~霧の湖~
ここは氷精を始めとした妖精等が住んでいる紅魔館近くの霧の湖。そこの陸地にはあまり見慣れぬものが跳ねていた。
\ピチッ…ピチッ…ピチッ…!/
わかさぎ「うう…ドジしちゃった…興味本位で陸に上がったら戻れなくなっちゃった…」
跳ねていたのは人魚のわかさぎ姫であり、心なしか弱っていた。
わかさぎ「うぅぅ…はぁ…ハァ…。私…このまま…干からびちゃうの…?」
尾びれも余り動かなくなっていて、息も荒げていた。
わかさぎ「もう…だ…め…」 ?「…こんな所に、妖怪が倒れている…?」
わかさぎ「うぅ……」 ?「…息はある、…魚みたいだから…水に住んでいる妖怪…?」
?「とにかく…あそこの湖に…よいしょっと…」 わかさぎ「ん…ん…?」
?「大丈夫…すぐに助けるから…」 わかさぎ「だ…れ?担いで…いるの?」
?「よし…行きますよ…!」 わかさぎ「食べ…ないで…私…美味しく…ないよ…?」
?「えいっ‥!」 わかさぎ「…!(飛んで…いる?)」
飛ぶ感覚を感じたわかさぎ姫にいつも肌に感じる水の感触が全身に浴びた。
わかさぎ「ん…?!ここは…湖…!生きかえる!」
少し沈んだ体を翻して、輝く水面へヒレを動かした。
\ザバッーン!/
?「うわっ!?」
わかさぎ「うわあ?!大丈夫!?」
?「えぇ、大丈夫です…そちらも大丈夫ですか…?」
わかさぎ「あ…うん、大丈夫です…あと…助かりました…」
?「そうですか…それは…よかった…」
わかさぎ姫を助けた水色の髪の青年はほほえんでいた。
わかさぎ「……。(ポー)」
わかさぎ姫はその笑顔に見とれて、顔が少し紅潮しているように見えた。
?「…本当に大丈夫ですか?」
わかさぎ「あぅ…!?」
青年はわかさぎ姫のおでこに手を当てていた。
?「…あー、分かんないですね…よく考えたら水に住んでいますから体温とかは…」
わかさぎ「だっ…大丈夫!大丈夫!今の私は平熱です!」
?「…そうなんですか?なら…いいんですが…」
\スクッ…/
青年が腰を上げてその場を去ろうとしていた。
わかさぎ「あっ…あの…!」
?「…どうなされましたか?」
わかさぎ「あの…私はわかさぎ姫です!あの…あの…貴方の名前は…?」
?「○○です。また会いましょう…わかさぎ姫さん。」
わかさぎ「あっ…はいっ!」
あの後わかさぎ姫は湖の底の自分の棲家へと戻って行った。
わかさぎ「……。」
そこに寝そべっていたのはわかさぎ姫であり、綺麗に輝く石を転がしていた。
わかさぎ「あの人…○○さん…」
わかさぎ「…かっこよかったな…素敵だったな…」
わかさぎ「また会えるといいな…」
\ゴロゴロ…/
わかさぎ「…でも…私は人魚…この湖から出られないんだよね…」
わかさぎ「ずっと…一緒は、我儘かな…?」
わかさぎ「○○さん…」
わかさぎ「○○さん…私の歌聞いてくれるのかな…?」
わかさぎ「…それより…来てくれるのかな…?」
わかさぎ「…また、会いたいな…○○さん…」
湖面を見上げてわかさぎ姫はポツリポツリとつぶやいていた。
わかさぎ「……私の…王子様…?…フフッ…そしたら…私は人魚姫か…」
\~♪/
わかさぎ姫は霧の湖の縁の岩の上に座り込んで歌を歌っていた。
\~♪/
わかさぎ姫の周りには水中からは魚が、陸地からは小鳥が枝にとまって歌を聞き入っていた。
\~♪/
歌は澄みわたっていて虚空にも響き渡っていた、その歌色は綺麗かつ少し哀愁が漂っていた。
\~♪ …ハァ…/
わかさぎ姫「…○○さん…最近来ていないな…」
わかさぎ姫「…そうだよね、だって…こんな所に何度も来るなんて…」
?「…あれ?確かわかさぎ姫さん?」
わかさぎ「来ないはずは…って…その声って○○さん…?!」
わかさぎ姫が振り返るとそこには○○がいたのであった。
○○「お久しぶりですね、わかさぎ姫さん?」
わかさぎ「あっ…うん…そっ…そうだね!いっいっい…一週間ぶりかな!?」
○○「そうですね…」
わかさぎ「うん…!…そういえば○○さんは何でこんなとこに!?」
○○「ん…まぁ、綺麗な歌声が聴こえたのでそれをもっと聞いてみたいと思いまして…もしかしてわかさぎ姫さんが…?」
わかさぎ「えっ……!うっ…うん!そうだよ!私が歌っていたの!」
○○「そうでしたか、とても綺麗な歌でしたよ。」
わかさぎ「あっ…ありがとう…!」
○○は肩に背負っている荷物を下ろして、腰も下ろした。
○○「…もっと、聴かせてもらいませんか…?」
わかさぎ「あっ…うん…あの…」
○○「どうしました…?」
わかさぎ「いっ…一緒に…歌いませんか?よかったらですけど…?」
○○「…いいですよ、僕も歌はそこそこ行けますよ?」
わかさぎ「…うん!」
\~♪/
\~♪~♪/
\~♪~~♪/
その日の霧の湖は綺麗な歌声が広がっていた。
わかさぎ「~♪(この時間が…ずっと…)」
○○「~♪…そろそろお時間なので…」
わかさぎ「えっ…」
○○「…とても楽しかったですよ、また来ますね…」
わかさぎ「あぅ…」
わかさぎ姫は○○の微笑んだ姿とその後ろ姿を見て、顔を赤らめていた。
わかさぎ「うぅ…やっぱり…もっと一緒がいいな…」
わかさぎ姫は水面に顔を少し沈めて、息を吹いてプクプクしていた。
わかさぎ「…そうだ!」
わかさぎ姫は何かを思いついた途端にその身を湖底へと向けた。
\カチャカチャ…/
わかさぎ「…この色かな…?ううん…この色がいいかな…?」
湖底のわかさぎ姫は自分の持っている綺麗な石を1つ1つ手に取って見比べていた。
わかさぎ「あっ…でも、この形も…ううん…これも…」
わかさぎ「…やっぱり青色かな?私も○○さん…髪の色似ているしね…」
わかさぎ「…これかな…?」
わかさぎ姫は青く透き通った楕円形のような石を手にした。
わかさぎ「…うん!これがいいや…!あとは…」
わかさぎ姫は上流へと向かって行った。
~妖怪の山‐にとり工房‐~
わかさぎ「あの…お願いできますか…?」
わかさぎ姫は妖怪の山の川を上がり、さっき選んだ石を河童である河城にとりの所へと持って行った。
にとり「ふ~ん…んでこの宝石をどうすれば…?」
わかさぎ「あの…加工して…指輪にして欲しいんです…」
にとり「…なるほど、分かったよ。面白そうだしやってみるよ。」
わかさぎ「あ…!ありがとうございます!」
にとり「いいって、いいって。それじゃ…まぁ、二週間か三週間ぐらい待ってて、そしたら出来ていると思うからさ。」
わかさぎ「はいっ!よろしくお願いします!」
― 数週間後… ―
わかさぎ「あの…できましたか…?」
にとり「うん、ほら出来たよ。」
わかさぎ姫の手の上に青い宝石がはめ込まれた指輪2つがにとりによって置かれた。
わかさぎ「え…?2つもなんて…いいよ、1つだけでいいよ…」
にとり「はぁ…これ見たら…?」
にとりはわかさぎ姫にある紙を見せた。
・ブルームーンストーン
『純粋な恋』
『恋の予感』
『純粋な愛』
『愛の予感』
『悪魔払い』
わかさぎ「何これ…?」
にとり「…持ってきた宝石の石言葉だよ、気になって調べたけど…何なの?気になる彼にでもあげるの…?」
わかさぎ「う…うん…そうだけど…」
にとり「ふ~ん?妬けちゃうね…?」
わかさぎ「うぅ…」
わかさぎ姫は顔をものすごく赤らめていた。
にとり「まあ、頑張りなよ?」
わかさぎ「うん…//」
わかさぎ姫は指輪を受け取って、霧の湖へと戻って行った。
わかさぎ「恋と愛の予感と純粋な愛と恋かぁ…ふふっ…!」
わかさぎ姫は手にしている指輪をギュッと嬉しそうに握りしめていた。
~霧の湖~
\~~♪/
霧の湖に響くわかさぎ姫の歌声は今までのより綺麗で、今までよりより遠くに響いていた。
わかさぎ「ら~♪らら~♪ら~♪(○○さんやっぱりあまり来ないなぁ…忙しいの…かな?)」
?「おーい!少し声を静めろよー!」
わかさぎ「…?」
わかさぎ姫は声のしたほうを見ると、そこには以前の異変にて知り合った霧雨魔理沙が箒に跨って静かにやって来た。
魔理沙「おいおい、打ち出の小槌の効果は消えたんだから大丈夫なはずだろ?」
わかさぎ「うん♪大丈夫だよ、むしろ上機嫌よ♪」
魔理沙「ふーん、そうかい。私の方も上機嫌だしな…まぁ、周りさんに騒音被害を与えんようにな。」
魔理沙はゆっくりと地面へと座った。
わかさぎ「はいはい~♪」
魔理沙「『はい』は1回だろうが…ん?その指輪はなんだ?2つも持ってさ…」
わかさぎ「あっ…これはね…あの人にあげようと…」
魔理沙「あの人…?」
わかさぎ「うん…」
わかさぎ姫は顔を紅潮させて蹲った。
魔理沙「なるほど、人魚姫様も恋愛中かい。まぁ…互いに頑張ろうや…じゃあな…」
魔理沙は箒に跨るとその場から去った、そしてわかさぎ姫は魔理沙の指を見て少し疑問を持った。
わかさぎ「……あれ?指輪…?私と同じかな…?でも…○○…なんで?」
わかさぎ姫が見た指輪は銀色の飾りっ気の無い指輪であったが、○○とK・Mと彫り込まれていた。
― 暫くして… ―
わかさぎ「~♪」
○○「あっ…わかさぎ姫さん、お久振りでしたね?」
わかさぎ「あっ…○○さん!お久しぶりです!」
○○がやってくるのを気付いたわかさぎ姫は手に持っていた指輪の1つを急いで懐に隠した。
○○「…どうしましたか?」
わかさぎ「ううん…!何でもないよ!うん!何でもないって!」
○○「そうですか…」
○○はわかさぎ姫の近くに座った。
わかさぎ「……(あぁ…やっぱり…カッコいい…)」
○○「…わかさぎ姫さん、その指輪は…?」
わかさぎ「えっ…これは…///」
○○「綺麗な指輪ですね…もっと良く見せて下さいよ…」
わかさぎ「あっ…//」
○○はわかさぎ姫の腕を自分の手を添えて指を顔の近くに寄せた。
○○「…綺麗な青色の宝石ですね、…髪色に似ていて合っていますよ…」
わかさぎ「うん…ありがとう…あっ…」
わかさぎ姫は○○の指を見て、言葉を失った。
わかさぎ「…。(あの指輪…あの指輪は…魔理沙がはめていた物と…)」
○○の指にはめている指輪は銀色の飾りっ気の無い指輪であったが、○○とK・Mと彫り込まれていた。
わかさぎ「……!(嘘…同じだ…あの指輪は…そんな事は…嘘だ!嘘だ!そんな事は…!)」
○○「…!?わかさぎ姫さん…!?痛い…?!」
わかさぎ「…っ!!(何で…!何でナノ…!ナンデ…)」
○○「うぅぅ…」
わかさぎ「ナンデ…ナンデナンデ…ナンデナンデナンデナンデナンデナンデ…!」
○○「…わかさぎ姫さん…!?」
○○を見ていたわかさぎ姫の目は淀んでいた。
わかさぎ「………。」
わかさぎ「…○○さん…その指輪は…?」
○○「…これですか?これは…魔理沙さんから…」
わかさぎ「…やっぱそうなんだ…」
○○「え?」
わかさぎ「…○○さん…」
わかさぎ姫は目を淀ませて○○に抱き着いた。
○○「わかさぎ姫さん…?」
わかさぎ「ねぇ…」
○○「え…?」
わかさぎ姫の口は○○の耳元に近づいていった。
わかさぎ「……私は貴方の事が好きです…」
○○「……。」
わかさぎ「でも…K・Mって魔理沙の事ですか…?」
○○「…そうですけど…?」
わかさぎ「…貴方は王子様…私は人魚姫…魔理沙は私から王子様を奪う魔女…!」
○○「わかさぎ姫さん…!?」
わかさぎ「貴方を魔女の所へ渡しはしない!!」
○○「わかさぎ姫さ…コパァッ…!?」
わかさぎ姫はそのまま○○を湖へと引きずり込んだ。
○○「うぉ…!?うぼぼぼ…!?」
○○はわかさぎ姫の腕の中でもがいていた。
わかさぎ「大丈夫…貴方は…誰にも渡さない…」
○○は目を白黒させ口からは気泡をゴポゴポと出していた。
わかさぎ「…そうだ…こんな指輪いらないよね…私が本物をつけてあげる…」
わかさぎ姫は○○の指にはめてある銀色の指輪を外して、懐の自分の付けている指輪と同じ指輪をはめさせた。
わかさぎ「…フフッ…これでお揃いだね…○○さん…」
○○「ゴポッ…!?がぼほぶびべばん…!?」
わかさぎ「そうだ…キス…しよ?私初めてだから…上手くできるか…分からないけど…」
○○とわかさぎ姫の口元が近づき合い、くっついた時○○の目は大きく見開いてから静かに閉じて行った。
わかさぎ「ん…んぱぁ…水の中のキスって変な感じ…あれ?○○さん…疲れちゃったのかな…?」
○○はわかさぎ姫の腕の中でぐったりとしていた。
わかさぎ「大丈夫…私の棲家に連れて行ってあげる…そこは綺麗だから…きっと…王子様も…気に入るから…」
その後霧の湖は湖底には返事もしない○○と、それを大事そうに抱えているわかさぎ姫がいた。
あっ…こっから先は投稿者の感想とかです、興味ない人は読んでくれてありがとうございます。
まず、個人的に好きなわかさぎ姫のヤンデレが見れて満足です。向こうにもここもわかさぎ姫ヤンデレは見受けられないので…。
次にやっぱり人魚ってこともあって童話が結構参考になったんでしょうね、結末もどっちを引き込みに行くのか少しワクワクしてました。まぁ自分が思い付いたラストとして足生やさして暴れさせるのも面白いかと…。
今後も東方のヤンデレが増えるといいですねー、できればお花系じゃなくて異性で女性がヤンデレるのがいいですね…。
ここまで読んで下さった方々には本当にありがとうございます、機会があったら自分もヤンデレ系に挑戦してみたいです。
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ヤンデレ成分足りない自分に友人から早いクリスマスプレゼント貰いました、嬉しいです。
(※作者=投稿者ではありません、貰い物を少し編集しました。許可は友達だから別に何してもいいっていってました。)