り応えている。
月、詠、ねねには災難……でも無いかな?
おばちゃん達に囲まれても笑顔を返していて、その笑顔が本当に嬉しそうなのだから。
『とうちゃん!ウチもかけたで♪』
「「「お♪どれど…………………れ…」」」
モニターの中で雰が得意満面の笑顔で広げている絵……というか、記号は放送禁止のアレだった。
この世界の人達にはその意味が解らないからまだ良いが、二刃はモニターの前で固まってるんじゃないか?
しかし、この絵……二つの山の間に太陽が有るので、想像力を掻き立てられるな………。
「一刀、ボーっとしてないで早く進めなさい。」
おっと、そうだった!
「「「ごめんごめん、それじゃあ次は第四班、曹魏組。……霞と風と桂花が居なくなって秋蘭と稟の負担が増えてるんじゃないか?」」」
「あら、それはどういう意味かしら?」
華琳が解っていて言うんだもんな。目が笑ってるぞ。
「「「華琳、春蘭、秋蘭、稟、季衣、流琉、凪、真桜、沙和、眞琳、光琳、鈴蘭、貞、華衣、枦炉、濤、真梫、紗那!誰が賽ころを振る?」」」
「爸爸!濤が振る♪」
「こ、こら!濤!華琳さまの御前だぞ!眞琳さまを差し置いて…」
濤はどうも霞の筆さばきに当てられてるみたいだ。
闘志に燃えた目をしているのを華琳も気が付いていて、また嬉しそうに微笑んでいる。
「凪、構わないわよ。むしろ先陣を買って出るのは武人の心を手に入れている証でしょう。凪、良い子に育てているわね♪」
「あ、ありがとうございます!華琳さまっ!」
凪が包拳礼で応えるのを見届けてから、華琳は眞琳に問い掛けた。
「眞琳、貴女は濤の先陣に異論ある?」
「いいえ、有りません。濤、頑張ってね♪」
「はい!眞琳お姉さま♪」
うん、濤も眞琳を慕っていて結構………ちょっと視線に熱が籠もり過ぎてる気がしないでもないけど………。
そんな濤が賽ころを受け取って、意気揚々と転がした。
「「「出た目は五…………貧乳党と同じか。」」」
俺たちは五本目の旗の場所に、また通信機を使って指示を出す。
「「「思春と烈夏が到着したら、凪と濤が到着するまで待たせてくれ。」」」
『御意!』
まだ伝えていなかったルールを説明しよう。
同じ場所に違う班が止まった場合、その時の選手母子同士がお題に沿ったバトルを行い、勝った方が一マス進めるのである。
思春と烈夏が先に着いていて、何かお題をし終わっていたとしても、このバトルは行うのだが、今回は街の人達に例として分かり易い様にする為に手を加えたのだ。
さて、凪と濤が到着するまでに次の班に進もう。
「「「次に第五班!孫呉組!蓮華、雪蓮、小蓮、冥琳、祭さん、穏、亞莎、大喬、小喬、美羽、七乃、蓮紅、冰蓮、蕾蓮、冥龍、宴、毬、茜、愛喬、華喬、優羽、八倻!」」」
「はーーーい!はいはい!!冰蓮がやるーーー!!」
そう来るだろうと思ってたよ。
蓮紅は呆れて溜息を吐いてるけど、雪蓮と蓮華と小蓮は笑って頷いていた。
冰蓮が元気に転がした賽ころは三を上にして止まる。
「ええ〜〜〜〜〜〜!!冰蓮も烈夏おねえちゃんと勝負したかったのにーーーっ!!!」
「この大会が終わった後に相手してもらいなさい♪」
ぶつくさと文句を言う冰蓮を連れて雪蓮が出発し、それを追って第五班も出発した。
「「「次は第六班!蜀組!桃香、愛紗、鈴々、翠、紫苑、桔梗、たんぽぽ、焔耶、香斗、愛羅、爛々、龍々、疾、露柴、崔莉、紅葉、竜胆、ひまわり、焔香!」」」
「は〜い♪香斗がサイコロ転がす〜♪」
「香斗ちゃん!?」
「姉上!それは無謀ですっ!」
桃香と愛羅が慌てて止めようとしてるのに、他の母親達は少し困った様にしながらも微笑んでいる。
やはり君主の姫という事で遠慮が有るのだろうか?
躾に関しては誰の子であっても遠慮しない事になっている筈だが、それは建前だったのか!?
なんて思っていた時に桔梗が桃香と愛羅に声を掛けた。
「桃香様、心配は無用ですから香斗様に賽を振らせてあげて下され。愛羅よ、もっと姉姫様を信じるのだ♪」
俺たちも香斗に賽ころを振らせてあげたいけど、先発のメンバーとバトルになった時に香斗と桃香で勝てるとは思えない。
いや!二刃となら情に訴えて勝ちを譲って貰えそうだが、そんな事を桔梗や愛紗が受け入れるだろうか?
「やったー♪六が出たぁあ♪」
「「「なにいっ!!」」」
考え事をしている間に!しかも六って霞の所じゃないか!
「お館様、ご心配なさいますな。香斗様と桃香様を信じなされませ♪」
桔梗は笑って言うが、肝心の桃香自身が不安そうに戸惑ってるんだけど………。
そんな桃香を引っ張って香斗が出発して行き、第六班もその後に続いた。
さて、それでは最終組だ。
「みんなあ!お待たせ-♪数え役満ファミリーズと宮廷占術師コンビの出番だよー♪」
ちぃの声に合わせてスポットライトが最終組に当てられた。
「「「それでは第七班!妖術師組!天和、地和、人和、炙叉、吉祥、九蓮、四喜、一色、直、辯天!」」」
「ちょっと!一刀たち!人聞き悪いから妖術って言うのやめてよね!」
「「「じゃあ何て言えば良いんだよ?」」」
「魔法少女組で♥」
「「「……………………………………………魔法少女とその母親組で。」」」
「なによそれっ!!」
「「「子持ちでアイドルって段階でもギリギリなのに、その歳で魔法少女とか通用する訳無いだろ!」」」
「歳の事言うなら華琳さまはどうなのよっ!」
「「「ちぃ………………お前後でどうなっても知らんぞ。」」」
「サイコロは九蓮ちゃんが振って四が出ました〜♪それじゃあ、行ってきま〜〜す♪」
なにぃ!?俺たちとちいが夫婦漫才している間に振っちゃったの?
香斗に続いて九蓮の勇姿まで見損ねたあああああ!
「床をゴロゴロ転がって忙しそうな所悪いんだけど、一刀君たち私達と一緒に来ない?」
吉祥が差し伸べてくれた手を握り、柔らかくて滑らかな感触を堪能してから立ち上がるが、ここは毅然と断らねば!
「「「さっき星にも言っただろ。俺たちは審判兼賞品だって。」」」
「でも、ここに三人だけで残るの?寂しいよ?」
吉祥に言われて始めて気が付いた。
辺りを見回してみれば『ガラ〜ン』という描き文字が見えそうな程閑散とした玉座の間。
「「「さて、俺たちも移動しようか♪」」」
さっきの態度をあっさり覆す俺たちだった。
【紫一刀turn】
俺たちは移動する間も吉祥の用意した水晶板で各所からの中継を受信する事が出来た。
「「「便利だな、これ。携帯のワンセグみたいじゃないか♪」」」
「やだなぁ、一刀君たちったら♪スマホとかタブレットって言ってよ♪」
「「「すまほ?………たぶれっと?………タブレットってサプリを入れておくケースの事………じゃ、ないよね?」」」
「…………………あ、そっか。一刀君たちがこっちに来たのってそんな頃だっけ。」
どうやら吉祥は俺たちには未知の道具を知っているらしい………。
く、悔しくなんかないもん!ここに居たら役に立たない道具だもんっ!
『隊長!思春殿の所に着きました。これから勝負の方法をクジで決めます。』
水晶板の映し出す中継映像で、凪の後ろに濤が箱に手を入れて籤を選んでいる姿が映っている。
『う~んと………これ♪』
濤の選んだ畳まれた紙を開くと【羽根突き】と書かれていた。
『ああ、事前に教えて頂いた遊びのひとつですね♪これなら直ぐにでも始められます!』
『羽根突きか………なかなか良い物を選んだな、凪。』
不敵に笑う思春に凪は落ち着いた表情で微笑み返す。
『孫呉筆頭武将である思春殿と、こうして向かい合っての勝負は久しぶりですね。』
『不思議と天下一品武闘会でも赤壁でも、直接闘う機会が無かったからな。最後に試合ってから何年になるか……どこまで腕を上げているか、楽しませてもらうぞ♪』
『期待は裏切らないと思いますよ♪』
なんか羽根突きというより、武器を持っての試合みたいな空気になってるぞ。
思春と烈夏、凪と濤の四人が襷を掛けて振袖をまとめ、腕を晒して対峙した。
羽根を打ち返す順番は卓球のダブルスと同じにしたが………子供達はついて行けるのか?
『はああああああああああああああああああああああっ!!』
いきなり凪が氣を溜めて羽子板を構えた!
『破っ!!』
ガッっという音と共に凪がテニスのサーブの様に打ち出した羽根は、打たれた瞬間の羽根が吹き飛び玉だけになってしまった………この段階で既に『羽根』突きじゃないよな。
『ハッ!!』
カッ!
凪の氣を受けて赤く光った玉を思春が打ち返す!
それを濤は氣を送り込んだ羽子板で打ち返した!
更にその玉を烈夏が素早く反応して打ち返す!
凪がそれをまた打ち返し…………………スピードが早くなってきて実況が追いつかない…………。
なんかもう四人の間をレーザーが飛び交ってるみたいに見えるんですけど?
音も、
カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ
としか聞こえない。
しかし突然、レーザーの様な軌跡と玉を打ち返す音が止まった。
『…………板にめり込んだ。』
それは烈夏の呟きだった。
これにより凪と濤の勝利が決定した。
『勝を焦ったな、烈夏。』
『ごんなさい………』
烈夏は項垂れているから見えていないが、思春の顔は穏やかで怒りのオーラは微塵も感じられない。
『負けて悔しいのなら鍛錬に励め。』
『うん!』
もう少し優しい声を掛けてあげてもと思うのだが、これが思春の教育方針だ。
慰めるのは俺たちの役目………いつも思うけど父親と母親の立場が逆転してるよな。
『思春殿、烈夏は見事でしたよ。本当なら濤は最後の一球を打ち返せなかった所です。運良く板に当たっただけですし、濤も体力の限界に来てましたから次は返せなかったでしょう。』
凪の言う通り、濤は疲れて全身で息をしている。
それを沙和が支えて介護していた。
『運も実力と言うだろう?ともかく、ここは曹魏の勝ちだ。ひとつ先に進むがいい。』
うむ!見応えの有る良い試合だった。
これなら観客も白熱したに違いない。
『ちょっとその前にやる事があるで♪』
綺麗に終わりそうな所で、真桜がニヤニヤしながら墨壷と筆を持って現れた。
成程、羽根突きといえばコレだよな。
斯くして、思春と烈夏はついに顔へ墨を着ける事となった。
烈夏には×マークで済まされたが、思春には長年のマンハントでの恨みが籠もっていて、ちょっと口では言えない事が書かれた。
真桜、次のマンハント訓練の時は気を付けろよ。
【赤一刀turn】
俺たちは正門で仮面組を追い抜いた所で走者である天和、九蓮と一緒に順路を走る。
後の七班メンバーはショートカットで四番の旗の所に向かわせた。
街の人達に手を振りながら走る天和はさすがアイドルと唸らされる。
ただ、振り袖姿はやはり慣れない事もあって、走ってる内に少しずつ着物が乱れ始め、街の男どもにいらんサービスをしてしまっていた。
胸が大きくて揺れる分、着物が乱れやすいのだろうか?
そして孫呉組を追い越した所で、六番の旗の所から再度連絡が入った。
『陛下!劉備様、禅姫様、楽進将軍、綝姫様、ご到着なさいました!』
「「「よし、早速勝負方法を決める籤を引かせてくれ。」」」
『籤はもう引かれました。ですがその勝負方法というのが………その……』
ん?何で言い淀むんだ?あ!もしかして、桃香と香斗に不利過ぎるのが出たとか?
さっきの羽根突き見たら、確かに考えなきゃいかんな。
「「「で、何が出た?」」」
『コタツでミカンです。』
「「「……………………………………………………………………………は?」」」
『ですから、勝負方法は【コタツでミカン】です。』
「「「それが勝負方法の箱から?………それって通常用に一回休みのつもりで入れた筈なんだけど……………」」」
『聞こえたわよ、一刀。面白いからそのまま勝負になさい。』
華琳の一声で決定してしまった。
どうやって勝ち負け判定するんだよ!無茶過ぎんだろ!
【桃香turn】
ここに来てから何をするのかドキドキしてたけど、炬燵に入ってミカンを食べるだけでいいなんて、どうしちゃったんだろ?
まあ、姉妹で争い事をするよりはずっと良いよね♪
外で炬燵に入る訳にはいかないから、近くに有った警備隊の詰め所を使わせてもらう事になったし。
いつもなら飯店や茶店にお願いするんだけど、元旦にそんなご迷惑をかける訳にはいかないよね。
「ごめんなさい、少しだけ使わせてもらいますね。」
「め、めめ、滅相もございませんっ!」
「劉相国様に使って頂けるなんて!」
「この詰め所に箔が着くというものです!」
「当詰め所の自慢になります!」
やっぱり畏まられちゃうな……簡単に打ち解けられるご主人さまたちってやっぱりスゴイって、こういう時に改めて感じる。
「なんやお前ら。ウチや凪とえらく態度が違うやんか。」
「そりゃそうですよ。張遼将軍や楽進将軍と違って、劉相国様はたおやかな女性なんですから。あ、姫様方は丁重におもてなししますのでご安心を。」
「ウチらかて今日はおしとやかな格好しとんのやから、ちっとは丁寧に扱わんかい!」
「霞さま!炬燵の準備が出来ましたから早く中に入ってください!」
凪ちゃんが顔を赤くしながら霞さんの背中を押して入って行く。
わたしも香斗ちゃん、濤ちゃん、雰ちゃんを連れて詰め所の中に入った。
部屋の真ん中に用意された丸い炬燵を見て、霞さんが腕を組んで首をひねっている。
「炬燵に入ってミカンをどないすれば勝ちになんねん?」
「そんな事はどうでもいいじゃないですか♪せっかくですからお話ししましょうよ♪」
霞さんとも凪ちゃんともこんな風に話す機会って今まで無かった気がする。
ここは改めて親睦を深めちゃおう♪
「香斗おねえちゃん。雰が桃香媽媽のとなりいってもええ?」
「うん、いいよ~♪」
「うわ~~い♪」
雰ちゃんが両腕を広げて、わたしの腰に抱きついて来てくれた。
香斗ちゃんがこのくらいだった頃を思い出しちゃうな♪
あれ?濤ちゃんがなんかモジモジしてわたしを見て………。
「濤ちゃんもお隣に来る?」
「えっと………その………」
濤ちゃんが凪ちゃんの顔をうかがってる。
わたしは凪ちゃんに笑って頷いた。
「よろしいのですか、桃香様?」
「そんな遠慮なんてしなくていいよ♪ほら、濤ちゃんもこっちにおいで♪」
「は、はい♪」
右に雰ちゃん、左に濤ちゃんを抱く様にして、わたしは炬燵に足を入れた。
「えらいすまんなぁ、桃香。おい、雰!桃香媽媽に迷惑かけたらあかんで!」
「ウチ、桃香媽媽スキやからそないなことせぇへんもん!」
ふふ♪雰ちゃんったら元気いっぱいだな♪
「香斗は霞媽媽と凪媽媽のまんなかに入るね♪」
香斗ちゃんが丁度わたしの正面に座った。
「香斗ちゃんて………なんか知らんけど、隣におると癒されるなあ♪」
「ですね………濤とはもちろん、眞琳さまとも違って……思わず抱きしめたくなると言うか………」
霞さんと凪ちゃんが香斗ちゃんの頭を撫でたり、抱き寄せたりしている。
愛紗ちゃんもよく同じ事を言ってるけど、それは愛紗ちゃんが昔から可愛い物を好きだからだと思ってた。
華琳さんが香斗ちゃんの才能だって言ってたけど………。
「みんなを仲良くさせる才能って事なのかなぁ?」
「どないしたん、突然?」
「華琳さんがそう言ってくれたんです。香斗ちゃんにそんな才能が有るって。」
「才能を見抜く事に長けた華琳さまが仰言ったのなら信憑性は有りますね。」
「そら一刀たちと桃香の子やからな。そんなとこが一番似とっても不思議やないな。」
「ご主人さまたちはそうですけど、わたしなんかそんな事無いですって!」
慌てて両手を振って否定したけど、霞さんに溜息を吐かれて、凪ちゃんにはクスリと笑われた。
「桃香様、最近の五胡との交渉はいかがですか?」
「え?概ね順調だと思うけど?お正月のお祝いをしに使節団も来てくれたし……」
「その相手を桃香がしたんやろ?蓮華は山越の相手だけで手一杯やったし、華琳じゃ相手が萎縮して、そもそも使節団を送って寄越さんやろな。」
「そんな事無いですよ。一昨年に匈奴、鮮卑、羯、烏丸、氐、それぞれの
「烏丸とは昆布の交易で以前から関係は良くなっていましたが、それも桃香様の幽州での評判が無ければ、交易自体難しかったらしいですよ。」
「へ?白蓮ちゃんじゃなくてわたし?」
「そうや♪まだ旗揚げする前に幽州や冀州の北部で山賊狩りとか困った人達を助けてたんやろ?烏丸の邑も助けたそうやないか♪」
「あの頃は弱い者いじめをする人達を見ると、どうにかしなきゃって居ても立ってもいられなかったから………そっか、あの邑の人達が………」
懐かしいな………まだご主人さまに出会う前で………自分達の非力さを痛感しながらもがいていた頃………。
「ウチな、実はその頃に一度だけ愛紗が暴れとるとこ見た事あんねん♪并州で『黒髪の山賊狩り』の噂が聞こえ始めた頃でな♪」
「そうだったんですか!?そういえば霞さんの武器って愛紗ちゃんのに似せて作ったって言ってましたっけ。」
「そやそや♪あん時の愛紗がめっちゃ格好良くてな♪んでも、その後并州を出て涼州に行ってしもたから、汜水関で『関』の旗を見た時は敵に回っとっても嬉しかったで♪」
あはは……………耳が痛い話しだな……あの頃のわたしって物事をちゃんと見極めようとしてなかった。
月ちゃんが悪者だなんて信じ込んで…………ご主人さまたちが居なかったらわたし達は取り返しがつかない過ちを犯す所だった。
あの時からわたしは相手の事をもっとよく知ろうと心掛ける様になったんだっけ。
「きょうの桃香媽媽のおっぱい、カチカチでおかあちゃんのみたいや………」
「へ?」
「アホ!そら着とる服のせいやろ!って、ウチかて普段はサラシ巻いとるから硬いんや!」
「そやかて桃香媽媽のおっぱいのほうがおおきいし、やわかいやんか。なあ、濤おねえちゃんもそうおもうやろ?」
「うん。桃香媽媽のおっぱいは優しさそのものって感じだと思う。」
「濤………私の胸は優しく無いのか?…………」
「え~と………そんな事はないけど………」
「凪媽媽やおかあちゃんのおっぱい、ぱっつんぱっつんやん!」
それって…………わたしのおっぱいは張りがないって事………ですよね………そりゃ昔から知ってたけど……………。
「桃香………子供達は褒めとるんや。気にしたらあかん…………母親らしさで言うたら桃香の勝ちなんやから……」
「そ、そうですよ!桃香様はこの国の母親の象徴、国母なんです!私などとても敵いません!!」
『『『勝者、桃香に決定。』』』
え?ご主人さまたちの声!?
勝者ってどういう事!?
「一刀!どういうこっちゃ!?」
『『『いや、霞と凪がたった今、負けを認めたろ?』』』
「そら言うたけど………そういやウチら勝負をしとったんやな………この勝負の判定基準って母親らしさやったんか?」
『『『そんなの、丁度それっぽい事を霞と凪が言ったから、それに乗っかっただけだよ!他のみんなは賽ころ振って先に行っちゃってるんだから、早く班に合流してくれ。』』』
そんなに長い時間話してたの?
みんなは今頃どこまで進んでるんだろ?
「まあ、充分に休ませてもろたし、早よ応援に駆けつけたらなな♪」
わたし達は詰め所を出てそれぞれの班の所へ向かった。
あ!炬燵には入ったけど、ミカンを食べてないよ!
【緑一刀turn】
こんな感じで双六駅伝は順調(?)に進行していった。
例えば、
「うっしゃおらあああああああっ!どうだ!あたしにかかれば独楽なんてちょろいぜ♪」
「媽媽…………コマから煙が………わあっ!火が出たあっ!!」
「やばっ!強く回しすぎた!水!早く水持って来いっ!!」
独楽回しで翠が力任せに回してリアル炎のコマを見せた。
「はっはっはっは♪どうだ!我ら曹魏の蛸が一番高く上がっているぞ♪」
「なんかさっきから春蘭が凧の事を『蛸』って言ってる気がするんだけど、気のせいかしら?」
「雪蓮殿、そんな事よりこのままでは春蘭に負けてしまうぞ!」
「愛紗、馬鹿は高い所が好きって言うじゃない。きっと勝てないし、勝っても嬉しくないわよ。」
「………そう言われると確かに春蘭に勝てる気がしなくなってきた………」
「貴様らああああああああああああああっ!!」
折り返し地点の練兵場で春蘭、雪蓮、愛紗が凧揚げをした。
「どんどんおかわりを持ってくるのだ!!」
「らんらんもおかわりなのだ♪」
「あたいの所にも持って来い!虎々!爛々に負けるなよ!」
「うん!かあちゃん♪」
「ボクの所にも持ってきて!あ、華衣はゆっくり食べてていいからね♪」
「うん♪おぞうに♪おぞうに♪うにょ~~ん♪」
「華衣ちゃん、食べ物で遊んじゃダメだよ。あ、わたしの所にももっと用意しといて。」
「璃々、牡丹がお腹空かせたみたいだから、お母さんが代わりにお乳あげておくわね♪」
「ありがとう、お母さん♪これが終わったらわたしが紅葉に飲ませるから♪」
「「…………美味しい♪」」
鈴々、爛々、猪々子、虎々、季衣、華衣、璃々、恋、恋々がお雑煮の大食い競争を行い…………仮面組から三人出場してるけど、そこは目を瞑ってくれ。
このメンバーを見れば、飛び入り参加を止められないの解るだろ?
「「祭さま!このままだとお餅が無くなります!」」
「なんじゃと!?よし、大喬、小喬、直ぐにもち米を炊け!儂が搗く!!」
「宴もお手伝いするよ、母さま♪」
「ワシも搗くぞ、祭♪竜胆、捏ねるのをやってくれ♪」
「はい♪媽媽♪」
祭さんと桔梗の餅搗き合戦も始まり大いに盛り上がった。
但し、ギャラリーの殆どが男で、二人が杵を打ち下ろす度に暴れる胸の鏡餅に手を合わせて拝んでいた。
「「「みんなぁーー!応援ありがとぉーーーーー♪」」」
『ほあっ!ほあっ!ほあああああああああああああああああああああああああっ!!』
「それじゃあ次の曲はみんながいい初夢を見られるように、『夢、蝶ひらり』行っくよーー♪」
『ほあっ!ほあっ!ほあああああああああああああああああああああああああっ!!』
街の中を移動しながらの、数え役満ファミリーズ元旦ライブもファンの声援と爆竹で大いに盛り上がった。
そして最初にゴールしたのはっ!!
「我ら貧乳党の頭脳による戦略の勝利よっ♪」
「賽ころと籤という運任せに策が入る余地はほとんど無かったですけどね~。」
「はわわ!風ちゃん、それは言っちゃダメですよぅ!」
「運を呼び込むのも軍師の才覚だと思います♪」
雛里の言う『運を呼び込む』って、もしかして事前に何か仕込んでたって意味じゃないよな?
「この勝利が運だと言うならそれも良いでしょう。この運で今年は貧乳党飛躍の年にするわよ♪」
「桂花、おめでとう♪でも、貧乳党だけでは無く仕事も頼むわよ♪」
「か、華琳さまっ!?」
優勝が決まったので他の班が続々と玉座の間に戻って来ていた。
子供達も楽しめた様で、みんな笑顔が溢れている♪
「は、はい!華琳さま、眞琳さま、聖刀さまの御為に粉骨砕身励ませて頂きます!」
「それでは早速初仕事をしてもらうわね♪」
「は?」
戸惑う桂花の前に季衣と流琉が賽銭箱を持ってきた。
みんながお賽銭を投げ込むと一斉に柏手を打つ。
『今年も子宝に恵まれますように♪』
「こ、これが初仕事………………………は!そうだわ!」
桂花は拝んでる人垣の中から蓮華の手を掴んで引っ張り出した。
「え?ちょ、ちょっとまさか!?」
「こうなったら一蓮托生よ!私だって茉莉花の安産を祈願したいし!」
みんなは笑って再びお賽銭を投げ込み柏手を打った。
「また私がオチ担当なのおっ!?」
こうして『新春各組対抗母娘合同天下一品大双六駅伝大会』は幕を閉じ、そのまま新年会へと突入したのだった。
因みに今回の賞品。
子供達にお年玉を渡す順番か賭けられていて、俺たちは烈夏へ最初にお年玉を手渡した。
そして子供達には内緒にしてある大人への賞品は…………姫初めの順番だった。
あとがき
改めまして、明けましておめでとうございます♪
今回の話しを書くにあたってお正月らしいキーワードを先にメモって始めました。
これがその一覧です。
お年玉
駅伝
すごろく
福笑い
独楽回し
凧揚げ
羽子板
姫初め
書初め
こたつとみかん
初笑い
初日の出
初夢
出初式
初詣
おせち料理
七草粥
お餅
年越しぞば
使用しなかった物も幾つか有りますが如何だったでしょうか。
今回からipad miniも使って書き始めました。
ちょっとした時間にも書ける様になったのでなったのですが、まだまだ使いこなせていません。
特に真名が………辞書登録の管理アプリ探さないと………。
今まで決めていなかった子供達の名前と真名を決めました。
いずれ作中にも登場すると思います。
《次回のお話》
次回は
☆季衣②&流琉② 34票
【北郷二刃奮闘記】
真桜のからくり話③ 5票
【聖刀くんの日常】
四胡とオマケ 15票
【おまけ参】
親子鍛錬(五虎将編)16票
を、お送りいたします。
《現在の得票数》
桃香② 27票
璃々③ 26票
桂花③ 20票
冥琳② 19票
二喬② 19票
鈴々③ 17票
紫苑③ 16票
真桜②&凪②&沙和②(三羽烏)
16票
麗羽②&斗詩②&猪々子②(三バカ)+白蓮
12票
華琳④ 10票
炙叉② 7票
音々音③ 7票
音々③ 7票
小蓮③ 6票
風② 5票
ニャン蛮族③ 5票
華雄② 4票
桔梗② 3票
張三姉妹② 2票
明命②&亞莎② 2票
雪蓮&蓮華③ 2票
祭② 2票
思春③ 1票
【北郷二刃奮闘記】
華蝶連者 4票
北郷親衛隊の嫁 3票
三羽烏② 2票
三バカ 2票
白蓮 2票
ニャン蛮族 1票
二刃の妊娠 1票
王様ゲーム 1票
【聖刀くんの日常】
炙叉 10票
聖刀・祉狼・昴の探検隊 8票
聖刀くんの性教育~漢女にならないために~
3票
聖刀くんの騎乗訓練 3票
黄乱② 2票
聖刀さま♥親衛隊② 1票
聖刀と祉狼と昴の初めてのお使い 1票
聖刀と貧乳党 1票
【おまけ参】
親子鍛錬(五虎将編)(三王編)(脳筋編) 16票
恋姫麻雀大会 16票
いい大人になるための漢女☆講座~ご主人様編~ 12票
恋姫†酒場放浪記 10票
眞琳の金桂達いじり 9票
「女装喫茶」へようこそ 7票
操船訓練 3票
一刀の執事喫茶 4票
魔法少女華琳 3票
歳の差姉妹誕生~娘夫婦に中てられて~(月両親・華琳両親)
2票
娘からの質問~爸爸をどうして好きになったの?~三国王編
2票
バレンタインイベント 1票
(2月14日前後に特別編を予定しています)
性者が閨にやってくる 1票
リクエスト参戦順番→冥琳② 風② 凪② 沙和② 桃香② 蓮華② 季衣② 炙叉② 桂花③ 真桜② 二喬② 紫苑③ 鈴々③ 璃々③ 華琳④ 思春③ 音々音③ 音々③ 三バカ② 華雄② 祭② 小蓮③ ニャン蛮族③ 桔梗② 張三姉妹② 明命②&亞莎② 蓮華③ 雪蓮③
おまけ壱リクエスト参戦順番→華蝶連者 ニャン蛮族 真桜のからくり話③ 三羽烏② 三バカ 白蓮 北郷親衛隊の嫁 二刃の妊娠 王様ゲーム
おまけ弐リクエスト参戦順番→炙叉 黄乱② 聖刀・祉狼・昴の探検隊 四胡とオマケ 聖刀さま♥親衛隊② 聖刀くんの性教育~漢女にならないために~ 聖刀くんの騎乗訓練 聖刀と祉狼と昴の初めてのお使い 聖刀と貧乳党
おまけ参リクエスト参戦順番→親子鍛錬(五虎将編)(三王編)(脳筋編) いい大人になるための漢女☆講座~ご主人様編~ 「女装喫茶」へようこそ 恋姫麻雀大会 眞琳の金桂達いじり 恋姫†酒場放浪記 操船訓練 一刀の執事喫茶 魔法少女華琳 歳の差姉妹誕生~娘夫婦に中てられて~(月両親・華琳両親) 娘からの質問~爸爸をどうして好きになったの?~三国王編 性者が閨にやってくる
【子供達一覧】
1)華琳の長女 曹沖(そうちゅう) 眞琳(まりん)
2)桃香の長女 劉禅(りゅうぜん) 香斗(かと)
3)蓮華の長女 孫登(そんとう) 蓮紅(れんほん)
4)思春の長女 甘述(かんじゅつ) 烈夏(れっか)
5)愛紗の長女 関平(かんぺい) 愛羅(あいら)
6)風の長女 程武(ていぶ) 嵐(らん)
7)桂花の長女 荀惲(じゅんうん)金桂(きんけい)
8)雪蓮の長女 孫紹(そんしょう) 冰蓮(ぴんれん)
9)冥琳の長女 周循(しゅうじゅん) 冥龍(めいろん)
10)祭の長女 黄柄(こうへい) 宴(えん)
11)恋の長女 呂刃(りょじん) 恋々(れんれん)
12)紫苑の次女 黃仁(こうじん) 露柴(ろぜ)
13)紫苑の三女 黃信(こうしん) 崔莉(ちぇり)
14)蒲公英の長女 馬援(ばえん) 向日葵(ひまわり)
15)翠の長女 馬秋(ばしゅう) 疾(しつ)
16)麗羽の長女 袁譚(えんたん) 揚羽(あげは)
17)桔梗の長女 厳逹(げんたつ) 竜胆(りんどう)
18)凪の長女 楽綝(がくりん) 濤(なみ)
19)七乃の長女 張路(ちょうろ) 八倻(やや)
20)天和の長女 張甲(ちょうこう) 九蓮(ちゅうれん)
21)地和の長女 張大(ちょうだい) 四喜(すーしー)
22)人和の長女 張吉(ちょうきつ) 一色(いーそー)
23)炙叉の長女 迷当(めいとう) 直(なお)
24)白蓮の長女 公孫続(こうそんしょく) 白煌(ぱいふぁん)
25)秋蘭の長女 夏侯衡(かこうこう) 鈴蘭(すずらん)
26)月の長女 董擢(とうてき) 春姫(るな)
27)美以の長女 孟節(もうせつ) 花鬘(かまん)
28)トラの長女 ベンガル
29)ミケの長女 マンクス
30)シャムの長女 ペルシャ
31)桂花の次女 荀俁(じゅんぐ) 銀桂(ぎんけい)
32)朱里の長女 諸葛瞻(しょかつせん)龍里(るり)
33)雛里の長女 龐宏(ほうこう)藍里(あいり)
34)詠の長女 賈穆(かぼく) 訓(くん)
35)焔耶の長女 魏覚(ぎがく) 焔香(えんか)
36)春蘭の長女 夏侯充(かこうじゅう) 光琳(こうりん)
37)星の長女 趙統(ちょうとう) 螢(けい)
38)大喬の長女 喬櫂(きょうかい) 愛(あい)
39)小喬の長女 喬順(きょうじゅん) 華(か)
40)亞莎の長女 呂琮(りょそう) 茜(ちぇん)
41)明命の長女 周邵(しゅうしょう) 藍華(らんふぁ)
42)華雄(阿猫)の長女 華剛(かごう) 树莓(しゅうめい)
43)桂花の三女 荀詵(じゅんしん) 丹桂(たんけい)
44)霞の長女 張虎(ちょうこ) 雰(ふぇん)
45)沙和の長女 于圭(うけい) 紗那(さな)
46)斗詩の長女 顔教(がんきょう) 升謌(しょうか)
47)真桜の長女 李禎(りてい) 真梫(ましん)
48)桂花の四女 荀顗(じゅんぎ) 連翹(れんぎょう)
49)猪々子の長女 文獬(ぶんかい) 虎々(ふーふー)
50)稟の長女 郭奕(かくえき) 貞(てい)
51)穏の長女 陸延(りくえん) 毬(ちう)
52)鈴々の長女 張苞(ちょうほう) 爛々(らんらん)
53)流琉の長女 典満(てんまん) 枦炉(ろろ)
54)桂花の五女 荀粲(じゅんさん) 黄梅(おうめい)
55)小蓮の長女 孫仁(そんじん) 蕾蓮(らいれん)
56)音々音の長女 陳守(ちんじゅ) 音音(ねおん)
57)季衣の長女 許儀(きょぎ) 華衣(かい)
58)美羽の長女 袁燿(えんよう) 優羽(ゆう)
59)桂花の六女 荀淑(じゅんしゅく) 來羅(らいら)
60)音々の次女 陳修(ちんしゅう) 音肆(おとよ)
61)華琳の長男 北郷聖刀(まさと) 輝琳(きりん)
62)桂花の七女 荀倹(じゅんけん) 柊(しゅう)
63)璃々の長女 黄慮(こうりょ) 牡丹(ぼたん)
64)思春の次女 甘瓌(かんかい) 燃秋(ぜんしゅう)
65)紫苑の四女 黄薛(こうせつ) 紅葉(もみじ)
66)管輅の長女 管辰(かんしん) 辯天(べんてん)
67)鈴々の次女 張紹(ちょうしょう) 龍々(ろんろん)
68)美以の次女 孟鉄(もうてつ) 仁亜(にあ)
69)トラの次女 キジ
70)ミケの次女 タマ
71)シャムの次女 ソマリ
72)星の次女 趙広(ちょうこう) 迦具夜(かぐや)
73)愛紗の次女 関興(かんこう) 愛絽(あいろ)
74)雪蓮の次女 孫静(そんせい) 水蓮(しゅいれん)
75)翠の次女 馬承(ばしょう) 駿(じゅん)
76)恋の次女 呂空(りょくう) 恋々恋(れみ)
77)音々音の次女 陳蕃(ちんはん) 韵(いん)
78)音々の三女 陳嶺(ちんれい) 唯音(いおん)
79)小蓮の次女 孫翊(そんよく) 美蓮(めいれん)
80)桂花の八女 荀靖(じゅんせい) 茉莉花(まりふぁ)
81)秋蘭の次女 夏侯覇(かこうは) 恵蘭(けいらん)
82)月の次女 董旻(とうびん) 有明(ゆうみん)
83)詠の次女 賈訪(かほう) 探(たん)
84)蓮華の次女 孫慮(そんりょ) 蓮火(れんふぉ)
B)桂花の九女 荀燾(じゅんとう) 寿丹(じゅたん)
C)桂花の十女 荀爽(じゅんそう) 秦翹(しんぎょう)
D)桂花の十一女 荀粛(じゅんしゅく) 金鐘(きんしょう)
E)桂花の十二女 荀旉(じゅんふ) 橄欖(かんらん)
【その他のオリジナル設定】
華佗 真名:駕医(がい) 息子⇒華旉(かふ) 真名:祉狼(しろう)
陳越(音々音の母) 真名:音々
インテリ⇒寇封(劉封) 嫁⇒孟達 真名:太白(たいはく)息子⇒孟興 真名:昴(こう)
追っかけ⇒波才 嫁⇒楊阜 真名:門風(メンフォン)娘⇒楊豹 真名:和了(ほうら)
尻好き⇒宋謙 嫁⇒張承 真名:真珠(しんじゅ)娘⇒張休 真名:珊瑚(さんご)
董の兄ぃ⇒牛輔 嫁⇒申耽 真名:菫花(きんふぁ) 娘⇒申儀 真名:朔(さく)
兄者⇒呂曠 嫁⇒徐晃 真名:雲雀(ひばり)娘⇒徐蓋 真名:朱雀(すざく)
弟者⇒呂翔 嫁⇒張郃 真名:豹牙(ひょうが)娘⇒張雄 真名:白虎(びゃっこ)
黄乱 真名:明兎(みんと)
馬良 真名:鷲羽(わしゅう)
馬謖 真名:耶麻(やま)
荀攸 真名:素英(そえい)
魯粛 真名:命佐(めいさ)
董雅(月の父) 董陽(月の母) 真名:日(りい)
曹嵩(華琳の父) 曹静(華琳の母) 真名:蝶琳(ちょうりん)
喬玄(大喬と小喬の母) 真名:玄
劉玄(桃香の母)
匈奴:呼廚泉(こちゅうせん)
鮮卑:軻比能(がびのう)
氐:千万(せんまん)
羯:石周(せきしゅう)
烏丸:阿羅槃(あらばん)
華雄 真名:阿猫(あまお)
高順 真名:杉(すぎ)
徐庶 真名:康福(こうふく)
黄月英 真名:雛菊(ひなぎく)
引き続き、皆様からのリクエストを募集しております。
1・メインヒロインとなるキャラをご応募下さい。
2・『北郷二刃奮闘記』で二刃と絡むキャラを募集しています。
例:「二刃視点で貧乳党」 という感じでお願いします。
3・『聖刀くんの日常』で聖刀と絡むキャラを募集しています。
例:「聖刀視点で三羽烏」 という感じでお願いします。
4・おまけ参でのメインとなる子供達を募集しています。
シチュエーションのリクエストも大歓迎です。
以上の四点にリクエストの集計(TINAMI、Pixiv双方の合計)を振り分けますので、
よろしくお願いいたします。
今まで通り、リクエストに制限は決めてありません。
何回でも、一度に何人でもご応募いただいて大丈夫です。
ご意見、ご感想、ご指摘などもご座いましたら是非コメントをお寄せ下さい。
誤字脱字は雷起の反省を促す為、修正後も抜粋して晒しますw
Tweet |
|
|
12
|
1
|
追加するフォルダを選択
あけましておめでとうございます。
今回は『お正月特別編』をお送りします。
お正月っぽい物を頑張って放り込みましたw
引き続き、皆様からのリクエストも募集しております。
続きを表示