No.708518

真・恋姫†無双 ~孫呉千年の大計~ 第3章 25話

雪月さん

常連の皆様&お初の方もこんばんは いつもお世話になっております

この作品は真・恋姫†無双・恋姫†無双の2次創作となっております
主人公は北郷一刀 メインヒロインは雪蓮と蓮華と仲間達でお送りしております
※猶、一刀君はチート仕様の為、嫌いな方はご注意を! ※オリキャラ紹介は本文下記参照のこと

続きを表示

2014-08-13 23:11:18 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2776   閲覧ユーザー数:2378

 

第3章 群雄淘汰・天下三分の計編 25話 『 襄陽包囲戦 其の壱 』

 

 

 

 

「アハハハハ! いいぞいいぞ! 人質である陳宮を逃したと聞いた時には、さすがに肝を冷やしたが・・・

 おめでたい馬鹿同士での潰しあい、聞けば聞くほどこれ以上に勝る滑稽なことはないな」

 

「ですな まぁ~開戦にさえ間に合わなければ、どちらも消耗戦となるは必定の戦力でしたからな

 お互い潰しあって、こちらとしては万々歳といきましたな クックック・・・」

 

呂布軍へと密かに紛れ込ませていた斥候の者に、戦況など参加していた将の説明を聞いた後

玉座の間にて回顧する蔡瑁とカイエツの表情は共に明るく、下卑た笑い声を響かせていた2人である

 

「大量の”陶器”が土産か しかし司馬懿もオツなモノを送ってくるな」

 

「クックック 蔡瑁殿、それは皮肉ですかな? 少し試し射ちしましたが中々の代物でしたぞ あれならばあるいは・・・

 それだけ我々の働きに期待されているのでしょうな」

 

「うむうむ! 司馬懿か、使える奴よの なれば孫呉に眼にモノを見せてくれようぞ! カッカッカ!」

 

孫呉軍を削れたことを喜び、その他の斥候の情報を軽く聞き流してしまった2人は

襄陽の玉座の間に、尚一層大きく不気味な声を響かせていたのであった

 

呂布軍を利用できた事が劉琮側に幸いして、敵軍である孫呉軍と削りあったことで

孫呉は弩弓砲という秘密兵器を使用しながらも、当初の13000から9800までに総数を減らしていた

 

その事に蔡瑁達は余程満足し気を良くしたのだろうか?

襄陽へと行軍し包囲しようとする孫呉軍に対し、奇襲はおろか土竜さえ使わぬ余裕を見せていたのである

 

 

そう、孫呉軍が襄陽城をこうして取り囲むのは、今回で2度目となる

 

 

皆もすでに御承知の事であろう                                  ※外伝『砂上の楼閣』参照

堅牢と名高い襄陽城からの”土竜”による奇襲作戦により、1度目は大いに翻弄され

緋蓮の夫、雪蓮、蓮華、小蓮達父である呉公以下、韓当、祖茂という孫堅四天王の2人

領土までも失う・・・という大敗北を喫し、苦汁を飲ませられだけでなく

袁術軍に間借り乃至居候という、実に惨憺たる辛い現実を嫌というほど味わわされた多くの孫呉の者達

 

それだけに、この荊州を併呑する作戦の大将として名乗り出た緋蓮が、この戦で期するモノは尋常ではなかった 

祭や楓といった宿将、軍師である紅、穏にもその決意のほどが伝わり、本陣にはピリピリとした空気が大いに漂っていたのだ

 

そんな中、本陣の一角だけ・・・ 

戦時中なのか?と思わせる、なんとも緊張感のない会話を漂わせていた

 

「兄さま、姉さまもおかわりどうですか?」

 

涼しげで眩しいほどにこやかな笑顔で聞いてくる蓮華に対して

 

「いや 俺は大丈夫だけど・・・ 母さんは?」

「・・・炊いたご飯これで足りるかしら?」

 

2人の目の前で展開されている恋とねねの食欲バトル?が、まだ朝というのに凄まじく旺盛だったのである

 

戦争が終結し食事となった際にも、恋、ねね主従というより呂布軍の生き残った面々全てが

孫呉の皆が驚くほどの食欲をみせたのである

 

それほど呂布軍の食料事情が、余程芳しくなかったという証左なのであるが・・・

行軍し数日も経つと、孫呉の兵達とそんなに食べる量は変らなくなったのである

 

捕縛され食事を一切抜かれていたというから、その反動なのだろうか?

この2人の主従、恋とねねの食事量だけが一向に減らないのである

 

ねねの体型の・・・どこに消化吸収され、そして変換されたというのだろうか?

 

大の大人何人分?、摩訶不思議ともいうべき量の食料が姿を消し、恋と共にお腹の中へと毎日納めてしまっていた

その見事な食べっぷりに唖然とし、一刀や雪蓮はもう見ているだけでお腹一杯となっていた訳なのである

 

「母さまなら紅や穏、祭と楓達を引き連れ、皆を激励する為、湯漬けと漬物だけを食され早々に出ていかれましたよ」

「成程、蓮華ありがとう」

 

「それにしても兄さま 冥琳を留守番にしてよろしかったのでしょうか?」

 

そもそもの発端は、姉である雪蓮と蓮華が共に留守番をせず、こうして一刀に随行したからなのだが・・・

 

「んっ? ああそのことか・・・ おそらく裏で色々と動いている筈だよ?」

「裏・・・ですか?」

 

一刀の言う裏という言葉に、蓮華は全く心当たりがなく首を捻るばかりだったのだが・・・

 

「ごっくん・・・ 冥琳のことだから、最後には美味しい所を全て掻っ攫う気でしょうよ」

 

それは雪蓮の事だろう? 冥琳がいたなら苦笑しながらそう反論しそうな所であるが

一刀、雪蓮、蓮華の間で、そうした遠慮ない会話がなされる一方で・・・

 

「詠ちゃんが今、10合を炊いてますので! もう半刻もすれば援軍が到着するかと・・・」

 

雪蓮の不安に月が笑顔がひきつりつつ答えながらも・・・

食卓という名の戦場を颯爽と無駄のない動きで給仕してまわる月

 

「恋殿! それはねねの!(密かに育てていた)たくあん漬ですぞ!」

「ぱくっ! んっん~ もぐもぐ・・・ごっくん ねね・・・この皿は早い者勝ちって月が言ってた」

「ぐぬぬぬ・・・ ねねも恋殿に負けておれませぬ~ 月殿ぉ~~ たくあん漬とご飯もおかわりなのです!」

 

月へ向けて元気良く突き出されるお皿や椀に、嫌な素振り1つ見せず

普段と変らぬ優しげな笑顔を浮かべ対応し、受け取ろうと手を伸ばすメイドの鏡ともいうべき月

 

「ゆえぇ~~~~ ご飯炊けそうだから、そろそろこっちも手伝ってえぇ~~~~」

 

それと同時に、そんな詠のHELPの声が同時に木霊してきたのである

 

「はぁ~い! 詠ちゃん すぐ行くね! 

 ねねちゃん ただ今切って持ってきますから~ 少しだけ待っててね」

 

ねねのおかわりの要請もあって、月はお皿を持ってぱたぱたと可愛い足音を響かせ、本陣から慌しく走り去っていく

 

孫呉の良い所、それは再三再四記述しているが、戦に出陣している将兵が飢えるような事態にならないよう

他国では到底考えられない量と豪華さを伴った食事が用意されている

 

そんなピリピリとした空気が伴う一角で、一刀、雪蓮、蓮華、月、詠、恋、ねねといった

日常の空気を漂わせ、戦場という緊張感から暫しかけ離れていた者達もいたのである

 

             ・

             ・

             ・

 

江陵、江夏、更には呂布軍との戦と、兵達の疲労が残っているかと思われたのだが

こうして激励に訪れ見て周る限りにおいて、勝ち戦が続いていた事もあってか

別段皆、疲れを感じている風には見えず、幸いなことだと緋蓮達はそう感じていた

 

気分が幾分軽くなったのか、祭が移動中を利用して話を切り出したのである

 

「土竜作戦のことじゃが、前回あれに掻き回されたが、今回はどうする気なのじゃ?」

 

祭としては何気なく素朴に思った疑問を述べただけなのだが・・・

 

「どうもこうもないわ 今躍起になって本陣周りを捜索させているわ

 熊か何かが掘ったような穴まで、見つけて調査させている所よ」

 

「成果はあがってませんねぇ~」

 

近現代の今でもパレスチナのハマスが行い、イスラエルを悩ませているゲリラ作戦の1つである”土竜”

 

紅の美しい顔には実に似つかわしくない、眉間に皺を寄せ、まるで苦虫を噛み潰したかのように歪められた表情

穏の冴えない表情が、この時代であっても、土竜による奇襲作戦の対処の難しさを如実に表していた

 

「しかし厄介極まりありませんよね あれ・・・」

 

対処を考えるのは軍師である紅や穏の仕事、そう考えている節のある楓などは実に気楽なものらしく

言葉とは裏腹に、深刻さが少しも伝わってこなかったのだが・・・

 

「ふぃ~ ただ紅や穏のいう通りじゃのう

 こちらが穴を見つけ、城内に忍び込むのに使用しようと試みると、御丁寧に大岩などで塞がれておるからな

 人は成功すれば同じ手を使いたくなるもんじゃが・・・ あの潔さだけは正直脱帽ものじゃ」

 

襄陽での戦いで、一度試みたのだろう 

面倒事が大嫌いな祭もまた、紅同様溜息を1つつくと、ウンザリとした表情を垣間見せるのであった

 

「とりあえずは大盾を使用し被害を最小限に・・・・・・だな」

 

呂布軍の時に、騎馬の突進を防ぐ為に使用された大盾であるが

孫呉が大盾を用意していたのは、この土竜の対処の為で、呂布軍へは”ついで”であったのだろう

 

「今はそうですね・・・」

「ですね~」

 

紅や穏の肯定の言葉が示す通り、土竜に対しての万全なる対策が見つからない以上

とりあえず、応急処置、急場をしのぐといった意味合いが強い重い言葉であった

 

「緋蓮さま・・・ こちらにおいででございましたか!」

 

そんな紅の重き声にドンヨリした空気が漂う一行に

実に似つかわしくない、元気で張りのある声が、突然一同の耳へと飛び込んできたのであった

 

「うん? 瑠璃ではないか どうした? ・・・私に何要か?」

 

瑠璃は一刀の直属ゆえ、一刀なら本陣にいるぞ?と、すぐに頭に思い浮かんだ緋蓮なのだが

自身の名が呼ばれていた事に思い至り、すぐさま頭をフル回転させて検索してみるものの・・・

やっぱり何も思い当たる事もなかった事から、瑠璃に話してくれと促す緋蓮

 

「はい! 実は我々孫呉が、襄陽をとり囲む数日前に、何処からか荷が届いたようなのです

 ・・・荷の中身は”小さな陶器”で、山と詰まれておりました

 

 その陶器の中身を探ろうと試みたのでしゅが・・・ 荷の警戒が厳重で・・・さすがに時間の無駄と思い

 先程一刀しゃまにその事を報告致しました所、明命しゃんよりの先の報告内容に以下の記述があったと・・・

 

 それは易京を落す際に、司馬懿軍が使用されたと目される火薬なのでは?と一刀しゃまが推論なされましゅて・・・  ※第3章 20話参照

 急ぎみなちゃま(皆様)におちゅたえ(お伝え)しゅるよう、一刀ちゃまに仰せつかりましゅた・・・」

 

最後は涙目になりがら・・・見事なまでのカミカミ模様だった瑠璃であったものの・・・

報告の内容の方が余りのショックであった為、瑠璃のカミカミは見事までにスルーされ

 

「ううむ・・・ 劉琮軍の手に火薬が渡ったというのだな? よく判った 事は重大なようだな! 

 兵への激励はこれまでに打ち切り、急ぎ本陣に戻り一刀達と協議して対策を立てることにしよう」

 

緋蓮の言葉に一同頷くと、急いで愛馬を急き立て砂塵を舞わせながら、一向は急ぎ本陣へと帰陣するのでありました

 

 

 

 

本陣へと急ぎ帰還した緋蓮達であったものの・・・ 

司馬懿より届けられた火薬対策に関して、大盾以上に有効な手立てを見出せぬまま・・・

そうしている間にも、両軍は襄陽城の城門にて激突、戦闘が開始されてしまうこととなった

 

「さて・・・我らが支配する地を奪った奴らに、目にモノをみせてやるのだ!」

 

司馬懿からの提供された矢に繋がる導線へと点火させ、頃合を見計らって孫呉軍へと放っていく

 

「ギャァァーーーーーーーー」

 

バァァーーーンという轟音と共に、豪快に孫呉軍頭上にて火薬が炸裂し

これにて吹き飛ばされたり、大やけどを負う者など、多数の死傷者を出す孫呉軍

 

江夏、江陵を落され、主要な武将達の多くを失っていたことから

防衛に際して、今回は蔡瑁自ら直々に指揮をし、乗り出してきていたのである

 

「蔡瑁の首を取る絶好の機会じゃというのに・・・ 耐えるだけとは実に歯がゆいもんじゃのう・・・」

 

土竜と火薬の対処が決まるまでは、被害を最小限に・・・

との会議の終了時の決定事項により、蔡瑁達の猛攻を前線にて只管耐えしのいでいたのは

他ならぬ大盾隊を指揮する祭の軍である

 

「ぐははは 何じゃ? 盾に隠れ一向に攻めてこぬのか? 

 亀のように頭を引っ込めたまま出てこぬのう~ 孫呉は!」

 

「おのれ 言わせておけば!」

 

蔡瑁の言に祭の怒りゲージに点火されたのであろう 

怒髪天を衝く勢いで多幻双弓で蔡瑁を射抜くべく放つものの・・・

 

「ぐわぁーーーーーーーー! ぎゃぁぁーーーーーーー!!」

 

「うぬっ 外したか・・・ 悪運だけは一人前じゃのう・・・」

 

3方が河に囲まれている事もあって、祭の多幻双弓から放たれた矢は、惜しくも狙いが逸れたようである

 

「ふんっ ぬかせ! 負け惜しみを! そぉれ! 矢はまだまだある! どんどん馳走してやるがいい!」

 

蔡瑁達は司馬懿から提供された武器の特性を、聞かされ教えられてはいたものの・・・

実際に見たことも使用したこともなかった為、経験の面で大きく不足していた事が影響し

急遽土竜という奇襲作戦にて使用することに躊躇いがあったのだ

 

しかし、この威力を実際目の当たりにした蔡瑁は

土竜に使えばよかったなと、密かにほくそ笑んでいたのである

 

「蔡瑁殿、使用方法と威力はもう判ったのです いざという時まで温存しておくべきかと・・・」

 

そう蒯越は蔡瑁へと進言したのだが、火薬の威力に心酔してしまった蔡瑁に届く筈もなく

 

「馬鹿をいえ! 蒯越! 対処を考え出されぬ今のうちに、孫呉の現有戦力を削られるだけ削るべきだ」

 

・・・と自身の持論を展開し、この時の蔡瑁は蒯越の進言に耳を貸さなかった

 

一回目の襄陽攻略戦とは一変し大きく様変わりし、、”陶器に仕込まれた火薬矢”の使用により

緒戦より劉琮軍が圧倒的に孫呉軍を押しまくり、一方の孫呉軍は全くいい所がなく

当初の予想を大きく覆し、襄陽包囲戦での戦闘を優位に押し進めていたのである

 

             ・

             ・

             ・

 

「後方から敵襲ーーーーーーーーーーーー!!! 土竜による奇襲かと思われます!!」

 

張り裂けんばかりの声を張り上げ、本陣へと転がり込んでくる孫呉の伝令

 

「祭の大盾隊を割き、急ぎそちらへ急行させよと祭に伝えい!」

 

「承知しましたっ!」

 

緋蓮の命を聞くや、息咳きって本陣を走り去る伝令

 

伝令が去った後、大きくゆっくりと息を吐き眉間に深く皺を刻ませる緋蓮

この緋蓮の表情をみても解る通り、2週間は経とうとするのに、状況は一向に芳しくなかった

 

それというのも、全ては司馬懿から提供されたという、”陶器に仕込まれた火薬矢”のせいであった

これのせいで、序盤の劣勢から挽回出来ずに手をこまねいていた

 

土竜も自然の穴や井戸を使用したものから

廃屋と思われる小屋、大木の空洞を利用し、そこから這い出してきたり

以前と同様、一回使用すれば使用しないという点も徹底されており、一層手が込んでいたのである

 

軍師の穏も打つ手なしのようで、あはは~どうしましょう~?と静かに笑って誤魔化すばかりで

 

怒りにまかせ、その大きく揺れ動くデカ乳をいたぶってやろうか?

最近また乳ばかりに栄養が行きすぎて、頭の働きが鈍っておるのではないじゃろうか?

おっぱいが本体、頭脳は偽り・・・

 

・・・などと失礼千万な事を、戦時に堂々と思い浮かべてしまうサド気味な緋蓮、祭、楓でありました

 

しょうがなく、晴れの間は大盾を分散させ耐え忍び、雨が降れば使用を控えることから

全軍をもって攻撃させるという事を徹底させるしか、今の所手のうちようがなかったのである

 

万策尽きた格好にみえる孫呉陣にあって、戦いが始まってからというもの・・・ 

一刀を始め雪蓮、及び蓮華、紅は、此度の戦に際して緋蓮に一切口を挟んでいなかった

 

端から見れば、ご飯のただ飯食い、冷やかしの類であった

 

朝早くに食事を済ませ本陣を出かけると、夜遅くになって帰って来るという繰り返しのようで

一週間も過ぎた頃になると、最初は戦を見届けていた恋やねねも

戦よりそちらに興味が出たのか、このところは一緒に出かけるようになっていた

 

緋蓮が祭、楓に、その辺りの事を聞いても知らぬ存ぜぬで

 

「ん~~ どうでしょう? 私が積んできた大量のお金とお米に関係してそうですけどぉ~~~?」

 

・・・それが一体何に関係するのかが知りたい緋蓮なのであって

とんと要領を得ない解答だったこともあり、やっぱり一度は心行くまでこいつの乳を・・・

と姦計を巡らし始め、一向に埒が明かない様子でありました

 

ここまで順調そのものであった一方の蔡瑁側にも異変ともいうべき事が起こっていた

司馬懿からの伝令が、孫呉の包囲網を掻い潜り襄陽城へとやってきた

控え室で寛いでいた蔡瑁へとそう伝えてきたのである

 

火薬が補充でき、また暫くの間、孫呉を手玉にし遊んでやれるな

玉座へと向かう蔡瑁の足取りは軽く、ほくそ笑んでいた蔡瑁であったのだが・・・

 

「何だと!? 火薬をこれ以上送れんだと!?」

 

蔡瑁の愉悦に浸たれていた時間も短かったようである

 

司馬懿からの伝令の衣服の襟首を絞めあげ、何度となく前後へと激しく揺らしながら

薬の切れた麻薬中毒者と同様に、怒りゆえに焦れ、血走った眼で蔡瑁は伝令へと締め上げ詰問していた

 

「ハッ・・・ なんでも曹操軍とこれから戦争をし事を構える予定なので・・・

 こちらでも必要になってきた以上、送った分だけで対処願いたい、そう主より命を賜り・ました・・次第・・・」

 

司馬懿からの伝令は、息が詰まりながらも、必死に蔡瑁へと申し開きをする

 

「蒯越よ!」

 

脅そうとももう手に入らぬと判り諦めたのだろう

伝令を締め上げていた襟首から手を離し、蒯越へと視線を向ける蔡瑁であったが・・・

 

「私はいざという時までと進言しましたでしょう? 蔡瑁殿の望み、今回ばかりは叶いますまい・・・」

 

蔡瑁はこれと同じモノを即刻手に入れてみせよ! 蒯越は蔡瑁のいう事を先読みして答えていた

 

やれやれ・・・ こうなるのではと思い進言したというのに・・・

 

火薬の製法も司馬懿に押さえられ、我々は全く知らぬのに、どうやって今から作れると思うのか

仮に知っていたとしても、現在、孫呉に襄陽を厳重に囲まれているというのに、どうやって手に入れられるというのか

こちらの方がまだ追い込まれているという状況も判っておらぬとは・・・ これは先が思いやられる・・・ 

 

蒯越は眉間をヒクヒクとさせ、侮蔑の表情を必死に隠しながら、心の中でそう何度も毒づいていた

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

●『真・恋姫†無双 - 真月譚・魏志倭人伝 -』を執筆中

 

※本作品は【お気に入り登録者様限定】【きまぐれ更新】となっておりますので、ご注意を

人物設定などのサンプル、詳細を http://www.tinami.com/view/604916 にて用意致しております

 

上記を御参照になられ御納得された上で、右上部にありますお気に入り追加ボタンを押し、御登録のお手続きを完了してくださいませ

お手数をおかけ致しまして申し訳ありませんが、ご理解とご了承くださいますよう、何卒よろしくお願いいたします<(_ _)>

 

■■■【オリジナル人物紹介】■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 ○孫堅 文台 真名は緋蓮(ヒレン) 

 

  春秋時代の兵家・孫武の子孫を称し、各地で起こった主導権争いに介入し

  『江東の虎』の異名で各地の豪族を震撼させた

  優秀な人材を率い転戦、やがて軍閥化し孫家の基礎を築いた

 

  容姿:髪は桃色で、孫家独特の狂戦士(バーサーカーモード)になると、右目が赤色に変化するのが特徴で、平時は量目とも碧眼である

  祭と同じく胸が豊満で背は祭より高い 体格は祭よりすこし大きい 顔立ちは蓮華というより雪蓮に似ているだろうか

 

 ○張紘 子綱 真名は紅(コウ) 

 

  呉国の軍師の一人で主に外交を担当。 魏の程昱(風)の呉版と考えていただけると理解しやすいだろう

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、姉の張昭と共に臣に迎え入れられる

  張昭と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  ※史実では、呉郡の四性でも張昭と兄弟でもありませんのでお間違い無きように。。。 

   呉郡の四性の中で張温しか見当たらなかった為、雪月の”脳内設定”です

 

  容姿は青眼で背丈は冥琳より少し低い 顔は姉の王林とは似ておらず童顔で人に安心感を与える顔立ちである

  髪は腰にまで届こうかという長く艶やかに保った黒髪を束ね、ポニーテールと呼ばれる髪型にしている事が多いが

  その日の気分により、長髪を肩辺りで束ね胸の前に垂らしている場合もあるようである

  服装は藍色を基調とした西洋風ドレスを身を纏っている

 

 ○魯粛 子敬 真名は琥珀(コハク)

 

  普段は思慮深く人当りも良い娘で、政略的思考を得意とし、商人ネットワークを駆使し情報収集・謀略を行う

  発明に携わる時、人格と言葉遣いが変化し、人格は燃える闘魂?状態、言葉遣いは関西弁?風の暑苦しい人に変化する

  このことから「魯家の狂娘・後に発明の鬼娘」と噂される

 

  ※穏(陸遜)は本をトリガーとして発情しちゃいますが、、琥珀(魯粛)は発明に燃えると・・・燃える闘魂に変身って感じです

 

  容姿は真名と同じく琥珀色の瞳をもち、髪は黒で肌は褐色がかっており月氏の特徴に似通っている

  背は明命と同じくらいで、服装は赤を基調としたチャイナドレスを身に纏っている

 

 ○張昭 子布 真名は王林(オウリン) 

 

  呉国の軍師の一人で主に内政を担当。 冥琳とはライバル同士で互いに意識する間柄である

   『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の張氏の出 雪蓮直々に出向き、妹の紅(張紘)と共に臣に迎え入れられる

  張紘と共に『江東の二張』と称される賢人

 

  妹の紅は「人情の機微を捉える」に対して「政(まつりごと)の機微を捉える」という感じでしょうか

 

  容姿は冥琳より少し高めで、紅と姉妹でありながら顔立ちが似ておらず、冥琳と姉妹と言われた方がピッタリの美人系の顔立ちである

  眼鏡は使用しておらず、服装は文官服やチャイナドレスを着用せず、珍しい”青眼”でこの眼が妹の紅と同じな事から

  姉妹と認識されている節もある 紫色を基調とした妹の紅と同じ西洋風のドレスを身を纏っている

 

 ○程普 徳謀 真名は楓(カエデ)

 

  緋蓮旗揚げ時よりの古参武将であり、祭と並ぶ呉の柱石の一人 「鉄脊蛇矛」を愛用武器に戦場を駆け抜ける猛将としても有名

  祭ほどの華々しい戦果はないが、”いぶし銀”と評するに値する数々の孫呉の窮地を救う働きをする

  部下達からは”程公”ならぬ『程嬢』と呼ばれる愛称で皆から慕われている

 

  真名は・・・素案を考えていた時に見ていた、某アニメの魅力的な師匠から一字拝借致しました・・・

 

  容姿は祭と同じくらいの背丈で、端正な顔立ちと豊かな青髪をうなじ辺りでリボンで括っている

  均整のとれた体格であるが胸は祭とは違いそこそこ・・・ちょっと惜しい残念さんである

 

 ○凌統 公績 真名は瑠璃(ルリ) 

 

  荊州での孫呉崩壊時(※外伝『砂上の楼閣』)に親衛隊・副長であった父・凌操を亡くし、贈った鈴をもった仇がいると

  知った凌統は、甘寧に対して仇討ちを試みるものの・・・敵わず返り討ちにあう間際に、一刀に救われ拾われることとなる

  以来、父の面影をもった一刀と母に対してだけは心を許すものの・・・未だ、父の死の傷を心に負ったまま

  呉の三羽烏の一人として日々を暮らしている

 

  容姿はポニーテールに短く纏めた栗色の髪を靡かせて、山吹色を基調とした服に身を包んでいる小柄な少女

  (背丈は朱里や雛里と同じくらい)武器は不撓不屈(直刀)真名の由来で目が瑠璃色という裏設定もございます

 

  ○朱桓 休穆 真名は珊瑚(サンゴ)

 

  『呉郡の四姓』と呼ばれる有力豪族の朱氏の一族

  槍術の腕を買われ、楓の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  部隊内では『忠犬・珊瑚』の異名がある程、一刀の命令には”絶対”で元気に明るく忠実に仕事をこなす

 

  容姿:亞莎と同じくらいの背丈で、黒褐色の瞳に端正な顔立ちであり黒髪のセミロング 人懐っこい柴犬を思わせる雰囲気をもつ  

  胸に関しては豊満で、体格が似ている為よく明命から胸の事で敵視されている  

 

  ○徐盛 文嚮 真名は子虎(コトラ)

 

  弓術の腕を買われ、祭の指揮下にいた 一刀の部隊編成召集時に選抜された中から、一刀に隊長に抜擢された『呉の三羽烏』の一人

  『人生気楽・極楽』をモットーにする適当な性格であったが

  一刀と他隊長である珊瑚と瑠璃・隊長としての責に接していく上で徐々に頭角を現し

  後に部隊内では『猛虎』と異名される美丈夫に成長を遂げていくこととなる 

 

  容姿:思春と同じくらいの背丈で黒髪のショートヘア 体格も思春とほぼ同じく、遠めからでは瓜二つである 

  二人の区別の仕方は髪の色である(所属部隊兵談) またしなやかな動きを得意としている為、思春の弓バージョンと言える 

 

  ○諸葛瑾 子瑜 真名は藍里(アイリ)

 

  朱里の姉 実力にバラツキがあった為、水鏡から”猫”と称される

  その後、水鏡と再会時に”猫”が変じて”獅子”になりましたわねと再評価される

  天の御遣いの噂を聞きつけた藍里が冥琳の元を訪れ、内政・軍事・外交とそつなくこなす為

  未熟であった一刀の補佐にと転属させられる 

 

  初期には転属させられた事に不満であったが、一刀に触れ与えられる仕事をこなす内に(わだかま)りも消え

  一刀に絶大な信頼を寄せるようになる

  後に亞莎が専属軍師につくと、藍里の内政面への寄与が重要視される中で、藍里の器用な才を愛し、軍師としても積極的に起用している

 

  容姿は朱里より頭一つ高いくらい 茶髪で腰まであるツインドテール 朱里とよく似た童顔でありながらおっとりした感じである

  服装に関しては赤の文官服を着用しており、胸は朱里と違い出ている為、朱里とは違うのだよ 朱里とは・・・

  と言われているようで切なくなるようである(妹・朱里談)  

 

  ○太史慈 子義 真名を桜(サクラ)

 

  能力を開放しない雪蓮と一騎打ちで互角に闘った猛者  桜の加入により瑠璃が一刀専属の斥候隊長に昇格し

  騎馬弓隊を任されることとなった(弩弓隊・隊長 瑠璃→子虎、騎馬弓隊・隊長 子虎→桜に変更)

  本来の得物は弓で、腕前は祭を凌ぎ、一矢放てば蜀の紫苑と互角、多矢を同時に放てば秋蘭と互角という

  両者の良い処をとった万能型である

 

  武器:弓 不惜身命

  特に母孝行は故郷青州でも有名であり、建業の役人街が完成した際に一刀の薦めもあって一緒に迎えに行く

  隊長として挨拶した一刀であったが、桜の母はその際に一刀をいたく気に入り、是非、桜の婿にと頼み込む程であった

   

  容姿はぼん・きゅ・ぼんと世の女性がうらやむような理想の体型でありながら身長が瑠璃ぐらいという美少女系女子

  眼はブラウン(濃褐色)であり、肩下までの黒髪 気合を入れる時には、白い帯でポニーテールに纏める

  一刀の上下を気に入り、自身用に裁縫し作ってしまう程の手先の器用さもみせる

 

  真剣に話している時にはござる口調であるが、時折噛んだりして、ごじゃる口調が混ざるようである

  一時期噛む頻度が多く、話すのを控えてしまったのを不憫に思った為

  仲間内で口調を指摘したり笑ったりする者は、自然といなくなったようである

 

 ○高順

 

  「陥陣営」の異名をもつ無口で実直、百戦錬磨の青年 

  以前は恋の副将であったのだが、恋の虎牢関撤退の折、霞との友誼、命を慮って副将の高順を霞に付けた

  高順は恋の言いつけを堅く守り続け、以後昇進の話も全て断り、その生涯を通し霞の副将格に拘り続けた

 

 ○馬騰 寿成 真名を翡翠(ヒスイ)

 

  緋蓮と因縁浅からぬ仲 それもその筈で過去に韓遂の乱で応援に駆けつけた呉公に一目惚れし

  緋蓮から奪おうと迫り殺りあった経緯がある

 

  この時、緋蓮は韓遂の傭兵だった華雄にも、何度と絡まれる因縁もオマケで洩れなくついて回ることとなるのだが・・・  

  正直な処、緋蓮としては馬騰との事が気がかりで、ムシャクシャした気持ちを華雄を散々に打ちのめして

  気分を晴らしていた経緯もあったのだが・・・当の本人は、当時の気持ちをすっかり忘れてしまっているが

 

  この事情を孫呉の皆が仮に知っていたのならば、きっと華雄に絡まれる緋蓮の事を自業自得と言いきったことだろう・・・

 

 ○孫紹 伯畿 真名を偲蓮(しれん)

 

  一刀と雪蓮の間に生まれた長女で、真名の由来は、心を強く持つ=折れない心という意味あいを持つ『偲』

  ”人”を”思”いやる心を常に持ち続けて欲しい、持つ大人へと成長して欲しいと2人が強く願い名付けられた

  また、偲という漢字には、1に倦まず休まず努力すること、2に賢い、思慮深い、才知があるという意味もある

 

  緋蓮、珊瑚、狼をお供に従え?呉中を旅した各地で、大陸版・水戸黄門ならぬ

  ”偲”が変じて”江東の獅子姫様”と呼ばれる

 

 ○孫登 子高 真名を桜華(おうか)

 

  一刀と蓮華の間に生まれた次女で、子供の扱いが分らぬ蓮華の犠牲者1号となり

  早々に侍従長の咲と思春の手により育てられることとなる

 

  そんなエピソードがあるのにも関わらず、聡明な娘で人望も厚く育ち、王となってからは自身の才能をいかんなく発揮させる

  一刀や蓮華に似ているというより、姉である雪蓮に似ているとの蓮華談有り

  後年孫呉の王として、天皇となりし姉・偲蓮を支えることとなる

 

 ●その他武将

 

  蒋欽ー祭の副将、董襲ー楓の副将

  歩シツー珊瑚の副将、朱然ー昔は瑠璃、現在子虎の副将、丁奉ー昔は子虎、現在は桜の副将 周魴ー瑠璃の副将

 

 ○咲

  母娘共に侍従長として、長きに渡り孫呉に仕える 月、詠の上司に当る

  主な著作に侍従長はみたシリーズがある

 

 ○青(アオ)

  白蓮から譲り受けた青鹿毛の牝馬の名前 

 

  白蓮から譲られる前から非常に気位が高いので、一刀以外の騎乗を誰1人として認めない 

  他人が乗ろうとしたりすれば、容赦なく暴れ振り落とすし蹴飛ばす、手綱を引っ張ろうとも梃子でも動かない

  食事ですら・・・一刀が用意したモノでないと、いつまで経っても食事をしようとすらしないほどの一刀好き

 

  雪蓮とは馬と人という種族を超え、一刀を巡るライバル同士の関係にある模様

 

 ○狼(ラン)

  珊瑚の相棒の狼 銀色の毛並みと狼と思えぬ大きな体躯であるが

  子供が大好きでお腹を見せたり乗せたりする狼犬と化す

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

【あとがき】

 

常連の読者の皆様、お初の皆様 こんばんは 雪月でございます

いつも大変お待たせし、お世話になっております 

 

お気に入り登録者数が1300名に達し、多くの皆様にお読み戴きまして、誠に有り難く存じます<(_ _)>

ここまで制作できましたのも、皆様からのコメント、支援、ツイートあればこそでございます

 

今後とも私の目標は、孫呉千年の大計、並びに魏志倭人伝の2作品を完結させることと考えております

両作品を完結すべく邁進して参りたいと思っておりますので、今後とも皆様の御支援よろしく御願い致します<(_ _)>

 

さて荊州戦の本丸の位置づけになります最終決戦、襄陽包囲戦がやっとではありますが今回より始まりました

 

劉琮軍優位で孫呉軍苦戦

様々な事が重なっておりまして、皆様の予想も当たっていたのでは?と思われます

 

そして随分とお待たせ致しました割りに・・・ 今回は非常に短い内容となっております

毎度のことで恐縮ですが、いつものように区切りが非常に不味くなってしまったが故

分割したのが原因であります ハイ・・・

 

次週の展開を入れようとあれこれと模索してみたのですが、素直に諦めました次第でございます・・・

 

今年に関して、お盆休みは以前にもカキコ致しましたけれど、仕事の忙しくなる9月に戴きます所存です

以前より更新遅れぎみなので・・・休み必要か!?という論議が起こらない事を密かに祈りつつ・・・

ということもございまして、まだまだ更新予定でおりますので、皆様は都合の良い暇な時にお読み下さり

気がむいた時にでも、御感想を戴けますと嬉しく存じます

 

これからも、皆様の忌憚のない御意見・御感想、ご要望、なんでしたらご批判でも!と何でも結構です

今後の制作の糧にすべく、コメント等で皆様のご意見を是非ともお聞かせ下さいませ 

 

それでは完結の日を目指して、次回更新まで(´;ω;`)ノシ マタネ~♪

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
13
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択