黄巾党が大陸各地で出没し、その猛威を振るい始めてからも朝廷は何も対応しようとはしなかった。それをいいことに、賊に身を落とした者が続々と黄巾党が加入し、黄巾党の勢力範囲は日々拡大していた
ようやく事の重さを理解し、大将軍である何進を中心に黄巾党討伐軍を編成するが、才に乏しい何進、そして訓練もろくに積んでいない兵士達が黄巾党に勝てる訳が無く、討伐するどころか逆に蹂躙されてしまう始末。
何進は自分の失態をもみ消そうと有力諸侯に討伐の命を下す
幽州の劉備も命を受けた1人であり、何進敗退の報を受ける前から日々戦の準備を進め準備完了まであと少し。
最後の詰めを行う為に執務室で書類とにらめっこしている劉備の下へ、彼女の軍師である諸葛亮が姿を見せた
孔明「桃香様、お仕事中申し訳ありません。桃香様にお会いしたいとお客様が参られています」
劉備「お客さん・・・?誰だろ?」
お客さん?黄巾党が横行している事に憤りを感じて仕官しに来たのかと考えるが、それならば黄巾党が出没し始めてすぐに来るハズとその考えを放棄する
孔明「それが・・・凄い人が来られて驚いちゃいました」
凄い人・・・
自分の軍師である伏龍がそこまで評価するなら一角の人物。
自分の知り合いに1人思い浮かぶが・・・あの人が来るはずないよねと思いつつも、もしかしたらという気持ちが強くなった。
高まる鼓動を抑えつつ、誰が来たかと聞き返す
劉備「それで……誰が来たの?」
孔明「呂珂さんです。襄陽でお会いした周泰さんとご一緒です」
やっぱり呂珂さんだった!
何の用で自分を訪ねに来た理由は解らないが、呂珂が会いに来てくれた事実に劉備が嬉しがり、目に見えて機嫌がどんどん良くなっていく。
そんな主君の変化を微笑ましく思いつつ、劉備から一歩遅れて一刀達をお待たせている謁見の間へと2人で歩みだす。口には出さなかったが、孔明も一刀に一種の憧れを抱いており、会えるのを嬉しがっているのだ
2人が謁見の間に到着すると、一刀を囲むように龐統、張飛、韓当が並んでいた。
聞こえてくる話から、天水での戦いの詳細を聞いているようだ。
士元「あわわ、そんな戦術で勝てたんでしゅか!」
一刀「戦術は考えずに、強引に力でねじ伏せただけなんだけどね」
張飛「はにゃ~2人がなに話してるか解らないけど、呂珂のお兄ちゃんが強いのはわかったのだ!」
韓当「うむ、わしも武には自信をもっていましたが・・・まだまだ精進がたりんようじゃ」
張飛「おじちゃん!今日から鈴々と特訓なのだ!」
韓当「おうやるぞ!」
天水での一刀の武勇伝は遠くの幽州にも鳴り響いており、一刀の武功には一騎当千と称される張飛、張飛には劣るが優れた武勇の持ち主である韓当も舌を巻く程だ。そして、そんな一刀の武勇伝に触発される形で張飛と韓当のやる気も高まった
劉備「呂珂さんお待たせしました!」
一刀「劉備さんお久しぶりです。本日は急な来訪にも関わらず、お会いいただきありがとうございます」
公式の場なので一刀は腰を低くして礼を尽くす。
劉備も礼を返すべく、1回コホンと仕切りなおす
劉備「こちらこそわざわざご足労いただき感謝します。本日はどうしてこの幽州に参られたのですか?」
呂珂「既にご存知だと思いますが、黄巾党の対応について協議をしたく参上いたしました」
先ほどの緩い空気と一変し、空気が引き締まりいい緊張感の中で話し合いが出来ていた。緩いときは緩く、締めるときは締める。一刀陣営と劉備陣営の共通点でもあった
劉備「黄巾党の対応ですが…具体的に呂珂さんから提案があるのですか?」
一刀「何進率いる官軍が敗北したせいで、黄巾党の勢いが増しています。このまま増長させない為にも・・・俺は兵を興します」
それだけで稀代の智謀を持つ孔明、士元には一刀の言わんとする事を理解したようだ。
そんな軍師2人に少し遅れるが、劉備にも一刀の意図は伝わったようだ
劉備「呂珂さんの挙兵に合わせて私達も討伐軍を興し、各個撃破されるのを防ぐために連携して動こうって……でいいのかな雛里ちゃん」
士元「その通りです。呂珂さんの目的はそれだと思います。相手は理性を捨てた獣です、そんな獣相手ならば被害は最小限に抑える事が出来るハズです」
一刀「さすが伏龍鳳雛と名高い小さな軍師達だ。仲間に出来なかったのが痛いな」
一刀がからポロっと出てしまったボヤキが聞こえたのか、2人はすみません・・・と小さく縮こまってしまった。
それを見て慌てた一刀は、すぐに2人の事を責めてないのだと2人に伝え、なんとか機嫌を直してもらう事に成功する
劉備「ひとつだけ聞きたいのですが、私達のほかに連携が取れる勢力はありますか?流石にわたし達と呂珂さん達だけでは兵力が足りないとかと・・・」
劉備の懸念は兵力不足。敵は烏合の衆と言えど、数の暴力に押されれば被害は甚大になる。優れた”個”も覆い尽くされれば為す術がないのだ
一刀「今俺の仲間が陳留の曹操、南陽の袁術の下に向かっています。あくまで俺の予想になりますが、確約を取れると思います」
本来であれば冀州に拠点を構え、大勢力となっている袁紹も誘うべきなのだが、彼女の性格上、足並みを揃えて戦う事は困難だと判断して誘っていなかった
足並みを揃えられ、尚且つ力を持つ諸侯は劉備、曹操、袁術ぐらいしか存在しない・・・あとは有象無象の勢力ばかりなのだ
劉備「まずは自分達の領地内に出没する黄巾党を駆逐し安全を確保。その後に合流の流れで大丈夫ですか?」
一刀「自国を優先するのは当たり前のことです。私には領地がありませんので、挙兵しだい付近の黄巾党を討伐し、その勢いで幽州付近の黄巾党を攻めます」
合流する時期は決まった。
劉備は孔明、士元に書類の最終確認を、と韓当には兵の調練を急ぎ終らせるように命を下す。
客人である一刀と明命に一礼し、与えられた仕事の持ち場に向かう。
残ったのは劉備、張飛、一刀、明命だけと思われたが・・・今まで声を発さずにいた人物が残っていた
魏延「桃香様!私はなにをすればいいのでしょうか!桃香様の身の回りの世話、外敵の駆除などなんでもお任せ下さい!」
突如声を発した主、魏延の存在をみな気が付いておらず、主君の劉備ですら完全に驚いていた
張飛「焔耶大声でうるさいのだ、これだから猪は困るのだ」
魏延「なんだと!貴様も私同様に猪ではないか!」
魏延は自分と同じ猪だと思っている張飛にだけは言われたくと反論する。魏延に自分と同類だと言われるも、胸を張りながら堂々としている
張飛「鈴々は焔耶とは違うのだ!鈴々は姉ちゃんのお仕事の手伝いだったやってるし、会議にも出席しているのだ!」
まだ仕えて日が浅い魏延は、張飛のやんちゃな面しか見ていなかった。それゆえに自分と同類だと断定していたが、明かされた事実に驚愕の色に染まる
魏延は張飛の見栄を張った戯言だと否定して欲しく、劉備に視線を向けるも・・・劉備は鈴々ちゃんが手伝ってくれるからお姉ちゃん助かってるよ。っと完全に姉バカ状態で甘やかしていた。
崩れ落ちそうな膝をなんとか両手で支え、なぜか味方であるはずの張飛に向かって吠え出す
魏延「鈴々!私と勝負しろ!私が勝てば、お前の変わりに桃香様の政務を手伝わせてもらう!」
張飛「鈴々が勝ったらどうするのだ?」
魏延「はん!私がお前に負けるハズがないだろうが、私が負けたら好きなだけご飯を食わせてやる」
ご飯をたらふく食べられる・・・
普段は自分のお金の残りを考えて食べる量を抑えているのだが、お代を気にせず食べられる……この誘惑は張飛の全力を引き出すには充分すぎる程効果覿面だった
張飛「わかったのだ!来い、焔耶!鈴々が叩き潰してやるのだ!」
魏延「ここにきてから勝負は禁止されていたからな!暴れてやるわ!」
意気揚々と魏延は張飛を連れて中庭に向かう
魏延は自分が負けるとは全く思っていない
しかし先ほどフラグを自ら立て、燕人張飛が全力を開放したのだ
魏延「ウギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
張飛「なんだもう終わりなのか~つまらないのだ」
勝者と敗者の図。この結果は誰にでも予想出来た結果だった
劉備「なんかごちゃごちゃしちゃったけど……一応落ち着いたのかな・・・?」
中庭では勝者の張飛が敗者の魏延の襟元を引っ張りながら城下町にある行きつけのお店へと向かう。完全に劉備の護衛でこの場に留まっていた事をすっかり忘れてしまっていた
劉備は身内の恥ずかしい所を見られたとボヤいていたが、一刀は劉備陣営も賑やかな場所だなと微笑んでいた。
このまま和やかな雰囲気で謁見が終ると思われたが、異変を知らせる急使が飛び込んできた
伝令「会議中すみません、ただいまこの琢郡で黄巾党が現れました!その数5万!ただいま義勇軍と思われる3千が食い止めるために奮闘中です!」
劉備「その義勇兵はの詳細などは解りますか?」
伝令「見たことのない旗だったのですが、緑地に黒字で『十』の旗印が確認されています!」
(十文字・・・・義勇軍・・・まさか!)
劉備「その義勇兵の方々を見捨てるわけにはいきません、すぐに出陣します!すぐにみなにその情報を知らせてください!」
伝令兵「御意!」
劉備「呂珂さん、わたし達は黄巾党を討つべく撃って出ます。呂珂さんはこのまま城内で・・・呂珂さん?」
ここでようやく劉備は呂珂が居なくなってる事に気がつき、辺りを見回すが姿は無かった。
ここで劉備に一つの考えにたどり着いた
劉備「まさか・・・呂珂さんは周泰さんを連れて戦場に・・・?」
劉備の懸念は当たっていた。
十文字の旗印を聞いた瞬間に明命を連れて戦場に向かっていたのだ。
どんな理由があって呂珂が飛び出していったのかは解らないが、ここは自分が統治する地。どんなに親密な間柄であっても、自国の民とそれを味方する者達を護る役目は自分達だ
劉備「みんな出陣!黄巾党達に幽州の守護者は誰なのか・・・刻みに行くよ!」
凪「ハァァァァ!猛虎襲撃!!」
李典「うちの螺旋槍はすべてを貫くで!」
于禁「このふにゃちんども~おされてるぞ~相手は生まれたての蛆虫なの!お前達は沙和の訓練を受けて生まれ変わったふにゃちんどもなの!そんなお前達は生まれたての蛆虫共に蹂躙されるのかー!」
義勇軍「さーのーーーさーー!」
于禁「ならば気合をいれろなのー!生まれたての蛆虫共に格の違いを見せてやれなのー」
義勇軍「さーいえっさー」
于禁「声が小さい!もう一度返事なの!」
義勇軍「さーいえっさーー!!!!」
于禁「必ず援軍は来るの!それまで方円の陣をで持ちこたえるの!沙和の許可なく死んだものは死体に**を入れて埋葬してやるの!わかったら生き延びろなのビチクロ野郎共!!!」
義勇軍「さーいえっさーー!!!」
李典「凪!無茶するのもええ加減にせい!うちらが来なかったら完全にやられてるやろ!」
于禁「そうなの!親友の沙和達に何も言わずに飛び出すなんて水くさいの!
とある人物の噂を聞きつけた楽進は誰にも言わずに村を飛び出し、1人でこの幽州まで来ていたのだ。親友である李典、于禁は楽進が居なくなった事に気が付き、慌てて義勇兵を率いて助けにやってきたのだ
楽進「すまない、いてもたってもいられなくなって」
李典「まあ、凪に振り回されるのにも慣れとるし、とやかく言う気はないんやけどね」
于禁「沙和達も迷惑かけてるし、お相子なの!」
本来であれば李典と于禁が迷惑かけている回数が多いのだが、友情にうるっとしている楽進は気が付かなかった。
そうこうしている間に、どんどん自分達の回りに黄巾党が集まり始める
凪「私が道を切り開く、お前達は切り開いた道を広げてくれ」
真桜「了解や!」
沙和「了解なの!」
楽進は足にためた氣の塊を上段の蹴りとともに放つ必殺技、猛虎蹴撃を繰り出す
楽進「ハァァァァァァァ!猛・虎・襲撃!!」
???「猛虎襲撃!」
放たれた気弾は広範囲に及び、被弾した黄巾党は1人残さず吹き飛ばさる
気弾の着弾点には大きなクレーターが出来ていて、その威力の高さを物語っていた
李典「凪・・・威力が上がってへんか?」
楽進「違う・・・私はあそこまでの威力は出せない。誰かが同じのを撃ったんだ」
自分の必殺技を模倣された事に動揺する楽進。
その一方で、楽進と同じタイミングで、同じ技を放てる人物など1人しか居ない。李典と于禁はその事に気が付き、にやにやと笑っているのだが、動揺している楽進はそれに気が付かない。
誰か教えてあげようとした時、楽進の視界にとある人物が移った時に動揺がピタリと治まる。
急に動揺が治まった事を不審に思い、楽進が見つめる方角に視線を向け納得する。
3人が見つける先には・・・黄龍偃月刀を片手に持ち、黄巾党を蹴散らしながら自分達に近づいてくる
北郷一刀の姿を捉えていたのだから
楽進はすぐに視線の先に移る人物の下へ走り出す。彼女の両目からは大量の涙が溢れ視界が悪くなっているが、そんなのお構いなしに速度を上げて前へ前へと走る。
そして・・・その人物目掛けて大声で叫ぶ
凪「たいちょ・・・たいちょう・・・隊長ーーー!」
楽進・・・凪が発した叫びは、遠くに居たハズの一刀の耳にもしっかりと聞こえていた
。
幽州に十文字の旗を掲げてる者達が居ると聞き、期待してなかったと言えば嘘になるが・・・
本当に期待通りになるとは思っていなかったのだ。一刀は色々な感情が沸き上がりながらも、万感の思いを込めて叫び返す
一刀「凪ーーーー!俺はここだーーー!」
叫ぶと同時に一刀も愛すべき部下の下へ走り出す
進路を塞ぐように割り込んでくる黄巾党は一刀と凪が同時に気弾を放ち吹き飛ばす
2人の進路を妨害する存在は消えた
そして2人の距離は無くなり
長い年月を経て再会を果たす
凪「隊長・・・・お会いしたかったです」
一刀「あの時はいきなり消えてごめんね。それと・・・ただいま」
凪「お帰りなさい隊長。華琳様からあの時隊長の身になにが起きていたかは聞いてます。でも……もうなにも言わずに私の前から消えないでください・・・」
再会出来た喜びで感極まり、涙が次から次へと溢れ出し止らない。
そんな凪の両目の涙を優しくすくいながら、ゆっくりと抱きしめる
一刀「ごめんな凪。もうみんなの前から消えることないから・・・泣き止んでくれないかな」
凪「しばらくは無理なので・・・いまは抱きしめさせてください」
一刀「ここ戦場だぞ?まあ俺達らしくていいか」
一刀は凪の要望を聞き入れ、更にギュッと強く抱きしめる。
凪は抱きしめられながら一刀の体温を感じる事が出来て、すごく安心しきった表情を見せていた
戦場ならがも、いちゃつき始める2人を見て、遅れてやってきた李典の突っ込みが発動する
李典「いいわけあるかーい!気持ちは解るけど、敵さん来とるんやからあとにせい!」
于禁「そうなの!凪ちゃんばっかりずるい-!沙和も隊長に抱きしめてもらいたいのー!」
この時始めて楽進が思った
この2人も隊長の事を思い出していると
凪「お前達、いつから隊長の事を」
真桜「いまは細かい話は後やで凪」
沙和「そうなの、今は先にやるべき事があるの!」
凪は真桜と沙和の言わんとする事にすぐ気が付き、3人は同時に一刀に視線を送る
一刀も3人の言いたい事を察し、少し照れながらも力強く言い放つ
一刀「凪、真桜、沙和…行くぞ、俺に付いて来い!」
凪「はい、この楽文謙の居場所は隊長の傍のみ。どこまでもお供します」
真桜「もちろんや、隊長が嫌と言ってもついてくで!」
沙和「沙和達は隊長の部下なの!なんてたって沙和達は」
「魏の治安を守る北郷隊だ!魏の治安を守る北郷隊や!魏の治安を守る北郷隊なの!」
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ぐだぐだになってないかな・・・凪登場