No.709608

リリカルHS 58話

桐生キラさん

こんにちは!
今回は文化祭をテーマにしたお話です

2014-08-18 16:28:43 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1815   閲覧ユーザー数:1645

 

 

 

 

 

先生「はぁい!秋と言えば食欲の秋!最近お腹周りが気になってる先生でぇす!」

 

朝のホームルームにて、先生が開口一番そんな事言うので、クラスの女子全員がお腹を抑えた

 

はやて「な、なぁ士希?私大丈夫やんな?太ってへんよな?」

 

士希「当たり前だろ?士希さんの料理は美味しさだけじゃなく、健康にも気を使っているんです」

 

そんな士希の発言に、私はそっと胸を撫で下ろす。料理人が彼氏て、なかなか怖いな

 

先生「みんなー!もうすぐ文化祭ですよー!しかも今年は10月30日と31日!つまりハロウィンです!」

 

テンション高く言う先生やけど、それとは対照的にクラスのテンションは低かった

 

先生「あ、あれ?みんななんでそんなにテンション低いの?若いんだからもっと上げていかないと!」

 

なんかようあるよなぁ。生徒は乗り気ちゃうのに、先生が無駄に張り切ってまうやつ。見てて哀れや

 

黒田「いや、別にそんなに、ハロウィンとかコスプレに興味ないし…」

 

夏目「私ら一年ってのもあって、勝手が分からないのもあるかな。

なんか先輩達は異様に張り切ってるみたいだけど」

 

確かに、イマイチ文化祭って言われてもピンとこやへんな。

ハロウィンも、今でこそ日本で認知され始めたけど、根深いものではないし

 

フェイト「先生、文化祭は何をするんですか?」

 

フェイトちゃんが手を挙げて言った。せやな、まず何するかからやんな

 

先生「多分、他の学校と変わらないんじゃないかな?

クラスで出し物やったり、お店やったり。あ、でも今年はあれがあるんだった!」

 

なのは「あれ?」

 

先生「うん!クラス対抗、コスプレ音楽祭!それぞれのクラスでバンドを組んでLet's Rock!ってね!」

 

ふーん、そんなんあるんや

 

先生「評価基準は上手さ、盛り上がり具合、そしてコスプレ!

さらにはクラスの出し物の評価を合わせて、その総合得点で優勝したクラスには…」

 

先生が妙に溜めたことで、クラスみんなの視線が先生に集中する。

先生はそれを確認してニヤッとすると…

 

先生「超豪華!某有名焼肉店、二時間食べ放題、飲み放題だー!!」

 

山田「ッシャオラァ!!テメェら準備はいいかー!!?」

 

武田「何としてでも優勝目指すぞゴルゥア!!」

 

黒田「やっき肉!やっき肉!」

 

クラス全員のやる気がクライマックスまでヒートアップした。

みんな分かりやすいほど欲望に忠実やった

 

はやて「つか、そんな金この学校にあるんかいな」

 

なのは「クラス全員だもんね。一人一万で考えても、30万以上はしちゃうよね」

 

実際は、30万じゃ足りへんやろな。そんな金、どっから用意すんねん

 

士希「その辺の心配はしなくていいぞ。どうも校長、宝クジ当てちゃったらしくてな。

それで上機嫌になって、こんな思い切った事したらしい」

 

ほぇー、あの校長、宝クジなんて当てたんか

 

はやて「てか、なんであんたそんな事知っとんねん」

 

士希「ほら、俺校長と仲良しだから」

 

士希のゲスい笑顔を見て思い出した。そういや士希、校長買収しとったな。

ていうか、文化祭31日なんや。確かこの日って…

 

 

 

 

はやて「っということで、文化祭の出し物を決めたいと思いまーす」

 

時間は一気に飛んで放課後。私らのクラスは全員集まり、何をするか話し合う事にした。

ちなみに、この会議の司会は私と士希の二人でお送りします

 

士希「この学校の文化祭は一日目にクラスの出し物やって、二日目に音楽祭となっている。

まずは一日目の出し物について、適当に案を出していってくれ。

そこから後で多数決を取るぞー」

 

士希がそういうと、クラス全員が勢いよく手を挙げ始めた。おー、みんなやる気やなぁ

 

はやて「ほい、ならまずフェイトちゃん、いってみよか」

 

私は安パイから聞いてみようと思い、フェイトちゃんを指名する。

てか、私はほとんど、どんな意見が来るか予想はついてた

 

フェイト「はい!士希料理人による定食屋!」

 

士希「は?」

 

はやて「はーい、士希さんの定食屋、賛成の人~?」

 

『はーい!!』

 

クラス全員の手が挙がった。予想通り過ぎて逆におかしくなるレベルや

 

はやて「はーい、満場一致でけってー!」

 

『わー!!』

 

士希「わー!!じゃねぇよ!?ちょっと待て!もう決定かよ!?

なんだテメェらのその無駄な連帯感!てか、全員手ぇ挙げといて、

同じ事言うつもりだったのかよ!?」

 

一馬「考えてみろ士希。プロ級の料理人がいるんだぞ?使わないでどうする?」

 

なのは「そうそう。士希君の料理なら優勝間違いなしだよ!」

 

二人の発言に、クラス全員がうんうんと首を振った。

それを見た士希は呆れ半分、怒り半分って感じやった

 

フェイト「(あ、ここではやてが上目遣いでお願いしたら、引き受けてくれるんじゃないかな?)」

 

フェイトちゃんが念話で何やら面白いことを言ってきた。ふむ、試してみる価値アリやな

 

はやて「なぁ士希、私からもお願いするわ。な?頼むよ」

 

私はごくごく自然に、上目遣いで士希に言ってみた。すると士希は…

 

士希「ッ!?い、いいか?今回だけだぞ!今回だけは士希さんが全力で飯作ってやる!」

 

何てことを、少し嬉しそうに発言してくれた

 

はやて「くっ…」

 

し、士希!あんた案外チョロいんやな!マジで聞いてくれたで!

 

フェイト「(上手くいったね、はやて!)」

 

はやて「(やばいわぁ。今回だけとか言ってたけど、これ絶対次も聞いてくれるタイプやろ)」

 

お願いしたら聞いてくれるツンデレな士希に、

私はニヤニヤしてしまうのを抑えるのに必死になってしまった

 

士希「出し物は決まった。次は二日目の音楽だが、この中で歌や演奏に自信のある奴いるか?」

 

士希がそう聞くと、さっきとは対照的にクラスの手は挙がらんだ。

そりゃそうやろ。自分からやれるなんて言うやつ、そうそうおるわけない

 

なのは「はいはーい!歌にフェイトちゃんを推薦しまーす!」

 

フェイト「えぇ!?」

 

なのはちゃんが突然手を挙げ、フェイトちゃんを勧めてきた。

フェイトちゃんは困惑してたけど、私もなのはちゃんに同意や。

フェイトちゃん、歌上手いでなぁ

 

フェイト「いや、その、ひ、人前で歌うのはちょっと、かなり、恥ずかしい…」

 

フェイトちゃんは顔を真っ赤にして言った。

そう言えばこの子、結構恥ずかしがりなとこがあったな

 

なのは「みんなー!フェイトちゃんの歌、聞きたいよねー!」

 

『聞きたーい!』

 

なのは「フェイトちゃんのコスプレ姿、見たいよねー!」

 

『見たーい!』

 

フェイト「えぇ!?なのは!?」

 

あー、なのはちゃん、そっちが本命か

 

士希「(いいじゃん。お前ら三人、プロのコスプレイヤーみたいなもんだろ?)」

 

フェイト「(違うよ!?あれはバリアジャケットだよ!?)」

 

フェイトちゃんのツッコミに、私はビビビと閃いてしまった。

きたでこれ!音楽祭、勝てるぞ!

 

はやて「しゃあないなぁ。私となのはちゃんも出たる。それでどうや、フェイトちゃん?」

 

なのは「にゃ!?私も!?」

 

なのはちゃんは振られると思わんだんか、かなりびっくりしてた

 

士希「……はっはぁ~、なるほどなるほど。はやてさん、そういう事ですね?」

 

士希は気付いたようや

 

一馬「何がそういう事なんだ?」

 

士希「ん?そうだなぁ、こいつらの特技が、早着替えって事だ」

 

一馬「はぁ?」

 

士希の友人こと斉藤一馬君はわかってなさげやけど、まぁ無理もない。

ようは、パフォーマンス中にセットアップしようって事なんやで。

ズルやないかって?ノーノー、イッツァマジック!わからんだら手品と一緒なんです!

 

夏目「私はいいと思うよ!三人共、歌上手いし!」

 

黒田「私も賛成!てか、単純に見てみたい!」

 

反対意見なし。決定やな

 

フェイト「うー…どうしても?」

 

まだごねるかフェイトちゃん

 

士希「あ、さっきエリオ君に『フェイトが歌うよ』ってメール送ったら、

『僕も見に行きます!』って来たよ。よかったなぁ、フェイト。期待されてんぜ?」

 

フェイトちゃんは逃げ道を塞がれ、観念したかのように弱々しく了承してくれた。

相変わらず士希のやることがえげつない

 

はやて「あ、せや、どうせなら士希も出ぇへん?士希も……」

 

あれ?ちょっと待って?私、士希がバリアジャケットにセットアップしてるとこ、見たことないぞ?

 

士希「俺は無理だろ。お前らみたいに早着替えできねぇし」

 

できへん!?

 

 

 

 

会議を終え、みんなが解散した後、私は士希、なのはちゃん、フェイトちゃんの四人で教室に残っていた

 

はやて「高町教導官、ハラオウン執務官、これまでに士希のバリアジャケットを見たことは?」

 

私がそう聞くと、二人はしばらく思案し、やがてあれ?っといった表情になる

 

なのは「な、ないかも…」

 

フェイト「私も、ない…」

 

なのはちゃんとフェイトちゃんは疑念の眼差しを士希に向ける。

対する士希も、わけがわからないといった様子やった

 

士希「な、なんだよお前ら?てか、さっきも思ったんだが、そのバリアジャケットってなんだ?」

 

私らは絶句してしまった。つまり士希は、今まで生身で戦ってたって事や

 

フェイト「よ、よく生きてたね」

 

なのは「やっぱり士希君って、ちょっと異常なんだね」

 

士希「なんか酷くね!?」

 

うわぁ…今ちょっと思い出したけど、なのはちゃん、スターライトブレイカー撃ってたよな?

あれ生身で受けて、よう原型留めとんな

 

なのは「えっと、バリアジャケットって言うのは、私達魔導師にとっての防護服、

鎧みたいなものなんだよ」

 

士希「あれが鎧?ただのコスプレだろ?」

 

フェイト「し、士希は私達が毎回変身してる事に、何も思わなかったの?」

 

士希「え?魔法少女(笑)を自称してんだから、それに入り込む為に必要なのかなって」

 

はやて「んな訳ないやろ!あのフリフリ衣装やフェイトちゃんの無駄に露出の多い衣装にも、ちゃんと意味があるんやでな!」

 

フェイト「無駄!?いやあの格好はちゃんと意味あるからね!?

速さを追求したらああなっただけだからね!?」

 

せやからって、あの格好はなかなかきわどいよな

 

なのは「その分、フェイトちゃんは装甲が薄い事が難点なんだよね。

私やはやてちゃんは、フェイトちゃんに比べたら遅いけど、防御力はかなり上だよ」

 

このメンツやったら、なのはちゃんが防御特化、私がバランス、

フェイトちゃんが速度特化ってとこやな

 

士希「へぇ、厚着すればするほど、防御力が増すって事か。ん?ならその理論で行くと、

水着や下着並みの布面積にしちまえば、かなり速くなるんじゃないか?」

 

きっと、士希は何気なく言っただけやったんやろうけど、

フェイトちゃんはそれを聞いてハッと目を見開いていた。

その発想はなかったと言わんばかりに…

 

なのは「フェイトちゃん?それ以上薄くしたら、いろいろ大変な事になるからやめようね?」

 

フェイト「ふぇ!?さ、流石にやらないよなのは~。うん…流石に…うん…」

 

フェイトちゃんのスピード狂には困ったもんやな

 

士希「とりあえず、フェイトがただの露出狂って訳じゃないことはわかった」

 

フェイト「露出狂でもないからね!?」

 

士希「それで、そのバリアジャケットがいったいどうしたんだ?」

 

はやて「いや、士希もバリアジャケット用意しようよ」

 

私が提案すると、士希にポカンとされてしまった。何言ってんだこいつ、みたいな目や

 

士希「え?やだよ。男の魔法少女とか、それなんて変態?

士希さん、別にゾンビでもないしミストルティン先生とか持ってないぞ」

 

はやて「私かてそんな珍プレー見たないわ!

バリアジャケットの意匠はその人のイメージで自由に作れんねん」

 

士希「へぇ。って事は、あのデザインは自前っすか。流石魔法少女っすね」

 

こいつ…

 

士希「まぁいいや。どれ、やってみっか。どうすればいい?」

 

なのは「うーん…自分を護ってくれる服を想像してみたらいいよ」

 

そう言われ、士希は集中し始める。しかし変化はなかった

 

士希「……??できないんだけど」

 

なのは「あ、あれ?私はそれでできたんだけど…」

 

なのはちゃんだけじゃなく、私もフェイトちゃんも困惑していた。あれ?なんでやろ?

 

フェイト「うーん………あ!デバイス!士希、デバイスないよね?」

 

確かに、私らもデバイス補助ありきでセットアップしとるな

 

士希「デバイスって、お前らが持ってる物騒な杖とかの事だよな?確かにそういう類のものは…」

 

何言っとんねん、こいつ…

 

はやて「レーゲンおるか?」

 

私が少し呆れつつレーゲンを呼ぶと、レーゲンは寝ぼけ眼でよちよち現れた。

どうやら昼寝してたらしい

 

レーゲン「どうしました、はやてさん?」

 

はやて「士希、レーゲンもデバイスの一種やで」

 

士希「……あぁ、そう言えばそんな事言ってたな」

 

忘れていたらしい

 

はやて「レーゲン、士希にバリアジャケット…あぁいや、ベルカなら騎士甲冑か。

作ってあげるん、補助したってくれへんかな?」

 

レーゲン「騎士甲冑をですか?あー…確かにしきさん、騎士甲冑みたいな魔装、

苦手そうですもんね」

 

フェイト「え?士希も魔法使えるよね?」

 

レーゲン「しきさんは特定分野に特化し過ぎているんですよ。

しきさんがまともに使える魔法って、飛行と結界と身体強化と転移だけですよ?

しきさん、魔力量だけならあり得ないのに、それを使う術を全然知らないんですよねー」

 

だからか。士希が遠距離戦闘が苦手言ってたんは。そりゃ私やなのはちゃんは天敵やわな。

てか、転移はできんのに、バリアジャケットは作れへんのかいな

 

レーゲン「では、早速やってみましょうか。

僕がユニゾンしたら、しきさんはイメージしてください。

僕がそのイメージを構築するので」

 

そう言ってレーゲンは士希の体へダイブし、ユニゾンを果たす。

銀髪になった士希は目を閉じ、集中し始めた。そして出来上がったバリアジャケットは…

 

なのは「おー、これって…」

 

フェイト「あはは、なんか士希らしいね」

 

はやて「ええやん!似合ってんで!」

 

黒いコートに黒いスーツ、グレーのワイシャツに黒のネクタイと言った、

いかにも士希らしい真っ黒な姿となった

 

士希「おー!護ってくれる服って言うから父さんの一張羅を想像したが、悪くねぇな!」

 

士希も気に入ったようや。てか、相変わらずのファザコン振りな理由やな

 

はやて「よーし!この四人で、音楽祭優勝すんで!」

 

なのは・フェイト「おー!」

 

士希「え!?俺も!?」

 

当たり前やん。何の為にバリアジャケット作らせたと思てんねん

 

はやて「さぁ!忙しなんで!」

 

私はケータイでメールを打ち込み、10月31日に向けての準備を始めた

 

 

 


 
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