第十八話 獅子とまほら武道会―幕間
「ウル…貴方は本当に…」
「あはは…すいませんリアスさん」
「ごろにゃぁ~ん♪」
今は武道会二回戦の第一試合、第二試合が行われている時分
その時間にウルたちオカルト研究同好会のメンバーは、神社近くの喫茶店で話し合いをしていた
「…姉さまが本当にすみません…」
深々と申し訳なさそうに頭を下げる、銀髪の女の子
この子はなんと、先ほどウルがバーナードから助けた白猫である
名前は白音という
黒歌と白音はやはり姉妹で、二人はともに猫の妖怪だったらしい
バーナードの元から逃げ出した経緯は、黒歌が眷属悪魔としてバーナードに無理やり転生させられ、渋々とはいえ働いていた
しかし、バーナードは黒歌に『白音に仙術を教えろ』と命じたらしい
仙術と言うのはとても危険な力で、まだ幼い白音には過ぎた力だ
無理やり習得すると最悪の場合、死に至るという
しかしバーナードはそんな事は関係無いと言わんばかりに黒歌に命じる
耐え切れなくなった黒歌は白音を連れてバーナードから逃げ出した…と言う事だった
黒歌と白音の二人がウルの前に姿を現したときに白音がぐったりしていたのは、仙術を行使しようとした副作用だったようだ
「はあ…とりあえずお兄様に連絡したところバーナードは上級悪魔資格を凍結、黒歌と白音は私達で保護しなさい、との事だったわ」
「保護…と言うことは二人は駒王学園に?」
「ええ、黒歌は私達と同じ学年、白音は小等部に編入という形になるわね」
「にゃ~ん♪ウルと同じ学校で学べるだなんて嬉しいにゃん」
「ただし、二人ともオカルト研究同好会に入部してもらうわよ。保護とはいえ、監視も兼ねてるのだからね」
「…分かりました…」
「白音とも一緒にいられるし、言うことなしにゃ♪」
そういって黒歌は白音を抱きしめる
白音もまんざらではないようで頬をほのかに赤く染めている
「あ、そうそう。二人の住むところはウルと一緒だからね」
「は?ちょ、聞いてませんが」
「それはそうよ。今言ったもの」
「ウルは私達と一緒に住むのは嫌?」
「…嫌、何ですか?」
「いや、そういう訳では無いですし、別に良いんですが…理由は何ですか?」
猫二人の上目遣いから目を逸らし、ウルはリアスに目を向ける
「急のことだったし、住まいを用意できないのよ。その点ウルの家なら部屋も余ってるでしょう?そもそも貴方が住んでいるのは悪魔が用意した家なのだし、拒否権は無いわよ?」
「そう言うわけですか…分かりました」
ウルは『お手上げ』のポーズで降参の意を示す
それを見たリアスは満足げな表情で黒歌と白音に目を向ける
「貴女達はどうかしら?」
「異存ないにゃ」
「私もです」
「決まりね」
「…はあ………あれ、そういえばアンジェ先生は何処に行ったんですか?」
「ああ、アンジェ先生でしたら…ほら、あそこに」
「あそこ?」
ウルは朱乃が指差した、神社の屋根の部分を見上げる
そこには…
「Zzz…ウゥン…やっぱりお昼寝気持ち良いデース…zzz」
屋根に寝っ転がって惰眠を貪っている、アンジェがいた
頭の上には小鳥が止まっている
「何してるんですかあの人!?」
「お昼寝好きなのかしらね?」
「そういう問題ですか!?」
ウルは頭を抑えながら腕時計を見る
「…あ、そろそろ僕の試合が始まりますね」
「あら、もうそんな時間?まあお兄様への連絡で随分時間を取ったしね」
「ではそろそろ行きましょうか」
「そうですね。…あ、ここの支払いは僕がしますよ」
ウルはさっと領収書を取り、支払いに行く
「…ウルに払わせるつもりは無かったのだけれど」
「小さくても男の子なんですね、ウル君は」
「…今回、全く話に絡めなかったぞ…」
リアスと朱乃が話している中、響のグラスのコップがカラン、と音を立てた
今回はタイトルどおり、話の繋ぎなので短めです
さて…あと二週間しない内に入試かぁ…(遠い目)
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第十八話 獅子とまほら武道会―幕間