No.74118

真・恋姫無双外伝~覇王の願い~帰還編vol.8『望まない帰還』

真・恋姫無双(魏ED)のアフターです。
いつの間にか、ランキング入りなんぞをΣ('';
こんな初心者がビギナーズラックもいいところですが、本当にありがとうございます!
これからも無い頭をひねり倒して書いていこうと思うのでよろしくおねがいします!

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2009-05-17 15:04:52 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:17372   閲覧ユーザー数:14618

 

 

【一刀】「正史と外史…」

 

ベッドに腰かけ、つぶやく。

 

そればかりが脳を駆け巡り、それ以外の機能を停止させる。

 

思考の螺旋から抜け出ようと、頭を振り、立ち上がる。

 

 

外史を破壊する。

 

―――――違う

 

正史…現実を守る。

 

―――――違う

 

華琳達を…

 

―――――違う!!

 

 

 

何度叫んだろう。

 

それは違うのだ。

 

俺がしたいことではない。

 

【一刀】「俺が…やりたいこと……」

 

そう、俺がしたいこと。

 

それをしなければならない

 

世界を守るなんて今時テレビでも言わないようなことがしたいわけじゃない。

 

俺はただ帰りたいだけだ。

 

そのためなら、もしこちらに戻れなくなっても…

 

それでもよかった。

 

そう、今の俺にとってはすでにむこうが現実。

 

ならば悩む必要などなかった。

 

 

なのに――――

 

 

何故俺は迷っている。

 

そうだ。

 

別にこっちが崩れ去ったところで―――――

 

【一刀】「――――ふざけるなっ!」

 

……それが出来れば、俺はどれだけ幸せだろう。

 

手が痛む。

 

壁を殴っていたようだ。

 

干吉が言った様に答えは決まっていた。

 

拳をほどいて、大きく息を吸う。

 

【一刀】「行かなきゃな」

 

息を吐き、意思を固める。

 

答えは決まっている。

 

でも―――

 

その答えは、俺が出す。

 

用意されたものを選ぶつもりはない。

 

 

―――俺は天の御遣いなのだから―――

 

満月。

 

前回と同じく、月が栄えわたる夜。

 

同じ時間、同じ場所に同じ人間がいた。

 

 

【左慈】「覚悟は決まったか。」

 

【一刀】「ああ。…今度は本物なんだろうな?」

 

少し怒気を含ませぶつける。

 

【干吉】「前回は貴方に手っ取り早く理解していただくためにあんな方法をとりましたが、今回のこれは本物です。」

 

【一刀】「……」

 

信用できるはずがないが、疑っても意味はなかった。

 

【左慈】「では、目的を今一度明確にするぞ。でなければ進入することもできんからな。」

 

【一刀】「……」

 

【干吉】「北郷一刀。」

 

【一刀】「ああ。俺はあの世界……」

 

ふと、華琳たちの顔が思い浮かぶ。

 

【一刀】「あの外史を…」

 

それと同時に経験した思い出までも高速再生される。

 

そしてそれを…俺は。

 

【一刀】「『終わらせる』」

 

 

【左慈】「いいだろう。では行くぞ。」

 

左慈が鏡を掲げる。

 

今度は1枚の鏡。

 

それは月の光を吸収し、増幅し、乱反射させる。

 

少しも割れることなく、世界を白で満たしていく。

 

【一刀】「くっ・・・・・」

 

まぶしすぎる光景に腕で目を覆う。

 

やがて視界が白で満たされていくと同時に意識が遠のいていく。

 

 

【春蘭】「華琳様!!」

 

ドンッという音とともに春蘭が部屋に飛び込んできた。

 

【華琳】「春蘭…私は今、読書をしているのだけれど。それと入るときはノックしろと言わなかった?」

 

【春蘭】「も、申し訳ありません。華琳様!ですが…その…」

 

【華琳】「…ふう。いいわ。何かしら?」

 

【春蘭】「は。それが…城壁で見張りの者からの報告なのですが、東の空に流星が流れ、光とともに地に落ちたと」

 

【華琳】「流星…?」

 

まさか・・・・・

 

それはずっと望みつつ、一度はあきらめた願い。

 

覇王として―――

 

ひとりの少女として―――

 

唯一手に入れられなかったもの。

 

【華琳】「……っ!春蘭!急いで馬の準備をなさい!」

 

【春蘭】「は!」

 

 

 

 

 

街の入り口に用意させた馬に乗り、少女は駆け出した。

 

流星の落ちた東へと向かう。

 

それは永遠にも感じられる時間を走り続ける。

 

ただ、そこにあるものを信じて――

 

 

【華琳】「はぁ・・・はぁ・・・・」

 

【霞】「この辺らしいんやけどなぁ・・・・」

 

知らせを聞いた、霞も自らの馬を持ち出し、飛び出していた。

 

報告によれば、この辺りで大きな発光―――それこそ太陽が落ちたような光があったらしい。

 

 

 

【霞】「かずとぉぉーーーーーーーー!!」

 

霞が大声で一刀の名を呼ぶ。

 

それでも反応はなかった。

 

【華琳】「・・・・いな・・い?」

 

【霞】「うちはもうちょいあっちの方さがしてみるわ。」

 

【華琳】「そうね。お願い」

 

いないはずはない。

 

そう確信めいたものがあった。

 

しかしそれも願い――願望の域を出ていなかった。

 

それから、数刻後、霞達と合流したが

 

結局、その日を全て探索に当てたのだが、一刀を見つけることは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 


 
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