No.730837

快傑ネコシエーター18

五沙彌堂さん

86、強化魔剣誕生
87、招き猫
88、相棒
89、銀の悪戯
90、金貸し後日談

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2014-10-18 04:01:02 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:604   閲覧ユーザー数:604

86、強化魔剣誕生

 

大和警部補は英国から特注の魔剣を取り寄せた。

今までどんなに霊験あらたかな霊刀でもデミバンパイアを倒すことが出来なかった。

そこで妖刀村正を英国に送り、魔術で魔剣と同じようにして強化したものを作り上げた。

霊刀、神剣では効果が出るか難しく、宗教、信仰の違いから避けていたが、

人から忌み嫌われ封印された妖刀になら魔術を掛けるのは容易ではないかとの

思惑から試してみたのである。

大和警部補は英国から供給された魔剣の性能をさらに強化する意味もあり、

もしデミバンパイアに通用するなら封印された妖刀を魔剣化して腕に覚えのある

エクスタミネーターに使用させれば、かなりの効果が挙げられることが予想された。

問題は封印された妖刀をどこまで飼いならせるかでかなりの精神力が必要だと思われた。

大和警部補の個人的に所有している霊刀は堅国の名のある由緒正しいものであったが

師匠慧快の教えを守って実戦では使ったことが無かった。

大和警部補は早速村正改魔剣を手に取り眺めてみた。

魂を持って行かれそうな強い波動を感じ鞘に収め、早速滅殺機関の訓練所を訪れた。

「少佐、ここの実戦的な訓練でこの強化魔剣が通用するか腕を試してみたいのですが、

お願いできますか。」

大和警部補の決死な表情にエリカは一応この訓練の過酷さを説明した。

「この訓練を1回で合格したのは部外者では四方野井雅一人だけだ。」

「命の危険を感じたらすぐに救援を求めることを約束してくれ。」

大和警部補は強化魔剣と特注の魔弾を込めた中銃身の357マグナムを装備して訓練所

の扉を開けた。

興奮状態の死刑囚のデミバンパイアがいきなり襲いかかってきて、

体がワイヤーで遠くへ逃げられない様に部屋の中以外自由に動けない様になって居た。

強化魔剣で袈裟懸けに斬ると動きが鈍くなり、止めに首を刎ねた。

デミバンパイアは指先から塵に変わっていった。

大和警部補は一部屋ずつ丁寧に攻略していった。

苦戦しながらも経験を活かして着々と仕事をこなし最後の部屋を攻略して外に出た

外でエリカが待っていた。

「おめでとう、1回で合格したのはあなたで私、雅に続き3人目です。」

「雅が少し改善したけれど訓練生ではまだ1回で合格した者は皆無です。」

大和警部補は息を切らせながら

「やっぱり歳の所為か正直言ってかなりきつかったですよ。」

エリカは真剣な顔をして丁寧な口調で言った。

「モニターで見ていましたがかなりの剣術の腕をお持ちのようですね。」

大和警部補は照れ臭そうに言った。

「いやー、見られていましたか53年ぶりに本格的に使ってみたので

大分腕が錆びついていますよ。」

「流石は小野派一刀流免許皆伝は伊達ではないようですね。」

「失礼とは思いましたがあなたの経歴は全て滅殺機関が調査済みです。」

「しかも古宮慧快直伝の最後の継承者でいらっしゃいますね。」

エリカは真剣な顔で尊敬の眼差しで大和警部補を見た。

「そこまで調査済みとは滅殺機関とは怖い所ですなぁ。」

大和警部補は微笑みながらも参ったなあと言う感じで言った。

「四方野井雅のパートナーを務めるあなたがただ者だとは思っていませんでしたよ。」

「美猫が魔剣で手負いのデミバンパイアを倒した位で魔剣だけではあなたが初めてだ。」

エリカは雅と美猫とチームを組んでいる人物の正体に納得がいったようだった。

「それが強化魔剣たるところで、強い精神力で押さえつけないと使いこなせないという

問題があるようで、実戦でどれだけ使えるか試す必要があるでしょうな。」

大和警部補は強化魔剣がまだ妖刀時代の危険性が未知数であることを心配した。

「強化魔剣を使いこなすにはある程度いやかなりの対魔力が必要ということですね。」

エリカは大和警部補の慎重さ用心深さがチームの要になっていると思い感心した。

雅の高い能力を効率よく引出し、美猫をサポート役として育て上げた能力にも

注目していた。

「ではこれをみやちゃんにも使わせて感想を聞いてみてから実戦装備でしょうな。」

「警視庁保安局亜人対策課でいい結果が出たら滅殺機関にもお勧めしますよ。」

大和警部補は肩を揉み解しながら滅殺機関の訓練所を後にした。

 

87、招き猫

 

猫街横丁では地域猫、飼い猫に店番をさせとくだけでは勿体無いと店長の肩書を付ける

のが流行っていた。

亜人街の市内電車の駅の駅長に地域猫が就任して人気が出たのに肖ってまずはカオスな

古着屋の最長老が店長に任命されてから、猫街横丁に広まっていた。

ただ、居酒屋銀猫は元々女将が猫又なのでわざわざ猫を店長にする必要が無かったが

昼のランチタイムはキジコが店長代理を勤めていた。

店長代理と言っても専用座布団の上で寝ているだけだったが。

キジコはひたすら韜晦して寝ているか寝たふりをしていた。

ここのところ、ほぼ毎日大和撫子は学校から帰宅後、猫街横丁へやって来ていた。

看板猫達が過労気味で疲れていないか見回っていた。

猫街横丁の猫達はみんな大切にされており大丈夫であった。

パークサイドパレスマンションの一階のコンビニに猫店長がいないかどうか確認して

いなかった。

「さつきさん、こんにちは。」

「撫子ちゃん、ようこそいらっしゃいませ。」

「猫街横丁で猫店長が疲れていないか見回っているんですけど、ここはいないいんですか。」

「この店はたまにキジコちゃんが買い物に来るぐらいで特に猫店長はいないんだよ。」

「亜人街の市内電車の西北町の駅長の猫さんの様子はどうだった、

多分一番ストレスが多そうだからね。」

「そういえば、まだ確認していませんでした、直ぐに様子を見て参ります。」

「撫子ちゃんの猫にかける情熱すごいなぁ。」

さつきはのんびりとした口調でいった。

しばらくして、血相を変えて撫子が猫を抱いて戻って来た。

「大変です駅長猫さん具合が悪いみたいなのですぐ獣医さんに見せないと。」

さつきは店番を店長に代って貰って撫子と獣医院へ駅長猫を連れて行った。

「ストレスと過労ですね少し休ませないとかわいそうですよ。」

獣医はそう言いながら、駅長猫に栄養剤と精神安定剤を注射した。

駅長猫はしばらく獣医院で休養することになった。

ただ駅長猫が長期不在になったので撫子とさつきは駅長猫の代理を探した。

地域猫で駅長猫を勤めてもいいという猫を探したが、美猫をはじめ、猫又がちょうど

不在で直接猫と交渉が出来なかったので2人には難しかった。

途方に暮れている二人を見つけて声を掛けたものがあった。

提灯屋の源さんであった。

さつき達は事情を話すと源さんは、

「そういうことなら儂に任せなさい、心配はいらないよ。」

二人にさわやかな笑顔を見せ市内電車の西北町の駅に向かって行った。」

翌日二人は市内電車の西北町の駅へ行くと首から駅長代理の札をぶらさげた大きな招き猫

が座布団の上に乗っていた。

 

88、相棒

 

大和警部補が雅に妖刀村正改強化魔剣を滅殺機関の訓練所で実用性の確認を行ったと

告げ実際に雅に試用することを勧めた。

ただ、妖刀村正改強化魔剣は元々が封印された危険極まりない妖刀でかなりの精神力と

対魔力を必要とする正に諸刃の剣で生身の精神の弱い人間では使いこなせない武器である

ため、大和警部補は雅以外に使わせるのは危険で精神を侵食される恐れを感じたのであった。

大和警部補自身は対魔力以上に精神力で妖刀村正改強化魔剣を操ったのであった。

「やっさん、こんな本格的な日本刀を使うのは初めてで、第一剣術の基本も高校の体育

の授業で習った剣道位しか知らないから使いこなせるかどうか不安ですよ。」

雅は比較的取り回しやすい西洋剣型の魔剣を補助的に使ったことしかなかった。

「みやちゃん、俺が日頃の感謝をこめて剣術の手ほどきをするから直ぐにそんな不安

なんか吹き飛ぶようになるさ。」

大和警部補は基本的な太刀捌きを雅に教え、雅もすぐに上達した。

「流石だな、健ちゃんの言った通りで、すごい身体能力だね。」

「難点はもう少し臆病なくらいの用心深さが必要なことと身体能力の高さに頼らずに

相手の動きを予想して行動するようにしないと相手によっては足を掬われかねない所

だがこればかりは経験を積まないとなあ。」

「まあ、そういう時は俺がなんとかするよ、みやちゃん。」

美猫が塗仏の鉄のもとから戻ってきて、かなり高位の黒魔術使いのデミバンパイアが

弟子クラスのデミバンパイア数人と護符を身に着けたライカンスロープを率いて、

廃娼街に潜んでいるのを発見し、現在監視中でまだ被害者は出てないが危険性はかなり

高いのですぐにも昼間の内に抹殺が必要と報告してきた。

すぐに雅、美猫、大和警部補は鉄と合流して、攻略方法を練った。

雅は妖刀村正改強化魔剣を装備して黒魔術師のデミバンパイアと弟子のデミバンパイア

を攻略することに専念し美猫と大和警部補は今回から導入した日本刀型の特注魔剣を

使って護符を付けたライカンスロープとブラウンジェンキンを皆殺しにする作戦で。

アジトの洋館を徹甲弾、炸裂弾、焼夷弾、さらに今回は照明弾を大口径の

無音ロケット砲で順々に鉄が打ち込み炙り出す作戦である。

弾が撃ち込まれアジトの洋館の屋根が吹き飛び火柱が上がった。

わらわらと飛び出してきた護符を付けたライカンスロープを美猫と大和警部補が

切りまくり皆殺しにした。どさくさまぎれに逃走しようとしたブラウンジェンキンを

美猫が全て殲滅した。

雅は黒衣の弟子クラスのデミバンパイアを一体ずつ丁寧に首を刎ね塵に変えていった。

最後に出てきた黒魔術師のデミバンパイアを雅は袈裟懸けに斬り付けた。

黒魔術師のデミバンパイアは護符が全く役に立たないことに驚愕した。

雅は黒魔術師のデミバンパイアの動きが止まったところを丁寧に首を刎ねて止めを刺す

と指先からぱらぱらと塵に変わっていった。

「みやちゃん、初戦から100点満点の戦闘だったね、妖刀村正改強化魔剣を使ってみて

何か違和感とか無かったかい。」

「はい、違和感は無かったですが威力が今までの魔剣と桁違いですね。」

「何か、魔剣に精神を吸い取られるような感じがして少し怖かったです。」

「そうか、やはり対魔力以上に精神力の強さを必要とされる魔剣のようだな。」

大和警部補は正式採用にはもう少し様子を見た方がいいと思った。

さらに美猫に日本刀型の特注魔剣の使い心地を聞いてみた。

「刀自体は重くなったけど取り回しには問題ないよ、刀身が長くなった分

使いやすいかな、両刃の細身の西洋剣と同じように扱えるよ。」

美猫は刀の形が変わっても全く問題ないと答えた。

実際大和警部補自身も全く同じ感想だった。

今回は鉄にもロケット砲を使って手伝ってもらったことで作戦の遂行が捗ったこと

も大きく大和警部補は鉄に礼を言った。

「やっさん、やめてくれよ水臭いなぁ、もう古い付き合いなんだから。」

鉄は改めて礼を言われて照れ臭いような困ったような表情をした。

「ところで、鉄お前いつの間にかロケット砲の取り扱いなんか覚えたんだ。」

「いつか役に立つと思って暇なときに美猫ちゃんに使い方を教わって覚えたんだよ。」

「大体やっさんが何でもいずれ役に立つから覚えとけって随分昔から言っていたぜ。」

「そういやそうだったな。」

大和警部補は塗仏の鉄が自分のアシスタントを勤めて2人でコンビを組んでいた昔

のことを思い出していた。

 

89、銀の悪戯

 

銀は悪戯を考えていた、それもかなり性質の悪いのを。

美猫の協力が必須であったので初めに全てを打ち分けて因果を含めていた。

ターゲットは最近お忍びで中央公園に現れる大検校大谷行基であった。

どうせ、亜人にとって良くないことを考えているだろうことは予想が出来たので

亜人の意地を見せてやりたかったのだ。

源さん、雅にばれると絶対に止められるので大和警部補に2人を引き付けておいて

もらう作戦である。

獣化した狒々に大谷行基を袋叩きにさせようという作戦である。

もちろん狒々は塗仏の鉄が選んだなかなか尻尾を掴ませない最悪の犯罪者で、非合法の

金貸しの用心棒をやっている、腕っぷしにかなり自信のある悪党であった。

銀はもちろん足がつかないようにいろいろな仕掛けを施し魔力を遮蔽した真祖バンパイア

の弱点を責めるのであった。

美猫は借金の取り立てをしている非合法の金貸しを思いっきり殴り半殺しにして逃げた。

当然用心棒の狒々は己のプライド掛け雇い主を半殺しにした美猫を追いかけた。

美猫は本気で逃げず、わざと捕まりそうになり、おちょくっては逃げを繰り返し、亜人街

の入り口で巧妙に美猫に変化した銀と入れ替わり、やはり同じように本気で逃げず、

わざと捕まりそうになり、おちょくっては逃げを繰り返し、公園のベンチの行基がいる

ことを確認して中央公園に逃げ込み猫に変化して姿を隠した。

獣化した狒々は公園のベンチにいる行基以外誰も見当たらないのに腹を立て、いきなり

行基にとても乱暴な口を訊いた。

当然プライドの高い真祖バンパイアの行基は腹を立て口の訊き方が悪いことを詰った。

行基は頭に血が上り魔力を隠蔽していることを忘れていたため、獣化した狒々は正体を

知らずにぼこぼこに殴りつけ蹴りまくり、行基のプライドと肉体を踏みにじった。

虫の息の行基の前に銀が現れ霊刀で獣化した狒々をばっさりと切り捨てた。

「大丈夫ですか、今手当をしますね。」

「お前さんは竜造寺銀さんじゃないか、懐かしいねぇ、慧快さんが元気だった頃以来だね。」

「まさか、大検校だったとは、慧快さんが見たら吃驚して腰を抜かしますよ。」

「今は白猫銀と名乗って居酒屋の女将を勤めています、公園で狒々が暴れて人が殺され

そうになっているって聞いて、昔の稼業を思い出して慌てて飛び出してきたんですよ。」

銀は行基の怪我を丁寧に治療した。

絶大な効果はあるがものすごく傷に沁みる膏薬を選んで貼っていった。

銀は行基が物凄いやせ我慢をして脂汗を掻いているのを気が付かない振りをしていた。

「まさか、大検校が大怪我をしたなんてことが公になったら色々と不都合があると思い

ますので私が慧快さんにしたみたいにこっそり大検校の手当をしておけば大丈夫でしょう。」

銀は行基が何をやっていたかは全く訊ねずに公園の入り口に待たせている車まで肩を貸

して送っていった。

「銀さん昔と比べるとすっかり丸くなったねぇ、本当に助かったよ、ありがとう。」

「いいえ、まさか災難にあっているのが大検校だったとは思いもしませんでしたよ。」

大谷行基の車は屋敷に向かって帰っていった。

これでしばらくは大谷行基もこれに懲りて魔力を隠蔽して中央公園にお忍びで来ること

もないだろうと銀は思った。

 

90、金貸し後日談

 

美猫が非合法の金貸しを半殺しにしてその用心棒を誘導して大谷行基を襲撃させる銀の

悪戯で用心棒は銀が斬殺して始末したが何も知らない大谷行基が事件を闇に葬って

くれたので非合法の金貸しはいきなり殴られ半殺しにされたうえ用心棒は行方知れず

になり踏んだり蹴ったりだった。

さらに自分を半殺しにしたものの正体が全く不明で調べようがない上警察の圧力が掛か

って自分の立場すら危なくなっていた。

亜人街に沢山の貸主がいるため取り立てないで街を去ると大損をするため新しい用心棒

を雇って借金の取り立てをしなければならなかった。

塗仏の鉄の情報網にこの悪どい金貸しが懲りずに再起を図ろうとしているという情報が

入ったため美猫は二度と非合法の金貸しが出来ないようにこの金貸しの貸金の証文を

全て焼き払ってしまい亜人街から追放する方法を考えていた。

金貸しは狒々の用心棒は余程信用のおけるものを選ばなければ

自分自身が危険な目に遭う為、非常に後任選びが難しかった。

ただの亜人では余程の腕っぷしが無いと勤まらない上

やはり危険な目に遭うリスクがあった。

狒々以外のライカンスロープは用心棒のような、

いかがわしいものを勤めるようなものはいなかった。

美猫は源さんに狒々に化けてもらい金貸しを化かして証文を

全部ご破算にする方法を考えた。

いかにもそれらしい狒々に化けた源さんは金貸しの元に行き

用心棒の募集を見てきたと告げた。

金貸しは狒々にしては人懐っこい感じで太り気味の狒々の圧迫感はなかなか使えると思い

雇うことにした。

一日金貸しと借主の元を回ってみたが源さんは金貸しの悪どさにとても腹を立てていた。

そこで、金貸しに酒を勧めて酔い潰すことにした。

「旦那今日は本当にお疲れ様でした、まぁ酒でも飲んで憂さでも晴らしましょう。」

「お前さん中々気が利くじゃないか、じゃ、一杯行くとするか。」

源さんが本気で酔い潰す時の酒はとても強い酒をグイグイ飲ますため金貸しは

小1時間ほどでダウンした。

源さんは酒気を全身から吐き出すと美猫と鉄を呼んで金庫の証文を全部焼き捨て、現金は

すべて没収して代わりに枯葉をいれておいた。

翌朝金貸しが目を覚ますと証文が全て灰になり現金が枯葉になっていたので仰天した。

人懐っこい感じの太り気味の狒々はどこにもいなかった。

非合法の金貸しは警察にも訴えるわけにもいかず、寂しく一人亜人街を去った。

 

 


 
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