No.73709

【NARUTO】夢小説 : 甘くって Sweets

NARUTO夢小説/イタチ×夢主/アカデミー時代のより道。
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2009-05-15 06:18:56 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:9252   閲覧ユーザー数:8697

   甘くって Sweets

 

 

 木の葉の里の甘味処といえば「甘栗甘」。

※※もこの店の常連で、昼飯代わりに団子やおはぎを食べるのは珍しくない。

 

「おばちゃん、団子盛り一皿ねーッ!」

 

 今日も「甘栗甘」の軒先で※※の声が上がった。

 日がだいぶ落ちた午後。

 唐傘から日陰が落ちる場所に、金と黒の髪がちょこんと並んで座る。

 

「団子盛って‥‥夕飯はどうするんだ?」

 

 イタチが怪訝そうに首を傾けた。

 

「“甘いものは別腹”って言うけど、限度があるだろ」

 

「食べなきゃやってられないってーの!なんだよ、あの課題!!」

 

※※は機嫌が悪く、いつもより声に力が入っている。

 

「暗号解文ドリルなんて、なんてッ!よりにもよってッ!」

 

 拳を握り締めて、爽やかに澄み渡る空を睨む。

 

 

 ※※は体術や忍術が好きな「体を動かすのが得意なタイプ」だが、アカデミーで習う程度の暗号なら問題なく解ける。

 忍術の時と同じように、イタに付き合って巻物を読むうちに、自然と覚えてしまった。

 遊びながら学ぶが※※のスタイルだが、イタチと出会ってからの半年の間で中忍レベルの力と知識を身につけたのだから、その才能はイタチ以上かもしれない。

 

 だからと言って、授業中に爆睡してはいけない。

 しかも寝ボケて先生に向かってクナイ乱れ撃ちをやっては、先生も黙っちゃいない。

 校長室でコッテリお説教をされた上に、暗号解文ドリルを明日までにすべて解いてくるように言われてしまったのだ。

 

 

「団子盛お待たせしました~」

 

 馴染みの女給が、大皿に彩りに載せられた団子を二人の間に置いた。

 通常サイズの半分程度の大きさ団子だが、異なる味の串が全部で十二本もある。

 これを全部食べるつもりなのか、と思うとイタチは少し憂鬱になった。

 出来立ての湯気と、甘いみたらしの香りに※※が目を細める。

 

「ん~‥‥フンフン、いいにおい~。いッただきま~す」

 

 きちんと手を合わせると、イタチの予想通りみたらしに手を付けた。

 琥珀に輝く団子を口に含んでもちもちと口の中で咀嚼する顔は、課題のことなどスッカリ忘れて満面の笑みだ。

 ※※は何でも本当に美味しそうに食べるので、小食のイタチもなんとなくいつもより食が進む。

 

「みたらし、オレも一口食べていいか?」

 

「うん、これすごく美味しい。はい、あ~ん」

 

 そう言うと、※※は手に持った団子をイタチの顔の前に差し出した。

 その言葉、仕草、絶妙な角度で傾けられた団子、無邪気な微笑み。

 

「‥‥つまり、※※の手から食べろということか?」

 

「な、なんだよ。なんで眉間にシワ寄せてるの?」

 

「‥‥いや、別に‥‥」

 

 イタチは、みたらしと憎らしいほど可愛い※※の顔を見比べて、小さく溜息を吐いた。

 

 愛玩動物ではないんだ、他人の手から食べるなど‥‥ましてや人の往来がある店先で‥‥。

 しかし、もし無下に断れば※※は気を落すだろう。

 せっかく機嫌が良くなって笑ってくれたというのに。

 

 意を決して、イタチは少し口を開き団子に歯を立てた。

 その感触に思わずイタチの脳裏にいたらぬ思考が過ぎった。

 出来立てで柔らかく、ぬくもりがあって―――※※の肌のようだ。

 

「な、美味しいだろ?」

 

 タイミングよく※※が訊いて来る。

 

「あぁ‥‥すごく美味しいよ」

 

 口の端についたみたらしを舌先でぺろりと舐めて、上目遣いに意味深な視線を※※へ向けた。

 ―――が、※※がそれの意図するところを察するはずもなく。

 

「こっちのきな粉も美味しそうだよ」と、親切に薦めてくる。

 

 差し出された二本目を、イタチは抵抗なく口に含んだ。

 イタチが先端の団子を抜き去ると、その串を※※は自分に向けてパクリ。

 近い距離で他人が物を口に含む姿を見た。

 そして、それが思いの他色気がある行為だと気付いた。

 イタチは可愛らしく桃色に色づいた団子の串を掴むと、※※がそうしてくれたように彼の口の前に差し出しす。

 ※※の大きな目が見上げて来た。

 いたいけな眼差しを向ける相手が、ポーカーフェイスの下でどれほど劣情を煽られているかも知らずに。

 

「オレもしてあげる。口開けて‥‥ほら」

 

 イタチが表情を緩めると、珍しく柔和なイタチに※※は少し頬を赤らんだ。

 長い睫の奥から、優しさを浮かべる黒曜の瞳が静かにこちらを覗き込んでいる。

 促された言葉に従い、唇を開く。

 いつもの癖で目を閉じると、唇を寄せた。

 

「はむっ」

 

 甘い、甘い、甘い。

 

 季節外れの苺が練り込まれ、ミルク味のクリームを包み隠していた。

 体に広がる甘さとイタチの熱を帯びた視線で、※※の胸がトクトクと少し高鳴った。

 オレ、何でこんなにドキドキしてるんだ?―――※※は誤魔化すようにお茶を啜った。

 横目でイタチを見ると、※※が噛んだあとの串を小難しい顔で見つめている。

 

 互いに与える行為というのも、ひとつ考え方を変えると随分と濫りがましい。

 ―――否、そんな事を夢想するオレが淫猥なだけか?

 

 イタチはフッと小さく口の端を上げた。

 

「いきなり笑って、なんか、気持ち悪いな‥‥思い出し笑いか?」

 

「いや、ちょっとな‥‥」

 

「なんだよ。言えよぉー」

 

「それより‥‥課題、がんばれよ」

 

「うっ‥‥」

 

 現実を突きつけられて、※※が怯む。

 

「オレが手伝うのを当てにしてるだろう」

 

「や、あの、あの」

 

「まさか、団子ごときでオレを釣るつもりだったのか?」

 

「う、うぅうん」

 

 なんとも微妙な返事。

 浅はかで幼稚な※※の考えも、時に愛おしくてたまらない。

 自分と違って、年相応の幼い※※が羨ましくも思う。

 シドロモドロになりながら、イタチに懇願する※※。

 

「友達だし、イタチの実験手伝ってあげてるしぃ‥‥ね、お願い?」

 

 指を合わせ少し首を傾け、はにかみながら笑う※※。

 そこでやっぱり「可愛い」と思ってしまったイタチの負けで、団子2本と※※の「お願い?」ポーズで釣られてやる事にした。

 

 

 

 

   END


 
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