No.73392

真・恋姫無双~魏・外史伝~1

 初めての投稿。
 いろんなところで真恋姫の特に魏のアフターストーリーが書かれていたため、僕も触発される形で書いてみようと思い立ったのです。
 これから書き続けるかは、今後の様子次第・・・。まずは、テストも兼ねてプロローグ(仮)を投稿してみます。

2009-05-13 02:03:05 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:20686   閲覧ユーザー数:15192

真・恋姫無双~外史伝・~

 

 

 第零章~プロローグ:終端、即ち新たな発端~

 

  「さよなら・・・愛していたよ華琳・・・・」

 とある外史の物語は、その発端である少年が消えるという形で終わりを告げる・・・。

 しかし、その結末に多くの者達が遺憾に感じ、その続きを強く望んだ。

 その結果、その想いの数だけ物語は再び、紡がれていく。

 これはその想いの一つから生まれた新たな発端から紡がれし物語である。

 

 

 第壱章~新たな物語の紡ぎ~

  

 

   ―――長い、とても長い夢を見ていた気がする・・・。

     でも・・・きっとそれは夢ではないのだろう。

     そこに確かに自分が存在した事、自分がしてきた事は確かに自分の中に残っていて・・・。

     彼女・・・いや彼女達もまた夢でなく、確かにそこに存在していた。

     胡蝶の夢という、不確かなモノでない現実がそこにあった。

     だからこそ、あそこでの自分の役割を全うする事ができ・・・、

     だからこそ、彼女の前から消えるその瞬間まで、誇らかに立つ事が出来た・・・。

     だからこそ今一度言おう・・・愛していたよ、華琳。

 

 

 

  俺の名は北郷一刀、聖フランチェスカ学園高等部3年。剣道部現部長。得意科目は特になし。

 でも、歴史関係、特に三国志が好きだから外国史だけは学園でも上位1桁には入っている。現在

 彼女募集中!・・・といった所だ。

 

  あれから早くも1年が過ぎる、あの女の子だらけの三国志の時代からこの世界に戻ってから・・・。

 不思議な事にあの世界で過ごした数年は、ほんの一瞬で、この世界に戻った時は向こうの世界に

 行った時とそれ程時間がたっていなかったようなのだ。だから、あの出来事はただの夢だったの

 ではないかと思ったが、それはすぐに否定された。まず学生服、所々に破れた個所や汚れがあった。

 そして自分の体もこの世界にいた頃に比べ、筋線が太くなり全身が引き締まっていた。これだけでも

 あの世界が夢でなく現実あったという確かな証であった。それだけで俺は嬉しかった。みんなにもう

 会えないのは悲しくはあったけれど、自分がいた事、した事はあそこに確かな事実として残っている。

 それだけでも俺は前へと進むことが出来た。そして俺は、かつての日常へと戻っていった・・・。

 

    この1年で一番驚いた事は、あの及川がなんと生徒会長に立候補し、見事当選したことだ。

 これだけでも驚きだが、それ以上に驚いた事はその立候補理由だ。「女の子にモテるから」

 だそうだ・・・。どうやらあの彼女と別れてしまったらしい、いい気味だ♪しかし、その

 ショックから生徒会長に立候補するというその流れははたしてどうなのだろう?

 生徒会長になった及川だったが、今だ彼女はいない。何というか、ドンマイ・・・。

  他には、あの不動先輩から一本を取った事だ。向こうで本物の戦場を魏の武将達と駆け抜け、

 幾多の修羅場をくぐり抜けてきたその経験はこのような形で現れる事となった。部の引退祝い

 の時に、先輩が俺を新部長に任命した事にも驚いた。「お前以外に適任者はいないのでござる」

 なんて言われては俺も横に首を振るわけにもいかなかった訳で・・・。それ以外にも、

 警備隊長の経験といった、向こうの世界で培ってきた事が様々な所で活かされる事となった。

 

 

 

 

 

  「部長、お疲れ様でした!」

  「ああ、お疲れ。気を付けて帰れよ~」

  そんな後輩との何気ない会話を終え、一通り誰もいなくなった道場で、一刀は一人、竹刀を

  持ち素振りを始めた。部活が終わった後の日課である。彼がなぜそこまでするのか?

  その理由は、あの世界に対する「未練」である・・・。

   色々な事があった。

   首を何度もはねられそうになった。

   たくさん罵声を言われた。

   何度も叱られた。

   我侭に何度も振り回された。

   3人の部下をまとめるのにとても苦労した。

   上手い酒を何度も飲み交わした。

   一緒に料理をたくさん食べた。

   鼻血癖に何度も悩まされた。

   マイペースっぷりにたくさん振り回された。

   種馬と何度も言われた。

   何度も心を通わせた。そして何度も愛し合った。

  ・・・そう、北郷一刀はあの世界を、そしてそこで出会った女性達を愛しているのだ。

  一年前から変わることない想い、彼女たちの事を忘れた事は一度たりとも無かった。

  「華琳・・・」

   思わず、口からこぼれてしまったその名。

  一刀が初めてあの世界に降り立った日、天の御遣いとして拾った少女:

  彼女の名は「曹操孟徳」・・・真名を「華琳」 

  三国志にも登場する武将の名をもつ少女との出会いは、彼の人生に大きな影響を与えた。

  覇王として威厳を携えた彼女とともに、覇道を突き進んだ一刀はいつしか彼女に、そして

  華琳もまた彼に想いを寄せるようになっていた。そして、三国の戦いに終止符を打った

  あの日の夜・・・、一刀は華琳の目の前でこの世界から消えた。彼女に伝えたい事はたくさん

  あった。彼女とやりたい事もたくさんあった。だがそれを、誰かが許さなかった・・・。

  いつも願う、できることならば、もう一度あそこへ・・・。しかし、それは決して叶う事は無かった。

  少なくとも、あの日までは。


 
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