夢を見た。
とても幸せで満たされた夢。
俺が望んだ世界。
それは非現実といわれるだろう。
あるいはただの妄想でしかないと。
でも、それはたしかに存在した。
命を懸けて共に生き抜いた。
その事実はたしかに俺の胸に残っている。
それを思い出せば、
認めることができる。
俺は帰ってきたと。
―おかえりなさい。一刀。―
【一刀】「ん・・・」
目が覚めた。
ずいぶん静かな朝。
【??】「・・・モゾモゾ」
【一刀】「・・・」
まったく、ここまで満たされる気持ちになるのは何ヶ月ぶりだろう。
このまま寝たフリをして身を任せるのもいいが、さすがに戻って早々それもどうだろう。
【一刀】「・・・・おはよう」
布団をどけ、それの正体を明らかにする。
【華琳】「あら、起きてたのね。」
【一刀】「今起きたところだよ。」
朝の挨拶をかわし、華琳のほうをむこうと体を起こす。
だが、それは阻止された。
【一刀】「華琳?」
華琳が俺の腰・・・というか、ズボンに手をかけていた。
【華琳】「・・・なに?」
【一刀】「いや、何をしているのかなと・・・」
答えの分かっている疑問をぶつけてみる。
【華琳】「女がこんな時間に男の部屋にきてすることなんて、そうないとおもう
けれど。」
【一刀】「俺としてはすごく嬉しいし、望むところなんだが・・・。華琳、ここが成都だって事、忘れてないか?」
【華琳】「・・・それが?」
すこし楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。
【一刀】「・・・・なら、アレも当然知ってるんだよな?」
そういって部屋の入り口・・・の扉を指差す。
【??】「と、桃香さま!?押さないでください!」
【??】「私じゃないよ~~・・・」
【??】「はわわ・・・」
【??】「朱里ちゃん・・・・あわわ・・・」
【??】「鈴々も見たいのだ~~」
【??】「一刀め、華琳様に手をだしたら(ry」
【??】「姉者・・・・。」
【華琳】「・・・・・。」
まぁ、知ってたんだろうけど。
さすがに見られながらってのは・・・なぁ?
朝のドタバタを一通り終え、今は街を歩いていた。
俺が消えてからこちらでは約2年ほど経過していたらしい。
俺が元の世界で過ごしたのが数ヶ月だったのに対して、やはりこちらの方が先を進んでる。
ただ、前回のときと時間の比率が違うのは疑問だが。
華琳の話によると、俺が消えてから定期的に三国で交流を持つようになったらしい。
そして今は丁度、蜀が他の2国を招待する時期らしい。
さすがに2年も経つと街の発展も驚くほどだ。
特に真桜の発明品が市場に並んでいたのは素で驚いた。
凪・真桜・沙和の3人は俺が抜けた穴を埋めるために、今は許昌に残っているそうだ。
あの3人にも早く会いたい。
3人のことを考えてるうちに、昨日のことを思い出す。
あの川原でしばらく華琳と過ごした後、成都に着いた俺を一番に迎えたのは、
春蘭のラリアットだった。
春蘭はひたすら「北郷おおおおお!!」と叫んでいたような気がする。
思い出したらまた胸元が痛み出してきた。
後ろにいた秋蘭はただそれを見て、笑っているだけだった。
それでも、その後に「おかえり」と言ってくれたのはすごく嬉かった。
それから、「一刀のために用意しといた酒や!!」と霞が持ってきた酒で軽く宴会。
その後も色々騒いだけど
―これでようやく『落とし穴108式』が日の目をあびることができるわ―
108って・・・その頭脳を別の方へ向けてください桂花さん。
街をながめていると、見知った顔を見つけた。
【関羽】「お、おい・・そんなにひっぱるな・・。」
【子供A】「関羽さまー、あそぼー」
【子供B】「関羽さま、こっちこっち~~」
どうやら子供達と遊んでいる・・・いや、遊ばれている?
【劉備】「愛紗ちゃんかわいいな~」
【関羽】「桃香さまもみてないで~~・・・はぁ・・」
劉備と関羽。
かつて敵として戦った者がこうして街で子供達と戯れる。
あらためて、数ヶ月遅れ・・・いや、こちらでは数年遅れで皆で成し遂げたことを実感する。
【劉備】「・・・・あ、北郷さ~ん」
【関羽】「え、え、ほ、北郷様!?」
劉備がこちらに気づいたように手を振りながら俺の名を呼ぶ。
それに釣られてか、関羽もこちらに振りむいた。
【一刀】「あ・・ども。」
曖昧な挨拶をして、二人に近づく。
【劉備】「ほら、みんな~。あのお兄さんも遊んでくれるって~」
【一刀】「え、ちょ、ちょっと!」
関羽にしがみついていた子供達が一斉にこちらへ向かってくる。
わ~~っとしがみついてくる子供達をなんとか受け止める。
【一刀】「あ・・・あはは・・」
なんというか、すごかった。
少し歳をとった者がよくまだまだ若い者には負けないなんて言葉をいうけど、
そんなレベルではなかった。
しばらく子供達と遊んで(振り回されて)、どっと疲れたような気がする。
まあ、嫌な疲れではないけど。
【関羽】「ほ、北郷様・・・今朝はその・・・」
【一刀】「今朝?・・ああ」
その後3人で街をまわっていたときだった。
【一刀】「いや、ああいうのは・・まあ、慣れてるからね。」
慣れるというのもどうなんだろう。と口にしてから思った。
【劉備】「よかったね、愛紗ちゃん。もうのぞいちゃだめだよ?」
「あなたも覗いてたんですけどね?」
とはだまっておいた。
【一刀】「そういえば、張飛・・・・あの子は一緒じゃないんだね。」
【関羽】「鈴々ですか?アレなら・・・」
と、関羽が続けようとした時、
ドドドドドドド・・・
と地鳴りが聞こえきた。
【張飛】「どくのだーー!鈴々盗賊団のお通りなのだーー!!」
と、同時に張飛が何人かの子供達を引き連れてどこへともなく突撃していた。
【関羽】「・・・・・・・。」
【劉備】「鈴々ちゃん楽しそう~」
【一刀】「・・・なるほど。」
夜。
暴れる張飛を捕まえ、関羽はそのまま城へもどった。
それからの張飛を考えると・・・俺には祈るしかできなかった。
しばらく劉備と共に街をまわっていたが日も暮れてきたので俺たちも戻ることになった。
夕食もすませ、俺はひとり、城壁の上に来ていた。
目線をあげる。
満天の星空っていうのはこれを指すんだろう。
その夜空はある意味昼間よりも明るかった。
むこうに戻ってから、すっかり空を見上げるのが癖になっているようだ。
この後、華琳と会う約束をしているため、それまで時間をつぶそうとここへきた。
少し、酒もはいったか。
気分が高ぶっている。
夜風が気持ちよくて、胸いっぱいに空気を吸う。
【一刀】「ふぅ」
息を吐くと昨日までの鬱々とした日々が夢だったかのように思える。
数ヶ月離れた俺がこれなんだ。
2年も待たせてしまった皆は今どんな気持ちだろう。
【一刀】「遅れた分は取り戻さないと・・な。」
そろそろ時間に近づいてきたことに気づき、城壁をおりた。
昨日は皆で騒いでいたから、まだろくにきちんと話せていない。
そう思い、華琳の部屋へ向かう。
ビシィィィィ!!―
視界が割れた―
ガラス板に強烈な圧力かけたような視界。
そしてメッキのようにはがれていく。
【一刀】「―――――っ」
声を繋げなかった。
何が起こった。
わからない。
目の前で起こっている状況を理解できない。
さっきまで眺めていた成都の街が
『剥がれていく』
―やはり、目的を・・・ければ貴方が・・ことはない・・・ですね―
声が聞こえた。
だが、俺がかろうじて浮かべた言葉は
【一刀】「ここは・・・何処だ。」
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真・恋姫無双(魏ED)のASです。
ここから本編って感じですね。
少しずつ動いていきます。
1話⇒http://www.tinami.com/view/73594
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