No.716001

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第256話

2014-09-11 18:26:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1799   閲覧ユーザー数:1645

 

 

 

~鳳翼館・ロビー~

 

「みんな、集まったみたいだな。」

リィンはソファーに座っている”Ⅶ組”の面々を確認した。

「ええ。」

「打ち合わせができるということは学院祭のステージ内容が詰め終わったという事か?演目は聞いたが、肝心の構成を聞いていなかったな……」

「フン、随分ともったいぶったものだ。」

マキアスの言葉に続くようにユーシスは鼻を鳴らしてリィンを見つめた。

 

「すまない。でも、エリオット達のおかげで何とか纏まったよ。」

「実習明けに伝える予定だったんだけど、小旅行をする事になるなんて思ってもいなかったからさ。」

「確かに……それなら致し方あるまい。」

「それにザクセン鉄鉱山の件が落ち着いてからすぐにヘイムダルに向かいましたしね……」

エリオットの説明を聞いたラウラとセレーネは納得した様子で頷いた。

 

「クロウとアムドシアスさんは僕とリィンに任せるって事だから早速発表するよ。演奏する曲は3曲。必要なのは導力楽器を演奏するバンドと男女と異種族のボーカルと、バックダンサーだね。」

「フム……かなり本格的だな……」

「さ、三曲もやるのか……?しかもバックダンサーまで……」

「よくわかんないけど、めんどくさそう。」

「エ、エヴリーヌさん……練習する前からそんな事を言わないで下さいよ……」

エリオットの説明を聞いたガイウスは考え込み、マキアスは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、ジト目で呟いたエヴリーヌの言葉を聞いたセレーネは呆れた表情になった。

 

「お客さんも一曲じゃ物足りないと思うし、インパクトを考えるとバックダンサーは必要かなと思って。それに三曲目はアムドシアスさん達――――リィン達が契約している異種族のメンバーばかりだから、実質僕達がやる曲の数は二曲だよ。」

「ま、エリオットがそう言うなら……」

「フン、見込みがあるなら特に拒む理由は無い。」

エリオットの説明を聞いたフィーは納得し、ユーシスも鼻を鳴らして同意した。

「ふふっ、これがステージの構成と当日の衣装案。」

そしてエリオットは”Ⅶ組”のメンバーにステージの構成と衣装案が書いてある書類を配った。

 

「……えっ!?」

(おっ!エマのソロボーカルか~!フフ、どんな歌を歌ってくれるのかしら♪)

ステージの構成の自分の役割を見たエマは驚き、ヴァレフォルは興味ありげな表情をし

「ふむ……”リードギター”がリィンとリザイラ、”サイドギター”がアリサとプリネ、それにヴァレフォル、”ベース”がガイウスとツーヤ、アムドシアスか。私は……?」

それぞれの役割を見た後自分の役割を見たラウラは首を傾げた。

 

「ラウラはベルフェゴールと同じ”ドラム”だな。そして……ヴァイオリンとキーボードがエリオットとセレーネ、それにフィニリィとメサイア。」

「あ。バックダンサーがわたしとミリアム、後はエヴリーヌにペルルとミルモ……それと一曲目のボーカルが……マキアスとユーシス……二曲目がエマ……三曲目がアイドス……」

「”バックダンサー”?何それ。」

ガイウスやフィーと共に自分の役割を見ていたエヴリーヌは首を傾げ

「えっとね、バックダンサーって言うのは―――」

エヴリーヌの様子を見たエリオットは説明しようとした。

 

「「ちょっと待った!!」」

するとその時ユーシスとマキアスが同時に机を叩いて立ち上がって声を上げた!

「こ、こいつと僕が二人組のボーカルだと!?」

「しかも……同じ衣装を纏ってなどと……!」

「ヒ、ヒラヒラしているぞ!?」

「え、え~と……王子様みたいでカッコイイでしょう?」

二人の反論にエリオットは戸惑いながらリィン達に問いかけた。

 

「うん……わりと女子受けはいいんじゃないかしら。」

「二人なら結構映えるかも。」

「ええ。お二方とも容姿が整っていますしね。」

「だ、だよね~。インパクトもあると思うんだ。マキアス、Ⅰ組に負けたくないんでしょう?」

自分の説明に納得している様子のアリサやフィー、セレーネの意見に頷いたエリオットはマキアスを見つめて問いかけた。

 

「そ、それは……!」

「俺もフォローでボーカルに入るから二人とも何とか頑張ってみないか?」

「む、むう……!」

「フフッ、折れるしかなさそうだな。」

リィンの意見を聞いて言葉を濁しているマキアスの様子を見たガイウスは苦笑しながら呟き

「え、え~と……二曲目はさすがに冗談ですよね……?」

エマは冗談であって欲しい事を強く願いながら冷や汗をかいてエリオットに尋ねた。

 

「ううん、これがベストっていうのがクロウの意見。眼鏡を外して、ギャップを出して脇をフィーたちで固めれば完璧なんだって。」

しかしエマの願いは虚しくエリオットは首を横に振って説明をした。

「ギャ、ギャップって言われても……」

(おっ、わかっているじゃない♪)

説明を聞いたエマは冷や汗をかいて戸惑い、ヴァレフォルは笑顔になった。

 

「なるほど……」

「ア、アリサさん!?眼鏡を返してください……!」

「じっとしてて。」

「え……わ、わあ!?あ、あの……!」

「はい、できたわ♪眼鏡を外して、髪を下ろしただけだけど、どう?」

するとアリサはエマの眼鏡を外した後三つ編みにして束ねているエマの髪を下ろしてリィン達に問いかけた。

 

「こ、これは……!」

「とっても綺麗です……!」

「別人に見えるね。」

眼鏡を外して髪を下ろしたエマの姿を見たマキアスは驚き、セレーネははしゃぎ、エヴリーヌは静かに呟き

「うむ……これは見違えたな。」

「ああ……さすがに驚いた……」

感心した様子のガイウスの意見にリィンは呆けた表情でエマを見つめながら頷いた。

 

「うんうん、前々から勿体ないって思ってたのよ。」

リィン達の反応をアリサは満足げな様子で見つめて頷いた。

「フム……普段からこちらの方がいいのではないか?」

「そ、そんな~……からかわないで下さいよ~……」

ラウラの意見を聞いたエマは顔を赤らめて恥ずかしそうな表情をした。

 

「わたし達がその委員長の脇を固め、アイドスがボーカルの時はミルモ達がアイドスの脇を固める……結構良さそう。」

「で、でも……こんな肌が露出するような衣装でボーカルだなんて……」

「これでも女性の衣装は初期案から大分露出を抑えてもらったんだ。少し大胆だけど、曲のイメージには合ってるとは思う。」

「まあ、確かに品性を疑うほどではないか。それにしても……初期案はどれほど過激だったのだ?」

エマを説得しようと説明をするリィンの話を聞いたラウラは納得した様子で頷いた後ある事が気になって首を傾げ

「ア、アハハ……」

(それはもうかなりギリギリな衣装だったわね♪)

(私もさすがにあの衣装は絶対に着なかったでしょうね。)

(わ、私もです……さすがに睡魔族の衣装とほとんど変わらない衣装はちょっと……)

(フフ、セリカが見たら卒倒するかもしれなかったわね。)

ラウラの言葉を聞いたリィンは冷や汗をかいて苦笑し、ベルフェゴールはからかいの表情になり、リザイラの念話を聞いたメサイアは冷や汗をかいて頷き、アイドスは微笑んでいた。

 

「フウ……曲のイメージに合ってるって言うなら観念するしかないみたいね……エマ、私とプリネもボーカルのフォローに割り当てられているし、一緒に頑張りましょう?アイドスだって、突然の抜擢に文句を言わずに引き受けたのよ?」

説明を聞いて納得したアリサは溜息を吐いた後エマを諭し

「え、え~と……その……ハア……わかりました。何とかやってみます。」

アリサに諭されたエマは肩を落として溜息を吐いた後ようやく納得した。

 

「しかし歌はともかく、演奏は何とかなるのか?”ベース”とやらは全くやったことがないが……」

「私も楽器自体ほとんど触れた事がないくらいだ。」

「わたくしもこの”キーボード”という楽器でちゃんと演奏できるのか、不安です……」

「うん、今回は”導力楽器”を使うんだけどガイウスは”シタール”が弾けるから”導力ベース”もこなせると思うんだ。ラウラのリズム感とパワーは絶対ドラム向きだと思うし、リィンは”リュート”、セレーネはピアノ、アリサとプリネ達もヴァイオリンの経験があるから何とかなると思う。」

ガイウスやラウラ、セレーネの疑問を聞いたエリオットは全員に説明をし

(ちょっと~!?その説明だと私も力馬鹿になるじゃない!?)

説明を聞いていたベルフェゴールは不満げな表情をしていた。

 

「そ、そういうものかしら……?」

「この点はさすがに心配ではあるんだけど、エリオットとアムドシアスさんの見立てだし、練習さえがんばれば何とかなる気はするんだよな。」

「まあ、ダメなら弾けるまで練習してもらうだけだけどね。」

「あ、ああ……」

「エ、エリオットさん……何だかちょっと怖いんですけど……」

威圧のある笑顔を見せてエリオットにリィンは戸惑いながら頷き、エマは冷や汗をかき

「音楽に関しては真剣そのものだからな……」

「さすがは”猛将”の息子と言った所か……」

「ユーシス、それ上手い。」

マキアスは疲れた表情になり、ユーシスの言葉を聞いたフィーは感心した様子で指摘した。

 

「うん……概要は了解した。」

「私も乗った。みなと切磋琢磨できるなら、遣り甲斐もあるというものだ。」

「わたくしもです!大勢の方達と一緒に演奏をするなんて、今から楽しみですわ♪」

「……ま、プリネ達と一緒にやるんだから、エヴリーヌも頑張るよ。」

ガイウス、ラウラ、セレーネ、エヴリーヌはリィン達の案にそれぞれ賛成の意を示し

「フウ……せっかくリィンやエリオット達が頑張って纏めてくれたんだ。何とか実現させるのがスジか……」

「肚をくくるしかあるまい……」

「そうですね……」

マキアス、ユーシス、エマもそれぞれ疲れた表情で覚悟を決めた。

 

「ひとまず、大体の方針はこれに決定しよう。学院に帰ったらすぐに練習を始めないとならないけれど、その分今日と明日の二日間はしっかりと英気を養ってくれ。―――それじゃあ解散。この後は夕食まで自由行動だ。」

「了解(ヤー)。」

「全く、どういうつもりなんだ……!僕がユーシスと……ブツブツ……」

リィンの指示を聞いたフィーは立ち上がって仲間達と共にどこかへと去り、マキアスはブツブツ呟きながら去って行った。

 

「リィン、この後はどうするの?」

「そうだな……エリスと約束もしたし……実家にちょっと顔を出してみようかな……」

「ちょっとなんて言わずにゆっくりしてきたら?」

「でも……」

アリサの言葉を聞いたリィンは戸惑いの表情をしたが

「半年ぶりの故郷なんだろう?オレ達に遠慮するな。」

「あー……それじゃあ、お言葉に甘えて。」

ガイウスの言葉に頷いて実家に長居する事を決めた。

 

「行って来るがいい。いずれ、男爵閣下に挨拶させてもらうつもりだが、家族の団欒を邪魔するつもりはない。明日にでも伺わせてもらおう。」

「わかった。伝えておくよ。それじゃあセレーネ、一緒に行こうか?」

「え……よろしいのですか?」

「ああ。父さん達への手紙でセレーネの事も書いて、父さん達もセレーネに機会があれば会いたいって書いていたしな。」

「わかりました。そう言う事でしたらわたくしもご一緒に伺わせてもらいます。」

そしてリィンはセレーネと共に実家に向かった。


 
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