(最前線の機動兵器戦周辺・時間停止空間)
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
ミクとアビゴルは、特にミクだが、まず相手の出方を見るため、とりあえずミクは刀を、アビゴルは多脚部をアイドリングさせて、にらみ合っていた。
その刹那、ミクが最初に動いた。“刀”で斬れる相手なのか、やはり確認したかったのだ。
ミク:脚部関節を斬る!!
ギュン!
兵器を積んでおり、多脚兵器の鈍重なアビゴルより、神威の力を得ているミクの方が素早かった。ミクはまず相手の移動力を奪うため、前面右側の脚部1機の第2関節に向かって、刀を構えて突進していった!
ミクはその場所の目の前に到達し、刀を振り下ろした!
ミク:貰った!
ブン! ズバッ!
ミクの刀は、関節カバーのラバーカバーを斬り破ることができた。しかし・・・
ギギギギ・・・
ミク:あ、あれ!? 刀が抜けない!
バキッ!!!!!
アビゴルは無言で関節を動かし、刀をギアに噛ませて、折ってしまった!
アビゴル:あほか。刀で鋼鉄の歯車を斬れると思ったのか? 砂漠戦でないから、ラバーカバーなど斬れても何ともないわ!
ウィーーーーン
アビゴルは砲塔をミクに向け、主砲を発射する準備をした。刀を折られたミクは狼狽していて、逃げる姿勢になっていなかった。
アビゴル:軍事違反兵器その2 『劣化ウラン弾』でも喰らえ!
ネル:ミク! その弾はヤバイ! とにかく逃げろ!!!!
ミク:わ、わかった!
アビゴル:死ね!
ドンッ!!
ミクはすんでの所で劣化ウラン弾の軌道上から回避し、アビゴルと距離を取った。劣化ウラン弾は当然、軌道上を飛んでいき、地面に着弾した。
ドゴンッ! バシュン!!!!!!
ミク:ヒィ!
ネル:あの弾の怖いところは、着弾し爆散した破片を吸い込んだ周囲の敵兵に、重金属中毒、放射線による被爆、など、人道からはずれた効果をもたらす所だ。大量破壊兵器ではないけど、『史上最低の兵器』と言わしめた、最低の砲弾だよ
ミク:た、確かに軍事違反兵器を大量に積んでいる兵器なのね
アビゴル:さーて、次は何を出すかな
ミク:神威じゃだめだ・・・とにかくあの着弾した周囲に移動できないから、めぐみに変身して浄化する!
ギューーーン!!
ミクはめぐみに変身し、サクリファイスの力で先ほど着弾して汚染されたエリアを浄化して通行可能にした。
アビゴル:うーん、やはり劣化ウラン弾では、直接殺傷能力は低いか。エリアも浄化されちゃうしな。じゃあ、人間を吹き飛ばす兵器に変えるか
バシュバシュバシュ!!!!!
アビゴルの後方のパネルのフタが開き、ミクやネル達の上空に向かって“小型の円盤”が多数射出され、ランダムに落下して地面に落ちると、回転して地面に潜っていった。
アビゴル:これがなんだか、わかるよな、軍事にも詳しいネルとやら
ネル:工作が好きなだけだ。それにまた“最低の武器”を使ってきたね
ミク:ネル、これなんなの?
ネル:動かないで!!!!
ミク:え!?
ネル:アビゴルが射出した兵器は、最低の対人兵器『対人地雷』だよ。それも自動潜伏機能付きの。今、ミクの周りの地面には、たんまりと踏むだけで吹き飛ぶ爆弾が埋められているんだ
ミク:え!? じゃあ、動けないの? それじゃ、あいつの主砲の餌食だよ!?
ネル:・・・ミキに変身して、バリアーを張ってから、その場から動かずに魔法で地雷を全部処理して!
ミク:わ、わかった!
ギューーーン!
ミク:フィジカルバリアー!
ミクはミキに変身し、その場から動かずに魔法で自分の周りに、物理物質に対するバリアーを張った。
ミク:えっと・・・踏むと爆発だから・・・えーい! 「槍でも降っちゃえ」!
バシュバシュバシュバシュ!!!!
まさに、“槍が降る”事態になった。上空から小型の槍を大量に降らせ、地面の地雷に物理接触させた!
ドゴーーーーン! ドゴーーーーン!
ミク:キャアアアアアア!!!!!
当然、周囲に埋まっていた地雷が一斉に爆発したのだ、その“衝撃”は相当のモノだった。バリアーを張っていなかったら、とっくに全身の骨がバラバラになっていたところだった。そして槍が降ってきても爆発が起こらなくなった。
ミク:はぁ・・・はぁ・・・な、なんとか全部処理できたみたいね・・・
アビゴル:うぬぬ・・・なかなかやるな・・・フィジカルバリアーか・・・ならばこれだ! 焼夷弾(しょういだん)!
ドゴン! ボカン!!!!
焼夷弾。爆発した場所に火炎を巻き起こし、対象を焼き払う非人道兵器。それを“何の躊躇もなく1作戦として発射する”アビゴルはやはり悪魔そのものだった。弾はミクの“フィジカルバリアー”に接触して爆発したが、それだけではなかった!
ゴォォォオオオォオオオ!!!!
ミク:きゃあああああ!!!!熱いぃぃぃいいいいい!!!!
ネル:ミク! “瞬間移動”魔法でとにかく逃げて!!!
ミク:瞬間移動!!!!
ビュン!!!
ミクは咄嗟に瞬間移動魔法を唱えたので、焼き払われたエリアから脱出できた。が、熱気を両腕でかばったときに、腕にやけどを負ってしまった。
ミク:う・・・・めぐみに変身・・・
ギュン!
ミク:サクリファイス・・・
パァァァ・・・
ミクはとにかく回復する事が大事と判断し、めぐみの回復能力を使って、回復することにした。
ミク:ミキに変身して、移動力アップとエナジーバリアー
ギュン!ギュン!
ミクは弾丸は回避して、先ほどの熱気だけに気を付けることにした。
ミク:はぁ・・・はぁ・・・
ネル:ミク、大丈夫!?
ミク:回復できるとはいえ、メンタル的に追い込まれるわ・・・
アビゴル:うぬぬ・・・これだけ非人道兵器を使っても、回復して立ち向かってくるとは・・・ならばこちらも本気を出すか・・・騎士(ナイト)モードに変形!
ガキン!ガキン!ガキン!
ミク:え!? 虫みたいのが・・・人間型に・・・
そう、あの多脚兵器は、どういう構造になっているか不明だが、体中のギアを回転させて、ミクの3倍くらいの高さの人間型・・・意匠的には“騎士”の姿に変形したのだった。
アビゴル:ふぅ~、アビゴルとは、エリゴールとも言われていてな、ソロモン72柱神の一人で、地獄の公爵とも言われている。私の本来の形態はこちらなのだが、あまり人間タイプは好きではないのでな
ジャキン!
アビゴルは何か“猛毒”が塗られているような、塗れた“剣”をかざし、円形の盾をしっかと持って、ミクに対峙した。
アビゴル:もう好き嫌いの問題ではない。私の悪魔としてのプライドの問題だ。『化学兵器』を使ってでも、お前を殺す!
アビゴルは大きなその体躯を使って剣を振りかぶると、ミクに対して、剣を振り下ろした!
アビゴル:死ね!!!!!
ミク:しゅ、瞬間移動!!!!
ドカン!!!! ビュン!
ミクの移動の方が早かった! しかし、アビゴルの毒の剣の攻撃はそれだけではなかった。
ビュ!ビュ!
ミク:え!?
アビゴルの剣は、地面をえぐった時の衝撃を使って、周囲の広い範囲に、化学兵器である“猛毒”をまき散らしたのだった! 当然“移動先”にいたミクもそれを軽く被ることになった!
ミク:きゃあああ!!!!!
ミクは毒の痛みのために、移動先でかがみ込んでしまった。
ミク:め・・・めぐみに変身・・・サクリファイス・・・
ギュン! パァァァ
ミク:はぁ・・・はぁ・・・ミキに変身・・・フィジカルバリアー・・・
ギュン!
ミクは次は絶対に被りたくないので、物理バリアーを張ることにした。しかし、アビゴルの方が上手だった。
アビゴル:黄リンの剣に変更
ボォオオオオ!!!!!
アビゴルの剣が、真っ赤に燃えさかり、垂れた液体もマグマのように着火していた。
アビゴル:猛毒であり、火炎として自然発火する化学兵器・・・さぁ、エネルギーとフィジカル、どっちのバリアーを優先するかね? どうやらその2つは同時に唱えられないようだしな
ミク:うぅ・・・・
ネル:困ったなぁ・・・・あ! そうだ! そういえば、まだ手駒はあった! ミク! メイコさんの時に貰った力を使うんだ! 何の力か解らないけど・・・
ミク:あ・・・そうか・・・、確か、魔王リリスの力を宿した“リリィ”だったよね・・・。このままじゃ、ジリジリなぶり殺されるだけだし・・・
ミクは右手のひらを空にかざして、変身対象を叫んだ!
ミク:変身! リリィ!
ギューーーーーーーーーン!!!!
ミクの姿は、“金色に輝く女性騎士”の姿に代わり、その手には“刀の束”が握られていた。
ミク:力を頂戴!
ビーーーーーン!!!!
ミクが握っていた刀の先から、ピンクに輝く“ビームの刃”が現れた。
ネル:どうやらリリィの力は、“万能型兵器”みたいだね。その刀は“ビームソード”、そして全身を“万能オーラ”が包み込み、左手には対物理用の盾が装備されている。つまり、対物理、対エネルギー、両方の力を宿しているみたいだ。
ミク:・・・凄い・・・キッ!
ミクは同じ様な騎士の姿のアビゴルを睨み付けた。
ミク:これで装備としては互角だね。今度こそ、貴方を斬る!
アビゴル:はん! そんな簡易装備で勝てると思っているのか!
ミク:なら、これなら?
ビュン!!!! ガタン!
ミクはビームソードの刃を大きくして振りかぶると、アビゴルの毒の刀を一刀両断にしてしまった。
アビゴル:な・・・なら、クラスター弾!
ドン! ドカン!
アビゴルは着弾すると爆散して、それぞれが地雷になる砲弾を使い、ミクに向けて発射した! しかし・・・
ドゴン、ドゴン・・・・シーン
ミク:盾とオーラを甘く見ないでよ
ミクはクラスター弾を盾で受けて、爆散した破片をオーラで消滅させてしまった。
アビゴル:ダ、ダムダム弾!!!
ドゴン! ドカン!!!!
アビゴル:フフフ・・・大爆発しただろ!
ボロボロボロ・・・・シーン
アビゴル:な・・・なぜだ・・・
ミクはなんとも無かった。オーラと盾で、破裂した破片まで全て受け止めてしまった。
ミク:・・・次は私のターンね。ビーーーーームソーーーード!!!!!
ビュン!!! ゴトン!
アビゴル:ぬぉ?・・・おおおおおお!!!!
アビゴルの左腕が、いとも簡単に斬り落とされてしまった。
ミク:次はこっち!
ビュン!!! ガコン!
アビゴルの右手も、肩関節からごっそりと斬られて、音を立てて地面に落下してしまった。
アビゴル:あ・・・あ・・・
ミク:次はこれ
ビュン!!!!
アビゴル:あ・・・足が・・・
ズズーーーーーン!!!
ビームソードはアビゴルの両足を股関節から斬り落とし、アビゴルは顔と胴体だけになってしまった。
ミク:この魔王“リリス”を宿したリリィの力、さすが魔王の力だけあって、強さだけでなく、人間の“心の弱さ”すらカバーしてしまうのね。こんな事をしても、なんの心の痛みもないわ
アビゴル:ま、まて! こんなの一方的だ!
ミク:その言葉は“のし付けて”あなたに返すわ。これで最後よ
ビーーーーーン!!!!
ミクはアビゴルの頭部の上にビームを突き立てて、完全破壊する体制になった。
アビゴル:待てーーーー!!!!
ミク:さよなら
バシュ!!!!!
アビゴル:ご・・・ご・・・・・・・・・・・・・
頭部をめちゃくちゃに破壊されたアビゴルは、完全沈黙し、残りのパーツも砂に代わり、そして消滅してしまった。
シューーーーン
ミクも、元の学生服の姿に戻った。
ネル:凄い!
ミク:・・・でも、この力、あんまり使わないようにしよう・・・心まで魔王になってしまう気がする・・・
そして、5つ目の“青色のクリスタル”が光り出した。
ネル:ラス1個前の新しい力が宿ったみたいだ。えっと・・・「破壊神・シヴァを宿している“アペンド”」への変身が可能になったんだ。そして、残りの灰色のクリスタルは1つか。
ミク:最後は誰?
ミクは最後の6つ目の灰色のクリスタルをのぞき込んだ。そこには、何故か、天使の服を着た“自分”がいた。
ミク:え・・・最後は・・・私??
その時、その対象はクリスタルを通じて、ミク達に話しかけてきた。
ミクに似ている天使の声:最後は私と戦うだけだ。宇宙庭園で待っている。詳しいことはそこで話そう
そうして映像も声も消えてしまった。
ネル:ミクの家族というなら、残りはミク一人だからね。それで最後のクリスタルの対象は“ミク”なんだ。でもちょっと様子が違うね。で、ハク? 最後の“宇宙庭園”ってわかった?
ハク:うん。でも、本当に大丈夫なのかな? 最後はその名前の通り“宇宙”だよ?
テト:それと、最初から“時間停止”状態で、あの声の主と戦うみたいです。だから私はオブザーバーとして参加しますね
ネル:テト・・・
ハク:それじゃ、決戦の場所へワープするよ? いい?
ミク:うん! 行こう!
ハク:じゃあ、「宇宙庭園」へワープ!
ビューーーーーーーーーン!!!!!
ハクの声と共に、4人はその場から消えてしまった。次は“宇宙”。一体何が待ち受けているのだろうか?
(最前線の機動兵器があった場所)
どさっ!!
“機動兵器”も“関係していた軍の幹部”も消え失せた戦場は、傷ついた兵士達が横たわっているだけの、野原になっていた。カイトは挟まれていた“機動兵器のアーム”が消滅した関係で、地面に落下したのだった。
カイト:いてて・・・・・あ、あれ? なんで俺、このポイントにいるんだ? って! 周り、傷だらけの仲間だらけじゃないか! 一体なにがあったって言うんだ!
同胞達:う・・・カイト・・・すまん。自分で歩いて行けそうもない・・・仲間も含めて搬送車両に乗せてくれ。とにかくキャンプまで帰ろう・・・
カイト:わ、わかった!
こうして、カイト一人で、傷ついた仲間全員を搬送車両に乗せて、カイト達の軍のベースキャンプまで、帰還したのだった。おそらくそこに行っても、どうしてこうなったのか。例え諜報部であってもわからないことだらけだろうが・・・。
(続く)
CAST
ミク:初音ミク
工藤カイト(カイト):KAITO
妖精ネル:亞北ネル
妖精ハク:弱音ハク
妖精テト:重音テト
その他:エキストラの皆さん
Tweet |
|
|
1
|
0
|
追加するフォルダを選択
☆皆さん、めっきり、というか、急に寒くなりましたね。風邪などひかないように、ご自愛くださいませ
☆まぁ、部屋におられる機会も多くなりますので、ボカロ小説でも、どうですか?
☆最近は、GBFトライのガンプラ小説も書いてますけどね♪
○ボーカロイド小説シリーズ第13作目の” クロスリンク・プロブレム ミクの試練!“シリーズの第8話です。
続きを表示