No.723058

【獣機特警K-9ⅡG】生活警備課の長くて短い一日【交流】

古淵工機さん

泥棒に商品を盗まれるのがイヤだから
防犯カメラを設置したら
その防犯カメラが盗まれたお話。

■出演

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2014-09-27 22:23:18 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:698   閲覧ユーザー数:654

ここはとあるコンビニエンスストア。

一見何の変哲もなさそうに見える店内であるが、近頃、この近所で盗難事件が相次いでいるということもあり、

もし被害にあったら…ということで、予防策としてこの店にも防犯カメラが設置されることになった。

この防犯カメラの設置からしばらく、窃盗事件はないように思えたのだが…。

「…盗難事件ですか?」

ここはラミナ警察署・生活警備課。

その課長であるミウ・カワグチと副課長であるテムナ・ツルハシは先のコンビニの店主である茶トラ猫形ファンガーの女から事情を聞いていた。

「はい、近頃ウチの店の付近で盗難が相次いでいるということで、防犯カメラを設置したんです。その後しばらく被害はなかったんですが…」

 

「なるほど、防犯カメラがあると知っていながら堂々と盗んだヤツがおるっちゅう話やな。それで?何盗られたん?」

「ええ、実は…」

と、テムナが質問を投げかけると、女の口から出てきたのは意外な品目だった。

「その防犯カメラなんです」

 

「「「ギャフーン!?」」」

思わずズッコける二人。ちょうどコーヒーを淹れて戻ってきたアード・レポルにも話は筒抜けだったらしく、つられてすっ転んだ。

…ラミナ警察署1階、喫茶コーナー。

「…というわけなんだよね。まったく防犯カメラを盗まれるってどんなだよ…」

と、ピザを頬張りながら愚痴をこぼすミウ。

「あー、そういう話なら僕の友人からも聞いてるんだけどね…」

と、呆れ顔になりつつ親身に話を聞いていたのはK-9隊の久遠・ココノエだ。

「しっかしアレやな。ドロボウ捕まえるためのカメラ盗むっちゅうんはわからんなー。何なん?」

そんなテムナの言葉に、捜査課のジース・ミンスターは答える。

「おそらく、監視社会への不満分子か…」

「監視社会への不満、ねえ…そういうことだったら想像はつくんでしょうケド」

と、クオンが言いかけたそのとき、アードが口を挟む。

 

「でも、監視社会反対とかだったらわざわざ盗んだりするかな?」

「え?なんで?」

「カメラで監視されてるのが憎いんだったら、盗むより壊すんじゃないかなって」

そんなアードの言葉をさえぎり、再びミンスターが続ける。

「…そういえば監視カメラも最近は高画素・高解像度の機種が出ていますからね。となれば…」

「…盗んだカメラを元手に資金を作ろうというつもりか…」

と、考え込んでいたところにまたも事件の一報が入った。

「はい、ミウです…え!?昨日のコンビニの筋向いの酒屋でも同種の窃盗事件!?…え、さらにその隣のブティックでも!?了解!…テムナ、アード、事件だ!!すぐ行くよ!!」

「おっしゃ!何考えてるんか知らんがとっちめたる!」

「窃盗防止のカメラが窃盗なんて本末転倒だからね!」

「あ、うん…気をつけてね…」

と、事件現場へ急行する三人を見送るクオンはため息をついた。

 

「はぁ…もうホント、なんだかなあ…ここまでセコい事件久しぶりだ」

「まあ案外窃盗事件というのはそんなものでしょうな。ここはあのお三方に任せるとしましょう」

…さて、事件現場となったブティックの店内。

「見てミウ、テムナ!!」

アードが指差した先には、防犯カメラが外された痕跡。

ご丁寧にもカメラを固定していたビスが取り外され、ケーブルのコネクタも抜かれている。

 

「…なかなかお上手な工作のようで」

「感心してる場合じゃないでしょテムナ。ここまで丁寧に取り外されてるとかえって怪しい!」

とかなんとか話している隙に、筋向いの模型店から、作業着を着た男性が。

 

「あ、ちょっとすんません」

と、その男性にテムナが声をかけた。

「何ですか?」

「警察のモンです。失礼ですがお仕事は何をしてはるんですか?」

すると男は得意げに答えた。

「ああ、この付近の防犯カメラを点検しているんです。カメラだって機械です。定期的にメンテナンスをしてやらんと」

「それはご苦労さんですねー。実はこのあたりで防犯カメラを標的にした窃盗が多発してるんですが、ご存じないですか?」

「まさか、防犯カメラを盗むなんてそんなこと…堂々としすぎててすぐバレますよね?じゃあ私は忙しいのでこれで…」

と、男が立ち去ろうとしたときだった。

「動くな!警察だ!」

と、男の後ろに現れた別の警官。K-9隊のジョナサン・ボーイングとイシス・ミツザワだ!

「え、な、何なんですかいきなり!?」

と、動揺する男に、イシスは詰め寄る。

「この付近のカメラすべてに回線をつなぎ、全部モニターさせてもらいました。防犯カメラ窃盗の容疑で現行犯逮捕します!」

「いや、だから私はただ、カメラの修理をですね…」

と、慌てふためき身振りが大きくなった男のバックパックから、一台のカメラが落ちた。

 

「あーーーーーっ!こ、これは先日のコンビニに設置されてた防犯カメラだわ!!」

「そうかぁ、どうも怪しい思てたらやっぱアンタが犯人やったっちゅうワケか!」

「え、いや、あの、これはその…」

と、さらに慌てふためくごとに一台、また一台とカメラが零れ落ちる。

 

「この模型店に入ったとき、どうやらお前さんは気づかなかったようだな。『防犯カメラを監視するカメラ』が設置されていたってことにな」

と、ジョニーは手錠を取り出しながら男のほうへと詰め寄る。

「う、うう…最近の防犯カメラは性能がいいから…高く売れると思ったんだ…!」

両手を地面につきくずおれる男。その男の手に、しっかりと手錠がかけられた…。

翌日、オキナワ料理店カチャーシー。

「はぁ、そんなコトがねえ」

と、苦笑いを浮かべる店主、花房蘭に対してミウはため息をつきながら答える。

ランが読んでいる新聞の見出しには「防犯カメラ窃盗の男を逮捕『高く売れると思った』」との文字が。

 

「そうなんだランさん、まったく気が抜ける事件だったよ…」

「せやせや。まったく犯人もここまで妙なことするとは…」

「ま、防犯カメラも機械だからねえ…盗まれるときは盗まれるもんだよw」

「いいの!?そんなこと言っちゃっていいの!?」

 

…窃盗を取り締まる目的で設置されたはずの防犯カメラが盗まれた今回の事件。

くれぐれも、妙な窃盗にはお気をつけて。

 


 
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