No.709311

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第200話

2014-08-17 00:03:44 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1477   閲覧ユーザー数:1365

 

ロイド達がビルに戻ると既にルファディエル達がレーヴェと共に戻って来ていた。

 

 

同日、21:20――――

 

 

~特務支援課~

 

 

「えへへ、ティオだー!ねえねえ、ツァイト!ティオが戻ってきたよー!」

嬉しそうな表情で抱きついているキーアはツァイトに言い

「ウォン。」

キーアの言葉に答えるかのようにツァイトは吠えた。

 

「ただいまです。キーア、ツァイト。セルゲイ課長。ただいま戻りました。」

「ああ、よく戻った。フッ、いきなり仲間のピンチを救ったみたいだな?」

「ええ、本当に助かりました。」

「あそこでティオちゃんが来てくれなかったらどうなっていたことか……」

「うんうん、ゾッとしますね!」

「……今回ばかりは礼を言わざるを得ないようだな。」

「その、別に大した事は。」

セルゲイやロイド達から感心や感謝の言葉をかけられたティオは戸惑った。

 

「はは、照れるなって。」

「まあ実際。いいタイミングで戻ってきてくれたと思うよ。あんなハッカーが絡んできたら僕達だけじゃお手上げだしね。」

「?そう言えばどうしてレーヴェさんがこの場にいるのですか?」

「あ、ティオちゃんは知らなかったわね。実は――――」

レーヴェの存在に眉を顰めたティオにエリィはロイド達と共にプリネ達が”特別実習”の形で特務支援課に所属している事を説明した。

 

「そんな事があったんですか……プリネ姫とツーヤさんの学生服姿……ちょっと興味がありますね。」

説明を聞き終えたティオは目を丸くした後静かな笑みを浮かべた。

 

「―――課長、ダドリーさん、それと局長。明日の通商会議ですが……俺達もオルキスタワーの警備に参加させてもらえませんか?」

「ほう……?」

「あら……」

ロイドの提案を聞いたヴァイスは興味深そうな表情をし、ルファディエルは意外そうな表情でロイドを見つめ

「ロイド、それは……」

「おいおい。いきなりどうしたんだ?」

エリィは驚き、ランディは戸惑った表情で尋ねた。

 

「ふむ……」

「……会場の警備体制は万全だと言ったはずだが?」

「何か不安材料が出てきたのですか?」

一方セルゲイは考え込み、ダドリーとアルは尋ねた。

「はい。アル警視の仰る通り、今日のハッカーはタワーの図面らしきものを何処かから入手していました。”銀”の言葉ではありませんが何か仕掛けてくる可能性がある―――いえ、むしろその情報を”誰か”に渡した可能性が高いと思います。」

「誰か……」

「一体誰なのかしら?」

ロイドの推測を聞いたノエルは考え込み、エルファティシアは尋ねた。

 

「”赤い星座”か”黒月”、またはエレボニア政府かカルバード政府……どれもありえそうだけど、より現実味のありそうな連中がいる。2大国のテロリストたちさ。」

「クローディア殿下とオリヴァルト皇子から聞いた……」

「それぞれの国のトップを狙う2グループのテロリストどもか。」

ロイドの説明を聞いたエリィとランディは表情を厳しくし

「確かにビルの構成図があれば死角を狙えるかもしれませんね……」

(ほう?)

ノエルは考え込み、ロイドの推測を聞いたレーヴェは感心した様子で見守っていた。

 

「もちろん、偽装情報の可能性もあるでしょうが……やはり明日、オルキスタワーで何かが起きる可能性は高くなったと言えると思います。タワー周辺の警備でもいいので参加させてもらえないでしょうか?」

「クク、なるほどな。ダドリー、どうだ?」

「俺はいいと思うぞ?」

「ふう……まあ、いいでしょう。―――明日の正午ちょうどにオルキスタワー1Fに来るがいい。予備の警備要員として通商会議の現場に入れてやる。」

セルゲイとヴァイスに言われたダドリーは溜息を吐いた後ロイド達に言った。

 

「え……」

「おっと、会場の方かよ。」

「へえ……気前がいいね?」

「フフ、昔の貴方とは大違いね。」

ダドリーの話を聞いたロイドとランディは驚き、ワジとルファディエルは静かな笑みを浮かべた。

 

「カン違いするな。あくまで予備の要員としてだ。市長暗殺未遂事件でも偶然とはいえ役には立ったし、導力ネットに詳しい人間もいる。万が一の保険程度だからせいぜい弁えておくがいい。」

「りょ、了解しました!」

「謹んで拝命します!」

「フフ、みんな頑張りなさいね。」

「え………」

「エルファティシアさん達は参加しないのですか?」

エルファティシアの言葉を聞いたエリィは驚き、ティオは尋ねた。

 

「ええ。私やヴァイスハイト達は貴方達とは別行動よ。」

「―――それと明日は俺とプリネ皇女はツェリンダー局長達と共に行動する事になっている。その事を報告する為に俺はここに来た。」

「プリネさんとレーヴェさんが局長達とですか……!?」

エルファティシアと共に答えたレーヴェの説明を聞いたロイドは驚き

「やはり”特別実習”とやらでプリネ姫達がクロスベルに来たのは局長達も絡んでいましたか……一体何をするつもりですか、局長。バニングスからルファディエルの策の話の件を聞きましたが、まさか本当に実行するおつもりなのですか?」

ダドリーは真剣な表情で呟いた後ヴァイスを見つめて尋ねた。

 

「ああ。―――既にギュランドロス達やセリカ達にも話を通し、それぞれから了解の意を取れてる。これで明日は完璧な布陣で挑める。―――ロイド、感謝するぞ。これほどまでの策略家と共にいる事に。」

「は、はあ……?」

「ええっ!?」

「や、やっぱり局長の話に乗ったんですか、司令~………」

ダドリーの言葉に頷いた後自分を見つめて言ったヴァイスの言葉にロイドは戸惑い、エリィは驚き、ノエルは表情を引き攣らせた後溜息を吐き

「え……?セリカさん達……?あの、一体どういう話になっているんですか??」

事情が全くわからないティオは不思議そうな表情をした。

 

「フフ、後でロイド達に説明してもらいなさい。……そうそう、ティオ。せっかく帰ってきたのなら、ちょうどいいわ。明日、私や局長は別行動をするから、その時に将軍とラテンニールの力を貸してもらってもいいかしら?後、エリィはメヒーシャを、ランディはエルンストの力を貸してもらっていいかしら?それとロイドはギレゼルを。」

口元に笑みを浮かべたルファディエルがティオを見つめて言った後エリィやランディ、ロイドに視線を向けた。

「は、はあ?別に構いませんが……」

「……わかった。」

「……わかりました。」

「俺はルファディエル姐さんを信じていますので存分にこき使ってやってください!」

ルファディエルの言葉を聞いたティオは戸惑いながら頷き、ロイドとエリィは静かな表情で頷き、ランディは真剣な表情で言った。

 

「――――ルファディエル。貴様が考えたとかいう策で本当にあの”赤い星座”と”黒月”をこのクロスベルから叩き出せるのか?プリネ姫達も関わっている所を見るとどうやらメンフィルもお前の策とやらに関わっているようだが。」

「フフ、鋭いわね。貴方の推理通り、今回の策……メンフィルの協力も取り付けているわ。後は彼らが罠にかかるのを待つだけよ。」

ダドリーに尋ねられたルファディエルは微笑みながら頷いた。

 

「ええっ!?」

「メ、メンフィルの協力を取り付けたんですか!?い、一体どうやって……」

「さすがルファディエルさんッス!」

「フフ、一体どんな暗躍をしているのか非常に気になるねぇ?」

「え………一体何がどうなっているんですか……!?」

ルファディエルの答えを聞いたロイドとノエルは驚き、ランディは嬉しそうな表情で声を上げ、ワジは興味ありげな表情をし、ティオは混乱し

「……あの、レーヴェさん。メンフィルはどうして協力してくれるのですか……?」

考え込んでいたエリィはレーヴェに尋ねた。

 

「――今は明確な答えは教えられないが、一つだけ言っておく。今回の策を考えた”叡智”の策はクロスベル、メンフィルの双方にとって”利益”がある。だからこそメンフィルは”叡智”達の協力要請に応えただけだ。」

「ク、クロスベルとメンフィル双方にとって”利益”がある、ですか……?」

レーヴェの答えを聞いたエリィは戸惑い

「……………―――”ラギール商会”。”赤い星座”と”黒月”がいなくなることは確かにクロスベルにとっても利益になりますが、一番得をするのは彼らの対抗組織がいなくなることはメンフィルにとっても、”利益”になる。―――違いますか?」

考え込んだ後ある事に気付いたロイドは真剣な表情でレーヴェに尋ねた。

 

「あ……!」

「た、確かによく考えれば”赤い星座”と”黒月”がいなくなれば、一番得をするのは”ラギール商会”ですよね……?」

ロイドの推測を聞いたエリィは目を見開き、ノエルは戸惑いの表情で呟き

「そうなると……―――ルファディエル。黒幕であるお前はラギール商会……いや、メンフィルや局長達を利用してどうやって”赤い星座”と”黒月”をクロスベルから叩き出すつもりだ?まさかとは思うが違法行為をしていないだろうな?」

ある事に気付いたダドリーは真剣な表情でルファディエルを見つめて尋ねた。

 

「黒幕だなんて人聞きが悪いわね。私は”最善の方法”を取っただけよ?それに私が考えた策は二大国の思惑に対する”対抗策”だから、クロスベルを守る事にもなる上”ギリギリ違法にはならない”わ。何か問題があるかしら?」

ダドリーの質問に呆れた後微笑みを浮かべて言ったルファディエルの答えを聞いたロイド達はルファディエルが今までにないとんでもない事を考えている事を察して冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

(フッ、下手をすれば”白面”をも超える恐ろしい黒幕かもしれんな。)

レーヴェは静かな笑みを浮かべてルファディエルを見つめ

「全く、こんな裏組織の参謀と言ってもおかしくない腹黒い女が警察に入ったのが今でも不思議なくらいだ……局長。当日、私達に出来る事は何かありませんか?」

ダドリーは呆れた表情で呟いた後ヴァイスに視線を向けて尋ねた。

 

 


 
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