~朱里視点~
洛陽に戻った私達はある意味、絶体絶命の危機とも言えます
今までの無理な政策の為、この地での桃香様の評判は最悪
兵は先の戦での敗戦で戦死、若しくは退却中に脱走者が続出し激減
士気も低い上に私達将への信頼も地に落ちている
財政状態も戦での消耗もありかなりひどい状態です
しかし、私は何も出来ません
何か知恵を出せない訳ではありません(まあ、ほとんど方策は無いに等しいのですけど)
私は桃香様の軍師では無くなった様なものなのですから
洛陽に戻った日、これからの事を話し合いましょうと桃香様に言った所
「鈴々ちゃん、雛里ちゃん、それにご主人様まで見捨てるような朱里ちゃんと話す事なんてないよ!
それに、負けた責任の多くは軍師の朱里ちゃんにあるんだからね!」
と、言われてしまいました
その後、朝議にも列席できません
いえ、朝議すら行われていません
私は一文官としての役目をこなす日々です
城の中でも外でも白い目で見られる日々は苦痛でしかありません
ですが、間もなくそれも終わるでしょう
私の予想が当たれば・・・
~鞘華視点~
戦いが終わり捕虜となった一君、張飛、鳳統を連れて城に戻る
肩の治療を受けたが骨が折れているため、しばらく安静にしなければならないらしい
治療を受けながら聞いた報告によると鳳統は本陣退却の為、自部隊も退却しようとしたが霞に攻撃された
そして、武官でもない為、霞に大人しく捕まったという事だ
一君の方は本陣が退却する時、劉備を逃がす為少数の兵で星の部隊の足止めをした
しかし、多勢に無勢 更に星との実力差で捕えられたとの事だ
治療を終えた私は三人を閉じ込めてある部屋に向かう
牢では無く広めの座敷牢のような部屋を作っておいたので今回そこに閉じ込めてある
部屋に入ると三人と見張りとして星がいた
険悪な状況では無く、旧交を温めているような雰囲気だった
まあ、星だからね
「鞘華様、今 失礼なことを考えませんでしたかな?」
「考えてないよ」
何で考えてることが分かるの?
「一君、今までの劉備の行動について教えて
徐州からの行動は理解に苦しむものが多すぎるわ
一体どうしたの?」
私が訊くと、
「分かった、全部話すよ」
「まず、徐州に入ってから桃香は鞘姉に言われた事と星が居なくなったことで落ち込んでいた
何とか、回復したところで問題になったのが袁紹の件だった
袁紹が攻め入ってきたら敗戦は必至
この時の選択肢は2つ
一つ目は、徐州を捨てて鞘姉の下へ行く事
他の諸侯に比べて鞘姉の考えは比較的桃香の理想に近かったからね
でも、この案は桃香が難色を示し愛紗が猛反対した
この案だと鞘姉の配下になることだから桃香は鞘姉に対抗意識があったし
愛紗は鞘姉を逆恨みしてたから受け入れられなかったんだろうね
2つ目が、実際に行った洛陽へ行く事」
此処まで聞いて疑問を挟む
「皇帝の名代を名乗った理由は?
内外からの反発、その他諸々の問題が起こるのは分かり切っていたでしょう」
「確かに、俺や朱里、雛里は洛陽の留守居役と言う名目にするつもりだった
そうすれば、反発も最小限で済むし禁軍も取り込めると計算していた
だが、桃香が独断で皇帝の名代を名乗ったんだ
愛紗は事後承諾で賛成していたけどね
どうやら桃香は自分の理想実現の為には漢王朝の復興が一番だと考えたんだろう
名乗ってしまった後で撤回は出来ないから、その通りに動くしかなかった
鞘姉と同盟を結ぶ案も出たがやはり愛紗が猛反対した
鞘姉に飲めない要求を突きつけて、孫策、曹操と三方向からの同時進行は計画倒れになった
洛陽で治世を行うのも限界になったから荊州に攻め込んで敗戦
他人事のように言うのもなんだが、桃香はもう打つ手が無いだろうな」
一君の話を聞いて、劉備の行動の裏事情が解った
「で、これから三人はどうするの
私に降ると言うなら受け入れるけど」
私の提案に
「鈴々はどうしたらいいのか分からないのだ
最近のお姉ちゃんと愛紗はおかしかったのだ
でも鈴々は二人を裏切りたくないのだ」
「私も同様です」
「俺も囚われたから直ぐに、て言うのは出来ない」
三人とも迷ってるようね
「なら、三人の処分は保留
三人はこの城の中なら行動を認めるわ
でも外出は禁止
気持ちの整理がついたら言ってね」
この時、とんでもない情報が飛び込んで来た
「孫呉が江夏に進行してきました」
~あとがき~
桃香陣営の内部事情を語らせました
桃香の理想が歪んだのはどこからだったのでしょう
蓮華や、春蘭の行動の否定も入っていましたが桃香程ではありませんでした
何故ここまでするかと言うと、桃香は君主なので責任が重い為、結果も重大なのです
桃香ファンの方には申し訳ありません
更新はゆっくりになるかもしれませんが続けるつもりです
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捕えた一刀の話を聞く鞘華