No.708934

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

外伝~演奏家の捜索~後篇

2014-08-15 19:28:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1468   閲覧ユーザー数:1345

 

~裏通り・ジャズバー”ガランテ”~

 

オリビエとヴァイスを探していたアル達がジャズバーに入るとなんとオリビエがピアノを弾いていた。

(ついに見つけましたよ……!)

(ツ、ツーヤさん!落ち着いて下さい……!)

(へえ……上手いものじゃないか。)

オリビエを睨みながら鞘に収めてある刀に手をかけたツーヤを見たノエルは慌て、ワジは感心した様子で見守っていた。

 

そしてピアノを弾き終わったオリビエはピアノから離れ

「フッ……ご清聴、感謝する。」

静かな笑みを浮かべて周囲を見回して恭しく会釈した。

 

「ほう……やるな。俺もピアノは出来るがそこまでは上手くない。」

「ブラボ~!お兄さん、すっごく上手いわね!」

「どうです、しばらくここで演奏活動をしてみては……演奏料などは多少、出させていただきますが。」

ヴァイスやホステスがそれぞれ感心している中、バーのマスターはオリビエを勧誘した。

 

「おお、なんというありがたい申し出だろう!もちろん、快く引き受けさせてもらうよ。」

マスターの勧誘にオリビエが嬉しそうな表情で頷きかけたその時

「―――させません!!」

ツーヤが制止の声を上げて仲間達と共に近づいた。

 

「ほう。もう追いついたか。」

「局長もいい加減にしてくださいッスよ。アル警視、お願いしまッス。」

「はい、わかりました。捕まえましたよ、ヴァイス。これでもう逃げられませんよ。」

ランディに促されたアルはヴァイスの片腕に胸を押し付けると共に腕を組み

「フッ……捕まってしまったな。」

「畜生……!俺が促したとはいえ、やっぱり悔しい!」

腕を組まれたヴァイスは口元に笑みを浮かべ、それを見たランディは悔しそうな表情でヴァイスを睨んだ。

 

「あ、あれれ。もう見つかってしまったか……」

一方オリビエは驚きの表情でアル達を見つめ

「な、なにのんびり仕事にありつこうとしてるんですか!いい加減、立場を考えて行動してください!」

ツーヤは疲れた表情で突込み

「ったく、とんでもねえ兄さんだな……」

ランディは疲れた表情で溜息を吐いた。

 

「フッ、よしてくれたまえ。そんなに褒められたら照れてしまうよ。」

「だれも褒めてねえっつの!」

そして静かな笑みを浮かべて言ったオリビエの言葉を聞いたランディはオリビエを睨んで突込み

「今度こそ、ついてきてもらいますよ。」

「やれやれ、キミたちもあきらめが悪いねぇ。人生はもっと楽しく、朗らかに生きないと。そんなキミたちに、今一度贈らせてもらうよ。」

ノエルに睨まれたオリビエは溜息を吐いた後静かな笑みを浮かべて語った後リュートを取りだした。

 

「荒んだ心を解きほぐす、愛と真心の調べを……」

「ハア~………」

酔いしれた様子で演奏を開始しようとしたオリビエを見たツーヤは疲れた表情で大きな溜息を吐いた。

 

「おや……どうしたんだいマドモアゼル。憂いを含んだ溜め息は色気あっていいものだが、幸せが逃げてしまうというよ?」

ツーヤの様子を見たオリビエは口元に笑みを浮かべて言ったその時、ツーヤは一瞬の動作で刀を鞘から抜いてオリビエの首筋に突きつけた!

「ちょ、ちょっと、ツーヤ君!?」

突然刀を突きつけられたオリビエは慌て出し

「……念のために言っておきますけど。あたし達、ミュラーさんには『どんなことをしてでも連れて来い』と頼まれているんです。気絶させるくらい痛い目に合わせてもいいと許可をもらっていますけど……?」

「わ、わかりました!是非帰らせていただきます!」

笑顔のツーヤに微笑まれ、ツーヤの行動や言動が冗談ではないと悟ったオリビエは慌てた様子でリュートを仕舞い、その様子をアル達は冷や汗をかいて見守っていた。

 

「やれやれ……ここいらが潮時か。それじゃあ、ミュラーのところに案内してくれるかな?」

「うーん、でも………ミュラーさんの方からこちらに来てもらうのがよさそうですね。ちょっとお手数はかけますけど。」

オリビエの話を聞いたノエルは考え込みながら呟いた後溜め息を吐いたが

「もしくは逃げられないように手錠をして連行しますか?」

「さ、さすがにそれはやりすぎな気が……」

ツーヤの提案を聞き、冷や汗をかいて苦笑した。

 

「やれやれ、信用がないねえ。」

2人の会話を聞いていたオリビエは溜息を吐いたが

「オリビエさんに信用なんて、最初からあるはずがないでしょう?何を寝ぼけた事を言っているんですか?」

「……あの、ツーヤ君?ボク、君に何かしたっけ?」

笑顔で自分に対して毒を吐いたツーヤの発言に冷や汗をかいてツーヤを見つめ

「―――とりあえず駅に連絡をいれてみましょう。」

仲間達と共に冷や汗をかいて見守っていたアルは提案した。その後アル達は駅に連絡し、少しするとミュラーが店の前にやってき、アル達はオリビエをミュラーに引き渡した。

 

「……諸君、ご苦労だった。おかげで大した騒ぎになる前にこれを回収することができたようだ。」

「―――こちらもお役に立てて幸いです。」

ミュラーの感謝をアルは静かな表情で受け取った。

 

「フッ………言うに事欠いて”これ”とはね。まるでモノを扱うような言い草じゃないか。……いや、そういう扱いも趣があって悪くないかもしれない。これからもときどき、そういう扱いで頼むよ、ミュラー♪」

一方オリビエは口元に笑みを浮かべた後酔いしれった様子でミュラーを見つめて言ったが

「黙、っ、て、ろ。」

「……スミマセンデシタ。」

全身に怒気を纏わせたミュラーに睨みつけられて、素直に謝り、その様子を見ていたアル達は冷や汗をかいた。

 

「……すまない、この阿保とは昔からの付き合いでな。毎度、調子の乗り方がエスカレートしてきているから、時々は厳しく躾けねばならんのだ。」

「はは、なかなか苦労してるみたいッスね。」

「局長にもそんな人がいてくれればあたし達も助かるんですが……」

ミュラーの話を聞いたランディは笑い、ノエルは疲れた表情で溜息を吐き

「ハッハッハ!残念ながらそう言った人物はいないな。」

「……副官のリセルさんもヴァイスさんに関しては結構甘かった気がするんですが……」

「ええ、リセルのヴァイスに対しての甘さはどんな甘いお菓子よりも甘かったと思います。」

ヴァイスは声を上げて笑い、疲れた表情をしたツーヤに問いかけられたアルは苦笑しながら頷いた。

 

「なに、フォローしてくれる友人がいていつも助かっているさ。フッ、これもボクの人徳の賜物だろうね。」

「ア、アンタに言ったんじゃないんだけどな。」

「フフ、反省なんてしてたまるかって感じだね。」

そして笑顔で言ったオリビエの言葉を聞いたランディは溜息を吐き、ワジは笑顔で言い

「……そのようだな。あとでみっちり説教してやるから覚悟しておけ。」

ミュラーは頷いた後オリビエを睨んだ。

 

「や、やだなあ。ほんの冗談だよミュラー。……キミたちも煽らないでくれるかな?」

「フフ、相変わらずのようですね。」

冷や汗をかいて自分達を見つめるオリビエの様子をツーヤは苦笑しながら見守っていた。

 

「……では、そろそろ失礼する。忙しい中、世話になった。改めて礼を言わせていただこう。」

「いえ、気にしないでください。それよりミュラーさんが一番わかっているから言う必要もないと思いますが、絶対に目を離さないように気を付けて下さい。」

「……心得た。」

ツーヤの忠告にミュラーは頷き

「ふぅ、やれやれ……楽しい時間もこれでおしまいか。今度こそ、さらばだ諸君。縁があればまた会う事もあるだろう。」

「は、はあ………」

オリビエの言葉にアルは戸惑いながら頷いた。

 

「まあ、ボクとしては噂のテーマパークなんかも見物したかったんだがね。ああ、そうだキミたち。今から案内を依頼できないかな?フフ、我ながら名案だ。楽しい気分で過ごせば、きっとミュラーの眉間のシワも……」

オリビエがある事を考え始めたその時ミュラーはオリビエの背後に移動し

「あっ、ミュラー君!?ほ、ほんの冗談ダヨ?」

背後に立たれた事に焦ったオリビエが慌てて言い訳をしたその時、ミュラーはオリビエを引きずり始め

「あーれー……………」

引きずられたオリビエはわざとらしい声を出して、ミュラーに引きずられながら去って行った!

 

「色々な意味で興味深い人達でしたね。一体何者なんでしょう?」

2人が去った後アルは興味ありげな表情をし

「ま、それこそまた会えた時にでも聞いてみればいいさ。」

「正直、すっごく疲れそうですけどね……」

ワジは口元に笑みを浮かべて呟き、ノエルは疲れた表情で溜息を吐き

「ヴァイスは彼らの正体を知っているのではないですか?先程も仲良さげに話していましたし。」

「さあ、どうだろうな?」

(わ、わざとらしすぎますよ、ヴァイスさん……)

アルに尋ねられて静かな笑みを浮かべて誤魔化すヴァイスの様子を見たツーヤは呆れた表情で溜息を吐いた。

 

その後ヴァイス達は他の依頼を開始した。

 

~中央広場~

 

「まったく、お前という奴は……いつもいつも好き勝手しおって。このクロスベルがどういった場所なのか知らないわけでもあるまい。少しは自分の立場というものを弁えてほしいものだが。」

ヴァイス達が行動を開始したその頃ミュラーはオリビエを睨んで忠告し

「フッ、心配をかけてしまったかな。ただ、身動きが取れなくなる前にどうしてもこの街を見ておきたくてね。おかげでここが魔都と呼ばれる所以が何となくわかった気がする。……なにやら”彼”も、水面下で動いてるようだし。」

ミュラーの忠告に静かな笑みを浮かべて答えたオリビエは真剣な表情で考え込んだ。

 

「……ふむ。収穫はあったようだな。」

「フッ、ミュラーのおかげで楽しい出会いと再会もあったしね。……ああ、そういえばそっちの段取りはどうだい?キミのことだから、ボクのいない間に手際よく進めておいてくれたんじゃないかな?」

「ああ、既に連絡は済ませた。お前のせいでスケジュールには若干遅れが出てしまったがな。」

「フッ、だったら急ぐとしよう。麗しのレディ達を待たせるものではないしね。」

そしてオリビエとミュラーはどこかに向かって行った。

 

その後様々な依頼をこなしたヴァイス達は一端休憩する為に支援課のビルに向かった。

 

 


 
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