No.738187

精霊使いの剣舞~憑依聖剣(拳)を振るう者 ~

第7話

2014-11-19 16:32:22 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1654   閲覧ユーザー数:1603

クレアと賑わう街を歩き回るユウト

 

小物雑貨を冷やかし、花屋で色とりどりの花々を眺める

 

他者から見れば2人でデートをしているようにしか見えない

 

そして今、小腹がすいた為屋台で売っていた肉まんを行儀悪いが歩きながら食べていた

 

クレアは小さな口を動かし、ハフハフと実に美味しそうに食べる

 

ユウトはその姿を眺めているだけで幸せな気分になっていた

 

「美味しいですね、ユウトさん♪」

 

クレアはそう言いながらユウトに笑顔で言う

 

「そうだな」

 

肉まんを食べ、少し歩き疲れただろうと休憩がてらお茶を飲む為ベンチへ

 

ユウトは紙製のコップに注がれたジュースを買ってクレアの元へ戻る

クレアは疲れた様子も見せず、楽しげに足をぶらぶら揺らしながら行き交う人々を眺めている

 

どこにでもいる可愛らしい、年相応の少女の姿……

 

ユウトは思わず両手に紙製のコップを持ちながら、クレアの横顔を眺め続けてしまう

 

「どうかしましたか、ユウトさん?」

 

彼女は首を傾げながら聞く

 

「クレアがあまりに可愛くて、つい見とれていただけだ」

 

ちゃっかり褒めながらジュースを渡すとクレアの真っ白な肌は色が変わるように赤くなる

 

それでもジュースを受け取っているが……

 

「ユ、ユウトさん!? からかわないでください!!/////」

 

「失礼。本音が出してしまいました」

 

「だから、からかわないでください!!/////」

 

 

クレアは謝罪したのになぜか頬をハムスターのように、膨らませながらジュースを飲んでいる、器用である

 

その時だった

 

ドオオオオオンッ!!!

 

突然、広場の方で大地を揺るがすような轟音が鳴り響いた

 

「キャ!!! な、何??」

 

「……クレア、此処に居てくれ、魔獣だ」

 

クレアが驚き、ユウトはすぐに見聞色の覇気で周りを探知、魔獣が暴れているのを知り、クレアにそう言う

 

……完全に戦闘スイッチが入っている

 

そしてユウトは広場に向かって走り出した

 

因みにクレアの身を守るためにS,O,Fをつけることを忘れずにしていた

 

ーユウト視点ー

 

オレは混乱する群衆をかきわけ、広場に到着した

 

「あいつか……」

 

広場の中央で巨大な獣が暴れていた

 

「くく、そうか。アレが……」

 

その事実を噛みしめるように視界の遠く、怒り狂った暴君の如き巨体を見て、オレは笑みを浮かべる

 

笑わずにはいられない。まるで戦うために生まれたかのようなあの巨体、グレートソードを並べたかのような凶悪な爪。そして生きとし生けるものへの憎悪を叫ぶかのような、あの昏い神威……

 

ーー折角の町巡りを台無しにさせやがって!!

 

この行き場のない怒りをぶつける相手が現れたのだ……

 

いつ怒りをぶつけるの?

 

今でしょ!!!

 

「……行くか……」

 

「お、おい!? なにしてんだ!? 早く逃げろ!?」

 

脚に神威を漲らせ、近くにいた少年の言葉を振り切るよ うに地を蹴ったオレは石畳が割れる音を置き去りに、放たれた矢の如き勢いを纏って宙へと舞い上がる

足元で後方に流れてゆく美しい街並みを意識の端に捉えながら、適当な位置で再び地を蹴って高さと速さを補充して突き進む

 

遠くに見えていた巨体が視界の中でだんだんと大きくなるにつれ、緊張が高まる

 

──遮蔽物に邪魔されない空を駆けたオレは、逸る心を反映したかのごとく、早く辿り着くことができた

 

銅像のてっぺんに降りて高さ を借りる。十数メートルはあろうという銅像に登ってなお、その巨体はオレの目線を越えていた

 

何時の間にやら傍に居たことに気付いたのだろう。魔獣は首を動かすことで顔をオレへと向ける

 

心底からの憎悪に濁った瞳を、オレへと向け──空を、大地 を、ヒトを呪う嘆きのような声を張り上げた

 

『オオォォォオオォォォォォォオ!』

 

身を叩く爆音のなか、私は憎悪に満ち満ちた怪物の瞳とは対照的に笑みを浮かべる。 人々が何よりも恐れる獣、魔獣……

 

 

精霊使いでしか倒すことは簡単ではない存在、魔獣

 

面長の顔に生えた赤い結晶の角は、まるで皮膚を破って突き出たかのよう

 

禍々しい結晶は体のあちらこちらに散見することが出来、こちらは逆に皮膚に突き立てられているかのような禍々しさを演出していた

 

目を奪われがちな結晶から目を離して各部を見てみれば、手足は目いっぱいまで砂鉄を詰め込んだ袋を繋げたような、鋼鉄の筋肉に覆われている

 

皮膚は血が固まったかのような黒。生々しい質感のそれは、まさに凶相と言うに相応しい

 

……よくもまあ、これだけ禍々しい生物が生まれたものだ

 

だが──それでこそ、滾る

感じる神威だけではない、その体躯が、筋肉が咆哮が──強い、と。この生物がいかに暴君たる存在かを雄弁に語っていた。……嬉しいな。魔物を相手にしてこれほど昂るのは

 

魔神級精霊と殴りあって以来か……楽しかったな~

 

「いざ尋常に──」

 

気がつけばオレはお決まりの言葉を呟いていた

 

人間対魔物というこの戦いに望むのだ、あくまでも人間を貫きたい。これはそんな、一方的な宣誓のようなもの

 

「勝負!!」『アアアァァァァァッ!』

 

故にその勝負は、雄たけびと共に振り下ろされる

 

そして、始まる……

 

ユウトvs魔獣の戦いが……

 

広場が見える場所

 

「あいつか……ウィル」

 

「大丈夫ですよ、既に録画を始めていますし、何かあれば助けられるよう準備しています」

 

「頼むよ、何で魔獣がいるかわからんが丁度良い、お手並み拝見と行こうか……」


 
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