No.744379

艦隊 真・恋姫無双 15話目

いたさん

今回は短いです。 12/19……ヒトフタサンマル 加筆修正しました。 すいません。

2014-12-19 01:24:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1953   閲覧ユーザー数:1685

【 起死回生の策 の件 】

 

〖 益州北部 天蕩山 にて 〗

 

朝から攻撃を行っていたが……日は既に暮れ、辺りは暗闇に包まれつつある。 

 

日がある時間には、果敢に攻め立てた益州軍であったが……今は疲れた身体を引きずりながら……天蕩山の味方陣営を目指し……逃走していた。

 

劉焉「ハァー、ハァー、ハァ……ウグッ! ハァ────!?」

 

急な坂を登って、天蕩山の陣営に辿り着いた劉焉。 

 

陣営周りは、既に松明を掲げた益州兵達が……仲間の帰還を手助けする為、途中まで出迎えに出て、陣営内に迎え入れていた。 

 

益州兵「劉焉様……! よくぞ……御無事で!!」

 

劉焉が、兵士達に支えられて丁重に案内を受け……何気なく後ろを振り向く。

 

その眼下には、まだ多くの兵達が……巣穴を壊されたアリのように逃げて来る様子が……垣間見えた。

 

劉焉「ばぁ………馬鹿なぁあああ!! 何故、何故ぇええッ!! 天は我を見捨てるぅうう!? 何故だぁあああ────ッ!!!」

 

劉焉は、切歯扼腕たる思いを込め、天に向かい大音声で己の顛末を訴えた!!

 

────あの日! 

 

成都より出発した時の……煌びやかな衣装、逞しい愛馬、凛々しい姿……!

 

成都の民から受ける羨望、その影に隠れて見れる憎悪を浴びながら、我関せずと栄光の道に進んでいた……気高き己が……!!

 

まさか……見る影も無く……派手に汚れ……見窄らしい(みすぼらしい)敗者の姿を無様に晒すとは!!!

 

しかも……先程、痛烈な批判を与えた董扶の前で……このような失態を犯すに事になろうとは────ッ!!!

 

劉焉は……思いもしなかった現状に……唖然とするしかなかった。

 

ーーー

 

他の益州兵も……黄色や赤や青など、様々な色合いで染まった状態のまま、陣営に転がり込んで怯えている。 

 

顔が全員『真っ青』なのは……パウダーを被っただけではないようだ。

 

あの大騒ぎの中で……死者が居ないのは奇跡に近いが……霧島が天蕩山への道を、ワザと開けて逃走経路に追い囲んだからでもある。

 

これが……背後に漢水があったなら……溺死者等も出て来て、死者数を大いに増やした筈であった。

 

ーーー

 

おまけに……趙韙も……大きい怪我も無く……無事に戻っていた。 

 

しかし、劉焉に再び怒鳴られ……今回出陣した益州兵と東州兵の安否確認に……絶賛奔走中である!

 

★☆☆

 

天幕にて……劉焉が疲れた身体を玉座に下ろし……前方で神妙に礼を取る董扶を睨みつつ、声高々に怒鳴りつけた。

 

董扶「……………………」

 

劉焉「どうしたぁ!? お前を嘲笑った者が……こうして……惨めな姿をさらけ出したしているのだ……。 罵倒せよ! 罵れッ! 同じように嘲笑ってみろ─────ッ!!」

 

しかし、董扶は……そんな言葉に意に介さず、付近に待機していた兵を呼び出し、命令を与えた。

 

董扶「…………誰かある……! 陛下は混乱されているようだ! 急ぎ……替えの衣服と怪我の治療。 そして……簡単な食事の支度を用意せよ!」

 

『────はっ!』ダッ!

 

天蕩山の天幕には……劉焉と董扶だけしか居ない。

 

董扶は、恭しく頭を下げ……劉焉に意見を述べた。

 

董扶「陛下……勝負は時の運。 勝ちもあれば……負けもあります!」

 

劉焉「────ふんっ! 漢中勢に良いように翻弄された儂には……既に栄光の道は閉ざされたのだぞぉお!? 今更どうすればぁ良いと云うのだ!?」 

 

董扶「私に策が……あります! 今は、兵を立て直し……陽平関に兵を入れて守備を固め……益州に戻りましょう! そして……『天の御遣い降臨』を……演出するのですッ!!!」

 

劉焉「…………わ、儂は……漢中を平定を………失敗したのだぞ!?」

 

董扶「この戦の状況が……成都の民が知るには……かなりの日数が掛かります。 その隙を突いて『御遣い降臨』を実現し……既成事実を作り出す! さすれば……漢中を政治力で封じ込める……事も可能かと!」

 

劉焉「漢中を……包囲による……経済封鎖をすると云う事か?」

 

董扶「───御意! 漢中は攻めるに難しい場所……! ですが……裏を返せば……入国がしにくい地形でもあります! ならば、限定される入り口を封鎖するだけで……経済的破綻を齎す事など容易いでしょう………!!」

 

劉焉「奴らが……武力で攻めてきた場合は!?」

 

董扶「本気で攻めてくれば……成都など簡単に……陥落する筈。 しかし、

かの者達は……攻める様子も見せず……閉じ籠もるばかり。 これは……何らかの訳ありで……動けないのではと……見ております。 ですので……その隙に!!」

 

劉焉「………………………」

 

董扶「……先に……瑞祥の象徴である『白き服』を着用して……『天の御遣い』を名乗り上げれば……劉焉様こそ本物! ……余程の確証が無ければ……偽者と断定は下せますまい! つまり……漢王朝を……味方に取り込む事も………!!」

 

劉焉「────────!」

 

董扶「……漢王朝が……劉焉様支援の表明する事になれば……他の軍閥も漢中勢を敵と認識する事に! さすれば……劉焉様を中心に討伐戦が起こり……今度こそ……漢中討伐が成功する事になるでしょう!!」

 

劉焉「………フッ。 フッフフッ! フッハハハハハハッ!!」

 

董扶「……………………………」

 

劉焉「お前と云う男はぁ!! よぉおく分かった!! 全て──董扶の云う通りに実行する!! 鬼灯にも伝えておけぇえ!!」

 

董扶「────はっ!!」

 

 

◆◇◆

 

 

【 夜戦之準備 の件 】

 

〖 益州北部 定軍山 にて 〗

 

漢中陣営内では……于吉、左慈、華佗、卑弥呼等が集まり……待機中。

 

于吉が……例の水晶球で覗き……では無く、情報収集をしている。

 

于吉「今回は、惜しいですね~~! とっても素晴らしい策だと思いますがぁ……」

 

于吉は、水晶球を眺めながら呟く。

 

于吉「敵が……私達じゃなければ……ねぇ? ふふっ! いい線行きましたのに。 本当に……残念な戦略ですよ……」

 

左慈「ふん……どこが『残念』なんて思っているような……ツラしているんだよ!? まぁ……俺達に牙を剥いたのが運の尽きだ………」

 

卑弥呼「だぁりんを討伐しようなど、不埒な考えを持つ事がぁ、そもそも敗北確定済みよぉおお!! そんな大事な事を分からん輩など……儂自ら教育し直してやるわいぃいい! むふぅううん!!!」

 

華佗「卑弥呼がヤル気になってくれているようだな! 俺も……ゴットヴェイドォーの名に掛けてぇ!! ……劉焉と云う強大な病魔を阻み、益州の民達の心痛を治療してみせるぞ!! うおおぉおおお───ッ!!!」

 

ーーー  ーーーー

 

少し経って夜戦組に収集が掛かる!

 

霧島「川内! 夕立! 島風! 後は……左慈! …………準備は良い?」

 

川内「何時でもOKだよッ! 脳内演習もバッチリさ!!」

 

夕立「…………お呼びっぽい?」

 

島風「私も……参加だったよね………?」

 

左慈「…………ちっ! オマケみたいな言い方しやがって!!」

 

霧島「──全員集合したようね! 私達は今から『合図』と共に突撃を掛けるわ! 卑怯とも言われるかも知れないけど、そもそも……数の暴力を仕掛けてきたのは劉焉の方よ? 私達は……丁重に御礼参りしてあげなきゃ──!?」

 

夜戦組が会合をしていると……新たな艦娘が二人……助っ人で参加した!

 

─────ザッ!

 

??「気合! 入れて! 行きますッ!!」

 

─────『金剛型 2番艦 戦艦 比叡』

 

??「夜戦なの? 腕が鳴るわね!」

 

─────『金剛型 3番艦 戦艦 榛名』

 

霧島の姉妹達が……着任した。

 

霧島「比叡姉さん! 榛名!」

 

比叡「金剛お姉さまに敵対する人達を……この比叡が見逃すとも?」

 

榛名「一刀提督の敵は──即ち! 私の敵ですッ! そんな失礼な人達は、木っ端微塵に吹き飛ばしてさしあげますわ!!」

 

霧島「………二人とも……気合い入れてくれるのは、いいのだけど……殺してはダメよ? ちょっと………そんな絶望的な顔しても……許可出来ないからッ!」

 

姉妹揃って……これでは……先が思いやられる……。

 

な~んて、考える霧島だが……人の事は言えないかも………?

 

霧島「…………それから、『探照灯』を装備して出撃するから、忘れないように!! 総員───準備に掛かって下さい!!」

 

★☆☆

 

劉焉「急いで陣営内を引き払えぇえ!! 篝火は、そのまま付けたままにしておくのだ! まだ、益州の軍が残っていると思わせるためにな!!」

 

董扶「撤退は速やかに……!! 要所には……数人の兵が控えている! 漢水では……既に対岸まで……縄が張ってある! それを握りつつ……明かりに向かえば……陽平関に辿り着くぞ!!」

 

劉焉達が……密に指示を出して行動を起こすが……于吉の活躍で筒抜けである。 そう……全ての指示が………。

 

ーーーー

ーーーー

ーーー★

 

定軍山の漢中陣営内では、華佗と卑弥呼が天蕩山を睨みつつ、準備をしていた。

 

華佗「卑弥呼───頼むッ!」

 

華佗が卑弥呼へ背を向ける。 

 

卑弥呼「ぬうわあぁああああ!!!」

 

それと同時に……卑弥呼の目が輝き、身体の氣が異様な高まりを見せる! そして、高まった氣を右手に集めて、華佗の背中に叩き込んだッ!!

 

卑弥呼「羅武力(ラブパワー)注入ぅううう!!」

 

華佗「うぅ………うおおぉおおおッ!!!」

 

卑弥呼から『謎の氣』を受けた華佗は、黄金色のオーラに包まれ変貌を遂げる。 髪の毛が逆立ち、黄金色に染まり……身体からは気力が満ち溢れる! 

 

華佗曰わく『ゴットヴェイドォーを極める者が本気を出すと………こうなるんだ!』と云う状態。 華佗でさえ、修業不足の為……卑弥呼の力を借りないと、この姿になれないらしい。 

 

一見すると……スー○ーサイ○人に似た風貌だが……一切関係は無いとの事。

 

華佗「よしっ! これで準備完了!!」

 

華佗は、そんな状態のまま……天蕩山の山頂をジッと望む!!

 

華佗「………あそこに通るのは……どこだ? どこへ通る!? ───ここかッ!? いやっ、そこなのかッ!? それとも……むっ!?」

 

華佗は、ある地点を見つけると……一目散に走り寄り……更に注意深く観察する。 そして……破顔一笑し、指先で地点を示す!!

 

華佗「見つけたッ!!! ここだ! ここに『水龍』の龍脈が走っている!! ここに……俺の力を注ぎ込めばぁああッ!!!」

 

懐より『金色の鍼』を取り出すと───!

 

華佗「ここに眠る『水龍』よ!! 龍脈の流れを強め、俺達に力を貸してくれぇええ! コオオォオオオォォォーーッ!! 燃えろぉおお! 我が魂魄よ!! この水龍に宿れぇえええ!!」

 

──────その声に呼応して、鍼が黄金色に輝く!!

 

華佗『注魂! ゴットヴェイドォー!!!』

 

華佗は────鍼を地面に刺した!!

 

◆◇◆

 

【 定軍山の戦い(夜戦) の件 】

 

〖 益州北部 天蕩山 にて 〗

 

その頃………天蕩山の劉焉が居る益州軍陣営では………!

 

………

…………

 

益州兵1「ムッ!? 地震……かぁ!?」

 

ーーーー

ーーーーー!

 

益州兵2「ゆ、揺れが強くなるッ! 全員──伏せろぉおおッ!!!」

 

━━━━━━

━━━━━━━!!

 

ドオオォォオオォォォ────ッ!!

 

劉焉「な、何が起きたのだぁあああッ!!」

 

董扶「わ、わかりません!!」

 

益州軍の陣営の真ん中から、間歇泉が吹き上がったのだ!!

 

普通の間歇泉は、温泉が主であるが……極まれに冷泉が吹き上げる事がある。 

今回は、その冷泉が吹き上がり、劉焉や益州兵達を濡れ鼠に変えた!! 

 

 

そして……!!

 

 

────カッ!

 

──────カッ!

 

─────カッ!

 

 

『探照灯』が山の中腹から照らされ、益州軍の慌てふためく滑稽な姿が浮かび上がる!!

 

益州兵3「ま、眩しいぃいいッ!!」

 

益州兵4「ま、また……またぁ、何か来るのかぁ!?」

 

急な闇を切り裂く灯りに照らされ……益州兵達は大慌てを起こした!!

 

ーーーーー

 

川内「夜戦ッ! 一番乗りぃいいい!! おりゃあああッ!!!」ボゴッオッ!

 

益州兵3「ぐはぁああッ!!」

 

川内は完全武装をしながら、一挙に益州兵達の中に入り殴り込む! この時ばかりは、目にサングラスを着用。 

 

『夜戦だから、暗視装置を着用じゃない?』と思われる方も、居るかもしれないが……こんな時に使用すると目が焼けてしまうので注意である。

 

暗視装置は、夜間に周りの光を集めて視る装置が主。 そんな中で、強力なライトの灯りを視れば……当然……支障をきたす為。

 

ーーー

 

夕立「うふっ! ソロモンの悪夢、見せてあげるぅ!」

 

榛名「榛名! 全力で参りますぅ!!」

 

比叡「まっかせてー!」

 

左慈「ふんっ! もっと歯応えのある奴は、居ないのか!?」

 

島風「だからー、しまかぜからは、逃げられないってぇえ!」

 

ーーーー

 

『わあぁあああぁぁぁ────ッ!』

 

益州兵達の狂乱が……更に続く!!

 

劉焉「鎮まれぇえええ!! 鎮まらんかぁあ───!?」

 

劉焉が周りの兵達を抑える為、声を張り上げていた途中───『探照灯』の灯りを遮って、一人の艦娘が……劉焉に近付いた。

 

??「………貴男が……劉焉ね?」

 

『皆から畏れ敬われる己を……堂々と呼び捨てにする女……だと!?』

 

劉焉は、顔を真っ赤にして怒鳴り付けた!!

 

劉焉「頭が高いぞぉおおッ! 無礼者め!! それに、礼儀知らずがぁあ!! 儂の事は───『劉焉様』と呼称を付けろぉおおお!!」

 

そんな劉焉の姿を見て、『霧島』は呆れ顔で応える。

 

霧島「……やれやれだわ! 貴男のような男が……提督に取って代わろうなんて……恥知らずもいいとこ!!」

 

劉焉「き、貴様ぁああ! 何者だぁあああ!?!?」

 

霧島は……劉焉の問いを無視し……マイクを手に持って構える。

 

霧島「───さあ、マイクチェックの時間よ……ベイビー!!」

 

 

ーーーーーーーー

ーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

前作で決着付いたようなものでしたけど……活躍してない人達が結構居るため、出撃せてみました。

 

また、よろしければ読んでみて下さい。

 

 

 


 
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