第一話 天の御使い?
「「うぎゃあああああああああああああ!!!!!」」
「な、なんで俺の部屋に女の子が!?し、しかもキ、キ、キスまでされた!?いったい何が起きているんだ!?」
「うう、こ、こ、こんな奴に!こんな名もないような奴に!わ、妾の、く、く、く、口付けをををを!!は、は、初めてじゃったのに・・うわあああああん!!!七乃~!!」
金髪の女の子はシチュワーデス風の少女のところに駆け寄ってしまった。
「なんだよ!俺は悪くねえぞ!ていうかいったいどこから侵入してきた・・・・って、えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
(なんじゃこりゃあああ)
まわりには見渡す限り荒野が続き、でっかい岩があり、遠くを見渡せば大きな山まである。間違いなくここは日本じゃない。それは確かだ。でもなんだこの状況は・・・全然わからない。
「は~い、兵隊さんたち。あの変態さんを捕まえておいてください。あと適当に牢に入れておいてくださいね~」
「は!!」
「七乃~、妾はく、唇を奪われたのじゃぞ!!牢などと生温い!この場で処刑じゃ!!」
「だめですよ~。ここじゃ切り捨てるくらいしかできませんし、それに~美羽さまを辱めた輩は苦しめながら殺さないと♪」
「う~ん・・・それもそうじゃな!七乃の言うとおりにするのじゃ!全部七乃にまかせる!」
「はい♪思考をこらした処刑をお見せしますね♪」
「うむ!楽しみにしているのじゃ!」
「お、おい!人の話を「バキ!」うぐ・・。」
目を覚ますと俺は牢に鎖で縛られながら閉じ込められていた。しかも上半身裸で。頭に激痛が走る。どうやらあの時に殴られて気絶してしまったらしい。
状況を整理する。俺は、きのう学校帰りに及川とメイド喫茶によってジャンケンゲームを満喫したあと家に帰り、じっちゃんに「なんだ!!その腑抜けツラは!?」と言われて道場でぼろくそに打ち負かされて、自分の部屋に戻り明日の漢文のテストに備えて勉強しようと思ったが睡魔に勝てずそのままベットにバタンキュー・・・だったはず!
なぜ、いま俺は鎖につながれているんだ!?しかも牢屋の中で?
「あ、あの~・・」
俺は、見張りであろう兵士たちに声をかけてみた。
「お、目が覚めたのか?おい!今すぐ張勲さまに連絡を。」
「は!」
「あの~・・・」
「・・・・・」
完全に無視されているよ、俺。それにしても今、張勲とか言わなかったか?いや、気のせいだろうな。きっと刑事ドラマとかにある『長さん』とかなんだろうな。きっと彼はこの兵隊さんよりも年下だから『長くん』とか言われているのかもしれない。それで、取り調べとかされて「故郷のお袋さんが泣いているぜ」とか言われてかつ丼とか出されて知らず知らずのうちに悪いことを話しちゃったりするんだよな。
・・・いや、待て!俺は何も悪いことなどしてはいないじゃないか!?確かにあの小さな女の子とキスしちゃったけど・・・あの程度のことで牢屋に入れられるなんてありえないよ。もし、本当に危なくなったら親に連絡させてもらおう。それで、弁護士を雇ってもらうんだ。小さな幼女とキスしたくらいで牢屋に入れられたといえばきっと助けてくれる・・・・・・・・・・・・・・無理だ!!じっちゃんに殺される!
「へ~、けっこう元気そうですね。意外です~」
悶々している最中にシチュワーデス風の少女がやってきた。あの時、金髪の少女の近くにいた人だ。なんとかこの状況を教えてもらわないと。
「あ、あの!何で、おれは牢屋に入れられて、しかも鎖で繋がれているのですか?しかもここはどこですか?今時、蛍光灯のない牢屋なんてありませんよ。一体どんだけアナログなんですか?それにあなたたちはいったい何なんですか?随分と変わった格好をしているようですがコスプレ大会でもあったのですか?」
「けいこう~?あなろぐ?こすぷれ?聞いたことのない言葉ですね。でも、最初の問いには答えてあげちゃいます~。なぜ自分が牢屋に入れられているのかでしたね?簡単です~。わが主である袁術さまに無礼を働いたからです。それだけでも打ち首ものなのに牢屋程度で済ませているのですから感謝してくださいね。」
ちょっとまて、今度は聞き逃さなかったぞ。袁術?あの三国志の?そういえば、さっきの兵隊さんたち張勲さまって言ったな。
「あの、つかぬことをお聞きしますが、お名前は何と言うのでしょう?」
「相手の名前を聞くときはまず自分から名乗るのが礼儀ですよ♪」
「あ、すみません。おれの名前は北郷一刀。聖フランチェスカ学園二年生です。」
「ふ、ふら?えっと北郷さんでいいのですよね。字は何と言うのですか?」
「え、あざな?あざなって何ですか?」
「字を知らないのですか?へえ、字がないなんて珍しいですね。てっきりどこかの貴族の生まれだとも思ったのですが。私の名前は張勲です♪性は張、名は勲、字は・・・教えてくださらなかったので私のもいいですよね?」
「は、はあー。」
「えっと張勲さん、ここって日本じゃありませんよね?」
「にほん?聞いたことのない州ですね。ここは荊州の南陽です」
「南陽って長江がありますか?海みたいに大きな川が」
「よく知っていますね。ということは北方の方ではないようですね。」
間違いない、ここは三国志の世界だ。字があるのが三国志の面白いところでもあるのだからな。どういうことだ?俺はタイムスリップでもしたのだろうか?でもここにいる人は自分が張勲だと言っている。話の流れからしてあの金髪美少女が袁術なのだろう。何で女性なんだ?しかも美人だ。パラレルワールドかなにかかな?
などと考えてるうち張勲さんが訪ねてきた。
「こらこら♪私の質問にも答えてくださいよ。北郷さんは何処出身ですか?」
「・・・日本の浅草生まれ。」
「にほん?さっきも聞きましたが、それはどこのあるのですか?」
「えっと・・・たぶんここから東の方?」
「なぜ疑問形なんですか~?」
「よくわからないからかな」
「なぜ、あそこで倒れていたのですか?」
「わからない、自分の部屋で寝ていたはずなのに気付いたらあそこにいて、それで・・。」
一刀は顔を赤めながら言葉を濁した。
「・・・じゃ~ぁ、これは何ですか?」
張勲は、何やら厳重そうな箱の中から小さな物体を恐る恐る取り出した。
「えっと、それは携帯電話です。とおくの人と話ができる現代のトンデモアイテムです。でもここじゃ、たぶん使えないと思います。」
「あいてむ?またよくわからない言葉ですね~。」
「道具って意味だよ。・・・なぁ、それさ・・・おれの制服の中にあったんだけど?何で持っているの?」
「え~と、お兄さんの服があまりにも珍しい素材で出来ていたものでしたからちょっと調べてるうちに出てきたんです。」
「で、なんでそんなに厳重にしまってあるの?」
「え~と、あのですね。なにもしていないのに突然大きな声を出して、すごく小刻みに動くもんですから、生き物か何かと思いまして。」
「ああ、そうえば朝の目覚ましをセットしていたな。たぶんそのせいです。」
「せっと・・・また聞きなれない言葉です。まぁいいです。じゃぁ、お兄さん。最後の質問です。お兄さんは、実は天の国から来たのではないですか?」
「え!天の国?日本が?・・・う~ん、よくわからない。でも、俺がこの世界人間でないことは確かだ。でもなんで天の国なのですか?」
「つい最近、管輅とかいうエセ占い師が吹聴しているんです。本人曰く、この戦乱の世を鎮める為天より平和の使者が流星と共に現れる、とかなんとか。」
「ふーん、じゃあその御使いさまがおれってわけ?」
「はい♪状況的に考えてまず間違いないかと。ちょうどあなたがいたところに流れ星が落ちてきましたから。」
「・・・・・・」
俺は言葉が見つからなかった。突然三国志の世界にきて、おまけに戦乱を鎮める御使い様?
思いっきり、「ありえね~~~~~!!!」と世界の中心で叫びたかった。
「ま、あなたの処分は美羽お嬢さま・・袁術さまに決定してもらいます。本当だったらあなたは今日あたり死刑になっていたはずなのですけど、気が変りました。お嬢さまもきっと気分を変えてくださるでしょう。・・・そこの兵隊さん、この人を縛り上げて王座まで連行してくださいね。」
「は!!」
俺は、今の状況を理解した。とにかく今のおれにできること。それはなんとか袁術に取り付きもって死刑を中止させることだ。
俺は、覚悟をきめ、しっかりとした足取りで足を前に出した。
つづく・・・
すみません、結構書いたと思ってもまだ
3ページくらいなんですよね。次回はもっと長めにしたいと思います。
ちなみに一日おきに更新するつもりですので、次回もまた見てくださいね。
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こんばんわ、一話です。暇つぶし程度に読んでいってくださいね。