No.746052

Another Cord:Nines = 九番目の熾天使 = クリスマス特別編

Blazさん

一日遅れのクリスマスです。
さて一言。

覚悟しろよ、ディアーリーズ♪

2014-12-26 12:39:22 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:649   閲覧ユーザー数:609

Extra STORY 「Hail Mary!! 今年もカオスのクリスマス!?」

 

 

 

 

 

師走の時。いよいよ『今年』も終わりに近づいている。

雪が降り積もり、猫はこたつに丸くなるというが正にその通りだ。

外の寒さに対してコタツなどの暖房器具で暖まり、外の温度と相反してしまい外に出られなくなってしまう。人間もまた寒がりと言う事だ。

 

しかし、普段からその寒さに耐えたりしっかりと防寒対策を整えれば別にどうと言う事でもない。外に居れば身体の暖かさと外の温度で身体の温度が調整される。

様は慣れでもあると言う事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《 イティイティ島 》

 

クロガネ隊の本拠地であるイティイティ島。

地下に彼等の本拠地施設が隠されており、戦艦クロガネも其処に戻るべきドッグがある。

島全体に多くの仕掛けが施されているこの島の地下数階。

そのとある一室では僅かなメンバーである事が行われようとしていた。

 

 

 

 

「にゅ~♪」

 

「わーい!」

 

広い一室を小さな二人がせわしく駆ける。

すっかりと冬の寒さが肌に伝わるその季節、駆ける二人の服装は長袖の冬着になっていた。

特に前者の少女は髪の色と合った水色のセーターを着ており、その見た目だけでも温かそうだ。

 

「寒いのに元気だね、二人共・・・」

 

「子供は風の子って言いますしね」

 

「はしゃいで転ぶなよー」

 

それを飾りつけしつつ見守る若者たちはまるで自分たちが壮年の者かのように見守り、彼女たちの元気な姿を羨ましそうに見つめる。

 

 

 

 

 

今日は冬の大イベント、『クリスマス』だ。

 

 

無論、『旅団』もそのイベントは楽しむべきものなのだが、生憎とあるトラブルでしばらく楽園の修理が入り、イベントは開催不可。そこで今年はそれぞれ思い思いのクリスマスを過ごそうと言う事になったという次第だ。

当然、イティイティ島に帰還したBlaz達もクリスマスはのんびりとと思っていたのだが、何を思ったのか他のメンバーも集まり、参加者が増えたのだ。

 

その参加者は以下の通り。

 

幻想卿で過ごすと思われていたが嫁がと言う事でついて来たガルム

 

クリスマスと言うよりもある人に料理を教わりに来た支配人

 

そして久しぶりに一家団欒と思っていたが娘が来たいと言ったので即答で来てしまったげんぶ一家。

 

 

「つかげんぶキャラ変わってねぇか?」

 

「言うな。俺だって戸惑っているんだ・・・何故あの時・・・はぁ」

 

「娘の可愛さゆえにって奴じゃねぇの?」

 

「・・・・・・。」

 

「おーい。黙るなげんぶよー」

 

 

図星の事を言われて何も言い返せないげんぶは一人せっせと作業を再開する。

現在、参加メンバーの中の男たちは飾りつけや荷物運びなど男手の居る作業を『手伝わされている』。

その中で支配人は一人別の場所に居るのでその場で会話をしているのは彼を除く三人だ。

 

「で。つかよ、お前らなんでココに来たんだよ?別にげんぶの家は一家団欒しとけばいいじゃねぇか?」

 

「俺もそう思っていたさ。けどな、いつの間にかお前の所のチビッ子(ニュー)と約束していたらしく、それを白蓮が聞いていたようでな・・・」

 

「・・・スマン。げんぶ、ウチのニューが・・・」

 

「いや・・・娘の笑顔が見れたから一応は良しとするさ・・・」

 

「一応ってなんだ、げんぶ。Blaz許してないのか?」

 

「まぁロリコンだしな・・・」

 

「いい加減その疑惑を晴らしていただきたいんですが、げんぶさん。つか未だにイカルガでのあのチビ(プラチナ)の言葉を気にしてんのかよ!?」

 

イカルガでの出来事は今回は割愛するが、そこでのイザコザでBlazは似て非なる人物同様にロリコン疑惑がかけられてしまい、しかもその人物よりも警戒させる始末。極め付けには団長に幼女と二人で居ないようにと制約をかけられる。ちなみに破れば唯では済まないとの事。

 

「いや、別にあの子の言葉を聞いてと言う訳ではない。ただ、お前子供に対して優しいからな・・・」

 

「・・・別にそれでロリコンって事にゃ・・・」

 

「しゃーねーな。Blazの顔が顔だ」

 

「・・・悪人面で悪かったなチクショー!!」

 

 

「オッサンどもも楽しそうだねー」

 

「オッサンって私の所もですか・・・?」

 

「いや、見た目はああだけど結構中身おっさん臭い気がするんだよねぇ・・・」

 

「ううっ・・・それは酷いですよ、ミィナさん・・・」

 

その彼等を遠くから眺めるのはミィナと早苗の二人。他の女子メンバーは今は別の用事でココには居ないのだ。ミィナとの雑談の中で好意を持つ人がオッサン臭いと言われ、傷つく早苗はうじうじと言いつつもツリーの装飾を収納していた箱から出していた。

クリスマスの主役とも言えるツリーの装飾は彼女たちの役割。ちなみにツリー自体は毎回大きさが違っており、それが全てとある似非侍が切って持って来ていたからだという。

 

「にしても結構大きいツリーね」

 

「まぁ装飾には問題ないですけどね。何処で取ってきたんでしょ?」

 

 

 

 

 

「知りたいか?」

 

「うわっ!?ぜ、ゼンガー!?」

 

「どうしてゼンガーさんがココに・・・」

 

「・・・少し見物にな」

 

イキナリ二人の後ろから現れたゼンガーに驚く二人。早苗は声を出していたがミィナは余りの出来事に声が裏返りすぎて声になっていなかった。あまりのショックにとでもいうのだろうか、彼女の心臓は一瞬止まりそうになった。

 

「じ・・・寿命が縮む・・・」

 

「ぜ、ゼンガーさん。次からはもう少し後ろからお願いします・・・」

 

「む。承知した」

 

「・・・で。改めて一応聞くけど、そのツリーは何処で?」

 

「うむ。カナダの森で斬ってきた」

 

サラリと言った言葉にミィナは頭を抱え、早苗はやっぱりかと納得しつつも苦笑していた。

大方、彼がカナダで刀一本で一撃必殺をして持って帰って来たのだろうと大体の予想はしていたがここまで一致していたとなれば最早頭を抱える他無い。

 

「産地直送でまだ少し冷気が残っているが、そのお陰で自然らしい一面を残せている。室内を出来るだけ適温の状態にたので多少難儀すると思うが許せ」

 

「いや、別にそこはいいんですよ。寒いのは慣れっこなんで・・・問題は・・・」

 

 

 

 

「なんでツリーの全長が約十メートル前後あるかって事よ」

 

ちなみに、現在彼女たちの居る室内の高さは大体十五メートル。一般家庭の家と同じぐらいの高さで、以前は資材貯蔵庫だったらしいが新しく貯蔵庫が新設されたので現在は多目的で使われる場所となっている。つまり、天井まで五メートルの間しかないほどの巨大なツリーを彼が持ってきたと言う事。色々と突っ込みたい所が多すぎて何処から突っ込みたいかと思っていたが取り合えず彼女たちが見えるところから質問したのだ。

 

「それか。この時期のモミの木は少々大きいそうだ。中には品種改良された木もあるらしいが、恐らくそれだろう」

 

「何で木を改良するんですか?」

 

「環境問題でしょうね。その環境に耐えうる木を作らないと、私達は息できないから」

 

 

 

 

 

「おまたせーってアラ・・・ゼンガー少佐?」

 

「む、お前達か」

 

其処になにやら袋を抱えたリルカーラことカーラと鈴羽、アルトの三人が入り、先ほどまで居なかったゼンガーが居たので彼を呼ぶように呟く。

 

「あ、お帰り三人とも。届いてた?」

 

「あー・・・うん。届いてたけど・・・本当にするの?」

 

「モチコース。レーツェルからは了解を得ているから♪」

 

 

「・・・アルト。その袋の中身はなんだ?」

 

「さぁ?アタシは唯この二人に荷物持ちしろって言われたからな。中身は知らないぜ」

 

「届いたというのは補給でか」

 

「らしいぜ。補給物資の中からでギリアムのオッサンから宛てられたようだ」

 

「・・・ギリアムから?」

 

中身を知りたいゼンガーはアルトに中身を尋ねるが生憎と彼女も同じく中身を知らない。

知っているのは顔からしてミィナと早苗、そしてカーラと鈴羽の四人。しかし、中身の数とレーツェルの了承があった事を考慮するとレーツェルも中身を知っている事になる。

そして何よりギリアムが一体何を送ってきたのか。

謎が増えるばかりだ。

 

 

 

 

「カーラ。ココに居たのか」

 

「あれ、どうしたのユウ?今、物資確認ので忙しいって・・・」

 

「それについてだ。女性用の物資がどれなのか俺には余りわからんのでな。お前に協力して貰おうと思った」

 

「え、ああ。そういえばそうだった。今回衣装の方もあるし」

 

「・・・カーラ、衣装ってなんだよ?」

 

「あれ、聞いてなかって言うか、前にもやったじゃんBlaz。ホラ、ハロウィンの時の」

 

「・・・あー・・・アレね・・・」

 

「・・・また『あんなの』を頼んだのか・・・」

 

「あはははは・・・大丈夫。今回は大丈夫だって多分!」

 

「何、元気に多分って言ってんだよ・・・」

 

カーラの大丈夫と言う言葉に不安を抱えるBlazとユウキ。

あまりにも軽すぎるその『多分』には一体何が込められているのかと思う二人だが、彼女の様子とミィナの顔からしてよからぬ事をまた画策しているのだろう。

ムードメーカー担当のこの二人が居ればクロガネ隊はカオスに強制突入する事になる。

それに便乗したギリアムもそうだが、悪乗りのレベルが違いすぎるのだ。

果たして、今回はどうなるのか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・で。これは何だエレメン」

 

「え。何って・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サンタの服一式(アクセル用)?」

 

「・・・俺が聞きたいのは其処だけではない。

 

 

 

 

 

どうして主要メンバー全員がサンタ服を着て参加せねばならないかと聞いているんだ」

 

 

数時間後。強制的にというよりもいつの間にかサンタ服を着せられていたアクセルはその主犯たるミィナに問い詰めていた。

彼も言いたいところは多くあるだろうが、何よりも先に先ほど言い渡された全員サンタ服着用での参加と言う事に彼は詰め寄っていたのだ。

 

「だってクリスマスだし、偶にはサンタ軍団もありかなって・・・」

 

「だからと言って全員サンタはないだろ・・・」

 

「全員じゃないよ。他の隊員たちはノーマルでの参加だから主要メンバーだけがサンタ服での参加を義務付けたのよ」

 

「結果主犯はお前とリルカーラか(怒)」

 

「あははー・・・・・・さて」

 

「逃げるなよ。お前にも罰は受けてもらうからな」

 

「・・・・・・。」

 

 

「どうでもいいが、げんぶがサンタの服着るとなぁ・・・」

 

「ああ・・・なんつーかその・・・」

 

「・・・分かっている。犯罪者みたいな顔と言いたいのだろ。もう慣れている・・・」

 

「慣れてるってことは過去にも経験あるって事ですよね・・・」

 

「まだそれ引きずっているのか、耕也・・・」

 

強面のげんぶの顔にサンタの衣装ときてカオスな姿の彼を見る一同。しかし、強面がより強調されて目力が普段着よりも強く放たれていた。可愛げのある服装で逆に目力が強く見えるようになってしまったのだろう。ちなみにBlazとガルムもサンタ服を着用しているが片やオッサンがサンタ服を来たような顔を。そしてもう一人は存外似合うといった様子だった。

 

「・・・で。女共は例によって例の如くか」

 

「・・・お恥ずかしながら・・・」

 

「言っとくが主犯はミィナ達でアタシ等は被害者だからな」

 

そして問題の女性達は例の如くと言う名のお約束である服装になっている。

そう、際どいサンタ服(女性ver)だ。

下はショートパンツ並みの短さで上着も半袖で、しかもヘソをモロに見えさせている。。見るだけで寒いその服装に一応の防寒の印としてかブーツと手袋は暖かそうな物で出来ていた。最早見た目重視の衣装だというのは誰の目からも明らかだ。

着る事を知っていた若干二人はノリノリの様子で着ているが、若者二人は見た目による恥ずかしさでとてもではないが立てる状態ではなかった。

その中で一人難なく着こなし、更に気に入った様子の者も居たが・・・

 

「はうっ・・・流石にこれは・・・」

 

「早苗、無理だったら俺の上着を貸してやろうか?」

 

「ほう。それはそれで点数が上がりそうで」

 

「何が点数だ」

 

「いだだだだだ!!アクセルのクロー痛いからマジであだだだだだ!?」

 

「・・・自業自得と言うか、何と言うか・・・」

 

「合ってるぞ、その言葉絶対に」

 

主犯の全く反省の色が無い様子にアクセルの鉄拳クローが炸裂。主犯のミィナはアクセルに片腕だけで持ち上げられていた。こうなっては弁護のしようもないのでBlaz達はクローを受けているミィナを助けない意思の遠い目で見ていたのだった。

 

その隣では早苗に自身上着のサンタ服を着せており、取り合えず寒さと恥ずかしさは軽減する。Blazも自身も上着を鈴羽に着せ、荒っぽく自身の頭に乗っていた帽子を取る。

どうやら帽子は相当外したかったのだろう、帽子を脱ぐときに彼のイラついた表情と清々したという顔が見えていた。

 

「で、アルトは平気なのか?」

 

「まぁ・・・向こうでこういうのに着慣れていたからな。一応は平気だ」

 

「・・・ならいいが嫌なら言えよ。ミィナに搾り出してもらうから」

 

「分かった」

 

「搾り出す、とは流石に卑猥すぎないか?」

 

「気にするなユウキさん。考えたら負けだ」

 

「・・・。しかし、よくギリアム少佐がこんな物を送ってきたものだな」

 

「ああ、その事だが・・・」

 

「どうやら少佐も知らなかったらしいですよ?」

 

「そうそう知らなかったんだけど、どうして竜神丸がサンタ服着てユウキと一緒に紅茶飲んでんのかな!?」

 

サラリと会話に割り込んできたのはサンタ服が思いのほか似合う竜神丸。

彼は片手にティーカップ、片手にそのカップを乗せる皿と完全にパーティをエンジョイしている姿だったのだ。

その余りの馴染みのよさには誰もが唖然としており、Blazも突然の彼の声と姿には流れて突っ込むしかなかった。

 

「・・・竜神丸。お前、確か自分の研究室でクリスマスを過ごすとか言ってなかったか?」

 

「ああ。その事でしたら大丈夫です。ちょっと嫌な()がしつこかったので用事と言う嘘を言って来ましたから」

 

「サラリとコイツ姉を嫌な人っつたぞ。姉貴を捨てたぞBlaz」

 

「いや、姉貴は捨てる物だ」

 

「・・・Blaz、何かあったのか?」

 

 

 

「姉貴なんていいモン一つもねーよ・・・」←マジの姉持ち

 

 

 

(ガチの本音かよ・・・)

 

 

「そういえば、料理は支配人と謎の食通と言う人がやると聞いてますが」

 

「そういえばあの二人の姿がないな・・・まだ厨房か?」

 

のんびりとアールグレイを楽しむユウキと竜神丸だが、流石に紅茶だけというのもなんとも味気ない。料理担当の二人の姿が無いと言う事はまだ作っているのかと思っていたのだが、丁度扉が開く音がしたので一同は顔を扉の方に向けるか横目で見るといった誰が入ってくるのかを気にしていた。

其処に入ってきたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

「どもー!リュウセイ・ダテでーす!!」

 

 

スパロボ大好きのリュウセイであったので一部メンバーはその場でずっこけた。

 

 

 

「なんでお前がココに居るんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「いや、実は演習時にノイエDCの残党に絡まれて帰れなくなってさ・・・其処を偶然謎の食通ご一行に・・・」

 

「伊豆からよく流れ着いたわね、君・・・」

 

「今回伊豆じゃなくてテスラ研だったから其処まで苦労はしなかったッスよ・・・ってか、アンタ誰?」

 

「あーアタシ?其処は後でね」

 

「つかどうやって迷子になったんだよ・・・あのサイバスターのパイロット(マサキ・アンドー)じゃねぇんだぞ・・・」

 

 

 

「・・・随分と仲良く話しているが・・・」

 

「一応軍人さん・・・ですよね?大丈夫なんですか?」

 

そう。忘れてはならない事の一つとしてクロガネ隊がお尋ね者の集まりの組織であると言う事を忘れてはならない。

元ディバインクルセイダーズことDCとその後残存戦力によって再結成されたノイエDC。

平行世界から転移しこちら側の世界にへとやってきたシャドウミラーと、その同時期に現れた異生命体アインスト。

そして、どの世界にも属さず宇宙世紀と言う時代のジオン共和国の残党。

その他多数の組織が寄り添い成り立つクロガネ隊だが、全員の共通点としてあるのが今彼らの居る世界では犯罪者であると言う事。

無論、Blazもその一人で厳密には彼の機体がお尋ね者として手配されているのだ。

つまり、ココに軍人が来てしまっては情報がリークされると思うのは至極当然の事。しかし、その事について聞かれたBlazはリュウセイが現れた衝撃が残ったがエネルギーが切れた様に呆れた顔をしてげんぶと早苗に言い返した。

 

「ああ。大丈夫。コイツはコッチの立場で言えば協力者だ。元々場所も知ってるしリークする気は無いさ」

 

「そうなのか?」

 

「ああ。クロガネ隊とは付き合い長いし」

 

「お尋ね者経験あり?」

 

「そうじゃなくて、色々と経緯ってもんがあって・・・」

 

「なるほど、色々とあってお尋ね者ではなくなったんだな」

 

「・・・・・・。」

 

「一応夫だから後で言い聞かせておく」

 

何の親近感を沸かせているのか、げんぶは顔を二度にわたって縦に振り、何か納得した顔で明らかに違う理解をした。何処をどう聞いたらそう言う事になるのかとリュウセイは彼に指差して他の面子を見ていたがやがて妻の白蓮が軽く息を吐いてリュウセイの肩に手を乗せた。

その時彼女の反対の手の骨が鳴っていたようだが、それはその場に居た全員が聞き流した。

 

 

「で、問題の支配人たちだが・・・」

 

「ああ。あの人達ならもう来ると思うぜ?今さっき料理運び始めていたし」

 

「やっとか。あいつ等いったい何を・・・」

 

 

 

《 ガチャッ 》

 

 

 

扉の開く音に再び全員が目を向ける。

その僅か数秒後というあまりにも速い合間に目を向けた者達は其処に映った光景に目を疑った。なにがどうしてこうなったんだ。

数秒と言う間に幾つかの思考を凝らすが、彼らがそんな事をする性格だとも思えない。

寧ろ何故そんな事をするのかと疑い、自分の目に映る光景が嘘でありたいと信じる者も居た。

ただし、若干一名は何か納得したかのような顔をしていたが。

 

 

 

 

 

「メリークリスマース!」

 

 

「メリー苦しんでますの間違いだろ支配人」

 

活気よく声を上げて入ってきた支配人だが、彼の服装は普段着ではない。

一面土色一色。鼻は赤く丸い何かがはめられている。そして角。ご丁寧に本物だ。

 

其処までくれば誰でも分かるだろう。

現在彼はトナカイのコスプレをしているのだ。

 

それには誰もが目を疑い、唖然として言葉を失い、二の句もなく、ハトが超重力砲でも喰らったかのような顔で見ていたのだ。その間一分。

そして一人げんぶが冷静なツッコミをした途端。支配人はその場で硬直

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那。その場に居た全員が一斉に吹き出すと同時に支配人は一人いじけたのだ。

 

 

 

 

「ぷっ・・・クククククッ・・・」←無言で笑い続けるBlaz

 

「ぶ、Blaz流石に笑っちゃ・・・ふふふっ・・・」←典型的に腹を抱えて笑う鈴羽

 

「・・・・・・。」←後ろを向いて必死に堪える隊長

 

「アクセル。吹き出すぐらいは大丈夫ですのよ」←吹いた以後は特に変化無し

 

「ククククク・・・これはこれは・・・」←いつの間にか写真を撮っていた竜神丸。

 

「マズイ、紅茶が・・・」←笑いによって紅茶を吹き出してそれで笑いを騙しているユウキ。

 

 

 

 

 

 

「笑えよ!!どうせなら盛大に笑ってくれよ!!俺だってなんでこうなったのかって笑いたいよ!!!!」

 

 

一人泣き始める支配人に対し笑いの沸点がオーバーしたのか、全員声にならない笑いを続けていた。そのあまりの似合いと馴染みの良さには誰もが良くやった、と笑い転げる確信犯たちに言っていたようなものだ。

 

 

「つかよ!なんで俺だけトナカイなんだよ!!皆と一緒でサンタで良いだろ!!」

 

「い、いやだって全員サンタもって思ってさ・・・」

 

「ミィナに見立ててそれにしたけど、ぷくくくっ・・・!!」

 

「お前か確信犯ッ!!!!!」

 

「ぶはははははははは!!!結構似合うと思ってたけどまさかそこまでなんて!!!!」

 

遂には大爆笑をしたミィナ。今の所盛大に笑っているのは彼女だけだが、他の一同はそれ以上の笑い状態になっているのだろう。その証拠にガルムとBlazが余りにも面白すぎて腹が痛くなったのか座り始めたのだ。

 

「は、腹痛てぇ・・・!」

 

「ち、ちょっと後ろむかねぇと死にそうだ・・・」

 

「ハハハハハ・・・それは嬉しいぜ・・・」

 

最早その場での笑いに慣れてしまったか支配人の顔は完全に吹雪の中を絶望する探検家の顔だった。目のハイライトが消えて魂が抜け出そうとしていたので彼のメンタルがオーバーしてガラス製だったハートが盛大に砕ける音がした。

 

しかし。支配人はこの時知らなかった。この後、彼も唖然とするような事が起こるとは・・・・・・

 

 

 

 

 

「む、レイ。料理を運ばんのか?」

 

「ああ、エル・・・レーツェルさん、今はこ・・・・・・ぶ!?」

 

 

「どうし、た!?」

 

「? どうしたんだよげん・・・ぶ?」

 

 

笑いの声が響いていたその場が一瞬にして静寂に一転する。

そして、その静寂の源に皆、目を向けた。其処には

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、どうした?」

 

 

 

 

 

全身黒いタイツを着た金髪のグラサン(謎の食通)が立っていたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「ぶっ?!?!??!?!?!?!?!」」」」」」」」」」

 

 

何故彼がそんなコスプレをして現れたのかとツッコミたい所だが、それ以上にそのシュールさに誰もが吹き出し、驚愕していた。笑いと言うよりもカオスと言うべきなのか、流石に先ほどまで爆笑していたミィナも笑いが一瞬にして消え失せた。

 

 

「馬さんだ~♪」

 

「馬だー!」

 

「いや、蓮。アレは馬ではなくてだな・・・」

 

「ニュー、あの馬はその・・・アウセンザイターじゃなくて、本人・・・」

 

 

「本人ではない。私はトロンベだ」(きりっ)

 

「ついに自分をトロンベと言い出したか、この男は」

 

「まともな人間ってこの艦にはいねぇのかよ・・・」

 

「俺はまともじゃないのか・・・」

 

「ユウ、少しは自覚しようよ・・・」

 

「まぁコックピットに非常食じゃなくて非常紅茶置いている時点でね・・・」

 

 

本人のノリの良さは別としてもそのノリの内容にも少しこだわって欲しいと思う一同。その中でまともな人間と言う自身の自覚を改めて再認識しなくてはならない者達が何人か現れ、それを自覚していなかった事に絶望していた。

その彼らが何故絶望しているかについては特に気にせず、レーツェルはそのままの姿であることを告げる。それはクリスマスに忘れてはならないこと、そして忘れていた事だった。

 

「・・・何故絶望しているかはさておき、諸君クリスマスと言えば何があるか・・・分かっているかね?」

 

「・・・メシ」

 

「サンタとトナカイ」

 

「・・・・・・地獄で会おうぜ」

 

「支配人さん、貴方が地獄に逝って下さい」

 

 

「・・・・・・プレゼント?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《 ドゴンッ!! 》

 

 

 

「我が名はゼンガー!ゼンガー・ゾンボルト!!!」←この人もサンタ服です。

 

 

 

 

 

「なこったろうと薄々思ってたよ・・・」

 

「尺の問題でそろそろ終わりですよ?」

 

「うむ、それは承知している。だから・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あら。こんな所に・・・?」

 

場所は変わってアルカード城。クリスマスと言っても特にイベントの無いレイチェルは一人、城から離れた花畑を歩いていた。

しかし、其処に小さなプレゼントボックスが置かれていたのに気づき、目で特に用心する事は無いと分かると、その美しくも小さな手でボックスを持ち上げた。

すると、上の部分には小さなメッセージカードが挟まっており、其処に差出人の名前があったので、彼女はそのカードをとると呟くように読んでみた。

 

「・・・差出人は・・・『F→Sol』・・・・・・彼が何を寄越したのかしら」

 

差出人の名前を確認した彼女は上の部分であろうリボン結びにされた紐を解く。

差出人の名前には心当たりがあったが、彼が今の今までそんな事を唯の一度もしたことが無かったので、レイチェルは不思議そうにその箱を見つめていた。

だが、見つめているだけでは状況は進まないと思い、レイチェルは決断したかのように箱を開けた。

 

 

すると、中には一つの手紙と包みが入っており、その下には一枚の紙が敷かれていた。

その紙には何かメッセージが書かれており、今度は声に出さずにその文面を読み上げた。一通り読み終えた彼女の顔には不意に小さな笑みが浮かべられていた。

 

 

「・・・面白い・・・今年最後の挑戦状かしら?それとも・・・私を子供としてまだ見ているか・・・そのどちらもでしょうね」

 

 

ちいさな包み。白い袋に包まれた物の中からは彼女の鼻から刺激するいい香りが漂っていた。中身と匂いから察するに茶葉だろう。後でヴァルケンハインにでもこの茶葉を入れてもらおうと思い、箱に戻したレイチェルはもう一つの手紙を手に取り、慣れた手つきの片手で封を切った。

中身は一枚の招待状らしきカードでその招待状を見るや、小さく微笑みの声を漏らす。

それほど面白いと思ったのは何時以来だろう。そう思い、彼女は今日も天高く輝く月に語りかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

「ふぅん・・・いいわ。貴方の遊び、付き合ってあげる。私もここ最近は暇で仕方なかったし・・・偶にはこういうのも一興なのかもしれないわね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私を満足させなさいよ、最後のアーウェルンクス(ディアーリーズ)さん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケというか尺が無かったのでその後のお話し。

 

 

「我は・・・プレゼントを渡すサンタなり!!!!!」←サンタ姿です。

 

 

「少佐。ご無理はせずとも・・・」

 

「いや、あのオッサンノリノリだぞ・・・」

 

 

「クロガネ隊って結構カオスなんだな」←無視して食事をする

 

「そうだな。改めて思ったぜ」←チキンを食べるアルト

 

「なんだろ、何か親近感が湧くんだが・・・」←遠い目のガルム

 

「ええっと・・・私もなんか旅団の皆さんと似ている気が・・・」←その遠い目の彼を気にする早苗

 

「一応旅団の協力組織だからねー」←ジュースを飲むミィナ

 

 

「Blaz。仮眠室借りていいか?」

 

「家帰ってからにしろよ、げんぶよ」

 

 

「駆けろトロンベよ!!!」

 

「「わーい♪」」

 

 

「・・・レーツェルさんのキャラ、崩壊してませんか?」

 

「今更それを聞くのはアウトですよ、阿万音さん」

 

「そういえば竜神丸、さっきから何をしてんだ?」

 

「ああ。これですか?ちょっとラヴァーズをいじってきたので、それから逃げるディアーリーズさんを監視しているところです」

 

「・・・泥酔してますよね、ラヴァーズ」

 

「スピリタス飲ませましたから。後、興奮剤」

 

「バーサーカーでも作る気かよお前・・・」

 

「ヘラクレスかランスロットなら大歓迎ですがね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ。ディアーリーズの確率事象はこれ位か・・・もう少し頑張って貰いたいがね、彼には・・・」

 

「ウフフ・・・クライシス様も悪ですね・・・」

 

「さて。彼女たちの思いを添い遂げさせているのだ。それを悪と取るかは人次第だよ、キャスター」

 

 

 

 

 

 

 

以上。一人だけカオスの地獄に巻き込まれた一日遅れのクリスマス(苦しみます)でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?!?!?!??!」


 
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