No.72524

心・恋姫†無双 第三話

南風さん

オリジナルキャラ、オリジナル要素が強い作品ですので苦手な方は申し訳ありません。また、予告を過大にしすぎている事も反省しています。では、どうぞ。

2009-05-08 18:27:01 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:13934   閲覧ユーザー数:10700

心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~

第三話 ~仮面の真実~

 

「はぁ~」

今日は書庫の片付けだ。

学校の図書館よりやや広く、蔵書は多いほうだと思う。

けど徐庶曰く、「これでも少なくて必要なのは常に買い足しています。」だそうだ。

字はまぁ徐庶のおかげである程度わかる。

だけど、やはり片付けは字との格闘ですったもんだしている。

それになにより、

「あの人にまた会えないかな・・・・・・。」

この間の空き部屋で見た人が気になってしょうがない。

 

そして判明したことは、あの部屋は実は張松さんの部屋だってこと。

聞いてみたところ、その日は仕事で部屋にはいなかったらしい。

んで銀髪・白肌の人の事を聞いたら

「幽霊じゃないですかね、それか夢でもみたのでしょう。」

と言われてしまった。

「夢か・・・・・・夢ならまた見たいと思う今日この頃だな。」

俺は病気と呼ばれてもおかしくないぐらい、あの幽霊に心を奪われていた。

 

そして仲が良い法正にその事を話したら、

「北郷の馬鹿ーーー!!」

と言われてまた逃げ出された。

その日も法正と会うことは二度となく、次の日には元気で話しかけられた。

法正はこういう子なんだってのが良くわかった。

 

なんだかんだで楽しい一日を送っている。

だけどこの平和もどれくらい続くのだろう。

俺の知ってる三国志は何年も続く乱世の時代だ。

いくら保護してもらって普通に城内の人たちと話せるからといって、

俺にはまだまだ内緒にしている事が多い。

「まぁ、その点に限っては俺も同じなんだけどな。」

いつまで嘘が続くのか、そしていつまで俺は隠され続けるのか・・・・・・・・・。

「俺、元の世界に戻れるのかな・・・・・・。」

 

 

「やはり思った以上に進んでないやんすね。」

「北郷は掃除の仕方を知ってるのか?」

俺の考え事を消す最近聞きなれた二人の声。

法正と張松は古い付き合いで、城内でも一緒に仕事をしていたり過ごしてるとこを見かける。

そして、そんな二人を見てると俺の違和感はさらに大きくなるのだが、それを聞いて気分を悪くされても困るので聞かない。

「うるさいぞ、法正。字が読めないから仕方がないだろ。」

「だろうな。仕方がない、この俺が手伝ってやろう。」

何様だお前は。

「悪く思わないでください。これでも嵐は今日の手伝いのために仕事を急いで終わらせたでやんすよ。」

「そ、そんなことはないぞ!」

「・・・・・・そうなんだ。ありがとうな。」

「感謝するんだ!そして終わったら俺と遊べ!」

「わかったよ。」

「仲がよろしいでやんすね~。」

互いにチャチャを入れつつも、二人が来たおかげで書庫整理は夕方に終わりをつげた。

 

終わったら終わったで夕飯に行こうと言われた。

「けど、俺は厳顔さんから出るなって言われてるよ。」

「ん?そんなの気にするな。俺に良い考えがある。」

「凄く胡散臭そう。」

「うるさい!」

そして俺の変装というのが警備兵の格好。

張松と法正はそのまんま。

「まぁ、意外とまっとうで良かった。」

城門をくぐっても何の違和感もなかった。

「俺をなんだと思ってたんだ。」

「いや、何でもないよ。」

「それにしても、警備兵の格好が似合わないでやんすな。」

「うるさいな、俺だってわかってるよ。」

 

文句を言いつつも俺は二人に感謝した。

始めてみる外の光景。

それは全てが新鮮だった。

だけど、どこか盛り上がりに欠けてる気がする。

そんな街の光景を見ながら着いたのは二人のいきつけの拉麺屋。

いつもこの時間に来るらしい。

「っよ!親父さん俺と張松にいつものな!それと、こいつに親父さん特製拉麺を一つ!」

「あいよ、いつもありがとうございます。」

「へぇ~何かいい店だな。」

「わかるか?」

「あぁ、お店の隅から隅までお客に対する心遣いが見えるよ。」

「それが、わかるなんてさすがでやんすね。」

「そんなことないさ。」

 

「へい、お待ち!」

出てきたのは法正には叉焼拉麺・張松には葱拉麺

そして俺にはいたってシンプルな拉麺。

「へぇ、これが特製拉麺?」

「まぁ食べてみろ。」

 

ズズズズズ・・・・・・

 

「美味い!!」

「だろ!?」

「ここの拉麺は天下一品でやんす。」

汁と麺の文句のない絡み具合。

そして、叉焼やメンマがまたさらに拉麺の味を引き立てる。

「こんな美味いのは初めてだ。」

「そう言われると職人冥利につきます。」

楽しい夕飯。

こっちにきて何か久しぶりに心から楽しめた夕飯な気がした。

 

 

拉麺を食べ終わって城へ戻る帰り道。

「あっしは用があるのでこれで。」

張松さんが暗い夜の街へ消えていった。

二人での帰り道はいつも通り楽しく話しながら戻った。

それも城門までで、門をくぐって俺も法正も自分の部屋に戻った。

 

そんなありきたりな光景を見ている影が一つ。

「・・・・・・・・・・思ったより早く釣れましたね・・・・・・誰の手先ですか?」

影の人物は驚き、屋根の上を飛びながら逃げる。

そして、降りたのは路地裏。

「ここまでくれば・・・・・。」

「・・・・・・残念です。」

そこにいたのは仮面をつけた謎の人物。

「っち!」

白く輝く刃が仮面に襲い掛かるが、次の瞬間地面に倒れる。

「・・・・・・あなたの負けです。」

倒れた者の首には針が刺さっていた。

 

――執務室――

厳顔が酒を片手に執務をしている。

「どうだった?」

部屋の隅の影から出てきたのは先程の仮面の人物。

「・・・・・・・・無事、捕らえることが出来ました。・・・・・・・・どうしますか?」

「吐かせるだけ吐かせてみるのだ。」

「・・・・・・御意。」

そして仮面の人物は消える。

「さて、そろそろ頃合いかもしれんの。」

 

 

夜も遅く俺は厠へ行った帰り道。

俺は張松さんの部屋に明かりがついているのに気付く。

そして、わずかに部屋の窓に映る銀色の輝き。

俺はいてもたってもいられなかった。

何も言わずに扉を開けた!!

そこには夢に見た銀髪・白肌の人がいた。

どうやら湯で体を拭いていたらしく、またしても裸。

しかし今度はわずかに女性特有の膨らみが見えた。

「ご、ごめん!・・・・・で、でも消えないでくれ。俺さずっと君の事気になっていて・・・・・誰なんだ!教えてくれ!」

 

ッフ

 

またしても明かりが消え暗い部屋になる。

しかしそこには湯が入った桶がある。

「夢じゃなかったし、幽霊でもない・・・・・・・・。」

 

 

 

またしても消えてしまった謎の女性。

そのまま一刀は部屋に戻ったが、気になって眠れなかった。

そして次の日の朝早く、厳顔さんに朝の会議に呼ばれた。

こんな事は今まで初めてで少し緊張した面持ちで指定された場所に行った。

 

「来たか、さっそくじゃがこやつと話してくれんか。」

そうして俺の目の前に現れたのは仮面を被り銀髪の袖の長い白い衣に身を包んだ人。

「も、もしかして・・・・・・。」

「・・・・・・・・・今まで失礼しました、私が本物の張松です。」

男とも女とも聞こえる神秘的な声が響く。

「・・・・・・・・・私の主な仕事は間諜ですので、今まで変装していました。・・・・・・しかし初対面で見破った人は北郷さんが初めてです。」

「あ、あぁそうだったんだ。」

「?・・・・・驚かないのですか?」

「いや、それより会えたことが嬉しくて。」

「///・・・・・・それよりも私は訳あって素顔はさらせません。・・・・・・・・・二度も裸を見られておいて言うのも何ですが。」

その一言に空気が重くなる。

「ほぉ、もうそんな仲になりおったか。」

「北郷~~~!!」

「・・・・・・・・。」

「い、いや!あれは事故だ!ただの事故だ!!」

「気になったとおしゃってくれました。」

 

重い空気が重すぎる。

そして視線が痛すぎる。

 

「まぁよい。北郷これより徐庶とともに焔耶の元に向かってくれ。」

「そう言えば今は盗賊退治だっけ?」

そう焔耶は此処暫く盗賊退治で留守にしている。

「そうなのじゃが、少しややこしくなっておってな。・・・・・・詳しくは徐庶に聞いてくれ。」

「俺はかまわないけど、外に出て大丈夫なのか?・・・・・・それに俺は戦いなんて知らないし。」

「構わん。見て来るだけで良い。そしてわしに見たまま思ったままを伝えればよい。」

「ん~わかったよ。」

 

そうして俺は徐庶と共に会議室を後にしたが出た瞬間、

「北郷さんは不潔です。」

この日俺は癒えない心の傷を負った。

 

 

 

第三話 完

 

 

~キャラ設定~

張松

真名は不明

法正と古い付き合いで物静かな女性、胸は少し残念かもしれない。

長い銀髪と白い肌が特徴的、とある理由のため仮面を常に被っている。

素顔を知っているのは法正のみ。

主な仕事は間諜で、変装が得意。

一人称「私」

 

 

 

 

 

予告

俺は生まれて初めて戦というものを知った。

 

人が死ぬ瞬間を。

 

なぜ人は争うのか?

 

なぜ俺は戦に連れて来られたのか・・・・・・。

 

心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~

第四話 「理由」

 

「あらあら、大丈夫?」

その弓の腕、まさに神の域なり。

 


 
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