No.742589

手編みマフラーと夜空の雪[榛名]

時雨皆人さん

pixivであげてるものを投稿

2014-12-09 17:43:28 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:741   閲覧ユーザー数:726

季節は秋から冬になり息も白くなる季節となった鎮守府での出来事・・・

 

 

「そろそろ今年も終わるな・・・」

「そうですね、提督」

「なんというかあっという間だったな」

「はい、本当にあっという間でした」

 

 

提督と秘書艦である榛名は執務をこなしながら話していた

 

 

「そろそろ雪も降り始めそうだな、防寒対策をしっかりとして風邪を引かないようにしないと」

「お仕事に風邪は辛いですからね」

「少し休憩しようか」

「はい、お茶を入れてきますね」

「頼むよ」

 

 

そう言って榛名は一旦執務室から離れた

 

 

「提督にクリスマス何を渡そうかしら・・・」

 

 

榛名は休憩時間にクリスマス特集の雑誌を読みながら考えていた

するとあるページに目が止まった

 

 

「手編みマフラー・・・榛名にもできるのでしょうか・・・」

 

 

榛名が見ていたページは手編みマフラーを彼氏にプレゼントしようという特集だった

 

 

「こうなったらしっかりと作って提督に渡します!!」

 

 

榛名は密かにマフラー作ることを決心したのだった

 

 

決心をして数日後のある日・・・

 

 

「・・・るな・・・」

「・・・・・・?」

「おい榛名!!」

「!?」

「大丈夫か?疲れているなら休んだほうがいいんじゃないか?」

「は、榛名は大丈夫です・・・」

 

なんと榛名が執務中に居眠りをしていたのだった

それもそのはず、夜なべをしながらマフラーを編んでいたのだから

それを悟られまいと榛名は必死にごまかす

 

 

「本当に大丈夫なのか?」

「はい、だから心配なさらないでください」

「・・・無理はしないようにな、それと今日はもう仕事はないから早く休むといい」

「そうさせていただきますね・・・」

 

 

榛名は執務室を後にした

 

 

「榛名のやつ・・・心配だな・・・」

 

 

提督の声はそのまま誰にも聞かれず消えていった

 

 

 

「ヘーイ榛名~まだ作ってるんデスカ?」

「金剛お姉さま・・・はい、もう少しで完成しそうなんです」

「ソウデスカ、榛名ファイトよ~」

「はい!」

 

 

金剛と話しながら榛名は黙々とマフラーを編んでいった

 

 

 

そしてクリスマス当日

 

 

「よ~し今日は一日休みだ!明日に響かない程度にはしゃげよ~」

「「「はーい!!」」」

 

 

みんなは元気よく返事をしてパーティーを始めた

提督は会場の端で少しずつ酒を飲んでいた

 

 

榛名は金剛たちとパーティーを楽しんでいたが

 

 

「ほら榛名、テートクは今一人だから渡しに行ったら?」

「でも・・・その・・・」

「榛名はもっと気持ちを出してもいいと思うよ?」

「比叡お姉さま・・・」

「私の計算では確実に成功すると思うわよ」

「霧島・・・」

「頑張りなさい榛名」

「榛名、提督のところに行ってきます!!」

 

 

榛名はそう言って提督のもとへ向かった

 

 

「金剛お姉さまはよかったんですか?」

「今日は妹にリードを許すけど明日からは私も負けないデース」

 

 

提督は一人で飲んでいると榛名が近づいてきた

 

 

「提督、ご一緒してもよろしいですか?」

「榛名か、大丈夫だぞ」

「となり失礼しますね」

「どうだ、楽しめているか?」

「はい、とても」

「それはよかった」

 

 

榛名はとなりでもじもじしながら

 

 

「あ、あの提督」

「ん?」

「あう・・・えっと・・・その・・・」

「榛名?」

「こ、これを受け取ってください!!」

 

 

そう言って榛名は提督に紙袋を手渡した

 

 

「これは・・・手編みマフラーか」

「はい」

「もしかして最近寝不足だったのってこれを編んでいたからなのか?」

「そうです、どうしても提督に手作りをプレゼントしたくて」

 

 

榛名は少し照れながら話した

 

 

「・・・少し外に行こうか」

「わかりました」

 

 

そして二人は外へ出て行った

提督は早速榛名からもらったマフラーをつけた

 

 

「暖かいな」

「本当ですか?」

「あぁ、本当にありがとう榛名」

 

 

提督はお礼を言いながら榛名を見た

榛名は何かを決心したようだ

 

 

「提督、私は・・・」

「うん」

「私はあなたをお慕いしてます、ずっとそばに居たい」

「榛名・・・」

「だから、その・・・」

 

 

提督は榛名を抱きしめた

 

 

「え、提督?」

「はぁ、本当は俺から言うはずだったんだがなぁ・・・」

 

 

提督はそう言いながらポケットから小さな箱を出した

 

 

「榛名、俺とケッコンカッコカリをしてください!」

「はい!」

「ありがとう」

 

 

提督は榛名の左手薬指に指輪をはめた

その瞬間空から雪が降ってきた

 

 

「提督、雪が・・・」

「ホワイトクリスマスだな」

「私はあなたのそばにいます、これからもずっと」

「俺もだよ榛名」

 

 

二人は空から降る白い贈り物を見ながら手をつないだ

 

 

 

 


 
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