No.747397

真・恋姫無双 ~降りし御使い伝~ 番外編

rin1031さん

番外編です。
大変遅くなりました。
魏での一幕です。

また後で編集します

2014-12-31 22:09:13 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:4910   閲覧ユーザー数:3976

番外編 リュックの中身は……

 

 

 

「一刀ぉぉぉぉ!!」

 

庭で鍛錬をしていると

 

「ど、どうした春蘭?」

 

明らかに怒りを含んだ声音にビクビクしながらどうしたのか聞いてみた。

 

「どうしただと!?これを見てもそんなことが言えるのか!!」

 

春蘭が差し出したのはなんと!

 

 

 

18禁本だった……。

 

「うぇ!?なんだそれ?」

「これはお前の持ってきていた袋の中に入っていたんだぞ!」

「は?知らないぞ?」

「姉者、いきなり飛び出さんでくれ」

「……秋蘭」

「一刀よ、これには私も怒りを覚えている」

 

秋蘭は腕を組み、一刀を睨みつけている。

 

「だからおれは知らないんだって!だいたい、なんでそんな物持ってんだよ!」

「それはだな……」

 

なぜこんなことになったのか。

30分前のことだった。

 

この日春蘭と秋蘭は昼までは調練などが入っていたが、昼からは何もなかった。

だから2人は一刀を誘って街へ行こうとした。

なので部屋へと向かった。

 

「一刀、いるか?」

 

秋蘭が扉を叩き、確認をする。

これは一刀に教わったことだ。

それに、春蘭だと扉を壊すために秋蘭が扉を開けることにしているのだ。

 

「……いないのか?」

「開けて確認すればよかろう」

 

バンッ

 

結局は春蘭が開けた。

ということは?

そう。扉はあまりの勢いで開けられたために、根元から折れた。

 

「む?」

「姉者……」

「あいかわらず一刀の部屋の扉は弱いな」

 

今日も平常運転です。

 

「それにしても一刀はいないな」

「今日も鍛錬しているのだろう」

「では庭へとい…ん?」

「どうした?姉者」

「これは一刀のか?」

「そうだろうな」

 

春蘭が見つけたのは一刀の旅行鞄だった。

 

「何が入っているんだ?」

 

ガサゴソ

 

「姉者、勝手に開けたら……」

「あぁぁぁぁぁっ!!」

「どうした姉者!?…って、どこに行くんだぁぁぁ?」

 

 

「……という訳だ」

「なるほど。理解した。」

「一刀!秋蘭とばかり話すな!これはなんだ!!」

 

秋蘭とばかり話せば怒るし、このエロ本は何だと言ってくるし……。

可愛い!!

 

「全く、ここじゃなんだから、部屋に戻るぞ」

「ここじゃ話せないものなのか!?」

 

はぁ……。

 

「いいから、おいで春蘭」

 

そう言って春蘭の手を取って一緒に歩いていく。

 

「う、うむ」

 

顔を赤くして俯く春蘭。

鼻を押さえながら着いてくる秋蘭。

いつも通りなのか?

 

 

一刀の部屋

 

「まず、春蘭が持ってる本だけどね…」

「そうだ!なんなのだこれは!?」

 

部屋についても手を離そうとしなかった春蘭。

だから仕方なく寝具の上に、春蘭を抱き締めるようにして座る。だからだろう、おれの耳がキーーンと響いている。

秋蘭は目の前に椅子を持ってきてそこに座っている。鼻が若干赤いが大丈夫だろうか?

部屋の端には春蘭が漁ったであろう、おれの旅行バッグがあった。

服やタオルならまだしも、入れた覚えの無い物まである。

……及川だな。そうに違いない。もしも戻ったら一発どころか入院一歩手前まで殴ってやる。入院しないだけ優しいと思ってもらいたい。

 

「それは天の国の本なんだ」

 

「その本はな、おれのではない」

「じゃあ、なんで一刀の袋に入っていたんだ!?」

「それはな、おれの友達が悪戯で入れたんだよ。確かに、おれも男だからそういうのに興味がある。何冊か持ってたしね。でもこんな本は持ってなかったよ。『60の蜜』なんて本は。というか、春蘭はこれが何か知ってるのか?」

「ん?……秋蘭?」

「はぁ、姉者、じゃあ何でそれを見つけた時に部屋を飛び出したんだ?」

「それはだな……なぜだ?」

「おおかた、その本の表紙に女の写真が載っていたからじゃないか?」

「お?おぉ!そうだ!さすが一刀だな!!まさしくその通りだ!!」

「不思議と春蘭に褒められても嬉しくないな」

「分かるか、一刀よ」

「あぁ」

「なんだとぅ!」

「まぁまぁ、それで?納得してくれたのか?」

「う~ん……したようなしてないような」

「じゃあ、したってことでいいな」

 

長くなりそうだったので、さっさと話しを切ることにした。

 

「この際だ、色々聞いてきていいぞ」

「たとえば?」

「天の国でのこととかかな?」

 

これ以上、誤解を受けたくないので彼女らが疑問に思っていることを話してしまおうと思った。

まぁ、春蘭からはろくな質問は来ないと思ってたんだけどね。

 

「では私からいいか?」

 

 

初めは秋蘭か。

 

「一刀はさっき、この本の女は趣味じゃないと言っていたが、どういう女性がいいのだ?」

 

いきなりこれか。

 

「そうだなぁ……」

 

私は興味がないぞ!って態度をとってはいるが、チラチラとこっちを見られたら興味があることは丸わかりだぞ、春蘭。

 

「おれは天の国じゃ、まったくと言っていいほどモテなかったんだ。誰かと関係も持ってなかったしね。だから、明確な好みがあるわけじゃないけど、自分の好きなことに一生懸命な人、それから、絶対に諦めない人かな。だから2人は直球ど真ん中!おれの理想そのままだ!」

「そ、そうか」

 

珍しく照れる秋蘭は可愛いな。

春蘭はさっき強めに抱き締めたら顔を真っ赤にしながら抱き着いてきてくれた。

おれは今幸せだぁぁぁ。

 

「それにしても、一刀が天の国で誰とも関係を持ってなかったとは本当か?」

「まぁね。おれよりもかっこいいのはたくさんいたし、優しい人もたくさんいたからね」

「それは無い!一刀が一番だ!」

 

突然、春蘭が下からこちらを見上げながらそんなことを言ってくれた。

 

「ありがとう春蘭。春蘭にこんなに想われておれは幸せ者だよ」

「かじゅと~」

 

2人の視線は自然と混ざり、距離が近くなる。

 

「コホンッ」

 

秋蘭の咳払いで2人の視線は切れる。

 

「私がいることを忘れてくれるなよ?」

「もちろん、忘れてないよ。それに、秋蘭からも想われてるのは分かってるから、幸せだよ」

「ふっ。分かっていればよい」

「分からない訳ないだろ?秋蘭もおれにとっては大切な人なんだから」

「一刀……下」

「下?」

 

下を見ると、そこには下町のボス猫がいました。

 

「フーッ!」

「はぁ……これじゃ先が思いやられるよ」

 

そうは言っても春蘭の頭を撫でる。

引っかかれるかと思ったが、成すがままで撫でられていく。

 

「一刀、もう一ついいか?」

「いいよ」

「あそこにあるあれはなんだ?」

 

秋蘭が指さした先には大量のおつまみやお菓子、中にはお酒なんかも入っていた。

どうりでバッグが重かったはずだ。

でも気づかないおれも大概の馬鹿だな。

 

「あれは天の国の食べ物とお酒だ」

「ほう…。あれがか」

 

そう言って秋蘭は近づいていくつか手に取り、こちらへと戻ってくる。

 

「これはどうやって食べるのだ?」

 

秋蘭は持ってきたのは、ビーフジャーキー、じゃがりこ、ほろよい、越乃寒梅。

っていうか、これらは本当にバックの中に入っていたのか?

四○元ポケットかよ……。

及川の意外な無駄すぎる才能に、少し、本当に少し驚いている。

しかもどれだけ買ってきたんだ?

越乃寒梅なんて結構値が張るぞ?

 

「かしてごらん」

 

秋蘭からそれらを受け取り、1つ1つ開けていく。

 

「ほら、食べてごらん」

「では、いただこう」

「春蘭も、ほら」

 

春蘭を撫でるのを止めて、1つ1つ開けていく。

それらを秋蘭に勧め、春蘭にもビーフジャーキーを1枚食べさせる。

 

「ふむ。塩味が強いな。だが美味いな」

「一刀!もっとくれ!」

「はいよ」

 

苦笑いを浮かべながら、春蘭に今度は3枚を渡す。それを次から次へと食べていく春蘭。

 

「この時代はまだ塩がちゃんと精製出来てないからここまで味が濃いのは無いんじゃないか?」

「確かにここまでの物はないだろう」

「気に入ったなら全部食べなよ。それから秋蘭に塩の精製方法を教えてあげるよ。でもここじゃ難しいかな」

 

本当か!?と言って袋ごと全部持っていく春蘭。

子どもか。

まぁ、見たところまだ何袋かあるから大丈夫だろう。

 

「それは助かる。だが確かに一刀の言うとおりここじゃまだ難しいだろうな」

「その時が来たら、生かしてくれればいいさ」

「そうだな」

 

そんなことを言いながら時間は過ぎていく。

 

「酒杯はあるかな?」

「む?ではこれから取ってくる!私が戻ってくるまで飲むなよ!」

 

そんなことを言って人数分の酒杯を取りにいく春蘭。

この分だとすぐだろう。

 

 

まだか?

春蘭にしては結構かかってるな。

 

「一刀」

 

来たか。

げっ!?

 

「北郷一刀。私抜きで天の国の食べ物を食べたんですって?」

「いや、これは……」

 

なんとも素晴らしい笑顔です。

そこには笑顔の般若「何か変なこと考えてない?」…華琳がおりました。

 

「それで今度は何?天の国のお酒を、私抜きで、飲むんですって?」

「華琳抜きってわけじゃなくて……ってなんで?」

「なんで知っているかですって?そんなの、春蘭が嬉々として教えてくれたわよ」

 

あぁ、まったくこの子は。

まぁ、悪気はないんだろうな。

華琳だから教えちゃったんだろうし。

 

「かじゅと~……」

「まったく……おいで」

「うわぁぁぁぁん!かじゅとぉぉぉぉ!!」

「どうした?」

「おおかた、私に言ったことであなたに嫌われると思ったのでしょうね」

「そんなことでか?」

「姉者にとってはそんなことではなく、一大事だったのだよ」

「そうだな、ごめん。……春蘭」

「……」

「おれはこんなことじゃ春蘭を嫌いになんてならないから安心してほしいな」

「グスッ…本当か?」

「おれのこと信じてほしいかな。信じられないかな?」

「……ちんじる」

「そうか。ほら、鼻水が出てるぞ。……これ使って」

 

そう言って春蘭にティッシュを手渡す。

 

「ほら、ちーん」

「ちーん」

 

春蘭の鼻にティッシュをあてがい、鼻水をかませる。

 

「ちょっと一刀」

「どうした華琳?」

「今春蘭に鼻をかんだそれってもしかして紙かしら?」

「そうだよ。これはちり紙って言って鼻をかんだり、汚れを拭いたりするやつだね」

「とても薄くて綺麗な紙ね。天の国ではそんなに上質な紙で鼻をかむのね」

「まぁ、向こうでは材料さえあればいくらでも作れるからね」

「そう。その作り方は分かるの?」

「まぁ、分かるけど……作るの?」

「もちろんよ」

 

華琳は天の知識を吸収しようとしているのだ。

 

「分かったよ。でもあとでいいかな?今はみんなで飲みたいんだから」

「私も同席させてもらってもいいのよね?」

「あぁ。ここまできて華琳だけのけ者にしたらあとが怖いからな」

「あら、よく分かってるじゃない」

「おれは人を見る目だけはあるからな」

「そう」

 

それからは4人で酒を飲み、華琳が質問攻めにするという時間が過ぎて行った。

 


 
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