No.728091

リリカル東方恋姫 第十四話 『先生、僕ら先生の生徒は先生のおかげで立派に成長しました』

参式「最近、艦これはじめようと考えてるんだけど。どうかな~?」

一刀「やりたいならやればいい。それで、投稿がおくれなければね」(厳しい眼)

参式「……第六駆逐艦をコンプリして、作中でおまえの助手にするのは?」

続きを表示

2014-10-05 16:42:58 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:2051   閲覧ユーザー数:1924

――・・・・・・・・なんやこれ?

 

 

はやての視界に、灰色の風景があった。まるで昔の映画のモノクロを見ていようであった。映像には、あの事故があった東京湾で木に隠れている少年がいた。

 

 

――あの白い子は誰や?

 

 

白黒でもその少年の髪が白く服が黒であることがわかる。

そして、少年の顔がまるで人形のように顔つきであった。

 

『なにか用かな?』

 

少年が尋ねる。少年の正面には、幼い日のはやてが車椅子に座っていた。

 

――むかしのわたし?

 

『あなたはだーれ?』

 

『―――・・・・・・・・・僕がなにかわかるのか?』

 

『わからへんけど、あんたが、なんやいい子だと思う』

 

『こんな僕がいい子?わらえるね』

 

『それでも、あなたは誰かのために悩むのはいい子しかおらんでー』

 

『僕が悩む・・・・・・・・?・・・・・・・・・・――な僕が・・・・・?君のなまえはなにかな?』

 

『わたし、八神はやて、あんたは?』

 

『僕は―――』

 

『――君か~。えぇ名前やなぁ~』

 

『そうかなぁ?・・・・自分でつけたんだけど、君がいい物だというのなら、ぼくはこれからこの名で通るよ』

 

雑音で大事な部分が聞こえない。はやては二人が楽しく会話をしていることに眺める。すると、少年は用事があるため、お別れりなる。

 

『もういっちゃうんの?』

 

『仕事があるからね』

 

『ほんなら、仕事っていうもんが終わったら、また、ここで一緒にこようなぁ~』

 

『あぁ、約束しよう』

 

――あれ?なんかいい雰囲気?

 

『君に――・・・かなら――・・・おう――・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そして・・・・・・・・』

 

 

はやての視界がぼやける。雑音で二人の会話が聞こない。

少年は幼いはやてに顔を近づかせ・・・・・・、

 

 

チュウッ

 

――えっ?

 

『君は僕のものにするよ・・・・・・・・・・・・・・・はやて』

 

 

口づけを交わした少年は、人形のような顔で微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・いまの、なんやったんや…?」

 

 

意識が朦朧としたはやては、先ほどの光景を考える。が、頭がはっきりと思い出せずにおり、、目の前の光景に、考えるのをやめた。

今、はやてがいるのは、まるで深海のような青い空間。そこに水の中のように沈んでいた。なんでここにいるのかわらず、ぼんやりしていると、凛とした女性の声が、はやての意識を覚醒させた。

 

「おはようございます」

 

長い銀髪の女性が脇に本を抱えて、片膝を下に付けてしゃがんでいた。

 

「お目にかかるのははじめてだとおもいます。私はこの本の、…夜天の魔道書の管制融合機です」

「はぁ」

 

そこが見えない空間ではやては女性と目線があえるように座る。

銀髪の女性・管制融合機は赤い瞳ではやてをみつめた。

 

「あなたは先ほど正式に我れらが主となられました。夜天の魔道書とその守護騎士四機はあなたの知恵と力になり御身につくさせていただく所存です」

「あっ…はぁ」

 

はやては状況がわからう呆けながら生返事する。

 

「お伝い事は星のようにたくさんあるのですが、このまどろみから目を覚まされば、あなたは私が伝えたことのほとんどを…忘れてしまわれるでしょう」

「そうなん?」

 

はやての返事に管制融合機はさびしげな表情で見つめた。

 

「って、言うかなんか変な感じやなー。あなたとは初めての感じがせーへん」

「・・・・この動けぬ本の姿でです。あなたがご幼少のころより共にすごさせて頂きました。・・・あの白き機械姫による封印によって、備わっていた機能が一時麻痺してしまいましたが、あの少年に力により封印の効力を消していただきました」

 

管制融合機が持っていた本、それは、かぐらにお札をはられ機能が停止していた魔導書であった。本は二人の間を漂い、上へ上へと上昇していった。

 

「あぁ、なるほどそれはよかった・・・・・・ふぇ?」

 

突如、はやての身が青白く輝く。

 

「あれ、なんやこれ?」

「まどろみのときが終わるようです。…もうお会いすること叶わないかもしれません。ですからお願いが…」

 

上へ浮かび上がるはやてを管制融合機は両手をはやての両手の掌を上にして手を合わせた

 

「あのやさしい騎士たちは望まぬ戦いを続けてきました。どうかあの子達にやさしくやってください」

 

まるで粒子のように消えるように、はやての身体が上へ浮上していき、管制融合機の手からはなれた。

 

「それから、なにより…なによりあなたが幸せでありますように」

「あの、待って…まって!」

 

 

はやては管制融合機に手を伸ばすも、そこで意識が白くなった。最後にみたのは管制融合機が赤い瞳で悲しくも慈愛に満ち表情で願う人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・ぅっ」

 

目覚まし時計が明朝の五時半を回りすぎたと時刻、ベッドで眠っていたはやてが目をあけた。

その横には、主の目覚めをまっていた、騎士になったシグナムとシャマルがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝日が昇り、町のビルに影が黒くなり、町が明るくなるのを、屋根の上で町を監視していたヴィータとザファーラが眺めていた。

 

「せまっくるしー町だなー。もう魔法の匂いもしねー。よく、こんな場所でドダチャンできたなー」

「すくなくとも、この光景をみれば、戦乱や戦が渦巻く土地ではないようだ。まるで、あの時の時間が嘘か幻と思える」

 

数時間まえの出来事に思いかえし、ヴィータは鋭い目で朝日が昇る町をにらんだ。

 

「なにが闇の書の守護騎士だよ。適当に選ばれた主のため、闇の書のページ集めのために戦うだけの存在。戦って勝って負けても、どうせ一生こうなんだろうあたしたちは…あの夜みたいに」

 

己の宿命に嫌気をさすが、それ以上に、昨晩の敗北の近い戦果と、わけのわからない事態と敵に顔を二がませる。

そんなヴィータにザフィーラは一言だけつぶやいた。

 

「・・・・・・・いつか壊れて果てるまでなぁ」

 

と、そのとき、シャマルから念波が二人に届く。

 

《ヴィータちゃん、ザフィーラ。もどって、あたらしい主がおめざめだから》

 

 

 

 

 

 

その後、闇の書が宙に浮いてはやてのそばにいる間、守護騎士たちははやてに闇の書の説明やお互いの自己紹介などを改めて話す。その後、はやては今、自分の寝室で一刀とチャチャゼロがいないことに思い出す。

 

「ところで、一刀とチャチャゼロの姿が見えへんけど、どこにいったんや?」

「主をベッドに寝かしたときにいたのですが、そのあとで姿をありませんでしたよ」

「呼んだらくるんじゃねーの?」

「そう?うんなら…、一刀~?」

「ふぁ~なんか呼んだか?」

「わっ!?」

 

突如、座っていた車椅子の下、正確には影から、一刀があくびをしながら現れた。赤い縄紐で縛ったポニーテールだが、昨晩の服装と違い、一刀の服装は黒のトップと白衣に着替え、メガネをかけた研究者スタイルであった。

 

「びっくりした~!?もういきなり、私の影からあらわれへんといてぇーよ」

「ごめんごめん。結界の修理と敵の残骸の回収とかで徹夜だったから、ねむくって適当に移転しちゃって」

「嘘付ケ、女ニ名前ヲ呼バレテ、スグニピンポイントデ向カウクセニ」

 

一刀の背後の肩からチャチャゼロがノキッ!と現れた。昨晩の戦闘で身体のひび割れやもげた片腕、ボロボロになった服装ではなく、ひび割れが直り、片腕があり、服装は普段の黒のワンピースでなく黒のゴスロリであった。

 

「頭の言語機能を調整しとけば、その戯言を言わなくなるのかおまえは」

「チャチャゼロ!体、治ったんやな!」

 

チャチャゼロは一刀の肩からはやての胸に飛んでいくと、はやてはチャチャゼロの体が直ったことに喜び、チャチャゼロをキャッチし抱きしめた。

 

「よかたわ~、チャチャゼロが完・全・修・復で体が治って安心したわ~」

「ホットシタノハ、コッチダ。アノ晩、コトガ終ワッタ途端、オマエガ、マタ目ヲ回シテ気絶シタンダゾ。アノ後ノ始末、結構大変ダッタゾ」

「その後始末をやってる俺のうしろで、ルームチェアーに乗って、酒を飲みながら週刊誌呼んで奴がヤッタみたいな顔で言うなっ」

「アハハハハ~・・・・とりあいず、面倒かけてすいまへん」

 

いつも道理?の一刀とチャチャゼロに、苦笑いするはやて。昨晩、はやてが一刀に「おつかれさま」といった跡で、緊張の糸が切れてしまいガック!、とそのまま気を失ってしまった。その後で、はやてと守護騎士たちをはやての家に送り、その後で、チャチャゼロが壊したミミックとこまちたちの武装RAYの残骸などを別荘に回収しにいくが、また、案の定、ホワイトグリントの動力であり汚染物質であるコジマがみつかり、コジマ除去に徹夜をして、結界の点検を。その後で残骸を回収して別荘の研究室に転送させて、そのまま、はやての影の転移してきたのであった。

 

 

〈シグナム。こいつの魔法はいったい…!?〉

〈分からん。あんな移転魔法などみたことない。むしろそれ以前に、やつが姿を現すまで自然すぎて気付かなかった〉

 

はやてと一刀の会話を傍観うする守護騎士たちは一刀の魔法や存在に警戒していた。

昨晩から見たことない魔法に先ほどの影を使って転移魔法など、普通ならそれで相手を素性を警戒するのにそのことすら忘れていた。まるで、一刀の佇まいはまさに自然そのもの。まるで空気みたいに違和感がなく、それで居て一度気づけば、意識せずには居られない。シグナムは摩訶不思議な感じだと思った。そして、その存在感は十歳ほどの子供が出す物ではなかった。

 

「あんだけボロボロだったに、ほんま新品みたい直っているわ~」

「こいつには修復機能が取り付けてあるからな。下半身が失っても勝手に直るんだよ」

「ソレデモ、直ッテイルノハ外側ダケダ。マダ内部ノ調整ガ不足ダカラ、イマントコ、40%クライシカ、力ガデネーンダヨ」

「あとで、最終調整するからそれまでまっとけ(ダメージがまだ残ってるかぁ…敵の隊長はそうとうな奴なんだろうなぁ)」

 

シグナムの騎士としての勘が告げている。「今、主に危害を加えようものなら容赦なく殺す」と。

 

(……………一体何者なんだ?)

 

シグナムははやてと一刀とチャチャゼロの会話を警戒を見せずにただ疑問に思うのであった

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、なにがともなれ良かったな、はやて。家族が増えて」

「あはは~いきなり4人も増えたな~♪」

 

一刀を含め、魔法や科学など含んだ異常な家族構成だが、ほぼひとりで生活していたはやてにとって、数日で家族ができたことに大層喜んだ。

 

「・・・・デ?何デメジャーヲ持ッテルンダ?」

「闇の書の主としてみんなの面倒をきっちりみなあかんやろ?住む場所はあるし、料理も得意やし一刀とチャチャゼロもおる。残る問題は服だけや」

「あ~それで、メジャーか」

 

そこに自分と相棒が含まれているのか一刀がおもうが、はやてが「そやから、一刀は部屋から出っててな~」といわれ、一刀は「計るのなら俺がほうがいいぞ。なんせ俺を道具を使わずに目で測れる特技があるから。その誤差は0.02ミリ単位。三人いるなら二人で計ったほうがいいだろう」と言うが、チャチャゼロに白衣のえりの部分をつかまれて、子供としての特権を使えずそのままズリズリと引きずられ退室した。

 

「ほんじゃー、服買ってこないとあかんからサイズ測らせてな~にへへへへへ♪」

「主はやて…顔がこわいです…それと手をわきわきしないでください…!」

「なんとういうオーラっ。この主、大物わね(戦慄)!?;」

「ザフィーラ、おまえもなにか――って、犬モードで逃げるなよ!」

 

煩悩の笑顔で右手にメジャー、左手の指をいやらしく動かすはやて。守護騎士娘たちは、怖がり壁に下がり、犬耳?の大男のザフィーラは大型犬の犬もしくは狼?の姿に変身して、一刀たちとともに退室した。

 

「ふふふふ…痛くしないから・・・ただのボディーの測定だから怖くないよ…。おっと涎が…」

「主はやてー!スットープっ!?」

「北郷君たすけて~!」

「チャチャゼローヘルプミー!!」

 

怪しく目を光らす狸に壁側に追い込まれ逃げ道をふさがれた騎士娘たちは一刀たちにSOSを送るが、希望のドアは人形によって無残に閉められてしまった。ドアがしまるとき隙間から、人形が「ケケケケ・・・・」と笑い声が聞こえた。

 

「さぁ~三人とも、正確に測るから、その服、ぬぎぬぎしましょうね~」

「「「ヒィ~!?」」」

 

 

 

 

 

ちなみに部屋の外では・・・・・・・・、

 

 

 

 

 

「このドアの向こうに理想郷があるのに、チャチャゼロ、おまえはなぜ俺の邪魔をする」

 

ドアの前の廊下で、チャチャゼロに縄でグルグルの簀巻きにされた一刀がいた。

 

「アトデ、はやてガ作ル朝飯二支障ヲキタスカラダヨ御主人。コッチトラ、はやてニ飯ノ約束シタンダ。美味イ飯ノ前デ人形ノフリシテ我慢シテ、ヨウヤク堂々トアリツケルンダ。コレデオジャンニナンカサセルカヨ」

「それに、入ってもおぬしが死に目に会うだけだ。子供でも、やめておけ」

「ザフィーラ。老若でも、男っていうモンは、危険でもそこにあるロマンをもとめてしまうもんなんだよ。死ぬ目に会うからと、そこに手を伸ばさなくてどうする。そんなもの下半身の双玉を持つものとしてプライドがゆるせない。犬のお前ならわかるはずだ!」

「男としての使命などは男として理解する。が、あえて訂正させてもらおう。馬鹿な真似をよせ。そして、我は狼だっ」

 

と、討論としていると、ドアの越しから「入ってえぇーよ」とはやてに呼ばれ、一刀が瞬時に簀巻きを解いて、茶々ゼロとザフィーラと一緒に部屋に入ると・・・・・・、

 

「うぅ、まるで胸が重くなったみたいだ…;;」 

「はやてちゃんはテクニシャンわね~♪」

「頼む。もう一度、測定してくれぇ!」

 

垂れていそうな痛む胸を両腕で隠して恥ずかしがるシグナムと、ほてった体で赤い頬に手で添えて腰をくねるシャマル、そして、測定での数値に不満をもって土下座して欲しに頼み込むヴィータ。

そばには肌が潤ったはやて車椅子に座って、測定した数値をメモに書き込めていた。

一刀は内心「南無三~」と合唱して、はやてが書いているメモを覗き込み、チャチャゼロはヴィータを励まし、ザフィーラは無言で仲間を生暖かな目で見守っていた。

 

「そういえば一刀って、服とかどうしてるん?全部、あの棺に入ってるんかー?」

「いいや、主な荷物は別荘に仕舞っているんだよ」

「別荘?」

「はやてはもうみているはずだと思うよ。ほら、昨日の朝、リビングに置いてある試験管のガラス瓶のミニチュア。じつはあれマジックアイテムでね。中に入れるんだ」

「えぇそうなん!見たい見たい!」

「朝ごはん食べた後でいこうなぁ~(そういいえば、まだ荷物がとどいていないな。あの筋肉怪人ズ、なにやってるんだか)。それよりまずは、シグナムさんたちの今の服装だな。買い物に行くにもその格好じゃーいけないし。チャチャゼロー」

「ヘイヘイ。人形使イガ荒イ御主人ダゼ・・・・・」

 

と、チャチャゼロが空中を飛んで部屋から出ると、すぐに、大量の服の山を掲げて戻ってきた。

 

「ホレ」

 

持ってきた服の山を部屋の中央の床に放り投げて置いた。

ワンピースからシャツ、スカートにズボン、洋服から和服、さらにフリフリのゴスロリから、旧看護服、メイド服などマニアのものま色違いとデザインでさまざまであった。

 

「妹が昔、お客用に作った女性物の服だ。サイズとかデザインがいろいろあるから、どれでも好きなもの選んでいいよ」

「うっわ~どれもレベルが高~っ!ほんま一刀の妹は天才やなぁ~!」

「ほ~。いろんな服があるなー」

「あら、この生地いいわね~」

「このフリフリ、いけるじゃねーか♪」

「犬ノ分モアルカラナ」

「犬でない狼だ。・・・・その白い褌はなかなかいいな」

 

と、大好評であった。

 

「う~ん、これの服が私に似合うな…――って、こんなもんあるなら、どうして最初に出さなかった!これだけのサイズがあれば、あのようなひどい目にはなかったのだぞ!」

 

服を手に持って選んでいたシグナムが、先に服を出していれば、あのエロ測定を回避できたとツッコんだ。そのことに一刀は「あぁ~そうでしたね~(棒)」と確信犯のように目をそらし、はやては「結果的は眼福でした~♪」と満足していた。

そして、チャチャゼロはケタケタと笑い・・・・・・・、

 

「ソリャー、オマエガヒィヒィサセル為ニ決マッテンダロウ。淫乱堕乳」

 

チャチャゼロの発言に、ぶっち♪とシグナムの何かが切れ、すぐさま完全修復が完了したレヴァンティンを起動させ、鞘から刃を抜いた。

 

「・・・・・・・主はやて。すみませんが、この場でこの人形を斬らせてください。こいつだけは、あのときの借りを含めて、ぶった斬らなくては腹の虫がおさまりません!」

「ちょっとシグナム、やめなさい!気持ちはわかるけど、主のまえで血なまぐさいのはだめよ!」

 

はやての目の前で、チャチャゼロを斬りかかろうとするシグナムをシャマルが背後から羽交い絞めし、人間モードに変身したザフィーラがレヴァンティンを持った腕を押さえて、レヴァンティンを取り上げようとする。

 

「ヤレヤレ、コレダカラ頭ノ栄養ヲ乳袋ニ入レテル女ハスグニ感情的ニナル」

「ほんと、胸がある戦闘狂のやつはみんな頭が残念なんだよなー」

「ヴィータっぁぁあああああああああ!貴様がその人形に加担するなら、あのときの含めて人形ともども打首にしてやるぞー!つーかいまコロスーーーっ!!」

「きゃっー!?シグナムやめてー!」

「おぬしら、いいかげん、火に油を注ぐなっ!」

 

チャチャゼロの隣で敵意を含んだ目で、シグナムを見つめるチャチャゼロ。

シグナムはレヴァンティンを振り回し、それをシャマルとザフィーラが必死に止めた。

 

「あはははは、どうないしよーこれ…」

「とりあえず放置しておこう。朝ごはんが出来たころには、お腹を空かして怒りがなくなっているころだろうし」

「うん、そやなー」

 

 

と、一刀とはやては朝食を作るために、騒がしい寝室がから出ていった。

 

 

 

 

 

 

三十分後、一刀が昨晩に朝食の下ごしらえをしたおかげであとは調理だけですぐに料理ができ、朝食の準備が整った。

すると、「めしの匂いだ~♪」「腹減ッタゼ…」と胃袋がカラッポのヴィータとチャチャゼロが先頭に、「すまない。さっきは大人気ないとろを見せて」「リリカルセクシー枠組みもたいへんなのはわかるけど、自分のキャラわすれないでよね」「・・・・・・・・・・・ウム」とシグナムとシャマルとザフィーラが階段から降りてきて、はやてと一緒に食事を取る。ちなみに、皆、着替えており、守護騎士たちはチャチャゼロが持ってきた服を着ている。

どういう服なのかはアニメの服装を創造してほしい(作者)

 

 

「パクパク、結構、美味イナー」 

「ギガうめーぜ!」

「うふふふ、そうやろう。おかわり沢山あるからどんどんたべてやー」

 

 

朝食のメニューは焼き鮭、味噌汁、卵焼き、サラダとハムなど、朝食の定番であった。

チャチャゼロとヴィータはおかずとご飯をいきよいよく食べ、はやては、にこにこと笑いながら、チャチャゼロとヴィータのご飯のおかわりをよせた。ちなみに、ヴィータはお箸の使い方がわからないため、グーでお箸をつかんでご飯を食べていた。

 

「なぜ、人形が食事ができるのだ?」

「そういう風な作りにしてるから」

「ヴィータちゃん。お箸が持てないならホークでたべたら?」

 

シグナムと一刀とシャマルは、ゆくりと味わって食べていた。ちなみにザフィーラは・・・、

 

「・・・・・・・・・・・・・・我は犬ではない。我は犬ではない。我は誇り高き狼であり盾の守護獣。ゆえにこんなものは食さぬ。…食さぬのに、獣としての本能がささやくっ!」

 

机の横で、犬モードになって床に横になって、(チャチャゼロが持ってきた)犬用の皿に乗ったドックフードをバクバクと食べていた。守護騎士としてのプライドが許されないのだが、彼は主を守る守護獣、獣であるのにかわらず、獣としての本能と宿命には逆らえないようであった。そのことにシグナムため息を吐き、シャマルは苦笑、チャチャゼロは「アア、ヤッパリ犬ダナ」とつぶやくのであった。

シグナムが空になったおわんに箸を置くと、はやてに話しかけた。

 

「主はやて。すみませんがお願いがあります」

「ん?なんや?おかわりのご飯、大盛りにしたいんか?」

「大盛りはあとでいいです。…実は北郷と戦わせて欲しいのですが?」

 

シグナムが横目でご飯を食べ終わろうとした一刀を睨みながらはやてに言う。

 

「一刀と?あか――」

「別に構わないよ」

「一刀!?」

 

ごちそうさまと、手を合わせる一刀は、シグナムと戦うことを許可した。

普段なら、面倒ごとや無駄な戦闘は避けるのだが、今は必要だと判断した。

 

「まあ、良いじゃないかはやて。多分、こうでもしなければこの人は納得しないだろ?チャチャゼロの相棒としての責任もあるしさ」

 

未だにシグナムは一刀に認めてはおらず、チャチャゼロの件があるため、ここは戦って自分を知ってもらうと考えた一刀。また、シグナムの目が武人の目であったので、同じ武芸者として、断ることができない。

 

「ほう…わかっているなら話は早い。従者の責任は主の責任だ。この人形による屈辱、貴様に代わってはらってもらうぞ」

「わかった。ただし、俺が勝ったらチャチャゼロの件をわすれて、俺たちを仲間として認めてもらうよ」

「良いだろ。ならば、私が勝ったらあの人形の一瞬間ほど分解してもらい、貴様が何者か教えてもらうぞ」

「あぁ。チャチャゼロもそれでいいだろう」

「勝手ニ進メタクセニ。別ニ俺ハカマワナイゼ」

「チャチャゼロ…」

「その言葉、わすれるな」

「なら朝飯がすんだら、別荘でやろうか」

 

 

 

 

 

 

その後、朝食を食べ終えたはやてと守護騎士たちは、一刀に案内されて、リビングに置いてある試験管の中に入り、別荘に来た。

 

「ようこそ、わが別荘へ♪」

 

バベルの塔が立つ草原の上では一刀がはやてたちにあらためて別荘を紹介した。

 

「ふへ~すごい所やな~」

「はやてちゃん。あしもとに気をつけてね」

「ふむ…この中は魔力が充実しているな」

「でっけー塔だな~」

「・・・・・・・」

 

各自、別荘の感想をそれぞれ述べる。

一刀は別荘の説明をする。

 

「この別荘は、そとの世界の一時間がここでは24時間になっているから、時間に気にせずあそべるよ。はやてにわかるように説明すれば、竜宮城の浦島太郎だな。ちなみに、年はとらないから安心してね♪」

「ほんま魔法てすごいんやなぁ~」

「いえ、主はやて。我々はこのような魔法などしりません。北郷よ。これも、貴様の魔法のひとつなのか?」

「それを聞くために、ここに来たんだろう」

 

一刀は操作パネルを操作して、ステージを地面から出した。

巨大なステージが出現したことに、はやてたちは目を丸くし、シグナムはわくわくしていた。

 

「特性のバトルステージだ。外野には強力な防衛結界が張っているから、思う存分やれるぞ」

「フフフフ…おもしろい。ますます貴様に興味が出てきたぞ」

 

これから戦えることにヤル気十分になったシグナム。その笑みはよっぱら悪のような微笑であった。この、正真正銘の戦闘叫に仲間たちはため息をはき、はやては苦笑した。

そして、一刀とシグナムはステージに上がり、チャチャゼロが操作パネルの上に乗って、ステージ外にいるはやてたちに被害ないように、パネルを操作して結界を張った。

 

 

 

 

 

 

 

「で、どうやって戦うつもりなの一刀?やっぱり相手がデバイスでくるのならあたしの出番よね~?」(チラッ

 

ステージの両側で一刀とシグナムがたっていると、一刀の首にぶら下がっている真紅が尋ねてくる。

 

「あ~残念だけどそれはないよ。今回はコレとコイツでいくから」

 

と、一刀は腰にぶら下げた一騎当千を右手で抜き、左手に長さ二メートルほどの長刀『破修羅』を鞘に収めたまま転送させ、そのまま鞘に装飾されたベルトで背中に担いだ。

 

「え~っ。私を使ってくれないの~?」

「彼女は強いからね。使い慣れた武器でやらないと。俺の剣は使い慣れたコイツラで発揮されるから。なんせ彼女は武人だ。ここは武芸者として戦かわにと無礼だろう」

 

使ってくれないことに真紅は不満をもつも、一刀の言葉を聞いてしぶしぶ身を引いた。

 

「さて、やろうか?」

 

一騎当千の刀身の反りを肩にトントンと叩く。シグナムはレヴァンティンを起動させた。

 

「木刀に長刀か…背中のソレは抜かないのか?」

「破修羅のことか?こいつ、切れ味が滅茶苦茶危ないから、試合形式なら鞘に収めないと、危険なんでな」

「ならば、大方その木刀でやるつもりか?ふざけているのか貴様?」

 

普通の木刀に見えない一騎当千に、真剣であるレヴェンティンに挑むことに、シグナムは疑問に思ったが、

 

「ふざけるのなにも、こいつ真剣より丈夫だから普段がこいつで使っているだけだよ。ほら」

 

そういって、一刀がステージの地面に思いっきり叩くと、

 

ドォォオオオン!!

 

轟音が鳴り、叩いたときの衝撃が空気中に広がってシグナムの肌にあたる。そして、叩いた場所が陥没し、普通砕け折れるはずの木刀には折れず曲がらず、健在であることに、シグナムは目を仰天させた。

 

「それでもまだ、不満?」

「…自分が勝負を申し込んだのだ。相手がどんな武器でも異論はない。むしろその長刀、なにがなんでも抜かせみたくなったぞ!」

 

一刀という存在に、戦いたいという戦闘凶に火がついたシグナムはレヴァンティンを構える。

 

「あらためて名乗ろう。我が名は守護騎士ヴォルケンリッターのリーダー。烈火の将、シグナム!我が愛剣レヴァンティン。ベルカの騎士にかけ、貴様の命の欠片は残さんぞ!」

 

威風堂々と名乗りをあげたシグナムに、一刀は礼儀を持って己の流派を正式に名乗った。

 

「北郷流、忌戒兵団(きかいへいだん)三代目頭領。北郷一刀。剣術名は明王斬戒剣(みょうおうざんかいけん)。我が刃、不義を裁く明王の鉄槌と知れ」

 

一刀の身体から膨大な気があふれ出し、一騎当千を振り回して、剣先をシグナムに向けた。

一刀のあふれ出し闘気が五体の明王の形になり、一刀の背後で威嚇しているような光景がシグナムの眼には映った。

 

「(なんとういう闘気…!面白!)こいっ!」

「じゃ、小手調べに・・・・・・」

 

一騎当千の剣先を地面につけ引きずると摩擦熱で剣先が熱を帯びて赤くなる。

 

「明王斬戒剣・不動の型『緋翔(ひしょう)』!」

 

一刀はそのまま一騎当千を振り上げて地面から振り上げて抜くと、摩擦熱を帯びた、三日月状の赤い斬撃が飛んだ。

飛ぶ赤い斬撃はそのまま、シグナムに向かって飛ぶが、シグナムは上段の構えからレヴァンティンを振り下ろした。

 

「甘い!!」

 

飛ぶ斬撃はレヴァンティンより、切り裂かれた。

しかし、それはフェイクであった。

 

「はあぁぁぁ!!」

 

飛ぶ斬撃を囮としてる間に、一刀が身体を低くして平突きの構えから足に溜めた気を一蹴りと同時に爆発させ、シグナムの懐へ一気に特攻していた。

 

「何!?」

「明王斬戎剣・金剛夜叉の型『爆爪(ばくそう)』!」

 

気を爆発させた特攻の勢いと左腕の腕力により突き出された刀身が、シグナムの胴体に向かって伸びる。

シグナムは体を横にずらして、紙一重でよけるも、そのまま、一騎当千を横薙ぎに振るった。

 

「まだ、甘いぞ!」

 

読んでいたシグナムはレヴェンティンでガードするが、一刀は空いている右手で背中に背負っている破修羅の鞘を掴み、そのまま振り下ろした。

 

「明王斬戎剣・軍茶利ノ型『誘女(ゆうじょ)』っ」

 

一騎当千でレヴァンティンを抑えている間に、破修羅をシグナムの頭部へ振り下ろす。

 

「くっ!」

 

シグナムは魔力を身体に循環して筋力を上げ、レヴァンティンで一騎当千を振り上げて払い、そのまま、破修羅を受け止めた。その瞬間、一刀は破修羅の柄を離して、両手で一騎当千の柄を持ち、刀身を背後に下げると腰を捻り、片足を広げた、上段の構え崩した異形な型になった。

 

「明王斬戎剣・大威徳ノ型『崩刀(ほうとう)』」

 

危機を察したシグナムは瞬時にレヴェンティンと鞘を十字にしてガードするが、腰の捻りと両腕の腕力、そして、斜め縦に振り下ろさせる遠心力によって、堅牢な斬撃となった一振りが、ガードしたシグナムごとレヴェンティンと鞘ごと吹き飛ばした。

 

「がっぁ!?」

 

吹き飛ばされたシグナムは空中を後退して、地面に転ぶがすぐさま体勢をとり、立ち上がる。レヴァンティンとその鞘に亀裂が生じていた。

上段から一騎当千を振り降ろそうと眼前を見下ろす一刀がいた。

 

「こいつの剣はっ!?」

 

一刀の剣術が、昨晩、自分を瀕死の状態に追い込んだ敵の剣とダブってみえると、一刀は瞬歩で居合いをつめるて木刀を振るう。

 

「くっ!!」

 

シグナムは紙一重でよけるてレヴァンティンを振るも、一刀の一騎当千がレヴァンティンごと打つ払う。

その後、一刀の守りすら押し切る猛攻と、シグナムの受身を取らず常に紙一重でかわして隙を突いて攻撃するという、両者互いの攻防が続いた。

 

 

 

 

 

「すごーい~!一刀とシグナムかっこえぇわ~♪」

「まさか、剣でシグナムと互角なんて…」

 

ステージの場外で、はやてが騒ぎ出し、シャマルは剣で右に出る者がいないと思わせたシグナムと剣で打ち合っていることに驚いていた。

そんな中、ヴィータはシグナムの攻撃に違和感を感じていた。

 

「でも、なんかシグナムのやつ、いつもと違ってあんまし攻めてないな~」

「そうなんウィータ?」

「あぁ、それにシグナムの奴、剣での鍔迫り合いを避けてるみたいでさぁ~、なんかまともに剣で受け止める防御をしてねーんだよさっきから・・・・」

 

守護騎士でシグナムはヴィータは、前方にいる敵を正面から特攻して戦うの基本であり、それゆえ接近戦による突破力が大きいため、常に攻め続けて押すという『動』の戦い方をしている。しかし、今のシグナムは常にガードせずに、避け続け、後退しながら相手の隙をあわせて攻撃する『静』の戦い方をしていた。

なぜ、いつも道理の戦い方をしないのか、そのことに、体術をマスターし、騎士の中で一番武術家らしいザフィーラと、約500年吸血鬼の主と守るために千以上の敵を殺してきたチャチャゼロには、理由がわかっており、同時に勝負の優劣を見切っていた。

 

「・・・・この試合、はっきりいってシグナムが不利だ」

「ワンコノ言ウ通リダ」

「え?どういうことや?」

「二人の剣は見たところ一撃で倒す剛の剣。しかし、二人の剛の剣はコンセプットと本質が違う。シグナムのは、一体多勢など全体から攻撃に耐用し、間を測りながら、一人ずつ相手を叩っ斬り、凡庸に優れた剣。しかし、北郷のは、全方向耐用な上、一振りで多勢を斬る殲滅に特化した剣。それも常に移動しながら至近距離からの全力の一撃を放つ神速の剣をもちあわせいる。一人を斬るより、大勢を一度に斬る剣では威力とその攻撃範囲が違いすぎる」

「元々、御主人ノ剣ハ、地元ノ九州で有名ナ示現流ッテイウ一撃必殺ノ剣ヲ、一体多勢用ニ改造シタ、一刀両断ナラヌ一刀討千ノ対大軍剣術ダ。防御ッテイウ技ト技術ヲ捨テ、高機動デ相手ノ攻撃トソノ辺ノ敵ヲマトメテ一刀玉砕スルモンダ。攻撃ニ特化シタ技ッテイエルナ」

「つまるところ、まともにぶつかれば、レヴァンティンごと両断され。そして受けて防御すればレヴァンティンごと両断されるということだ。あの晩と同じようにな…」

「それでシグナムは慎重になって避けているのねぇ。脳裏に焼き付けられた光景が北郷君が黒い子と重なって無意識に回避してるんだわ」

「それじゃーシグナムに勝ち目ねーじゃんかー!なんども紙一重でよけるっても無理があるぞ!」

「マー、アイツモ熟練ノ剣士ダ。ソウ簡単ニハヤラネネーダロウヨ」

「シグナムに勝機があればいいのだが・・・」

 

 

 

 

 

 

一刀の上段から一刀玉砕の剣をシグナムは冷静によけていたが、内心、あせっていた。

 

(あの上段はあの黒いのと同じ。まともに受ければこちらが両断される!)

 

あの晩の夜からシグナムは悔やんでいた。堂々と主を守ると宣言したが、結果は惨敗。現在、シグナムをいじりいじめる、チャチャゼロが助けてくれなかれば、自分の主と仲間がどうなっていことか。

チャチャゼロと一刀に主とともに助けれたとき、一刀たちに助けてくれた感謝の気持ちがあったが、同時に嫉妬と後悔が心の端にあった。

 

「レヴァンティン!!カートリッジロード!!」

 

レヴェンティンから薬莢が飛び出し、刀身が炎に包まれる。

対して、一刀は「明王斬戎剣・大威徳ノ型・・・・・・」と言いながら一騎当千の唾から剣先にかけて刀身を二本の指でなぞると、刀身に白い輝く気が包まれる。

 

「紫電一閃!」

「星序燕罪剣(せいじょえんざいけん)!」

 

炎のレヴァンティンと気の一騎当千がお互い振り下ろされ、衝突し、火花を散らす。

一騎当千の白い気がレヴェンティンの炎を消し飛ばし、本体の刀身にさらに亀裂を入れた。

 

「ちっぃ!」

 

シグナムはレヴァンティンが折れると思い、地面を蹴って一刀の居合いの外まで離れた。

一刀は居合い詰めようと追いかけるも、シグナムはさきほどで刃が欠けたレヴァンティンを構えながら一刀に前を向いて、すり足で居合いに入らないように逃げていた。

 

「その木刀は何なんだ!?地面の陥没したり、レヴァンティンと撃ち合って折れるところか、逆に、レヴァンティンの刃を欠けさせるなど、ほんとに木製なのか!?」

「もちろん木製だ!それも仙人から譲り受けた侍からもらった、ありがたい木刀さ!」

「胡散臭いぞソレ!」

 

叫びながらも一刀の一振りを一刀の居合いから入らずよけるシグナム。これほどの力を持った一刀に、なぜか嫉妬としてしまった。彼の強さを、覚えのない後悔が胸をしめる感じがした。そして、その力を悠々と使い、戦いを楽しむ一刀になぜか嫉妬していた。

 

(なぜだ?なぜ、こんな気持ちになる?まるで、一度、大切なにか大切なものをうしなったような痛みが――)

 

 

 

 

ザ・・・あいかわ・・・・・ザザザ・・・・剣一過ぎな娘だ・・・ザザザ・・・・・―――

 

 

 

 

 

 

(ぐっ!?いまのはいったい?)

「ん?どうした?」

「な、なんでもないわぁあああ!」

 

突然、脳裏に雑音が響く、頭痛がしたシグナムに、一刀は一瞬攻撃を止めると、シグナムは荒々しく剣を振るった。一刀は余裕でよけるが、シグナムの異変に気づき、場外にいる仲間たちとチャチャゼロも気になった。

しかし、シグナムが「さぁ、続けるぞ」と呼吸を整えて冷静になり、剣を構えるので、一刀は無言で木刀を構えた。

シグナムは頭を冷やして、一刀を見つめて戦いに集中する。

 

(距離を保てば、中距離攻撃なら勝機がある。だが、それは騎士としてどうだろうか)

 

さきほどから逃げ腰の戦いだったと理解し恥じるシグナム。こまちに相棒のレヴァンティンを折られてショックで慎重になった。しかし、もとわといえば、折られてのは自分に驕りがあったからだった。長年戦い勝ち続けてきたため、ゆえに最後には勝つのだと信じて疑わない慢心。ゆえに、昨晩の宣言は自分の傲慢であった。そのため、自分は敵の剣に負けたのだ。強くなろうとする緑の太刀を持った黒い少女に。

シグナムは自分の未熟さに悔や恨んだ。横目で場外ではやてと仲間たちをみた。はやては自分と一刀を応援し、仲間は自分を応援してくれていた。

 

(・・・・・・・・ふん。騎士として誇りは大事だが、もう主と仲間の前で無様な姿をもうみせるものか。この勝負、なにがなんでも勝たせてもらうぞ!)

 

シグナムの目に闘志が篭り、剣の柄を強く握りしめる。その剣と心には驕りや慢心などが一切なく、一人の剣士として一刀を本気で倒そうとする烈火の将であった。

シグナムは一刀に向かってステージを駆け走り、一刀も無言でシグナムに向かって走った。

 

 

 

 

 

 

「真正面からの特攻!?」

「あほか!ぶった斬られるぞ!?」

「イヤ、コレハ・・・・・」

 

 

 

 

 

お互い特攻して走り、シグナムは剣を一刀は木刀を振るが、刹那、シグナムはレヴァンティンで一騎当千の刀身を滑らせて、つばの辺りで刃と刃があたらない様に体重を乗せて、一騎当千ごと一刀を横に押しのけ、紙一重で一刀とすれ違うように一刀を抜いた。シグナムはそのまま旋回して、一刀の背後に回った。

 

 

 

 

 

「すごい!まるで闘牛士みたいやー!」

「ケケケケケ、発射サレタ弾丸ハ真ッ直グシカイケネー。危険度ノ高イ命崖ノ策ダナー」

「出る力や進む力は横からの力には弱い。接するときタイミングよく、剣で受けずに流して、横に力を入れて突撃の軌道を逸らして避けるなんて、さすがだわシグナム!」

「それだけではない。特攻したあとに敵の背後に回り込めば、飛んでいる相手は反応と体勢を整えるまで数秒のタイムラグがある!」

「数秒でもこんだけ中距離なら、剣の長さでレヴァンティンのアレがある!いけるぞ!」

 

 

 

 

 

 

お互い一直線に飛んでいたため、中距離ほどの間があったため、破修羅を横薙ぎにふっても届かず、一刀が頭を振り向こうとすると、視界に体勢を整え、紫の魔方陣にの上に立って必殺技を放とうするシグナムがいた。

 

「レヴァンティン、カートリッジロード!!!!」

 

レヴァンティンが連結刃になり、空の薬莢が連続で飛び出し連結刃となった刀身に紫色の炎を纏わせて放つ。

それは斬撃というより砲撃と奔騰させるモノだった。

 

「あっ…やばい――」

「飛竜一閃!!!!!!!」

 

 

ドッカァァァアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 

一刀は避ける暇もなく、炎を纏った連結刃の一閃が一刀に直撃し、爆発が起きた。

粉塵がステージ内を覆い隠すほど舞い上がり、はやてとシャマルとヴィータは粉塵が晴れるのを待った。シャマルは二人がもし怪我をしていたらすぐさまステージに入るつもりであった。そして、中徐々に視界が回復し、粉塵から最初に姿を現したのはシグナムであった。

一刀の猛攻と一刀玉砕の剣にあとから冷や汗を大量に流して、荒くなった息を整えて、連結刃となっていたレヴァンティンが元に戻そうとする。

 

「・・・・・見事だ。昨晩の魔法の数々。上級の魔導師と思ったが、まさか私と互角以上の剣士だったとわおどろきだ。お前とは長く勝負したかったが、もはや決着がついたな」

 

 

 

 

「さすがだぜシグナム!」

「一刀…」

「それじゃー治療に――」

 

ステージに入ろうとするシャマルをザフィーラが「まって」といって止めた。

 

「ザフィーラ?」

「・・・・・・・チャチャゼロよ。この勝負は…」

「アァ、御主人ノ勝チダナ」

 

 

 

 

 

ふとシグナムは異変に気付いた。連結刃が途中でピンッと張ったまま元に戻らないのだ。

 

(ん、レヴァンティンが動かん!?)

 

粉塵が晴れた先には、めがねが割れて白衣がボロボロになった一刀が左手に持った一騎当千で連結刃を絡め取っていた。

 

「悪いけど、こんぐらいの攻撃で、俺の試合を早く終了なんてできないぞ」

 

一騎当千を力一杯引っ張ってシグナムを引き寄せ、右手で構えていたの破修羅を鞘に収めたままシグナムの胴を薙ぎ払った。

攻撃を受けたシグナムは地面に落ちてゆく。気を失いかけた視線の先には自分を倒した少年が切っ先を自分に向けているのが見えた。

 

「世界や時代、国や土地、多くの人や道理であろうと、あの人から学んだ魂と己の信念(ルール)が俺の中に、俺の剣がある以上、俺のタマ(命)、簡単に取れるとおもうな」

 

真剣な眼で見つめる一刀に、意識を落としかけた時にシグナムは思った。

 

(あぁ、強い・・・。また、戦ってみたいな・・・・)

 

そして、シグナムの意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

「く…」

 

気を失っていたシグナムが眼覚ますと、そこはベットの上で、目の前には、

 

「あっ、目覚めた」

 

と、別のメガネをかけて白衣を着た北郷がベットの横に立ってシグナムを上から見下ろしていた。飛竜一閃でメガネが壊れ白衣がボロボロとなっていので別のものに着替えたらしい。

 

「はやて~シグナムさんが起きたよ~」

「シグナム!?大丈夫なん!?」

 

戸棚においてある薬品を眺めていたはやてが車椅子でベッドに起き上がるシグナムに近づく。

 

「はい、このとうり身体は大丈夫です。主はやて」

 

心配するはやてをシグナムは微笑んで平気だと答える。そのことにはやては安心した。

 

「よかったわ~」

「はやては心配しすぎだよ」

「そう言う一刀だって心配してたくせに~」

「いや~、さすがに最後に明王斬怪剣奥義の落華星盃(らっかせいはい)で決めなかったにせよ、やりすぎた感がしたからね~」

「名前から察して、ヤバそうな必殺技だそうとしたんかい!」

 

あははは、と苦笑する一刀にはやてがツッコム。シグナムはどういう技なのにか見てみたい気がしたが、一刀にいたっては試合形式では殺傷力が高すぎるため、使わなくてよかったと内心思っていた。

 

「ところで、ヴィータ達は?」

 

医務室のような白い部屋を見渡すが、部屋には一刀とはやて、そして、ベッドの上に座る自分の三人しかいなかった。

 

「ヴィータたちなら、さっきのバトルステージにいるよ。あれには、過去に俺と戦った敵や仲間を再現して戦える装置があるんだ。シグナムとの戦いでなんかザフィーラやヴィータたちが闘志が燃えたみたいでさぁ。ふたりは仮想相手と勝負しているころだよ。装置を動かすために、チャチャゼロが一緒。シャマルさんは最初残ると言っていたけど、ここは俺の別荘のなかだし、医療器具もそろっているから平気だって言ったら了承してくれて、今はもしものときのためにチャチャゼロと一緒だよ」

「精密検査の理由で騎士さんの服を堂々ぬがそうとしたけど、さきに影薄医者にさき越されたけどねぇ」

 

一刀の首にぶら下がっている真紅がシグナムに聞こえない声で小さくつぶやいた。

 

「今、何か?」

「何でもないよ」

「そうやでぇ~」

「ん?そうか?」

 

笑顔で話をぼやかす一刀とはやて。シグナムは?マークを浮かべるも、追求はしなかった。

 

「さて、そろそろ下にいこうかぁ~。わたしも、その仮想相手との勝負見てみたいしなぁ~」

「私もです」

「うんじゃーエレベーターに乗り込めー ^ ^」

「「わぁい ^ ^」」

 

カカカカカ、下の草原に向かうため、廊下を歩きながら通ってエレベータに乗り込んだ。ちなみにはやての車椅子は北郷が押している。

シグナムは隣にいる一刀に話しかける。

 

「そういえば北郷。きさまわたしのことさん付けで呼んでいるな。私の事は呼び捨て構わんぞ」

「ん?そうなら俺の事は一刀で良いよ。シグナム」

「そうか・・・わかった一刀」

「あと、俺の事は明日話すよ」

「・・・・・・・・・・・何だと?」

 

一刀が楽しそうに笑いながら言い出したことに、シグナムは首をかしげた。

 

「だが、私は負けた」

「え?あ~いや、勝ち負け関係なしに話すつもりだったし。チャチャゼロには前日に説教したし、精密検査とか情報整理のために一週間くらいさわぎを起こすなって、言い聞かせておいたから、これからシグナムにはちょっかいはださないよ(あいつがおとなしければ・・・・ねぇ)」

 

修羅場は自然と起きるんじゃない。燃えないところに、無理やりガソリンをまいて、火炎放射器で燃やして火をつけて、さらに扇風機で煙を焚き上げて、修羅場という問題を大きくややこしく起こすのがチャチャゼロである。

製作者が最強の悪の魔法使いであり、もとから悪なのだが、その創造者から最悪の悪だといわれるほどの極悪で本質がいじめっ子なため、つねに他者をいたぶってよろこぶドS側の者。

とくに、シグナムのような真面目で筋金入りの堅物は、チャチャゼロのいい玩具であった。もちろん遊び方は、その堅物の芯を折ること。エロ同人誌並みの最悪最低な遊びである。

 

「では何故、私と戦った?」

「え?あ~それは何となくかな?」

「何となく?」

「そう。何となく。満足したでしょ?おもいっきり勝負してスッキリできて」

 

 

そう言って笑みを浮かべる一刀を見て、シグナムは、先ほどの戦いで胸にあった嫉妬や後悔などがなくなり、清清しい気持ちになっていた。

そして、一瞬だが、シグナムは一刀のその笑みに心惹かれる。

後にシグナムは気付く。

この時から、彼に惚れたのだと。

 

 

 

 

その後、一刀たちがエレベータで一階に降りて、一階のロビーを通り塔の玄関の扉を開けた。

そして、草原を通って、ステージの向かったその先には・・・・・・・・・、

 

 

 

一頭の大猿がいました♪

 

 

 

「ななな、何だあれわー!!」

「き、キ○グ○ングー!?」

 

シグナムとはやては悲鳴をあげる。はやてにいったてはメタ発言をした。

ステージの上にいる大猿は身長10メートルはあろうかという巨体。頭には金属の輪っかをはめており、手には如意金剛と書かれた大きな棒を腰だめに構えている。

はやてはその大猿の姿を見てしきりに首をひねっている。

そして・・・・・・・・・、

 

 

地面の上には大の字になって倒れているヴィータとザフィーラがいた。

ザフィーラにいたっては白目をむいて気絶している。

 

「ヴィータ~~っ!!」

「ヴィータっ!?ザフィーラっ!?」

 

はやてとシグナムが叫ぶ。一刀は「あ~やっぱりこうなるよね~」とこの状況を理解する。ちなみに、操作パネルでは「ケケケケケ」と笑う確信犯のチャチャゼロと、大猿の強さに思考回路が停止したシャマルがいた。

 

「ガッァアアアアアアアアアアアアア!」

 

天界で大暴れをした魔猿が勝利の雄たけびを上げて、何故か後ろを向いて微妙にポーズを決めると、

 

「まだまだじゃな」

 

と、言って消えた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・ぶっはーーーあっ!!ななな、なんだったんだー!! あの猿のじいさん!?!」

 

大猿の雄たけびで、いきなりがばっとヴィータが目覚め、跳ね起きた。

それはこちらが聞きたちとばかりの顔になるはやてたちに、一刀が答える。

 

「なにって……、斉天大聖孫悟空だけど……?」

「孫悟空!? それって西遊記のかっ!? 一刀ってあんなのと戦ったことがあるっ!?ってか、孫悟空ってまじでいたんかー!?」

「まあいろいろと。つーか、俺の師匠だった猿だから。もちろん俺でも自身をもって勝てないと言えるぞ。それからさっき戦っていた老師は最大限に手加減したやつだから、本気の老師は戦闘民族のスーパーモードと互角以上のあるなアレの猿は」

「強サハ最大百段階デサッキノハ一段ダ。昔、最大モードデ俺モ戦ッテケド無理ダッタゼ。アレノ本気ハ軽ク関東クライ壊滅スルナ」

 

あまりの事実に仰天するはやてたち。なにせ、チート級の実力を見せたチャチャゼロですら、勝てないのだ。はやてにいったては、関東が壊滅することに、西遊記の本で読んだ通り滅茶苦茶強い神だと納得した。

ちなみに、チャチャゼロが孫悟空と最初に戦ったのは、一刀と出会い、一刀の相棒になって浅いときである。当時、興味本位でやって、結果は見事完敗。手も足もでなかった。その後、一刀と旅をして強くなり、全力全快の孫悟空とやりあえるとどうかといえば、相性的な問題なので、本人はもうやりたくないらしい。

 

「チャチャゼロ、やっぱ、いきなり老師はまずかったんじゃないのか?老師は幻想無しのまじ本物の武神だぞ」

「ダッテサー赤毛のアンがドウシテモ一番強イ奴ヲ言ワレタカラナー」

「ヴィータちゃんが不用意な発言をしたからねぇ。この場合、ヴィータちゃんが悪いわ」

「調子のりすぎやでーヴィータ~」

「正論言われて、反論する言葉がね~」

 

チャチャゼロとシャマルとはやてに言われて、ヴィータはしぶしぶ反省する。

ちなみに、シャマルはいまだ白目で気絶しているザフィーラを治療していた。

ちなみに、シグナムにいたっては・・・・・、

 

「武の神だと!うらやまするぞヴィータ、ザフィーラ!つぎは私が戦うぞー!」

 

武の神だと聞いて、戦闘狂のバトルジャッキーに火がついていた。絶対に勝てないとわかっているのに、それでても戦いたちとう好奇心と欲求でいっぱいであった。

先ほどまで気絶して寝ていたのに、子供のように騒いでレヴァンティンを振り回すシグナムに、一刀とヴィータとはやては苦笑した。

 

「あれだけやられて元気な人だな。おまえらのリーダーは」

「そこがシグナムの強いところだ。同時に弱点でもあるけど…」

「ホンマ、戦闘凶ハ傍迷惑ダナ」

「ハハハハ、チャチャゼロ、それはあんたが言ったらアカンって」

 

 

その後、シグナムは天斉大聖と勝負するのだが、はやてがチャチャゼロに「すこし、シグナムの頭、冷やしといて」と言われ、チャチャゼロは笑みを浮かべて、天斉大聖の強さをヴィータのときより二段あげた。よって、闘志に燃えていたシグナムは一瞬のうちにボロ雑巾になった。その様子をはやてとチャチャゼロは微笑、その二人に微笑みに一刀とシャマルは顔を青くし、ヴィータはさっきの自分もあんな感じだったのだと関心し、ザフィーラがまだ気絶していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

時間は一刀がメインレーザーを防いで、はやてたちと合流したときであった。

 

「一刀・・・・おつかれさま♪」

 

いいムードで、微笑むはやてに、一刀はすこしドッキ!となった。

しかし、その瞬間・・・・・・、

 

「ほんじゃーあとよろしゅう~・・・・・・・・・ガクっ」

「なぁっ!?主!?」

「はやて!?」

 

突如、一刀の頬を添えていた手と下半身が重力に従いながらだらけて、はやては眼を閉じた。

シャマルが駆けつけて、シグナムに姫様抱っこされているはやてを診察する

 

「大丈夫、疲れて眠っただけよ」

 

はやては「スゥースゥー」と眠り、シャマルの言葉に、一刀たちは安心した。

 

「短時間で仰天連発で、思考回廊が今切れたな」

「盛リスギルノモ、ヨクネーッテコトダ」

「おまえら、どこを向いて言っているんだ?」

 

なぞのカメラ目線でしゃべるヴィータとチャチャゼロをザフィーラがツッコんだ。

 

「ん?そういえば、闇の書はどうした?」

「あれ、たしかはやてちゃんがもってたはずだけど?」

「それなら、ここにあるぞ」

 

一刀は懐から、闇の書を取り出した。

 

「いつのまに…」

「はやてを抱っこしたときにな。それにしてもこの御札、複雑な術式なってるな。系統は陰陽道か?」

 

表紙に張られて御札の文様と眼を解析モードで術式を解析して、陰陽術で作られて封魔の札だと推測した一刀。魔法と陰陽術は、系統や術式、力の源などでいろいろと違いがあるが、どれも世界の理を一時的に操作する技術。しかし、書に張られた御札は科学的な魔法系統である闇の書を想定して、術式を組んでいた。古代系である陰陽術を科学的に適合させるなど、敵は古代の技術をもっていると一刀は推測し、術式をここまで昇華させた者に内心、賞賛した。

 

「それが何にか判るのか?その紙のせいで、闇の書がうごかなくなったのだ」

「へたに触ると、本までなにかがおきるかもしれん」

「もしも本になにかがおきると、はやてちゃんにまで影響するのよ。おねがい。なんとかして」

「闇の書にもしものときがったら、ぶっとばすからな」

 

陰陽などを知らない守護騎士たちは?マークを浮かべるも、原因が御札であることが理解できた。

御札がなんなのか知ってそうな一刀に御札を剥がして、書を再起動してと頼んだ。

 

「こんぐらいの術式ならおまかせあれ♪」

 

そう言って、一刀は御札の術式を完璧に把握し、ブツブツと呪文のようなものを呟きながら指で御札をなぞると、御札の術式を破壊し御札は燃える。御札が燃えたときには守護騎士たちは書を心配するが、御札が塵となるも、書はまったく焦げておらず、御札に隠れていた金の十字架の表紙が現れる。書は機械音を出して「再起動」と電信音で発言した。書が無事だったことに守護騎士たちは笑みを浮かべて喜んだ。

 

(念のために、内部の構造も検査してみるか)

 

闇の書を開いて、何も書かれていないページをぱらぱらを捲っていく。

同時に眼から書の内部のプログラムも解析して見るも、これと言って変なところはなかった。

 

(うん。異常はないn――)

 

最後のページを捲り終えて本を完全に閉じたその時であった。

 

 

 

ドクンッ!

 

 

・・・・・・・・・た・・・・・・た・・・・・・・・助けて・・・・・・・・・・・・

 

 

「っ!?」

 

心臓の鼓動のような音と地獄から聞こえるような大勢の声が一斉に一刀の耳に響いた。

その音は一瞬、危険を感じ、その声は一度似た体験したような感じがした。

もう一度闇の書を見て今度は耳を当ててるが音は聞こえてこなかった。

 

「どうした?」

「いや……何でもない…」

 

不思議に思った一刀を見るシグナム達に闇の書を返した。

 

「ところで闇の書になにか異変があれば、何か変化したりするのか?例えば心臓の音のようなモノが聞こえてきたりとか」

 

「いやそんなわけねーぞ。ただ、闇の書が完成するとなんかとてつもねー力が手に入るくら……あれ?そう言えば闇の書が完成した時の事ってアタシ良く覚えてねぇ」

「俺もだ」

 

それはシグナムとシャマルも同意見であった。

その後、一行は八神家に向かうのだが、一刀はその間、先ほどの心臓の音と声が気になって仕方がなかった。

 

(まさか……闇の書にはシグナム達も知らない何かが隠されてるのか?)

 

粘っこくまとわりついてくる不安に桂は身震いさえした。

 

(念のために保険でもかけておくか。それでも、もしものときは・・・・・・)

 

シグナムに姫様抱っこされて眠っているはやての頭をなでる一刀。ちらりと、横で歩いているチャチャゼロを見つめた。チャチャゼロの首にぶら下がった三つの錠が月の光で照らされ、ジャラリと鎖の音が聞こえた。

 

 

 

 

 

一方、闇の書の中では、管制融合機である女性も御札を剥がされた直後の一瞬の異変に気づいていた。

 

「……ナハト……?まさか、まだ、一頁も蒐集していないのに、動きを……?いや、これはナハトではない」

ナハト。それは闇の書に宿り、書が闇と呼ばれるようになった原因の名。しかし、それは闇の書に魔力が集積され、完全に蒐集が終わると同時に、始めて目覚めるものである。ゆえに、さきほどの異変はナハトはなく、もっと、ナハトの下の階層に隠れた不可思議な力の脈動であった。

「やはり、ナハトの下に何かいる。それも私と騎士たちの記憶の忘却と私の中にあるコレとなにか関係しているかもしれぬ」

 

胸に当てると、黒曜石のような黒い光が溢れ点滅し、ドクッンと鼓動する。まるで、腹の中で赤ん坊が外に出ようと母の腹のうちで蹴っているような痛みが彼女に胸に響く。

 

「騎士たちには、伝えるべきかもしれない。…たが、騎士たちと念話が出来るようにするには、ある程度蒐集されなければいかんし…」

 

第一段階の起動と覚醒を果たし、敵に一時停止させれたが、無事に再起動をできた。それゆえ彼女は書を自在に動かすぐらいは出来るようになり、現在、麻痺された書の機能やプログラムを念入りに点検していた。しかし、それ以外で念話などの最低限の権限を使えるようになるには、ある程度の蒐集がしなければならかった。

 

「一度、深層部分に潜ってみてみるの考えたが、よくよく思い出せば、書は敵の攻撃で一時停止させられてしまったんだな。これ以上、書に刺激を与えると、主に危険が及ぶかもしれぬ。・・・・・・・・少年と同様、思い過ごしであってほしいと願うことしか出来ないのか、私は・・・・・・・」

小さく渦巻き始めた不安。それが杞憂に終わってくれればいいと思いつつ、闇の書の管制人格は、主と仲間と主の友の平穏を願う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クククク・・・・・・・・・」

 

彼女は気づかず、知らず、忘れてしまった。

可憐な銀髪の女性が願う横顔を、闇の底で地獄の亡者たちに隠れて薄笑いして見る者がいたことに。

 

 

 

 

つづく

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
2
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択