No.723958

恋姫英雄譚 鎮魂の修羅11

Seigouさん

遭遇の修羅

2014-09-29 13:00:17 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:7360   閲覧ユーザー数:5146

一刀「・・・・・うぅ・・・・・ここは?」

 

目が覚めた一刀の眼に映ったのは見知らぬ天井だった

 

窓から月明かりが差し込み部屋を薄暗く照らし、今は夜だということが分かる

 

一刀「(俺は、確か・・・・・沿洲の陳留まで来て・・・・・そこで華琳と合流して・・・・・その後、山揚に・・・・・そうだ、そこで俺は・・・・・)」

 

記憶を辿っていき、自分が氣の使い過ぎで倒れてしまった事を思い出す

 

豫洲から麗羽の依頼で黄巾党を捕まえ続け、沿州の黄巾党を蹴散らし、山揚の街で五斗米道を連発し、最後には回天丹田、これではぶっ倒れるのは当たり前である

 

一刀「(いかんな、最後の回天丹田が拙かったな・・・・・)」

 

最後の女の子が全身に傷を負っていて、特に肩の傷が酷く虫の息だった為に反射的に回天丹田を使ってしまった

 

一刀「(あれくらいの傷ならそこまでしなくてもよかったのにな・・・・・俺の五斗米道もまだまだ未熟か・・・・・)」

 

氣の強弱を掴み切れていない事を反省しながら寝台から起き上がる

 

頭が覚醒し、あらゆる感覚が回復していく

 

その時、真横から寝息が聞こえてきた

 

一刀「・・・・・この子は」

 

凪「・・・・・すぅ~~~~、すぅ~~~~」

 

振り向くと、寝台の真横で自身が最後に五斗米道を使った三つ編みの銀髪の女の子が寝台に顔を埋めて眠っていた

 

一刀「(・・・・・俺の看病をしてくれていたのか)」

 

寝台の横に置いてある桶の中には、水と手拭が入っていて、この子がずっと看病してくれていた事が伺える

 

その可愛い寝顔を見ながら、一刀は感謝の気持ちを込めて凪の頭を撫でであげた

 

凪「んぅ~~~~・・・・・♪~~~~~」

 

その寝息は、鼻歌交じりのものへと変わっていく

 

一刀「(こんな可愛い子が、あんなに傷だらけになって・・・・・)」

 

虫の息だった凪は、確かに全身に傷を負っていた

 

あれは、つい最近付いた傷ではない、ずっと前に受けてそれが跡になって残ったものだ

 

今は、自身の回天丹田五斗米道によって全身の傷跡は全て消えている、それに関しては使ってもよかったと思えるが

 

一刀「(こんな女の子が、ここまで傷だらけになって戦わざるを得ない時代・・・・・か・・・・・)」

 

このような腐りきった時代は、一刻一秒でも早く終わらせたいと、さらに強く思う

 

そして、一刀は寝台から降り凪を正しい姿勢で寝かせてあげようとお姫様抱っこで抱き上げた

 

凪「♪~~~~・・・・・♪♪♪~~~~~//////////」

 

途端に凪のその頬は赤く染まっていく

 

一刀「(?・・・・・まあいいか)」

 

いい夢でも見ているんだろうと思いながら、凪を自身が寝ていた寝台に横にし、布団をかけてあげた

 

そして、桶の横に置手紙を残し部屋を退室した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凪「・・・・・う~~~~ん・・・・・ここは」

 

それからほどなくして、凪は目覚めた

 

凪「私は、確か・・・・・あれ?これは?」

 

自分は、一刀の看病をしていたはずなのにどうして寝台で寝ているのか

 

凪「え・・・・・ああ!これは、御遣い様の!?////////」

 

どうして自分が一刀の寝台で寝ているのか訳が分からない

 

凪「まさか、私が御遣い様と!?・・・・・いいや、何を考えているんだ!?そんな事はありえない!//////////」

 

一瞬、あんな事やそんな事を考えてしまいそうになったが、冷静になって辺りを見回してみる

 

凪「あっ、そうだ!御遣い様は!?」

 

今最も重要な最優先事項に気付く

 

凪「一体どこに、御遣い様・・・・・あ」

 

桶の横に置かれた置手紙に気付きすぐさま目を通す

 

凪「心配しないでください、郊外にいます・・・・・っ!」

 

そして、急いで閻王を装備し山揚の街の宿屋を飛び出した凪は郊外へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ふっ!しっ!・・・・・はぁっ!!」

 

探すのに時間が掛かると思っていたが、あっけなく凪は一刀を見つけることが出来た

 

郊外にて全身から氣を解放し北郷流無刀術の型を練習している一刀

 

薄暗い中で一刀の体から溢れる青白い光が嫌でも一刀の居所を教える

 

凪「・・・・凄い、なんて力強い氣なんだ」

 

まだ遠目にしか一刀の姿を確認できないが、それでも氣の強さが肌に伝わってくる

 

半ば心配して探しに来たが、自分ごときがそんな心配をする事自体が失礼千万であったことを悟り、逆に申し訳なく思えてくる

 

そして、凪は一刀のもとへと歩いて行った

 

一刀「・・・・・君か」

 

凪「はい」

 

一刀「一日中俺の看病をしてくれていたみたいだな、ありがとう」

 

凪「そんな、お礼を言うのは私の方です!御遣い様が来なかったら、私はきっと昨日死んでいました!」

 

一刀「いや、俺もとっさに氣を最大まで引き上げてしまったし、驚かせてしまったよな」

 

凪「いいえ!そのおかげで、私の全身の古傷も全て無くなりましたし、感謝の使用がありません!」

 

一刀「そうか・・・・・(やっぱり女の子なんだな)」

 

男なら体に付いた傷跡は、男の勲章と思えるだろうが、女の子の場合だとコンプレックスにしかならないだろう

 

凪「あ、申し遅れました・・・・・私は、楽進と申します」

 

一刀「っ!?・・・・・俺は、北郷一刀だ」

 

楽進、字を文謙

 

身体は小柄だが、性格が剛毅果断だったという

 

曹操が董卓に反抗して挙兵した時に楽進は曹操の部下になった

 

曹操は当初、楽進を武将ではなく帳下の記録係として用いていたが、あるとき楽進を出身郡へ帰らせて兵を集めさせたところ、楽進は1000もの兵を引き連れ帰還してきたという

 

これにより曹操は楽進を武将として起用することにし、軍の仮司馬・陥陣都尉に任命した

 

官渡の戦いでは黄河を渡り、于禁と共に歩・騎兵5000を率いて獲嘉にある袁紹側の陣営を攻撃

 

曹操が赤壁の戦いで敗れ、荊州から撤退した後は襄陽に駐屯している最中、劉備軍の関羽や蘇非らを撃破した

 

孫権征討に従軍した際、軍の指揮権を有す証とされる節を授かり、曹操が引き揚げると張遼や李典らと共に合肥に駐屯して敵軍の侵攻を防ぐなど守りの面でもかなりの活躍を見せ、その後、領邑を領すようになる

 

後の世には、楽進伝という楽進の功績や武勇をおおいに語った物語が出ているほどの、まさに三国志におけるミスタードラゴンズと言っても過言ではない人物だ

 

一刀「(この子が、そんな荒々しい人物だとはな)」

 

そういったものを功績だの武勇だなどと認めていない一刀からすれば、あまりにも滑稽な話である

 

凪「?・・・・・いかがなされました?私の顔に何かついていますか?」

 

一刀「いや、なんでもない・・・・・俺の事は、北郷か一刀って呼んでくれ」

 

凪「私の真名は凪と申します、一刀様♪」

 

一刀「な、なんで様付なんだ?」

 

凪「え?だって一刀様は私の命の恩人ですし、そう呼ぶのは当然かと・・・・・」

 

一刀「・・・・・分かったよ、凪」

 

まるで柴犬のような顔で上目遣いをする凪の頼みを一刀は断れなかった

 

凪「そういえば、噂には聞いたことがありますが、さっき一刀様が使っていた武術は何でしたっけ?」

 

一刀「俺の家に代々伝わる、北郷流無刀術だよ」

 

凪「先ほどの動きといい氣の練度といい、一刀様の功績をそのまま形にしたような武芸ですね♪」

 

一刀「俺からしたら、単なる人殺しの技だけどな」

 

凪「え?」

 

一刀「だけど俺は、本当の北郷流なんて絶対に使わない、戦争なんて大量殺人行為なんて死んでもやらない」

 

凪「本当の北郷流ですか?」

 

一刀「ああ、こんな血の気の多い話なんて聞かなくてもいい、新たな憎しみをこの世に生み出すだけで何の益もないからな」

 

凪「・・・・・一刀様!不躾なお願いで大変恐縮なのですが、一刀様の北郷流無刀術を教えて下さい!いいえ、私を一刀様の弟子にして下さい!」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

凪「私は、もっともっと強くなりたいんです!一刀様の技を学んで更なる高みを「断る!!」・・・・・え?」

 

一刀「凪・・・・・俺は今さっき言ったよな、戦争なんて大量殺人行為は死んでもやらないって」

 

凪「・・・・・・・・・・」

 

一刀「俺は戦争が嫌いだ、大嫌いだ!!この大陸、世界でそんな滅茶苦茶な事をして、人々に迷惑を掛ける事を何とも思わない奴らが許せない!!むかっ腹が立つ!!」

 

凪「・・・・・そういえば、一刀様がここで戦っている時、周りの黄巾党の氣が僅かに残っていました・・・・・もしかして一刀様は、いままで一度も人を殺したことがないんですか!?」

 

一刀「そうだ、俺はそんな大迷惑な奴らとは違う、どんな状況であろうと絶対に人殺しなんてしない!!」

 

凪「・・・・・・・・・・」

 

一刀「だから凪も、俺から何かを学ぼうなんて思うな・・・・・不幸になるだけだ」

 

凪「・・・・・ではせめて、私と一手、お手合わせ願えないでしょうか?」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

凪「天の御遣いと呼ばれている一刀様の力を、技を、私に感じさせてください!」

 

一刀「そんな御大層なものじゃないけど、まぁそれくらいならいいか・・・・・」

 

そして、一刀は左足を半歩踏み出し腰を少しだけ落として構え、凪も一刀に習って一刀と同じ構えを取った

 

一刀「(なるほどな、俺からなるべく技を盗もうという算段か)」

 

凪「(きっと私は、この人には絶対敵わない、ならばなるべくこの人から吸収しなければ)」

 

一刀「(ならば少しだけ見せてやるか)っ!」

 

凪「っ!?」

 

いきなり一刀は凪との間合いを詰める

 

凪は、一刀の攻撃に対処するべく防御に集中する

 

しかし

 

ガシッ!

 

凪「えっ!!?」

 

打撃技が来るとよみ、それに対処するつもりだったが、いきなり一刀は組んできた

 

凪の右腕を掴み、襟を取って体を寄せ体重を掛ける

 

凪「くっ!!」

 

押し倒されないよう踏ん張るが、一刀は凪の左足に大外刈をしかける

 

凪「うわあ!!」

 

足を刈られ体が宙に浮きそのまま凪は倒された

 

凪「くうっ!!」

 

背中からの痛みに耐えながら体勢を整えようとするが、一度倒した相手に立て直す時間を一刀は与えない

 

ギシィッ!!

 

凪「ぐあああ!!!」

 

そのまま肘の逆関節を極め、反対側の右腕に足をかけ外せないようにする

 

凪「うううう!!」

 

まさかいきなり組まれた上に見た事も聞いた事もない技をかけられた凪は、完全に体を封じられてしまった

 

凪「くううっ!!(これくらいの事で)」

 

全身の氣を高め、一刀の寝技から抜け出そうとするが

 

一刀「(なるほど、この子も氣の使い手か・・・・・ならば)」

 

ギシシッ!!!

 

凪「うぐあああ!!!」

 

逆関節を更に捻りあげられ、痛みにより氣をうまく練る事が出来ない

 

一刀「・・・・・おい、そろそろ降参した方がいいぞ、骨が折れたら流石に拙いぞ」

 

凪「うううう・・・・・参りました・・・・・」

 

そして、一刀は凪を解放した

 

凪「はぁ・・・・・はぁ・・・・・一刀様は、組技が得意なんですか?」

 

一刀「そういうわけじゃないけど、無刀術は寝技、関節技、打撃技の全てを織り交ぜているからな、不得意なものなんてないんだ」

 

凪「なるほど・・・・・もう一本お願いできませんか?」

 

一刀「いいぞ」

 

そして、少し距離を置き再び二人は構える

 

凪「はあああ!!!」

 

さっきは先手を取られ不覚を取ったため、今度はこちらから仕掛ける

 

間合いを詰め、右の当身を放つ

 

バシッ!!

 

当身を捌き、すかさず腕を取る一刀

 

凪「くっ!」

 

今度は関節を取られないようにすかさず腕を引くが

 

一刀「ふっ!」

 

凪「うっ!!?」

 

引いた勢いを利用し、腕をロックした一刀は足払いをかけ再び凪の体を宙に浮かせる

 

凪「うわっ!!?」

 

それと同時に肘を突き立て、倒れ込む

 

凪「うわああ!!!??」

 

肘は凪の喉に当てられ、このまま地面に倒れたら気道は潰れ、最悪死に至る

 

凪「ぐはあっ!!!」

 

気付いた時には体が宙に浮いていたため、そのまま凪は背中から地面に叩き付けられる

 

しかし

 

凪「・・・・・え?」

 

痛みを感じるのは背中だけで、喉からは何の衝撃も来なかった

 

倒れ伏す瞬間に肘を喉からずらしたためだ

 

そして、一刀が凪に覆い被さる形になる

 

一刀「・・・・・で?どうだ?」

 

凪「ま・・・・・参りました//////////」

 

あまりに一刀の顔が近付いたので、凪は赤面してしまう

 

その時

 

沙和「あ~~~~!凪ちゃんと御遣い様が乳繰り合ってるの~~~~!」

 

真桜「心配になって探しに来たけど、なんや心配する必要無かったみたいやな~~~♪」

 

凪「沙和!!?真桜!!?ちちちち違う!!私と一刀様は稽古をしていただけだ!!/////////////」

 

沙和「え~~~~♪凪ちゃん御遣い様と真名で呼ぶ仲になったんだ~~♪」

 

真桜「やっぱええ雰囲気やないの~♪」

 

凪「/////////////////」

 

一刀「ああ、ちなみに俺に真名は無いぞ」

 

沙和「え?」

 

真桜「なんやて?」

 

一刀「俺が前居た所では、真名という習慣はなくて、こっちの決まり事に則って言えば、一刀が真名に当たるだけで、別に特別な事でも何でもないんだ」

 

沙和「あ、そうなの~?」

 

真桜「真名がない所か・・・・・想像つかへんな~」

 

凪「それより、どうしてここが分かったんだ?」

 

沙和「置手紙があったの~、郊外にいますって~」

 

凪「あ、そうだった」

 

沙和「あそうだ、凪ちゃんを助けてくれてありがとうなの御遣い様~、沙和は于禁、字は文則、沙和って呼んでなの~♪」

 

真桜「ウチは李典、字が曼成、真桜って呼んでや♪」

 

一刀「・・・・・俺は北郷一刀、さっきも言ったように真名が無いから北郷か一刀って呼んでくれ」

 

沙和「分かったなの一刀さん~♪」

 

真桜「分かったで、一刀はん♪」

 

一刀「(この子達もか・・・・・)」

 

こんな明らかに現代チックなアクセサリーを着こなす子と、有るはずがないビキニを着た子が三国志に生きている人間とはとても思えない

 

しかし、もともと性別が逆転している時点でおかしいためこれも受け入れなければならない事と自分に言い聞かせる

 

一刀「そうだ、他の皆はどうしているんだ?」

 

沙和「皆寝ているの~」

 

真桜「あんだけの激戦やったんや、みんなくたくたやで~」

 

一刀「そうか・・・・・そろそろ俺達も戻った方がいいな」

 

沙和「そうなの~、沙和も眠いの~」

 

真桜「ウチもさっき柵を作り直したばっかりやから、眠くてしゃあないわ~」

 

そして、山陽の街に戻ろうとする3人だったが

 

凪「・・・・・待ってください!一刀様!」

 

一刀「?・・・・・なんだ?」

 

凪「最後に、もう3本ほど稽古をつけていただけませんか!?」

 

真桜「凪ぃ~~、勘弁してえな~、ウチももう眠いんや~・・・・・」

 

沙和「沙和もなの~・・・・・」

 

一刀「なら、二人は先に休んでくれ、俺と凪はもう少しここにいるから」

 

沙和「・・・・・なら、沙和も見ているの~」

 

真桜「せやな、噂の御遣い様の力、見て損は無いやろうし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、何度か一刀と組み手をした凪だったが、結果は散々なものだった

 

凪「はあああああ!!!猛虎蹴撃!!!」

 

一刀「はっ!」

 

ズバシュン!!

 

凪「なっ!!?」

 

自慢の得意技も一刀の圧倒的な氣の前にかき消されてしまう

 

沙和「一刀さん、本当に強いの~」

 

真桜「あの凪が手も足も出んのかいな・・・・・」

 

不得意なものが無い、逆に言えばそれは器用貧乏と受け止められてしまうが、一刀の無刀術は技の一つ一つが絶技の領域にまで昇格されているため、凪の独学格闘術など敵ではなかった

 

凪「はぁはぁはぁはぁ!!・・・・・お見逸れいたしました・・・・・」

 

地面に大の字に横たわり、完全に息を切らす凪

 

一刀「まぁな・・・・・凪もなかなか良い線行っているけど、まだまだ修業が足りないな」

 

凪「はい・・・・・より一層精進します・・・・・」

 

沙和「凪ちゃん大丈夫~?」

 

真桜「敵わへんと分かりきってるのに向かっていく奴があるか~?」

 

凪「分かっている・・・・・別に勝とうだなんて思ってなかった・・・・・これからの事を考えて、もっと強くなっておきたいだけだ・・・・・」

 

真桜「向上心旺盛なのもええけど、ほどほどにしといて方がええで~」

 

沙和「そうなの~、そのうち死んじゃうの~」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

しかし、真桜と沙和が心配している横で、一刀は内心焦っていた

 

一刀「(驚くべき才能だな・・・・・これは、育て方次第では化けるぞ)」

 

稽古をしている最中、一刀は凪の潜在能力を図っていた

 

こちらの強さを肌で感じ、無刀術の技を物凄い速さで吸収してきた

 

相手が強ければ強いほど強くなる、まさに戦いの申し子だ

 

一刀「立てるか?」

 

凪「うぐ・・・・・立てません・・・・・」

 

真桜「前に使っていた仙術でどうにかできんの?」

 

一刀「五斗米道は、あくまで傷を癒す氣の運用だ、体力を回復させる為のものじゃない」

 

真桜「は?ごと・・・・・」

 

沙和「ごとべいど~?」

 

一刀「ゴットヴェイドーな」

 

沙和「なんだか難しい発音なの~」

 

一刀「気が向いたら練習しといてくれ・・・・・それじゃあ凪を運ぶか、よっと」

 

凪「ひゃああああ!!?なななな何をするんですか!!?///////////」

 

いきなりお姫様抱っこされた凪は困惑してしまう

 

一刀「動けないんだろ、だったら大人しくしていろ」

 

凪「は・・・・・はい///////////」

 

一刀の腕の中で凪は子犬のように縮こまってしまった

 

沙和「凪ちゃん可愛いの~♪」

 

真桜「こんな凪初めてかもな~♪」

 

そして、4人は山陽の街へと帰っていく

 

その後、凪達率いる義勇軍は、公孫軍と曹操軍と共に黄巾党の討伐に同行するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は、一刀と華琳達が合流した2日ほど前に遡る

 

 

 

場所は南陽の城の玉座

 

???「よよよいかの孫堅、ちょちょちょ朝廷から、ここ黄巾党討伐の、ちょちょ勅令が来たのじゃ、すすすぐに向かうのじゃ・・・・・」

 

炎蓮「・・・・・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

???「ぴぃ~~~~~!!!七乃ぉ~~~~、やっぱり恐いのじゃ~~~~!!!」

 

七乃「私も恐いです~~~!!!お嬢様ぁ~~~!!!」

 

南陽の城の玉座の間で袁術こと美羽が玉座から朝廷からの勅令書を読み、その指示を黙って聞く炎蓮

 

だが、美羽が上から見下ろし炎蓮が下から見上げているにもかかわらず、美羽は炎蓮の迫力にビビりまくっていた

 

美羽と七乃の眼には、きっと巨大化した炎蓮が映っているに違いない

 

それはさながら、生まれたての子猫が人食い虎に睨まれ食べられる寸前の状況とでもいおうか

 

???「孫堅殿!!貴殿は、自ら我が軍の客将となりたいと申し出ました!!なのになんですか、その態度は!!?」

 

美羽「おお~~~巴~~~!!助かったのじゃ~~~~!!」

 

七乃「やっぱり巴さんは頼りになります~~~~♪」

 

美羽と七乃の隣には長い赤髪の女性が控えていた

 

彼女は、名を紀霊、七乃と共に袁術軍の将軍を務めている

 

炎蓮「ああん?何を言っているか分からんな、俺は普通にしているつもりなんだが、何か不都合があったか?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

巴「ぐっ・・・・・その目つきが気に入りません、そのように殺気を出されては美羽様がまともに喋れません!!」

 

炎蓮「これが親からもらった目だ、それに俺は殺気を出しているつもりはないぞ、変な言いがかりをつけてないで、さっさと要件を済ませてくれや」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

巴「ぐぅ・・・・・分かりました、美羽様お願いします」

 

美羽「あうぅ・・・・・早く終わりたいのじゃ~~・・・・・」

 

袁術軍の将軍を務める巴でも、江東の虎と恐れられている炎蓮のカリスマ性という名の狂気の前には及び腰だった

 

粋柃「(ちょっと大殿!殺気を抑えてください!さすがに拙いです!)」

 

炎蓮「(分かってるよ、だが気に入らないものはしょうがないだろうが)」

 

雪蓮「(ぷくくく♪笑いを堪えるのがこんなに大変だなんて♪)」

 

冥琳「(雪蓮、頼むから笑うのは後にしてくれ)」

 

炎蓮の後ろに付き添い役の粋怜となんとか笑いを堪える雪蓮とそれを止めようとしている冥琳がいた

 

???「・・・・・・・・・・」

 

???「・・・・・・・・・・」

 

そして、美羽の後ろには更にもう二人の女性がいた

 

???「(う~~~ん、美羽様情けないですねぇ~~)」

 

水色の髪に両サイドにピンク色の花飾りを付け、豊満な胸を持ち、赤いロングスカートを着る彼女の名は、魯植、字を子敬、真名を包

 

???「(美羽殿には悪いが、これは間違いなく近いうちに食われるぞ)」

 

こちらは薄水色の長い髪を持ち、その頂辺に古代中国の帽子を被り、目を凝らせば下着が見えてしまう透け透けのスカートを履いた女性、張昭、字を子布、真名を雷火

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、会合が終わり廊下を歩く一同

 

 

雪蓮「あ~~~っはっはっはっは♪もう無理、おっかし~~~、腹が捩れるわ~~~♪」

 

冥琳「雪蓮、ここは袁術の領地だぞ、どこに袁術の間者が居るか分からんのだ、自重しろ」

 

雪蓮「だって可笑しいんだからしょうがないじゃない♪あ~~~もう、笑い過ぎて死んじゃう~~~♪」

 

粋柃「そのお気持ちは分かります、大殿と向き合っている間の袁術は半泣き状態でしたからね」

 

雪蓮「張勲の奴も涙目だったし、どいつもこいつも軟弱者よね~・・・・・別にあんな奴等の客将でいることないじゃない、ちょっと脅してやればほいほい言う事聞くわよ♪」

 

冥琳「そういうわけにはいかないぞ、何せもう一人の方が厄介だからな」

 

雪蓮「そうね、あの紀霊さえいなければ今頃この南陽は私達のものになっているのに」

 

粋柃「あいつは、袁術軍の中で大殿がただ一人認めている将ですもの・・・・・それに、袁術に組みしている豪族達の事も放っておけないわ」

 

雪蓮「そうよね~~、名族袁家の威光ばかり見ている馬鹿な連中が多過ぎよ」

 

冥琳「そうだな、時代を、大局を見れば最早袁術に付いても先は無いのは目に見えているというのに・・・・・」

 

炎蓮「ま、取り敢えず今は我慢だな」

 

冥琳「・・・・・粋柃殿、大殿様はお変りになられましたね」

 

粋柃「そうね、前の大殿だったら問答無用で袁術からこの南陽を奪っていたでしょうに」

 

雪蓮「長沙であれだけの被害が出たんですもの、母様も慎重になってるのかもね」

 

そうこう話しているうちに、一同は中庭へとやってきた

 

祭「おお堅殿、首尾はいかがですかな?」

 

炎蓮「ああ、まあまあかな」

 

粋柃「黄巾党討伐の勅令が来たんですって」

 

梨晏「も~~、凄く遅いですね~」

 

冥琳「まったくだ、漢王朝の及び腰には困ったものだ」

 

雪蓮「及び腰というより、世の中の情勢に無頓着なのよ、そんなんで行政の中枢として機能するのかしら」

 

炎蓮「機能していないから黄巾党が出てきたんだろ」

 

祭「そちらも重要なんじゃが、先ほど幽州に派遣した奴らが帰ってきたぞ」

 

雪蓮「ホント!?じゃあ、噂の彼を攫って来れたの!?」

 

祭「詳しい話は、直接聞いた方がよかろう・・・・・おい、お主ら」

 

思春「はっ!」

 

明命「ただ今帰りました」

 

鴎「ただいまです、大殿様」

 

炎蓮「ご苦労だったな・・・・・で、そっちの首尾はどうだ?」

 

思春「・・・・・申し訳ありません、天の御遣いを捕らえる事は出来ませんでした」

 

冥琳「お前達がしくじるとはな、まさかあ奴に見つかったのか?」

 

明命「はい、見つからないよう極力注意していたのですが・・・・・」

 

鴎「それでその時、あいつと戦いました」

 

炎蓮「まあ、見つかった時は一発カマしてやれと言ったのは俺だからな・・・・・で、どうだった?」

 

鴎「いやそれが凄いんですよ、あいつ!」

 

明命「はい、こちらは三人掛りで全ての装備を駆使して向かっていったのに、まるで歯が立ちませんでした!」

 

梨晏「明命達三人掛かりでいって倒せないのか~、まるで大殿みたいだね~」

 

思春「おまけに、あいつは完全に素手でこちらの攻撃を退けました」

 

粋柃「噂は本当だったようね」

 

冥琳「ええ、天の御遣いは素手で相手をねじ伏せる」

 

梨晏「おまけに相手を絶対殺さないんだってね・・・・・何を考えているのかなあ?」

 

祭「ああ、戦場でそのようなことを続けていては命取りになるぞ」

 

梨晏「・・・・・それはそうと、三人はどうして無事に帰って来れたわけ?」

 

明命「それはですね、かくかくしかじかというわけなんです♪」

 

冥琳「お前達、それは迂闊が過ぎるぞ・・・・・」

 

粋柃「そうね、眠り薬でも入れられていたら事よ」

 

鴎「あう、それはそうなんですけど・・・・・」

 

思春「それは決してなかったでしょう、あいつは我々に帰りの駄賃を渡したくらいですし」

 

冥琳「駄賃だと?」

 

鴎「はい、これです」

 

懐から、一刀に渡された金が入った袋を鴎は差し出す

 

雪蓮「うわ!結構入ってるわね!?」

 

鴎「途中で数十銭使いましたけど、これが残りです」

 

冥琳「お主達には、あ奴の誘拐の他に幽州の調査も言い渡していたが・・・・・」

 

明命「はい、そちらも凄かったです」

 

思春「街全体が活気付き、人が各地から続々と集まってきていました」

 

鴎「異民族の烏丸とも貿易をしていましたし、街全体というより幽州全てが活気付いている感じでした」

 

粋柃「なるほどね、異民族という驚異も利益に変えてしまうのか、恐ろしい手腕ね・・・・・」

 

冥琳「ええ、だからこそ欲しかったのですがね・・・・・」

 

炎蓮「まあ、失敗しちまったもんはしょうがねえ・・・・・他にはないか?」

 

明命「はい、一刀様から伝言を頼まれました」

 

炎蓮「聞こう」

 

明命「はい・・・・・袁術から独立する時は、協力を惜しまないと」

 

粋柃「へぇ~~、こちらの意図を見抜いているようね・・・・・で、具体的にはどんな方法で協力するの?」

 

思春「武力ではなく話し合いで袁術を説き伏せると」

 

鴎「その為に、一度こちらに出向いてくるそうです」

 

雪蓮「話し合いね~、あたし達にはそんな気は無いのに」

 

祭「ああ、我らが一つの勢力として独立した事を内外に示す為にも、あ奴には死んでもらわねばな」

 

粋柃「まあ孫子の言葉にもあるけどね・・・・・兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり、と」

 

冥琳「他にも、百戦百勝は善の善なるものにあらず、戦わずして人の兵を屈するは、善の善なるものなり、とありますが、それはあくまで理想的な勝ち方にすぎません」

 

雪蓮「そうね~、彼もあたし達をいい目で見ていなかったみたいだし・・・・・母様を助けてもらったとはいえ、あんまり信用はできないわね」

 

明命「その証として、大殿様にこれを渡すようにと言われてきました」

 

一刀から預けられた兼元を明命は炎蓮に差し出した

 

炎蓮「・・・・・こいつは」

 

梨晏「あ!あの人が腰に差していた刀だよ!間違いないよ!」

 

思春「それは、北郷の家に古くから伝わっている刀らしいです」

 

炎蓮「ほほう、それじゃあいっちょ拝見と行くか」

 

そして、炎蓮は兼元を抜いた

 

雪蓮「っ!!?ちょっと何よこれ!!?」

 

梨晏「わ~~~~、綺麗だね~~~」

 

日本刀独特の刀身は、この場にいる者全てを魅入らせた

 

粋柃「これはなかなか見事なものね・・・・・」

 

冥琳「はい、これは宝剣と言って差し支えないでしょう・・・・・」

 

祭「なるほどのう、これを収めるから信用しろということか・・・・・」

 

炎蓮「こいつは、使うべき人間が使えば相当な名剣になるな」

 

鴎「あ、無闇に試し切りはしない方がいいですよ!」

 

炎蓮「あん?なんでだよ、今そうしようと思ってたのに」

 

鴎「一刀は言ってました、次に会った時に必ず返すようにと、それも協力の条件に含まれています」

 

炎蓮「なんだよケチ臭いな、信頼の証としてこいつを献上するんじゃないのかよ」

 

鴎「なんでも、それは一刀の家の家宝らしいですよ」

 

炎蓮「そんなことを言われると余計に返したくなくなってくるんだが・・・・・とはいえ、そうも言っていられないか」

 

雪蓮「ええ、南海覇王だって、私達孫家の家宝ですもの・・・・・それにしても、明命、鴎」

 

明命「?・・・・・なんでしょう?」

 

雪蓮「今、あいつのこと一刀って呼んだわね♪」

 

明命「はうあ!!?それはその!!?」

 

鴎「い、いやあの!!その!!」

 

雪蓮「もしかして、真名を預けちゃったの♪」

 

明命「それはその!・・・・・はい/////////」

 

鴎「わ、私も////////」

 

明命「それと、思春殿も////////」

 

思春「お、おい!余計な事を言うな!//////////」

 

梨晏「ふ~~~~ん、優しくされて惚れちゃったのかな~~~♪」

 

思春「そんな訳無いだろう、梨晏!!/////////////」

 

炎蓮「ほれほれ、そこまでだ、真名に関しては主従関係の範囲外だからな」

 

粋柃「ええ、あなた達が信頼に足る人物と判断したから預けた、そこに私達は口を挟まないわ」

 

祭「まあ、お主達が真名を預けるような人物なら信用してもよかろう」

 

雪蓮「まあね・・・・・他には何かない?」

 

思春「これだけです」

 

雪蓮「そう・・・・・それじゃあ、帰って来て早々に悪いんだけど、もうひと頑張りしてもらうわよ」

 

明命「はっ!なんなりと!」

 

雪蓮「さっき袁術と会合があって、朝廷から黄巾党討伐の勅令がきたのよ」

 

思春「いよいよですか」

 

鴎「腕が鳴ります」

 

雪蓮「それでね、その為に各地の仲間を呼び寄せる事になったの」

 

明命「え!?袁術が許したのですか!?」

 

冥琳「ああ、炎蓮様がちょっと睨んだらあっさり承諾した」

 

鴎「・・・・・雑魚ですね」

 

思春「ああ、雑魚中の雑魚だ」

 

明命「でも、大殿様に睨まれたら誰だってそうなると思いますけど・・・・・」

 

雪蓮「だから、あなた達には今すぐ蓮華と小蓮を迎えに行って欲しいの」

 

思春「はっ!承知しました!」

 

鴎「孫権様の迎えには私が行きます!」

 

思春「おい!それは私の役目だぞ!」

 

鴎「いつまでも孫権様の親衛隊隊長でいられるなんて思わない事ね♪」

 

思春「なんだと貴様!!」

 

冥琳「おいよさんか!お前達二人で行って来ればいい、流石に穏と百合だけで蓮華様の警護をさせ続けるのは心配だからな」

 

思春「はっ!」

 

鴎「行ってきます!」

 

そして、二人は素早くその場を去って行った

 

冥琳「まったく、あの二人にも困ったものだ・・・・・」

 

梨晏「うん、二人とも蓮華ちゃんが大好きだからどうしても好敵手同士になっちゃうんだよね~」

 

粋柃「今はそれが良い循環になっているけど、いつそこを敵に突かれるかが心配よ・・・・・それじゃあ明命は、小蓮様の迎えに行って頂戴」

 

明命「はっ!行ってきます!」

 

そして、明命もその場を去って行った

 

粋柃「・・・・・ところで大殿、さっきの話ですけど、乗るのですか?」

 

炎蓮「御遣いの話か・・・・・別に乗って損は無いと思うがな」

 

冥琳「ええ、より少ない損害で独立を勝ち取れる事に越したことはありませんし」

 

祭「しかし、必要ないかもしれんのう」

 

雪蓮「結構前から袁術の所の数人の文官と連絡を取り合ってるし、何もしなくても近い内に袁術軍は瓦解するんじゃないかしら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美羽「あうう~~、七乃ぉ~~、巴ぇ~~、一体いつまでこんな事が続くんじゃ~~・・・・・」

 

七乃「私も気が気でないですよぉ~~、あんな凶暴な人食い虎を招き入れたのは失敗だったかもしれませんねぇ~・・・・・」

 

巴「しかし、孫堅の軍は精強には違いありません、そのおかげで他の諸侯は私達に手を出し辛くなっているのも事実です、もう暫く辛抱してくださいませ、美羽様」

 

美羽「あうう~~、世知辛いのじゃ~~、早く蜂蜜水が飲みたいのじゃ~~」

 

炎蓮との会合が終わった後、美羽達一行も自身の部屋へ戻っていく

 

その最中にずっと美羽の半泣き声が響いていた

 

雷火「・・・・・・・・・・」

 

包「・・・・・・・・・・」

 

そして、その後ろをついていく雷火と包

 

雷火「(包よ、いよいよ袁術軍も長くは無いようだな)」

 

包「(はい、前から孫堅軍と連絡が取れて良かったです)」

 

前の三人に聞こえないよう、限りなく顔を近づけヒソヒソ話に興じる二人

 

包「(七乃さんも巴さんも、あそこまで美羽様に肩入れしなくてもいいのに)」

 

雷火「(仕方あるまいて、あの二人は美羽殿が生まれた時から仕えている将だ、今更鞍替えなど出来るはずもない)」

 

包「(う~~~ん、なんだか滅ぼすのが忍びなくなって来ましたねぇ~~)」

 

雷火「(今更同情しても遅すぎるぞ、ワシらはもう賽を投げてしまったのだからな・・・・・それとも、あんなどうしようもない奴らに肩入れして共に孫堅殿に滅ぼされるか?)」

 

包「(ひゃわわ!!?置いて行かないで下さい、お師さん~~!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、こちらは沿州

 

麗春「なぁ~~~一刀ぉ~~~♪私のモノになってくれよぉ~~~~♪」

 

一刀「ちょっと、困りますって、麗春さん/////////」

 

麗春「麗春と呼び捨てにしていいぞ~~、いいだろぉ~~~♪私のモノになってくれれば、いろんな凄い事をさせてやるぞぉ~~~♪/////////」

 

一刀「すごっ!!?って、お断りです、俺は女には絶対に手を出さないと決めているんだ」

 

麗春「ん~~~、なかなかに固いな、ますます欲しくなってきたぞぉ♪」

 

いつの間にやら真名を預け、周りの事などお構いなしに体を寄せてくる麗春

 

どうやら、昨日の一刀の回天丹田ですっかり一刀の事を気に入ってしまったようだ

 

風「そういえば、一つ気になっていたんですが~」

 

一刀「なんだ?」

 

風「お兄さんの、腰の物はどうしたんですか~?」

 

稟「そういえばそうですね、気付きませんでした」

 

一刀「ああ、兼元か・・・・・あれならある人に預けている」

 

華琳「預けているですって?」

 

綾香「確かあれは、一刀君の家の家宝ではありませんでしたか?」

 

一刀「確かに兼元は俺の家の家宝だけど、預けた相手はまあまあ信用出来る人物だからな」

 

星「初耳ですぞ、一刀殿・・・・・」

 

菖蒲「私もです・・・・・」

 

一刀「安心してくれ、後できっちり返してもらう事になってるからさ」

 

秋蘭「・・・・・それにしても、今回の討伐はあっけないものだったな」

 

春蘭「ああ、拍子抜けもいいところだ、もうちょっと骨のある奴はおらんのか」

 

彼女達の疑問も尤もである

 

華琳の依頼を受けて3日後、一刀達は沿州の黄巾党を一掃する事に成功していた

 

予想していた時間より圧倒的に短かったのは、一刀が自身が助けた黄巾党員を黄巾党の中に潜り込ませある噂を流させたためである

 

それは、自分達は何もしなくとも近い内に漢王朝の圧政は終わりを告げる、天の御遣いによって、と

 

黄巾党内で噂が噂を呼び、自分達の郷里に帰っていく黄巾党員が続出し、沿州の黄巾党は一刀達が何もしなくとも自然消滅していったのだ

 

残った黄巾党は、その中に潜り込んだ山賊くらいなものである

 

当然そんな連中は、一刀達の敵ではなく軽く片付けられていった

 

黄巾党が居なくなった沿州の街道を悠々と馬に跨って歩を進めていく一刀達

 

そこに

 

蒼「一刀さ~~~~~ん♪」

 

凪「一刀様!ただ今帰りました!」

 

偵察に行っていた蒼と凪が帰って来た

 

一刀「おかえり蒼、凪・・・・・それで黄巾党はいたか?」

 

蒼「ううん、全然・・・・・もう沿州にはいないんじゃないかな♪」

 

凪「はい、司州との関所まで調べましたが、黄色い頭巾は見かけませんでした♪」

 

鶸「蒼、油断しないで・・・・・それはそうと、なんでそんなに楽しそうなのよ?」

 

蒼「だってぇ~~~~♪一刀さんの役に立てていると思うと嬉しいんだもん♪」

 

鶸「あんた・・・・・このまま一刀さんの所に居続けるつもり?」

 

蒼「う~~~~ん、それもいっかな~~~~♪/////////」

 

沙和「凪ちゃんも楽しそうなの~~♪」

 

真桜「すっかり一刀はんに惚れ込んでまったらしいな~~♪」

 

凪「ちちちち違う!私は自分の役割を果たしているだけで!//////////」

 

鶸「蒼、私達の任務を忘れないでよ・・・・・それと、私達は今どの辺りにいるのかしら?」

 

麗春「ここは陳留の最西端だから、もう少しで司州の河南に着くはずだ」

 

一刀「いよいよここからが本番か・・・・・」

 

白蓮「ああ、黄巾党はすでに司州にまで勢力を拡大しているそうだからな」

 

華琳「桂花、官軍は黄巾党に勝つことが出来ると思う?」

 

桂花「不可能でしょう、形骸化した王朝の軍では返り討ちが必定」

 

風「もちろん外部からの支援があれば話は違ってくるんでしょうけどね~」

 

稟「勢いを増した黄巾党に官軍単独では、蹴散らされるのは目に見えています」

 

蒼「・・・・・・・・・・」

 

鶸「・・・・・・・・・・」

 

漢王朝に忠誠を誓っている馬騰の娘である蒼と鶸からすれば頭の痛い話である

 

しかし、事実は変わらないのでグッとこらえる

 

そして、曹操軍と公孫軍は洛陽がある司州へと足を踏み入れていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はいどうも、Seigouです

 

いつも阿修羅伝の方ばかり書いていたらこちらが進みませんので、今回は鎮魂の修羅をお届けしました

 

まだ英雄譚の新しいキャラが出て来そうなので、内心ひやひやしながら書いています

 

今回の紀霊は彩からSiriusさんの巴に変更させていただきます

 

この巴も前々から気になっていたキャラですから、今回の話に登場させる事が出来て大変嬉しいです

 

次はどちらを投稿するか分かりませんが、気長に楽しみにお待ちください、では・・・・・待て!!!次回!!!


 
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