「ずっと、大好きだったよ。 今だってこんなにも愛してる……だから──────」
テレビは電気で動き、車はガソリンで走る。
そんな常識が古い考えになったのは、その告白が世界に響いてからちょうど1年くらい過ぎた頃だった。
どういう訳か世界中に同時に響き渡ったその日本語の告白は、それを聞いたすべての人に人外の力をもたらした。
魔法。
今、人々はその力をそう呼んでいる。
資源を燃やし、プロペラを回して作られていたエネルギーは、
「エネルギーがほしいな」と思うだけで人の体内から溢れ出るようになったし、
重たい物を運ぶとき、「軽くならないかな」と思うだけで、重さを軽減できるようになった。
効果は小さかったが、思い描いたすべての現象を人は現実にすることができるようになったのだ。
それにより、科学は並ならぬ発展を遂げ、
今では限りある資源を使うことなく、テレビや車が動かせるようになっていた。
その発展の原因である例の告白は、
神様からの贈り物だとか、
人によって壊されつつあった地球がそれでも人を愛して授けた力だとか、
宇宙人からの技術提供だとか、
言葉が日本語だったために日本が世界に放った化学兵器の副作用だとか、
そんな根拠のない憶測が少し交わされただけで、
実際それが一体どういった物だったのかは結局誰にもわからなかった。
それでも告白が響いた直後から人は魔法の使い方を理解していたし、世界はそれをうまく使い発展した。
もしかしたらこれは元々人の中にあった力だったのかもしれない。
告白──────いや、世界に響いた“声”が原因で人が元々内に秘めていたその力にようやく気がついただけなのだと、
そう語る先生の話を聞きながら、僕は窓の外を眺めていた。
ビルの隙間から差し込むオレンジの光が今日の授業の終わりを予感させる。
キーンコーンカーンコーン
校舎内に聞き慣れたチャイムが鳴り響いた。
「よし、今日はここまでー。 連絡事項もないからホームルームは省略」
本日最後の授業を受け持っていた佐藤先生は、若干めんどくさそうにそう告げた。
僕のクラスの担任でもある彼は、めんどくさがりなキャラが受けて生徒からの人気が高い先生なのだが、あんなテキトーな感じの人が先生やってていいんだろうか。
あの先生を見ていると、この学園の先生の採用基準がとても気になったりする。
そんなことを思っている間に、さようならのあいさつも終わり、クラスメイトたちは早々に部活やら帰路やらに向かっていた。
そんな姿を眺めながら僕も帰りの準備を進めていると、
「明日って“天使の告白日”だよね! だれか告白するかな!」
と、クラスの女子がやや大きめな声で話していた。
“天使の告白日”
世界に告白が響いた日のことを人々はそう呼んでいた。
外国ではプロフェッションなんとかだとかエンジェルなんとかと呼ばれていたはずだ。
僕も例に漏れずその日から魔法が使えるようになってるわけだけど、
本当にどういった理由でこんな力に目覚めたのだろう。
それに、あの告白は誰が誰にしたものなんだろうか?
僕、呼世里 優利(よせざと ゆうり)は、そんな疑問をその日からずっと抱いていたりする。
ただいま編集中です。
毎週2ページくらいで追加予定。
短編なので、すぐに終わると思います。
読んでくれる人がいたらうれしいです。
4月27日(月) たこぞう
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「ずっと、大好きだったよ。 今だってこんなにも愛してる……だから──────」
魔法。
ある日突然、そんな告白の言葉が世界中に響き渡り、
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