新たなる外史の発端・・・
それは誰かの見た夢の続き・・
誰とも言えず、自らと名乗ることもなく、
ただ無数に、無作為に、音をたてず生まれ続ける。
ひとつの終わりを見せた物語
しかし、その終わりを誰が望むであろう
終わりから始まる物語・・・
それは、今ひとたび
一点の静寂より、生まれる。
ー朝。
日は今日も東から昇る。
それはいつの時代もかわらず、どの世界でも変わらぬようだ。
少しけだるい夏の朝。
目覚めの早いセミが口うるさく、俺の睡眠を妨害する。
まぶたを開けるよりも先に体を起こす。
暗闇の中を手馴れた手つきで、ベッドから抜け、洗面所へ
鏡の前で顔を洗う。そこで初めて目を開き、自分と対面する。
あまりいい顔ではない。
それほど朝に弱いつもりはなかった。
いや、わかっている。
寝起きだからなどではない。
ー俺の役目は、終わったからー
【一刀】「・・ふふ」
我ながら可笑しくなる。
よくもあんな言い訳を言えたもんだ。
受け入れたつもりだった。
これは仕方のないことだと。
しかし、それはどこかで目を背けていたのだろう
ー今、目の前にいるこの愛しい人には、もう、逢えないー
ただその絶対的な現実を直視していなかったのだと、
今になって理解する。
こちらに戻ってきてから考えることは、いつも同じ。
会いたい
遭いたい
遇いたい
・・・・逢いたい。
その思いがつのるほど、失望に悩まされる。
これでは、どちらが現実なのか・・・
いや、もうどちらでもよかった。
ただあそこには思い出がある。
それだけが俺にとって、北郷一刀という人間にとって
とても重要で、当たり前であることを望んだことだった。
どれほど、物思いにふけっていたのか
水が流しっぱなしになっていたことに気づき、あわてて止める。
タオルで顔を拭きながら部屋に戻り、時計をみた。
AM7:27
【一刀】「早起きしすぎたか」
そう呟いて、再びベッドに腰掛ける。
戻ってきてから気づいたことが、いくつかあり
そのうち最も印象深かったのは、こちら側では俺が消えてから1週間程度しか経っていなかった。
俗に聞く『うらしま現象』というやつか。とにかく向こう側とこちらでは時間の進み方が違っていた。
単純にむこうでの1年がこちらで数日なのか
それとも、タイムトラベルのように
ただ俺が消えてから1週間後という時間に戻ってきてしまっただけなのか。
丁度、今聖フランチェスカ学園は夏休みにはいっている。
俺が住んでいる学生寮は、里帰りする者も多いのか
人気(ひとけ)は普段の半分以下になっていた。
今は、それがとても救いに思える。
雑音の中、再び顔を上げる。
時計の針が8時を指そうとしていた。
少し早いが、俺は学園にある剣道部の道場へ向かった。
部活、という名目で夏休み中も解放してもらっているが
実際に使うのは俺くらいのものだ。
今はとにかく
なにかに夢中になっていたかった。
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真・恋姫無双(魏ED)のクリア後の話です。
初めての投稿ですので、少なめですが、なんとか続けられたらと思います。
2話⇒http://www.tinami.com/view/73637
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