厨房の中に入ってすぐ、スネークは周囲をクリアリングし、カズへ無線した。
「カズ、裏口から厨房へと潜入した。さっき眠らせた女性と、加賀とかいう奴について教えてくれ」
「分かった。まず、先程の女性だが、彼女は間宮。給糧艦だ。非戦闘員という訳だな。次に加賀についてだが、彼女は空母だ。しかも、その鎮守府の第一艦隊のメンバーだ。何とかやり過ごすんだ」
「分かった」
無線を切り、スネークはまず、間宮を近くのロッカーへと隠した。これでまず間宮は片付いた。次は加賀だ。厨房から食堂内を覗き込んでみると、サイドテールの女性が黙々と食事をしていた。彼女が加賀でまず間違いないだろう。凄まじい量を凄まじい早さで食べている。スネークはその事とスピードに非常に驚いた。加賀は残りの料理を直ぐにたいらげ、皿を厨房まで運んできた。スネークは台の陰に隠れ、息を潜めた。幸いこちらに気づくことは無かったが、間宮が居ないことに気づいた。
「間宮さん?いないのかしら」
加賀は辺りを数回見回して、間宮が居ないことを少し訝しみながらも、その場を立ち去った。
「何とかやり過ごしたな。こっちまでヒヤヒヤしたぞ」
「カズ、次は地下へ向かえばいいんだな?」
「ああ、そうだ。夕張から聞き出した情報が正しいなら、そこが牢だ。ただ、その情報が正しいか分からん。」
「情報が他に無い以上、罠だとしても行くだけだ。いつもそうしてきた。今回もそうするさ」
「分かった。言うまでもないと思うが、気をつけてくれよ」
「分かってるさ」
スネークは食堂を出てすぐの階段を降り、地下へと向かった。
地下へと降りると、幾つか牢が並んでいた。「カズ、牢に到着した。見張りは一人確認できる」
「ふむ、まず見張りを片付けろ。ボス」
「了解」
スネークは曲がり角に隠れ、壁をノックした。そして近づいてきた見張りの兵をCQCで片付けた。どうやら見張りは一人のようだ。すると、奥の牢から声がした。
「誰かいるのか・・・?」
「そこか?」
スネークが近づくと、一人の男が牢の中にいた。
「ボス!あなた自身がきてくださるとは!」
「大丈夫か」
「ええ。うまく歩けませんが、大丈夫です」
「分かった。此処を出るぞ」
スネークは牢をピッキングしようとしたが、鍵が特殊な形の物が使われており、ピッキング出来なかった。
「どこからか鍵を探してこないとな。何処にあるか心当たりは?」
「恐らく、提督の執務室かと。この司令部の一番上の階の突き当たりにあります」
「分かった」
「ボス。いざというときは、自分は見捨ててもらって構いません。ボス自身の事を一番に考えてください」
スネークは地下をでて、階段を上り始めた。
この司令部は3階建てだ。しかも、上りの階段と下りの階段がその階の両端にある。つまり、3つの階を通過する必要がある。
「ボス。厄介な事になった。3階まで行くのは、かなりの危険を伴う」
「だがやるしかないだろう。此処で引き返す訳にはいかない」
「そりゃ、そうだが・・・。ハァ、分かった。ボス、階段を上った先のクリアリングは怠らないでくれよ。諜報員も言ってたが、あんたは俺達のボスなんだ。必ず生きて帰ってくれよ」
「分かってる」
一階に戻ってきたスネークは、端末で上り階段の位置を確認した。どうも二つほど店の前を通過する必要がある。明石雑貨店と居酒屋鳳翔と表示されている。店の近くまでくると、明石雑貨店はもう店じまいをしていたが、居酒屋鳳翔はまだやっていた。スネークは息を潜め、店の前を通った。幸いにも気づかれることなく、階段に到着した。そのまま階段を上ろうとすると、店の方から声がした。
「いや~、鳳翔さん、御馳走様~」
「隼鷹さん。飲み過ぎよ~」
「そういう千歳さんだって~」
見事に出来上がった二人組が店から出てきた。そのまま階段を上がろうとこっちに向かってきた。スネークは、階段の傍にあったロッカー内に隠れた。酔ってる二人は気づくことなく、階段を上って行った。
「カズ。彼女達は本当にエリートなのか?」
「俺も分からなくなってきた・・・」
そんな会話を交わしながら、スネークは二階へ上って行った。
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第四話。こないだ陸奥とケッコンしました。長かったよ・・・。重婚はしない。陸奥一筋なので。