No.737339

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第363話

2014-11-15 18:40:01 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1695   閲覧ユーザー数:1542

 

~エペル湖~

 

「エマ……?」

「委員長……?」

「……本当ならもう少し早く話しておくべきでした。”私達のこと”……そして”騎神”と”起動者”のこと。」

エマの呟きを聞いたリィン達はそれぞれ驚いた。

 

「あ……」

「……その話か。」

「……話してくれる気になったんだな?」

「ふふ…………はい。」

「エマ…………」

リィン達に注目されたエマは自分達の秘密を話し始めた。

 

「―――セリーヌから既に聞いているかもしれませんが……私が士官学院に入ったのは、”使命”のためでした。古より続く一族の末裔……”魔女の眷属(ヘクセンブリード)”としての。」

「……”魔女”の使命……」

「……それは、遥か昔から受け継がれてきたものでね。地下深くに封印された”巨いなる力”を見守り、その行く末を見届けること……それがエマにとっての”果たすべき使命”だったってワケ。」

(エイドスはその人達の事、知っているの?)

(いえ……初耳ですね。)

(そうなると”空の女神”が天に召されてから以降の話か……)

エマとセリーヌの説明を聞いて気になったエステルに尋ねられて静かな表情で答えたエイドスの答えを聞いたヨシュアは考え込んだ。

 

「”巨いなる力”……旧校舎地下に眠っていたヴァリマールのことだな。じゃあ、君達は騎神のことを最初から知っていたというわけか。」

「ええ、存在については。そして”騎神”が”起動者”を選ぶことも……選ばれた人間が、避けられない”戦い”に巻き込まれていくことも。」

「あ……」

「ふむ……」

エマの話を聞いたリィンはその通りになっている事に呆け、ラウラは考え込んだ。

 

「資質はあったとはいえ、リィンさんはある意味”巻き込まれた”側です。準契約者となった他の皆さんも同じく……なのに私は、何一つ皆さんに警告することができなかった……”Ⅶ組”の仲間として―――どう考えても失格だと思います。」

エマの言葉を聞いたリィン達はある事を察し、顔色を変えた。

「……………………」

「ちょ、ちょっとエマ!?」

「……委員長……」

「エマ、あんた……」

「ちょっ、まさかとは思うけど……」

「君は…………」

「………………」

リィン達がそれぞれの反応をしている中、ある事を察したエステルは焦り、ヨシュアは複雑そうな表情でエマを見つめ、エイドスは静かな表情で見守っていた。

 

「せっかく再会できたのにこんな事を言うなんてどうかと思いますけど……私、これ以上、皆さんとは―――」

「―――委員長。」

リィンに声をかけられたエマは自分達の事情に巻き込んだリィンに怒鳴られると思い、身をすくめた。

 

「君はあの時、言った筈だ。Ⅶ組は”最高のクラスだ”って。」

「っ………」

リィンの言葉から旧校舎の異変の際にリィン達に伝えた自分の言葉を思い出したエマは辛そうな表情で顔を下に向けた。

 

「クロウがそうだったように……俺達の背景には色々あった。俺自身、幼い頃から妙な力を抱えてしまっているし……あれ自体”騎神”とは何の関係もないものなんだろう?」

「そうね、選ばれた理由の一つにはなっているかもしれないけど。アンタのその”鬼”の力は魔女でも良くわからないものだわ。」

「お、”鬼”??(一体何の事かしら??)」

(……わからない。けど、彼には何かとてつもない事情が隠されているのだろうね。)

(”鬼”…………―――まさか。………………)

リィンとセリーヌの会話を聞いていたエステルは戸惑い、ヨシュアとエイドスは真剣な表情でリィンを見つめていた。

 

「そうか……でも俺は―――こんな忌まわしい力を持っている俺ですら。胸を張って”Ⅶ組”の一員だと言えるし、言いたいと思っている。アリサも、エリオットも。ラウラにフィー、プリネさんやツーヤさん、エヴリーヌさんにセレーネ、マキアスにユーシスも。ガイウスにミリアム、クロウ、そしてエマ―――君もいる”最高のクラス”の一員でいたいと思っているんだ。」

「……リィン……さん……」

リィンの心遣いにエマは涙を流しながらリィンを見つめ

「グス……ホントにそうよ……」

「最高のクラスか……」

「フフ……」

アリサは涙ぐみ、ガイウスは静かな笑みを浮かべて考え込み、エイドスは微笑ましそうに見守っていた。するとリィンはエマに手を差し出した。

 

「だから……そんな事は言わないでくれ。そしてどうか―――俺を、俺達を導いて欲しい。不思議な知識を持つ”魔女”としてだけじゃなく……俺達のクラスの”委員長”―――面倒見のいい大切な仲間として。」

「…………ぁ……………も、もう……そんな風に言われたら何も言えなくなるじゃないですか……」

リィンの言葉を聞いて呆けたエマは眼鏡を取って涙をぬぐった後リィンの手を取った。

「……わかりました。古の謎の一端を知る”魔女”としてだけではなく―――”Ⅶ組”の一員であるエマ・ミルスティンとして。どうかこれからも皆さんと共にいさせてください……!」

「ああ、もちろんだ……!」

「ふふ、言わずもがなだ。」

「こちらこそ、よろしくだ。」

「よろしくね、エマ!」

「うふふ……これで一件落着のようですわね。レグラムの街も見えてきたようですし。皆様、そろそろ上陸の準備を―――」

リィン達の様子を微笑ましく見守っていたシャロンが上陸の準備を促したその時何かの音が聞こえて来た。

 

「何の音……?」

「これは……飛行艇の飛翔音か?」

「うん……間違いないね。」

「け、けど何でこんな所に飛行艇が??」

「―――西です。」

「―――あれは……!?

音を聞いたリィン達が戸惑っている中、何かに気付いたエイドスが視線を向けると一機の軍用飛行艇がレグラム方面に飛び去って行った。

 

~レグラム~

 

異変に気付いたクラウスとマイルズは湖に着水しようとする軍用飛行艇を見つめていた。

「”貴族連合”の軍用艇……?いえ……指揮官クラスが乗る”軍用飛行艦”でしょうか?」

「ええ、どうやら―――お客人のようですな。」

「―――突然の来訪、失礼する。」

マイルズとクラウスが話し合っていると飛行艇―――ラマール領邦軍所属飛行艦”バルクルーサ”号の甲板から姿を表した軍装の女性が二人に声をかけた。

 

「こちら貴族連合所属、オーレリア・ルグィンである。アルゼイド子爵領へのしばしの立ち寄りを許可願いたい―――」

その後先に到着していたリィン達は別の部屋で事の次第を見守る事にし、ラウラとクラウスが突然の来訪者の応対をし始めていた。

 

 

 

 

原作ではとんでもない強さと呼ばれているオーレリア将軍やウォレス准将……この物語ではオーレリア将軍はオーレリア将軍自身が最も望む相手と戦い、オーレリア将軍と同じ戦闘凶のウォレス准将はメルキア四元帥の”誰か”と戦う事になります。まあ、戦闘はカットして結果だけになりますが。ちなみにその相手や結果がどうなるかは、察する事ができるかとww


 
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