二人の劉備と二人の御使い~咎を受けし御使いの最後の旅
大事故
For紫苑side
紫苑「賊の死体は向こうに捨てなさい。味方の死体は丁寧に運びなさい。・・・ふぅ。こんなものでしょうか。」
現在黄忠隊は戦後処理の真っ最中。まともに動けるのが私の隊だけだと言うのが主な理由。一騎さん達は如何したのでしょうか?
叢雲「あんの屑虫ども・・・まだ殴りたらん・・・」
樹「落ち着けよ叢雲。お前はちゃんと女の子してるよ。」
叢雲「うぅ・・・樹だけや、ウチの事そう言うてくれんのは。」
紫苑「あら、姜維君に淩統ちゃん、ご苦労様。ねえ、一騎さん知らない??」
叢雲「ふぇ?あ、ご苦労様です。隊長は・・・そう言えばどこ行ったんやろ?」
樹「そう言えば戦闘中三人ほど捕虜を取ってたけど?もしかしたら宿に戻って尋問でもしてるんじゃないですか?」
紫苑「あら、そうなの?ちょっと行ってみようかしら。」
叢雲「それよりも聞いてぇな、黄忠様。皆酷いんですよ~」
樹「こらこら・・・」
紫苑「あらあら・・・仕方ないわね。」
完全に捕まってしまいましたね。これは一騎さんを探すどころではないですわ。
叢雲「ウチは・・・女の子なんです~」
樹「すんません、黄忠様。」
紫苑「気にしないで。はいはい、淩統ちゃんも落ち着きましょうね。」
私はそのまま淩統ちゃんの相談を乗る事になった。そう言えば姜維君と淩統ちゃんって付き合ってるのかしら?ちょっと聞いてみようかしら?
For劉戯side
劉戯「さてと・・・鄧艾の奴が三人ほど捕虜にしたって兵から聞いたが。あいつは宿に居るのか?」
鄧艾の奴が賊を三人捕虜にした。それだけならまあ・・・あり得ない話じゃない。他に仲間がいるかとか聞かなきゃならないからな。今回はその心配は無いんだが・・・
理由は簡単。此処は荊州でも指折りの森林地帯。名所は桜のみのさびしい村だ。襄陽に行く為に突っ切る商人は居るが、基本急ぎでなければ通らないぐらい鬱蒼としてる森だからだ。
劉戯「おーい、鄧艾、居るか~?」
・・・返事は無い。留守か?
劉戯「入るぞ~?・・・居ないな。外套は置きっぱなしか。あいつ目立つ格好してる癖になかなか見つけられないとか。何処の間諜様ですか?ってか?」
ふと、鄧艾の外套が気になった。理由は特に無い。ただ、珍しい素材でできてるんだろうなと思った。俺の知ってる外套よりしっかりとしたつくりで、かなりの厚手。あいつの服もそうだが、この外套もきっと特別な作りをしてるんだろうな。
劉戯「失礼しますよっと・・・」
触った感じは絹か?サラサラしてるが・・・何処となく重量感も有る。羽織って見たが・・・なんだこれ!?めっちゃ涼しいじゃねえか!!
そのまま外套を壁掛けに戻したのが間違いだった。戻さなければあんなことにはならなかったのだと思う。
もぞもぞ・・・
劉戯「!?な、なんだ!?!?!?」
・・・ぶちゅ~~~~
劉戯「んぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
一騎「・・・おぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
劉戯「それはこっちのセリフだ鄧艾!うぇぇえ!!」
一騎「人の部屋に入って人の外套は追ってんじゃねえよ!!水、水!!」
そう言って鄧艾の奴は外套に手を突っ込んで何やら取り出して飲みだした。
一騎「んぐんぐ・・・エロロロロロロロ~~~~~~」
劉戯「失礼だな!?俺にもよこせ!!んく、んく・・・エロロロロロロロロ~~~~~」
一騎「お前も大概だよ!?」
いきなり外套から現れた鄧艾に接吻をしてしまった。マジ最悪だ。最低だ。事故だよ事故、そう事故。だから気にしたらだめだ!・・・ん?
劉戯「おまえ・・・外套から出てきたか?」
一騎「うっぷ・・・ガラガラ・・・ペッ!・・・は?・・・え?・・・あ・・・しぃぃぃまったぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
何だか・・・俺は鄧艾の奴がすげえ奴なのかそれともただの馬鹿なのか分からなくなって来たぜ。
一騎「・・・あ、それは馬鹿だがすごい奴で頼む。」
劉戯「人の心読んでんじゃねえよ!?」
一騎「・・・劉戯、今夜開いてるか?」
劉戯「あん?いきなりだな??」
一騎「良い酒があるんだ。ついでだから“話してやるよ”」
劉戯「・・・おう、開けといてやる。」
どうやら話す気になったようだな。さて・・・鬼が出るか蛇が出るか。はたまた・・・俺のこの状況の理由が分かるかって所か?
For一騎side
一騎「はぁ、まったくしくったなぁ。舞い上がるのも大概にしろよ俺。」
今、俺は村の外に居る。綺麗な満月の夜。あの話をするには打って付けか?
一騎「満月・・・か。」
劉戯「おう、来たぜ。」
一騎「ん・・・」
さて、まずは乾杯と行くか。
劉戯「で?肝心の酒は何処だ?」
一騎「そう急くなよ。」
俺は傍に置いておいた外套に手を突っ込んで引き出すとそこには一本の日本酒があった。
劉戯「・・・どんな仕組みだよ。ま、それも説明してくれんだろ?」
一騎「まあな。」
劉戯「こいつも見たことのねえ入れ物だな。」
一騎「ガラスだ。ほれ、器も有るぞ。」
俺はそのまま器を出した。杉の木でできた升だが・・・風流だろう?
劉戯「これまた見たこと無い物が出てきたな。」
一騎「杉の木で出来た升ってやつだ。基本神聖な時に使われるんだがな。今回は風流を重きに置いてみた。木の香りが付いていい感じになるんだぞ?」
劉戯「どれ、まずは一杯。」
そのまま俺と劉戯はますいっぱいに酒を注ぎ、天に掲げる仕草を乾杯の礼とし飲みほした。
劉戯「~~~っこりゃあうまい。」
一騎「だろ?」
劉戯「んで?何から話してくれんのかね?」
一騎「ふ、そうだな・・・一人の少年と、覇王の少女の・・・歴史でも語るとしようかね。」
劉戯「覇王の少女?」
一騎「ああ・・・その少女の名は・・・曹操、字を孟徳と言った。」
劉戯「な!?」
一騎「少年の名は・・・北郷一刀。これは北郷一刀が罪を背負い、咎を受ける前の物語だ。」
俺はそのまま淡々と語った。華琳との出会い、黄巾党の大乱、反董卓連合、群雄割拠、歴史の改変、そして・・・少年の終わりと新たな始まりの物語。
劉戯「・・・知りたくて藪を突いたら、とんでもないモンが出て来やがったな。で?お前は誰なんだ??」
一騎「ふ・・・察している癖によく言う。北郷一刀。お前が劉北と呼ぶやつと同一人物さ。“劉備玄徳”よ。」
劉戯「・・・お前こそ察してるじゃねえか。よく分かったな。」
一騎「歴史上の人物像とそっくりだぜ?人徳王よ。」
劉戯「俺はもう人徳王じゃねえよ。ただの劉戯武徳だ。劉備玄徳の出来た義兄よ。」
一騎「自分で出来たとか言うなよ。聞いてて呆れるぞ?」
劉戯「は!違えねえ!!」
そのまま俺と劉戯は飲み明かした。結局劉戯がこの世界に来た理由は分からなかった。
余談だが、劉戯から真名を預かった。水の心と書き“
沁「・・・なあ一騎、お前は本当に此処に居ていいのか?」
一騎「言っただろ?これも何かの縁だ。劉備に協力するよ。ま、ちょいちょい居なくなるかもだけど。」
沁「いつ出る?」
一騎「ん?気付いてたのか・・・」
沁「捕虜三人、黄巾党なんだろ?」
一騎「沁の知ってる黄巾党とはちょっとばかり違うぞ?ただの旅芸人の追っかけに賊が乗っかっただけだからな。」
沁「なんだそりゃ・・・で?いつ出る?」
一騎「あいつらが使い物になるのが・・・一月って所だから・・・七日後には出る。」
沁「よし、桃香達にも伝えとこう。」
一騎「・・・は?」
え?何?ま、まさか・・・
沁「付いて行くぞ。あいつらにもいい刺激だろう。」
や、やっぱり・・・
一騎「え?何?俺の正体までばらすつもり??」
沁「まさか、そこまでは言わねえよ。可愛い子には旅をさせろっていうだろ?」
一騎「・・・本心は?」
沁「楽しそうだから。」
言い切りやがったこの男。
一騎「まったく・・・ま、あいつらの稽古も付けなきゃならないし、良いぞ。付いて来い。」
沁「おう。」
こうして、俺の旅は多くの道連れと共に始まるのだった。
あとがき
華琳「曹孟徳と」
一刀「天の御使いの」
二人「「三分クッキング~」」
今日のメニューはなんですか?
華琳「作者の挽肉の作り方」
あれ?
一刀「用意するのは、病華、病恋、真桜の螺旋槍です。」
えっと・・・
華琳「まずはユウヤを縛りま~す。」
ちょ、ま・・・
一刀「次に病華でなぐ・・・叩きま~す」
ごは、ぶぎゃ、おぐぅ!?
華琳「病恋で細切れにしま~す」
ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!
一刀「最後に・・・螺旋槍で掻き回しま~す」
ぎゅぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいん!!!!!!!!
華琳「はい!完成!!」
するかぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!
二人「「ちっ!変わり身か!!!」」
超速再生と言え!俺は不死身だ!何でこんなことするんだよ!
一刀「二人の依頼で・・・」
華琳「さすがの私も恐怖したわ。だから・・・おとなしく屠られなさい。」
病華「フフフフフフ」
病恋「・・・死ネ」
やらせるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
一刀「すげぇ、あの二人の攻撃をかわしてやがる。」
華琳「さすがね・・・」
コメディで負ける訳にはいかなぁぁぁぁい。
一刀「あらぶる回避・・・」
華琳「あの関節どう言う原理で曲がってるのかしら?」
一刀「まあ・・・あの二人も有り得ない変態機動をかましてるけどね。」
華琳「空を飛んでるわね。」
一刀「それじゃ、皆。」
華琳「また次回にお会いしましょう。」
うぎゃあああああああああああああああああああああ!!!やられてたまるかぁァァァァァァ!!!!!!!!!!!
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