晴れ渡った空――――。
交流のためにひらいた『ぱーてぃ』も終幕に近づいていた。
これで…ふっきれた。
いえ、どちらでもいい。
でもこれで、泣く必要はなくなった。
思い出すたび、笑えるはず。
【華琳】「かずと……」
約束を交わそう。
絶望からうまれるものではなく、
希望を見出すものとして
【華琳】「………また」
空を見上げる。
―――また、会いましょう。一刀―――
声が、聞こえた気がした。
ここ最近はずっとこんな夢ばかりだ。
華琳を中心に魏のみんなのことばかり見る。
目を開けて、身を起こす。
体中が少し痛い。
考えてみれば、布団に入らず、そのまま寝たんだった。
寝汗がひどい。
汗をながすためにシャワーに行く。
―――ザアァァ
大量のお湯を頭からかぶる。
シャワーを流したまま、しばらく床を眺める。
水の流れを見ているうちに、干吉とのやり取りを思い出す。
【一刀】「膨らみすぎた?」
【干吉】「ええ。本来終端を迎えるはずだった外史は自らの意思でその起源である貴方を排除した。」
【一刀】「…え?…ちょ、ちょっと待て。俺がここへ戻ってきたのは華琳…曹操の覇道が成就したからじゃないのか?」
【干吉】「覇王・曹孟徳の悲願は大陸の統一による平和を迎えることだったはず。ですが、現在のあちらの状況は3国による天下三分として成り立っている。」
【一刀】「あ…ああ。だが、曹操も最後はそれを望んだから…」
【干吉】「大局に逆らうな。逆らえばそれは身の破滅を呼ぶ。…そして貴方は本来ある歴史を捻じ曲げ、彼女に天下を与えようとした。」
【一刀】「ああ。」
【干吉】「外史において…本来ある歴史。つまり正史は一切干渉することはまずありえない。」
【一刀】「……どういうことだ?」
【干吉】「正史からどれほど外れた歴史を歩もうと、それはその外史のひとつの形なのですから、それが終端になりうることはない。創造主が望まない限り…ね。」
【一刀】「だったら、どうして…俺は…」
【干吉】「貴方はあの外史を成長させすぎた。それ故に、貴方は貴方の創り出した外史そのものに認識させてしまった。貴方が、あの外史の終端であるとね。」
【一刀】「だから…俺はあそこから追い出された…ってことか」
【干吉】「はい。こうなる前に我々が干渉すればよかったのですが、私も左慈も別の外史にいましたから、対処が遅れました。そして、今となっては我々ではどうにもなりません。」
【一刀】「どうにもならないって…じゃあなんで―――」
言いかけて、疑問が上る。
【一刀】「終わりの来ない外史は…どうなるんだ…?」
【干吉】「………終端を自ら排除し、成長していくだけの意思と力を持つ世界など、それはもはや外史ではありません。私の知る限り…そんなものはこの正史以外ありえない。」
【一刀】「………」
何もいえなかった。
干吉の口調や雰囲気から…最悪の結論を想像してしまった。
【干吉】「大樹から枝分かれした枝が、大樹そのものになるなど、ありえない。あってはいけない。それは大樹自身の崩壊を意味しますから」
あの世界で生き残るだけの頭のキレはある。
先読みしようとしてしまう自分が恨めしい。
【一刀】「だから…俺に選べというのか…?」
【干吉】「選択できるほどの余裕があれば…ですが。どちらにせよ、もう一度貴方にはあちらへ行っていただきたい。今度は本物の貴方の外史へね。」
【一刀】「俺は…脅迫じゃなくて、説明がほしかったんだけどな…」
【干吉】「次の機会までもう少し時間があります。その間に覚悟を決めておいてください。」
【一刀】「……………」
―――あの外史を破壊する覚悟をね―――
―――ザァァァ
雑音が心を落ち着けてくれる。
【一刀】「俺に…どうしろっていうんだ…」
そればかり、頭を巡る。
必死に会話の意味を反芻する。
でも、どう都合のいい解釈にしようとしても
結論は同じだった。
以前、俺は似たような境遇にあったらしい。
終端がおきる瞬間に別の外史を生み出すことで乗り切った。
でも―――
そんな記憶はない。
記憶喪失なんてものを抱えたこともない。
それに、
【一刀】「俺が……終端…」
決定的だった。
華琳達の世界を終わらせなければ
現実が壊れる。
だから
俺に
壊せといった。
俺に。
選べる…わけがなかった。
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真・恋姫無双(魏ED)のASです。
ようやく、目的がはっきりしてきました。
というか、6までは魏EDの一刀消失~華琳立ち直るまでなんですけども。
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