No.738901

恋姫OROCHI(仮) 弐章・壱ノ肆 ~二手に~

DTKさん

どうも、DTKです。
恋姫†無双と戦国†恋姫の世界観を合わせた恋姫OROCHI、35本目です。

弐章の壱も今回で最後。
次回からようやく、他の人の救出編に入ります。

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2014-11-22 23:21:50 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:3825   閲覧ユーザー数:3339

 

 

 

孫呉、そして武田と、大きな力になってくれそうな大勢力の置かれている状況が整理できた。

両方とも、今すぐどうこう出来る状況ではなさそうだが、今後活きてくることもあるだろう。

ただ、いま動けるような情報がないのも事実だ。

 

「う~ん……そうだ。凪姉ちゃん、何かないかな?都から洛陽までのことしか分からないだろうけど…

 どんな些細なことでもいいから、何か気になる事とかなかったかな?」

「そうだな……」

 

凪は目を閉じ、しばし考え込む。

 

「……一つだけ」

「え?」

「一つだけ、道中気になる噂を耳にした」

「それって、どんな?」

「化け物が出ると言うのだ」

「まさか……鬼!?」

「分からない。というのも、噂には大きく分けて二つの話があるのだ」

「二つ?」

「あぁ。一つは、その化け物が人を襲うという話だ。山のような巨体でありながら、信じられない早さで動く化け物。

 頭には獣のような角が生え、返り血を浴びた頭髪や肌は真っ赤に染まっている。と言うのが話の大筋だ」

「なるほど…」

「うぅ……怖いの…」

 

鞠の言うとおり、怪談の類に近い。

鬼の可能性も充分にあるけど…少し気になる。

 

「それで、もう一つは?」

「それが…一つ目とは正反対なんだ」

「正反対?」

「その化け物は、悪い化け物を倒してくれる、神仙のような存在である、と…」

「なんやそら」

 

百八十度逆の話に、思わず霞が突っ込みをいれる。

 

「化け物には二種類いる、という話なんです。ある村で実際、悪い化け物に襲われた村人が、その化け物に助けられたそうなんです。

 勇ましく戦い、名も名乗らず立ち去ったその姿は神々しく、化け物というよりは、まるで天女のようだった、というんです」

「天女?その化け物は女性なの?」

「確証はない。性別に関してはこの話しかなかった」

「そっか…」

 

化け物…

鬼にしても、そうじゃないにしても、一度調べてみる価値はありそうだな。

 

「他に何か思いついたこととか、ある人はいる?」

「剣丞さん」

 

剣丞の呼びかけに、月が手を挙げる。

 

「ん?なに、月姉ちゃん」

「ご主人様のお力も、お借りしてはいかがでしょうか?」

「ご主人様…って、一刀伯父さんのこと?」

「えぇ。確かご主人様は、いま陳留にいらっしゃるはずです」

「あぁ。隊長は真桜や沙和、あと風さまと陳留にいらっしゃるぞ」

「あの辺はきな臭くなかったの?」

 

詠が凪に聞く。

 

「今は分かりませんが、少なくとも私が許昌の春蘭さまに援軍を乞いに行ったときは、あの辺りに異常はありませんでした」

「なるほど…」

 

過去に飛ぶことばかり考えてたけど、その必要もなく一刀伯父さん、この世界の中心人物に協力を仰げるなら、それに越したことはない。

 

「ありがとう、月姉ちゃん。視野が広がったよ」

「どういたしまして」

 

ニッコリと微笑む月。

 

「これで一通り話が出揃ったかな?それじゃあ申し訳ないけど、詠姉ちゃん、雫、湖衣、それと幽はこの後残ってもらいたい。この後の流れを詰めようと思う」

「仕方ないわね」

「分かりました」

「了解です」

「いや、それがしは…」

「それじゃ、他の人は解散ってことで。また明日、同じ時間に決まったことを発表します」

 

こうして、この日の会議は散会となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日…

 

 

 

「昨日、詠姉ちゃんたちと話し合った結果、二方面作戦を取ることになりました」

 

ほう、との大勢の反応。

 

「一つは、陳留の一刀伯父さんのところへ向かって協力を要請してもらう組。

 そしてもう一つは、俺と鞠の過去へ飛び、駿河を解放する組です」

 

鞠と双葉から息を飲む音が聞こえる。

 

「割り当てを発表します。まずは陳留組。凪姉ちゃん、タンポポ姉ちゃん、そして湖衣の三人にお願いしたい」

「応っ!」「りょーかいっ!」「了解です」

「白装束や鬼がどこに潜んでいるか分からない。湖衣のお家流で警戒しながら、くれぐれも注意して向かって下さい」

 

こくりと頷く三人。

 

「そして駿河組は、俺、鞠、雫、幽、明命姉ちゃん、そして翠姉ちゃんにお願いしたい」

「分かったの!鞠、みんなを助けるのっ!」

 

気合の入った鞠を筆頭に、みな真剣な眼差しで頷く。

 

「それで、あとは…」

「ちょい待ち剣丞!ウチは?」

 

名前を呼ばれなかった霞が割って入る。

 

「うん。霞姉ちゃんには、洛陽の守備を頼みたいんだ。いつまた敵の襲撃があるか分からないからね」

「ちょお、マジかい!?うぅ~……ウチはお留守番かいな…」

 

ちょんちょん、と人差し指を突き合わせ、ふてくされる霞。

 

「霞姉ちゃん。洛陽には月姉ちゃんや詠姉ちゃん、それに一葉と双葉を残していかなくちゃならない。大事な人たちを託せるのは、霞姉ちゃんだけなんだ」

 

真面目な眼差しで熱く語りかける剣丞。

 

「わ、分かった!分かったわ!!そない言われたら受けなしゃーないやん…」

 

やっぱ剣丞は一刀の血族やわぁ…

と、顔を赤らめながら小声で呟く霞。

 

 

 

 

 

「……なぁ、タンポポ」

「なぁに、お姉さま」

「あたしらって、そんなに頼りにならないかな?」

「もし何かあったら籠城戦だからねぇ~。お姉さま、籠城戦得意?」

「いや、まぁ…好きじゃない、けど……」

「適材適所だよ、お姉さま」

「むぅ……」

 

 

 

 

 

「よっしゃ!洛陽の守りはウチに任せとき!そうと決まったら詠!防備体制の確認すんでー!」

「はいはい……全く、変なところに火がついちゃったわね…」

 

鼻息荒く部屋を出る霞に、詠が頭をかきながらついていく。

 

「ふふっ。人をやる気にさせるのがお上手ですね、剣丞さん」

 

月がそんな二人を見送りながら顔を綻ばせる。

 

「俺は思った事を正直に言っただけだよ」

 

そんな月に剣丞も笑顔を返す。

 

「よしっ!それじゃみんなはそれぞれ準備をよろしく!」

「「「はいっ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

――――

――

 

 

 

黄河のほとり。

沙和や真桜と手分けして一人調査をしている一刀。

その一刀の耳に、黄河が流れる音を押しのけて、沙和の大声が届く。

 

 

 

「たーーいちょーー!!」

「どうしたんだ、沙和?」

「人や!人が倒れとるんや!!」

「なんだって!?」

 

 

 

 


 
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