No.729552 ソードアート・オンライン アクチュアル・ファンタジー STORY28 VS神(笑)やぎすけさん 2014-10-12 15:02:36 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:986 閲覧ユーザー数:968 |
前回のあらすじ
3つ目の結晶を回収し、最後のテラーメモリーを破壊したベリルは、焼失してしまった衣服の代わりを着直して街へ向かう。
陽気な歌声を響かせながら街のモンスターを蹴散らして進み、キリトたちと初めて出会った聖堂に行き着いた。
そこで待ち構えていたのは、教団の科学者ヴォイドだった。
軽い会話と茶番の後、ベリルはヴォイドとの戦闘を開始。
相変わらずの一方的戦闘を繰り広げ、少し自分の考えを語ったベリルは、ヴォイドの頭を撃ち抜いてとどめを刺す。
その後、聖堂の地下で夜空の剣を引き抜き、無事夜空の剣の回収に成功した。
STORY ⅩⅩⅧ VS神(笑)
ベリル視点
聖堂の外に出た俺は右手に夜空の剣を握ったまま、聖堂前の広場から見える1本の巨大な柱に目を向けた。
シュヴァルがフォースゲートと呼んでいたもので、あのデカブツの力の源である。
神(笑)はアレの力で破壊不能になっていた。
夜空の剣を回収したことで無敵化は止まったが、また何かの拍子に再起動でもされたら面倒だ。
となれば、破壊しておいた方が良いだろう。
そう考え、俺はそびえ立つ巨大な柱に足を向けた。
街に入った時に片っ端から切り倒したためかモンスターとエンカウントする事も無く、柱の根元に辿り着く。
だいたいサイズは、直径が5m、高さが50~80mぐらいだろうが、見上げてみると中々の迫力だ。
ベリル「さて、それじゃあ始めるか」
俺はゆっくりとあてがった剣を柱に突き立てて一歩下がり、地面を強く蹴って走り出し柱を螺旋状に駆け登る。
金属をグラインダーに掛けたような音と大量の火花を散らしながら、巨大な柱に螺旋状の斬り込みが刻まれていく。
天辺まで駆け登るとそこからジャンプして、柱のすぐ近くに身を躍らせた。
ベリル「エンハンス・・・」
上昇速度が落ち始める中、俺は手に持った漆黒の剣を天に向かって掲げ、そして唱える。
ベリル「アーマメント!」
瞬間、漆黒の刀身が脈打ち、刃のいたるところから闇が溢れ出した。
溢れ出した漆黒の奔流は互いに絡まり合い、大木のように太くなりながら天を目指して一直線に伸びていく。
ベリル「コンバージ・ブレード!」
刀身の長さがフォースゲートとだいたい同じになったのを確認した俺は、未だ伸び続けようとする剣に向かって叫んだ。
すると、それまではただ溢れ出すばかりだった奔流が突然動きを止め、次いで収束し始める。
ボコボコだった表面は徐々にその形を変え、削られるようにして長大な黒い板になり、さらにそれは刃を形作って巨大な刀身を生み出す。
完成したのは巨大な夜空の剣。
唯一柄だけが人間の扱えるサイズだが―――それでも長さは3m以上あるが―――、それ以外は巨人でもなければ扱えないと思えるほど大きい。
というよりむしろ、巨人であっても一太刀で斬り払えそうだ。
巨大化して重さが跳ね上がった漆黒の剣を、俺は掲げた姿勢から大きく上段に振り被る。
ベリル「ぜぇぇぇりあぁぁぁ・・・!!」
掛け声とともに巨大な刃がゆっくりと動き出し、崩壊寸前のフォースゲートへと振り下ろされた。
振り下ろされた漆黒の刃は崩れかけた巨柱を豆腐のように両断、その根本までを斬り裂いて地面と衝突する。
重々しい轟音と大地震の如き衝撃が周囲を駆け抜け、粉々になって崩れていく柱の根本には尋常ではない量の土煙を舞い上がらせた。
剣を叩き付けた衝撃を使って進行方向を調節した俺は、剣を元の大きさに戻してから近くにあった一番高い塔の天辺に着地する。
剣を左右に振り切って背中に持つと、直後に後ろで崩壊していた柱がガラス塊を割り砕くような大音響と共に微細なポリゴンの欠片となって爆散した。
ベリル「これでよし!」
満足気に頷いていると、突然後ろから話しかけられる。
?「フォースゲートを破壊したか・・・」
気配に若干の違いがあるが、聞き覚えのあるその声で話しかけてきたのが教皇だとわかった。
ベリル「おめかししてお出かけか?もうろくジイさん」
と、俺は振り向きながら答える。
俺の後ろ、適度に距離を置いた位置に一体の鎧騎士が浮遊していた。
見てみると、後ろにも数体の鎧騎士が飛んでおり、その後ろにはあの神(笑)の姿もある。
“神”と呼ばれているその巨人の周りには、鎧騎士の他に教団本部の残骸らしきものが漂っており、そのほとんどが足場だったものらしく上側は平らになっている。
他のものより装飾が多い剣を携えた鎧騎士は、俺の問いには答えず、苛立ちを隠した声で話しかけてきた。
教皇(鎧騎士)「あまり調子に乗らぬ事だ・・・貴様などこの神の前では無に等しい」
ベリル「どうかな?神とか言ってるけど、所詮はお前らが作ったデカいだけの人形だしな」
教皇(鎧騎士)「減らず口め!いつまでそんな態度が続くかな?」
ベリル「さあな。死ぬまでじゃないか?」
教皇(鎧騎士)「せいぜい足掻くが良い・・・フォースゲートが破壊されたとて、貴様にこの神は止められぬわ・・・」
それだけ言い残して、鎧騎士は俺に背を向けた。
神(笑)の所に帰るのかと思えば、瞬時に振り返り、剣を構えて突っ込んでくる。
ベリル「言葉の割に随分と狡っからいやり方するな」
迫る横薙ぎの一撃を左手で引き抜いた大剣で弾き返し、続けざまに振り上げた夜空の剣と振り上がったままの大剣を交差させるように振るう。
ガラ空きになっていた鎧の胴にバツ字の軌跡が描かれ、それによって教皇の鎧はバラバラに粉砕された。
しかし、やはりその中に教皇の姿は無く、無残に斬り裂かれた鎧の残骸が落下していく。
ベリル「やっぱ、リモコンだったか。まあそりゃあ、あのチキンジジイが正面から来るわけねえよな。となると本体は
そう言ってジャンプした俺は、巨人の周りに浮遊している瓦礫の1つに跳び移った。
ベリル「まずは
俺の接近に気付いたらしい神(笑)は、身体を大きく仰け反らせて左腕を振り被ると、小さな壁ほどもある巨大な拳が、俺目掛けて落ちてきた。
やれやれと首を振り、素早い動きで跳躍してそれを回避し、振り切られたその腕に跳び乗る。
ベリル「
手招きして挑発してやると、巨人は顔の前に4つの魔方陣を作り、そこからエネルギー弾を放ってきた。
だが俺は迫り来る大きな塊を逆に夜空の剣で弾き返し、表情の無い顔面に叩き付けてやる。
直撃したエネルギー弾が爆ぜ、神(笑)の巨体が大きくぐらりと揺れた。
俺はよろめく巨人の身体から跳躍し、近くにあった瓦礫に着地する。
一方、俺が滞空している間に立ち直った巨人は、右手で握った巨大な剣を横に振り被る。
ベリル「ほう?剣で勝負か?よし来い!」
ニヤリとした俺は夜空の剣を足場に突き立て、背から取った大剣を両手で握り締めて後ろに流すように構えてエネルギーをチャージした。
直後、ゆっくりとした動作で動き出した巨人の剣が速度を上げながら迫ってくる。
その鈍く分厚い刃が俺を捉える寸前、時間にしてコンマ01秒のタイミングで、深緑色の光に包まれた自らの剣を全力で振り上げた。
見事、巨剣の腹を打った一撃がその軌道を上に逸らし、馬鹿デカい刀身に亀裂を作る同時に刀身に込められていた爆発的なエネルギーを放出する。
解き放たれた深緑の衝撃波は、入ったばかりの亀裂をさらに抉り、太さ5mは下らないその刀身を貫通した。
半ばからへし折れた刃は、街とプラントのちょうど中間に当たる平原の中央に突き刺さると、大音響と共に爆散して空気に溶けていった。
だが、俺の攻撃はこれで終わりではない。
俺は近くを漂っている瓦礫を跳び移り、空中でスカルリーパーを展開しつつ、神(笑)の左腕に跳び乗る。
それに気付いた巨人が折れた剣で俺を弾き落とそうとするが、俺は剣を背に戻して迫り来るそれを逆に殴って弾き返した。
そして体勢が崩れている隙に右足を振り上げ、足場にしている腕に向かって踵落としを叩きつける。
すると叩きつけた場所に亀裂が入り、破砕音と共にその腕は砕け散った。
亀裂が伸びていく間に再び近くの瓦礫に跳び移って夜空の剣が刺してある場所に戻り、振り返って見る。
蹴り砕いてやった巨人の左腕は、肘辺りからきれいに吹き飛んでなくなっていた。
なんとも呆気無いものだ。
つい先ほどまで完全な彫刻作品のようだった巨人は、たった2撃で剣と左腕が消し飛んでしまった。
もう少し歯応えあると思っていたのだが、所詮は神(笑)だったいうことか。
ベリル「Hey!どうしたよ?
期待外れだったことを表現するために、無くなった左腕を押さえている神(笑)を挑発してみる。
すると俺の言葉に反応したのか、神(笑)は激怒したようにその身を震わせた。
その途端、人で言う心臓の辺りが赤く光り、氷柱が出来るのを早送りで見たように砕けた腕と剣を再生させる。
ベリル「なるほど、あの場所が“コア”か」
再生の瞬間に光ったということは、その部分に大きなエネルギーある可能性が高い。
そして、その役割を果たしているのはおそらく
ならば、必然的にあの場所に2人がいると予測できる。
夜空の剣を引き抜いて駆け出した俺は、もう一度巨人の腕に飛び乗ってその上を走る。
その間に鎧甲を戻し、入れ替わりに夜空の剣を引き絞るように構えた。
そして、先程赤く光った場所目掛けてジャンプ、巨人の胸に剣を突き立てる。
思いの外強度があって刺さり難いが、それでも強引に剣を奥深く押し込む。
その時、どこかから教皇の声が響いてきた。
教皇「ウィアードアーティファクトとて、この神には通用せぬわ!!」
それと同時に、神(笑)の巨大な腕が振り上げられる。
俺は咄嗟にその場から跳び退くと、宙に身を躍らせたまま、夜空の剣の切っ先を巨人の心臓に向けて叫んだ。
ベリル「エンハンス・アーマメント!」
漆黒の刀身が脈打ち、溢れ出した黒い奔流が槍となって巨人の胸に巨大な穴を穿つ。
教皇「無駄だッ!!」
またも教皇の声が響き渡る。
直後、巨人の胸の穴が塞がり始め、あっという間に人1人がギリギリ通れるほどまで小さくなってしまう。
距離と足場から考えて、俺が直接跳び込むのは難しいが、それならば別の方法で攻めるだけ。
俺は元のサイズに戻ったばかりの夜空の剣を背負っていた愛剣とともに振り被り、未だ完全には塞がっていない穴目掛けて勢いよく投擲する。
続けざまに愛銃を引き抜き、向きや位置、弾道を計算して複雑な射角で撃った。
絶妙な角度と時間差で放たれた弾丸がそれぞれにぶつかり合って跳弾しながら、前方の剣を追いかける。
そして、2本の剣が穴を通過するのとほぼ同時に、2つの弾丸がその間で跳ね返り、真っ直ぐ飛んでいたその2振りの剣を左右に弾いた。
弾かれた剣たちが見えなくなると、穿たれていた穴も完全に塞がる。
すると突然、神(笑)が降下し始め、そのまま轟音と振動を響かせて地面に膝を付いた。
蹲るような体勢になった神(笑)は、顔だけでこちらを見る。
教皇「貴様何を・・・!?」
怒気を含んだ慌てた声が聞こえてくる。
長い跳躍の果てに、最初に乗っていた塔に着地した俺は、見えなくなった剣の代わりに神(笑)の姿を眺めつつ、状況がわかっていないであろう教皇に言った。
ベリル「悪いが主役交代の時間だ」
言いながら、俺は両手に握っていた二丁の愛銃を指で弄んでから腰のホルスターに戻す。
その間も巨人は立ち上がろうともがいているが、全く姿勢が安定しない。
“神”なんて名乗っておきながら、なんとも情けない姿だ。
思わず吹き出しかけてから、俺は再び叫んだ。
だが、相手は教皇ではない。
ベリル「起きな、
巨人の中で眠る2人にこの声が届くかどうかはわからなかったが、それでも俺はそうしていた。
強力な武器を敵陣に放り込むという一種のギャンブルだったが、リスクを恐れないぐらいでなければ人生は面白くない。
予想が間違っていなければ、すでに剣は2人の元に届いているはず。
あとは、坊やたちが自力で立ち上がれるかどうかだ。
俺は、願うことも神頼みすることもしない。
ただじっとその場に立ち、坊やたちの返事を待つ。
程無くして、その時は訪れた。
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教団が“神”、ベリルが“神(笑)”と呼ぶ存在との対決