No.73925

真・恋姫無双外伝~覇王の願い~帰還編vol.6『胡蝶の夢』

真・恋姫無双(魏ED)のASです。
次あたりで話の本筋にはいろうと思います。
あと、少し悩んだのが、メイド喫茶にはいるかどうか。
ただ、ボク自身行ったことないので、あえてスルーしましたw

続きを表示

2009-05-16 13:53:50 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:19028   閲覧ユーザー数:15871

外史――――

 

突端を開かれ、終端に帰すもうひとつの世界。

 

人の願いが形となった世界。

 

それは、終端を迎えることで、新たな外史を生み出す。

 

もし、それが、

 

終端が訪れなかったら―――

 

終端を打ち消すほどの意思と力を持てば―――

 

 

そして、俺は願った。

 

華琳は言った。

 

――あなたが側にいないことを後悔するほどの世界を作ってあげる―――

 

華琳なら出来る。そうしてほしいと、

 

願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【一刀】「・・・・・・」

何も考えられなかった。

湿った風が頬をくすぐる。

戻ってきた。

そう、戻ってきたのだ。

 

 

俺は・・・『帰る』ことが出来なかった。

 

いつもより力をこめて歩き出す。

足に触れたもの全てを踏み潰すように、一歩一歩踏みしめて歩いた。

希望を見せられたのだ。

俺が一番望むものを。

 

 

寮に戻る道の途中、誰ともすれ違うことはなかった。

世界に自分しかいないような錯覚にめまいを起こしそうになる。

自分の部屋の前に着き、ドアノブに手をかける。

だが、そこで静止する。

 

入りたくなかった。

 

入れば、自分がどうなるのか、わかってしまうから。

 

ドアノブを握る手に力がはいる。

ただ、お前は帰れないと告げられるほうが、どれだけマシだろうか。

【一刀】「――――っ」

力をこめた右手が赤くにじむ。

結果として、干吉から与えられた言葉は、

『帰ることができる』というものだった。

 

だが、俺には・・・

少なくとも、今は

 

選べなかった――――。

 

 

 

 

 

どれほど、そこに立ち尽くしていたのだろう。

戻ってきたきた時には夕方だった空もずいぶん暗くなった。

 

観念して、部屋に入る。

考えることを避けようとベッドへ倒れこむ。

自分が思っていたより疲れていることに気づいた。

【一刀】「時差・・・滅茶苦茶だもんな・・・。」

独り言でも、少しは気分がかわらないかと何かをつぶやく。

やがて意識が朦朧としてきたことで安心する。

暗闇に吸い込まれる意識の中で、自分にすら聞こえるかどうかという声で最後につぶやいた。

【一刀】「・・・・・華琳・・・ごめん・・・」

 

夢。

 

誰かの心が軋みをあげて、今にも崩れそうなイメージ。

 

音もなく、ただその哀しみと絶望だけが流れ込む。

 

 

【??】「・・・・ん・・さま」

【華琳】「ん・・・」

声が聞こえてきたことで意識を水面上へ引き上げる。

【春蘭】「華琳さま・・・」

【華琳】「春蘭・・・おはよう。」

【春蘭】「おはようございます・・・大丈夫ですか、華琳さま?ずいぶんうなされてましたけど」

【華琳】「・・・・大丈夫よ。それより、春蘭。仕度をするから手伝ってくれるかしら?」

まだ少しぼやけた頭を覚醒させていく。

【春蘭】「あ、はい!」

 

今日は休暇をとり、春蘭達と街へ行くことになっている。

仕度を済ませたあと、秋蘭とも合流し、街へ向かった。

 

――――ガヤガヤ

 

今日はずいぶんと人が多い。

【華琳】「・・・何かあるのかしら。」

【春蘭】「あれではないでしょうか。新しい・・・茶屋がでるとか。」

【秋蘭】「めいど喫茶・・・というらしいです。」

【華琳】「めいど・・・?」

そういえば、以前一刀が職人に作らせていた服もそんな名前だった。

【秋蘭】「店員の着ている服装が、全てその『めいど』・・・というものに統一されているそうですが、詳しくは・・・」

【華琳】「ふぅん・・・面白そうね。」

【春蘭】「よってみますか!?」

春蘭の声が少し大きくなる。

【華琳】「いえ、今度にしましょう。あれだけ人が混んでいる中でとても茶など楽しめそうもないし」

【春蘭】「はぁ…そうですか」

明らかに残念そうにする春蘭。行きたかったらしい。

【秋蘭】「そう落ち込むな、姉者。今度私といこう。」

【春蘭】「本当か…?」

【秋蘭】「ああ。」

【春蘭】「よし!では、華琳様!次に行きましょう!」

【華琳】「…ふふ。そうね」

楽しい。素直にそう思える。

この子達がいれば、私は私でいられる。

 

その日の夜。

街から戻ってきた後、夕食をすませ、昼間のうちに届いた案件に目を通す。

 

【華琳】「3国交流…」

 

それは魏・呉・蜀の親睦を深めようとする案。

それも、必要なのかもしれない。

しかし、これだけでは何か物足りなかった。

【華琳】「ぱーてぃ…」

それは、一刀の世界の言葉。

そうだ。これがいい。

そして、伝えよう。

私は大丈夫なのだと。

 

伝わるかは…問題ではない。

ただ、誓いたい。

誰よりもあいつに。

そして自分に。

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
129
8

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択