No.728425

「スカレーの冒険」②(全5話)

lotus045さん

つづきです。

2014-10-06 22:43:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:545   閲覧ユーザー数:545

スカレーを乗せたカモメは、高く飛んだかと思うと、まもなくすぅっと低いところを飛び、カモメがいっぱい乗っている潜水艦の上に着きました。

 

「さぁ、ついたよ。この潜水艦が泣いているんだよ、もうずっと泣いているんだ」

「つれてきてくれて、ありがとでスカレー」

スカレーはカモメの背中に乗ったままお礼を言いました。

潜水艦の上に乗るのは初めてで、こわかったのです。

 

「ねぇ、おりていいんだよ」

カモメが迷惑そうに言いました。

「うん…」しぶしぶ、スカレーはおりました。

「わぁ…」潜水艦の上に乗っちゃった!

 

「この潜水艦ね、長いこと仕事をしてきたのだけれど、もう年だし、新しい潜水艦に仕事を譲って、どくことになったんだって!」

「そうなんだ」スカレーは潜水艦をさすりながら言いました。

「どいたことが悲しくて泣いているんだね?」

スカレーは、悲しいときでもお話しできない動物を優しくなぐさめるように、潜水艦をなでました。

 

「ちがうの。」潜水艦が言いました。

「ちがうのよ、泣いているのはどいたからじゃないの。だって、どくことは新しい仲間を加えることだもの。毎日ちゃんと具合もみてもらえたし、誰の命も喪うことなく役目を終えることができて、とても自慢なのよ!・・・泣いているのはね、夢があるからなの。でも、それはとても難しいの。実はね、役目を終えた護衛艦は空にのぼることができるの。でも、私は潜水艦だから、潜るのは得意だけど、空を飛ぶなんてできないから、ずっとこうやって過ごすのかしらって思ったら、悲しくて、泣いてしまうの」

 

「空に!?」スカレーは驚いて叫び声をあげました。

 

「ムリだよね」

「ムリだよ」

カモメ達が口々に言いました。

 

遠くで、ラッパが鳴りました。お昼になった合図でした。

 

スカレーは、カモメ達と一緒に、潜水艦の思い出話をききました。

 

つづく


 
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