No.713508

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第234話

2014-09-04 00:33:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1671   閲覧ユーザー数:1577

 

 

 

 

 

 

 

~RF本社ビル・23F・会長室~

 

「会長、失礼します。お嬢様とⅦ組の方々をお連れしました。」

「通して頂戴。」

「はい、それでは。」

イリーナ会長の許可を得たシャロンは扉を開け、リィン達は会長室に入ってきた。

 

(うわ~……!)

(さすが会長室、大した眺めじゃねーの。)

(でも、この部屋の主である方は後ろの眺めは全く気にしていないようですが……)

部屋に入ったエリオットは驚き、イリーナ会長の後ろにある巨大な窓ガラスから見える景色を見たクロウは感心し、セレーネは戸惑いの表情で仕事をしているイリーナ会長を見つめた。

 

「―――”カレイジャス”の帝都とルーレお披露目は成功。ウチからの公式発表は明日まで控えておきなさい。―――それで問題ないわ。すぐにでも始めて頂戴。社内のインサイダー取引には徹底的に目を光らせておくこと。―――もしもし。イリーナ・ラインフォルトです。特別列車については了解です。何とか工場を急がせましょう。―――クロスベル関連株が急騰?いいからそのまま保持しなさい。ただし来月上旬までが限度。そのタイミングで全て売却を。―――特別列車の影響でメンフィルに提示した列車砲に取り掛かれる時期が遅れそう?わかったわ。今日の15:30までに製造に取り掛かれる具体的な時期から完成時期を計算して私の端末に送って。本日16:30に本社に来訪されるレン皇女にその事も了承してもらうように交渉をするわ。」

イリーナ会長は片手で端末を操作しながら、もう片方の手には何かの資料を手に取って資料の内容を頭に入れながら、耳につけたイヤホンで様々な人物と通話をして次々と交渉をしたり指示を出したりしていた。

 

(す、凄いな………幾つもの指示を同時に。)

(ああ、トワ会長もそのあたりは凄かったけど……)

(さらにプロって感じだね。)

(わ、わたくし達、お忙しいところをお邪魔して本当によかったのでしょうか……?)

(イリーナ会長の秘書であるシャロンさんがあたし達を連れて来たんだから大丈夫だよ……)

「………………」

リィン達がイリーナ会長の仕事っぷりに驚いている中、アリサはイリーナ会長に近づいてジト目で見つめ続けた。

「さて―――」

するとその時仕事に一区切りついたイリーナ会長は立ち上がってリィンに近づいた。

 

「お互い時間もないでしょうし、前置き抜きで行かせてもらうわ。これを。」

「へ……」

「は、はい。」

慌てた様子でイリーナ会長から特別実習の課題の内容が入っている封筒を渡す様子を見守っていたアリサは呆けた声を出した。

 

「夕食は一緒に取れると思うから積もる話はその時にでも。シャロン、後はお願い。」

「かしこまりました。いつ頃お戻りになりますか?」

「夜の7時には戻るわ。招待客にはナイトクルーズでも楽しんでもらいましょう。」

「それは素敵ですね。では、そのように手配します。」

「母様―――いい加減にして!私のことはともかく士官学院の理事のくせに……どうしてそこまで無関心なの!?」

リィン達に必要最低限の事を伝えてシャロンに指示をした後退出しようとしたイリーナ会長を見たアリサは声を上げて怒鳴った。

 

「アリサ……」

「ま、まあまあ。落ち着いて……」

「アリサさんのお母様もお忙しいのですから仕方ないですよ……」

アリサの様子を見たリィンは心配そうな表情をし、エリオットとセレーネはアリサを諌めようとしていた。

 

「ああ、忘れていたわ。」

その時イリーナ会長は振り向いてリィン達を見つめ

「え……」

イリーナ会長の突如の行動にアリサは呆けた。

「無事に実習を終えたければ領邦軍と鉄道憲兵隊には近寄らないようにしなさい。侯爵家の方も同じ……立ち寄る必要もないでしょう。あくまで学生らしく常識の範囲で頑張りなさい。――――以上。」

イリーナ会長はリィン達に忠告をした後歩き出し

「行ってらっしゃいませ、会長。」

シャロンは頭を下げてイリーナ会長を見送った。

 

「は~……すっげえ母ちゃんだなぁ。」

「軍隊の女将校みたい。」

「アハハ……(カノーネ大尉にちょっと近い人かも……)」

「何と言うか……さすがはRFグループの会長を務められているだけはあるな。」

その様子を見守っていたクロウは呆け、フィーが呟いた言葉を聞いたツーヤは冷や汗をかいて苦笑し、マキアスは感心していた。

 

「ああもう……だから戻って来たくなかったのよ。………ちょっと引いたでしょ?」

肩を落として溜息を吐いたアリサはリィン達を見つめた。

「いや、そんな事はないさ。」

「僕達の安全を考慮したアドバイスもしてくれたしね。」

「ええ。忙しいながらも理事としての義務を果たしていますわ。」

「はあ……もういいわ。……ここで熱くなったらあの人の思う壺だろうし。」

リィン達の慰めの言葉を聞いたアリサは溜息を吐いた後呟き

「え。」

アリサが呟いた言葉を聞いたリィンは目を丸くした。

 

「シャロン。こちらも日没までには戻るわ。客室と夕食の準備はお願い。私達の荷物も頼んだわね。」

「ふふっ、かしこまりました。それでは皆様―――気を付けて行ってらっしゃいませ。」

その後荷物をシャロンに預けたリィン達は特別実習の課題を確認した後、課題の消化の為に行動し始めた。

 

 


 
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