1stプロローグ…代用品の
ゲイムギョウ界……かつてそこを守護していた存在がいた。
その姿は絶世の美女、その強さは天下無双、各々が国を治め、人々に降りかかる災いを退いて来た。
その者達は
その者らが治めていた下界の各々の国の人間たちも、違う国の女神の信仰を厳しく禁じたり、他国に攻め入ろうとしたり……
中には噂として広まった架空の魔王を信仰する者まで出て来て大いに荒れていた。
それに呼応するように発生するモンスターも相まって、自由、経済、規律、平和等、色々な意味でこの世界は危うくなっていた。
しかし女神達(厳密には一人の女神)はそれぞれの国の大きな問題を解決していき、ほぼすべての黒幕である先代を打ち倒し、モンスターをこの世から消し去り、ゲイムギョウ界を救った。
その後女神達は、自ら女神を辞め、女神の力を、世界を創った司書に託し、人になった。
人として導くため、問題を起こしてしまったけじめの為、友と一緒に居たいが為……
彼女らはこの先どんな困難が起きたとしても、皆で力を合わせて切り抜けようとしていた。
……だが、またしても、彼女らがした事が問題となってしまった。
女神を辞め、只の人間となった彼女らに従う者はいるのだろうか? ほとんどいないだろう、寧ろ使命から逃げただの信じていたのに裏切っただの思うはずだ。
女神と言う崇高な存在は、多くの人々の支えになっていたのに、いざいなくなってしまえば大混乱になる事は必然だった。
元女神とその仲間たちの言葉に耳を聞き入れる者達はほとんどいなかった。
さもありなん、司書という存在は女神と比べて稀薄過ぎるし、永い間女神に治められていた人々にとって、女神の喪失はキツイものだった。
一体何を支えにすればいいと、一体何を導にすれば良いと、悩みに悩んだ結果、ある答えを導き出した。
……新たな象徴を、新たに人間を導く存在を創りだせば良いと。
女神だった者達は猛反対したが、逆に国を捨てた反逆者として断罪された。
どんな形で……とは口に出すのも恐ろしい程の惨たらしい責めに遭い、ひとり、またひとりと死んでいった。
本当にに女神亡き世界となった国々は、人間たちによってそれぞれ新たな統括者が創りだされた。
ある国ではブリキの王、ある国では
女神亡きこの世界がこの先どうなってしまうのか、あの時こうなる事を選んだ人々の選択は正しかったのか……それは誰にもわからない。
……もっとも、今までの世界を偽りと称され、家族を、居場所を失い、一人ぽつりと取り残された一人の青年には、そんな事を聞かれても分かるわけがないのだが。
その心には未だ復讐の二文字すらなく、絶望と喪失感でいっぱいだった。
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