No.705360

魔法少女リリカルなのは Extreme

Blazさん

これが彼女の手札だ。

Strikers編 イメージソング

OP「Break Out」 スーパーロボット大戦OG ディバインウォーズより

続きを表示

2014-08-01 11:44:55 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1284   閲覧ユーザー数:1225

Strikers編 第七十一話 「狂いし烈火の騎士VS鋼鉄の孤狼の騎士」

 

 

 

 

 

 

- ミッドチルダ 高速道路サービスエリア -

 

P.M 21:00

 

夜になり、地上本部での用事を終えたフェイトは途中のサービスエリアで軽く軽食を購入していた。

野菜ジュースとサンドを一つ。手軽で直ぐに食べられる物だ。

 

フェイト「・・・・・にしても、さっきから連絡が取れない・・・」

 

車内に戻ったフェイトは車の中で通信をつなぎ続けていた。

相手ははやてだ。だが、今彼女がトンでもない状況になっているとはフェイトはまだ知らなかったのだ。

 

フェイト「もしかして、はやてに何か・・・?」

 

バル『ありえますね。一度私の方から六課に通信をして見ますが?』

 

フェイト「お願いできる?」

 

バル『了解です。』

 

再び車の外に出ると、六課の本部がある場所をフェイトは心配そうに見つめる。

もしかして六課で何かが?

そんな不安がしだいに彼女の胸の奥から溢れ出し、直ぐに行かなくてはと気持ちを焦らせていった。

 

 

其処に。誰かが歩いてくる。強く踏みしめる音は男性の音だ。

フェイト自身はその男性が近づいてくるという事をまだ知らない。

そして。

 

 

「フェイト。」

 

 

フェイト「ッ!?」

 

フェイトが男性に肩に手を置かれ、咄嗟に振り向いた。

だが。其処に居たのは、フェイトが知る人物だった。

 

フェイト「に・・兄さんか・・・」

 

そう。クロノだったのだ。

クロノもフェイトがひやひやした顔に少し笑っていたが、直ぐに真剣な顔になってフェイトに言ったのだ。

 

クロノ「フェイト。すまないが、今六課に戻っては駄目だ。」

 

フェイト「えっ何で?」

 

クロノ「今日、なのはがウチに来た。俺達がなのはの側につけって半分くらい脅しでな。」

 

フェイト「っ・・・!」

 

クロノ「オマケに無限書庫にも来て、フェレットもどきにも従属するように言ったらしい。その為にアイツの生徒を何人かウチに置いて行ってな。撒くのに手間をかけたよ。」

 

フェイト「そんな・・・ユーノ達は・・アルフは!?」

 

クロノ「アルフ達は一応平気だったそうだ。だが、どうやら本局の人間が至る所に紛れていたらしくてな。どうやら本局はこの事を始めから計画していたらしい。」

 

フェイト「そんな・・・・・」

 

 

 

 

「フェイトさん!」

 

フェイト「ッ!リィン!!」

 

すると、クロノの後ろからリィンが現れ、フェイトに抱き寄ったのだ。

フェイトもリィンをしっかりと抱き、無事を嬉しく思い涙を少し流したのだった。

 

リィン「フェイトさん・・ご無事で・・・」

 

フェイト「リィンもゴメンね。私達の事に巻き込んで・・・」

 

リィン「・・大丈夫です!」

 

クロノ「この子が内情を教えてくれたんでな。いち早く察知して動く事が出来たよ。」

 

フェイト「リィン、六課で一体何が・・・」

 

リィン「・・・なのはさんが・・・はやてちゃんを拘束するって言って・・それでシグナムは反管理局員達を一斉確保しに東の街に・・・」

 

フェイト「っ!プリズムが!?」

 

 

 

「多分、本局連中の狙いは其処の情報力でしょうね。」

 

フェイト「ってこの声、まさか!?」

 

更に、クロノの両肩に一匹ずつ、小さな狼達が乗っていた。

そう。クロノへと零人が渡した使い魔モンスターの『ノノ』と『カム』だ。

 

フェイト「ノノ!?それにカムも!?」

 

カム「ふぁああ・・・久しぶりだなふあいと・・・」

 

フェイト「・・・眠そうだね・・・」

 

ノノ「コイツ寝るのと食べるのは一生懸命だからね。」

 

フェイト「あはははは・・・」

 

クロノ「取り合えず、詳しい事は移動しながら話す。先ずは車に乗ろう。」

 

フェイト「乗るって・・・何処に?」

 

クロノ「・・・それは・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノノ「レジアス・ゲイズの所だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兄弟プラスα移動中・・・

 

 

フェイト「レジアス中将は気づいていた?」

 

クロノ「厳密には予期していたって言った方が正しいな。正確な実行日まではあの人も解らなかったらしい。」

 

フェイト「でも、どうやって其処までの内情を?」

 

クロノ「一応、アポトル元帥とミカエルさんが探っていたらしいが、詳しい事は知ることは出来なかった。だから、そこで元帥は知り合いを伝手として情報を得た。」

 

フェイト「知り合い?」

 

クロノ「今、六課の中でまだ捕まってないのは、お前とリィン曹長。そして・・・」

 

フェイト「ヴィータ・・・!」

 

クロノ「彼女ははやての直属の部下みたいな物だからな。内情を正確に教えてくれたよ。けど、彼女でも実行日までは掴めなかった。其処まで連中はこの事を厳重に隠していたらしい。」

 

フェイト「そんな・・・」

 

リィン「元々、地上と海は仲が悪かったですけど、今回の六課と七課の成果や今のミッド政府の出現。今までの管理局本局の権威が完全に地に落ちたといっても構いません。だから・・・」

 

フェイト「本局はまだ力を付けきって無いこの時を狙って?」

 

リィン「そうでしょうね。幸いにも本局側にはなのはさんが付いていました。あの人、根っからの本局派でしたし・・・」

 

フェイト「けど、スバルたちは?あの子達は地上本部側じゃ・・・」

 

クロノ「そうとも言いきれない。彼女達は単に能力が乏しい部分があるだけ。実際は本局の・・・なのはの側だ。」

 

フェイト「・・・・・。」

 

クロノ「それに、なのは自身は殆どを掌握したと思っているが、実際は違う。」

 

バル『デバイスルームに居たメンテナンス中のフォワードデバイス達と話せました。どうやらザフィーラ達がリィンの脱出を手引きしたようです。』

 

フェイト「・・・!」

 

クロノ「だから、実際彼女の側についたのはフォワードメンバーと聖王教会。」

 

フェイト「っ聖王教会も!?」

 

聖王教会。管理局に多大な影響を与えている組織でトップの人物のレアスキルは局の、特に本局の以後の活動方針を決めるのに大きく関わっているのだ。

そのトップが『カリム』と言う人物で実質のトップの一人である。

過去にはやてが何度か会っていたので彼女とはやては知り合い同士となっている。

更に、シグナムははやてとは別の繋がりを教会の中で持っている。

今回は恐らくシグナムが手引きしたのだろう。

 

リィン「ややっこしいですね・・・聖王教会もとなると、完全になのはさんの独創劇ですよ・・・」

 

クロノ「教会の騎士のカリムとの手引きで自分達の有利な状況に導くか?それは無理だ。」

 

ノノ「そんなのを長い間やってたら自然とバレるのがお約束だよ。」

 

リィン「あ・・・。」

 

フェイト「けど、体制を自分達の有利なものに変えれるってのは・・・どうかな?」

 

クロノ「それは考えられるが・・・」

 

ノノ「それじゃあなのはが悪の帝王みたいな事になっちまわないかい?」

 

フェイト「そんなのをゴロゴロと出したら、組織の信用が崩れる。だから・・・」

 

クロノ「偽りの伝説を築く・・・か。」

 

 

フェイト「ッ!兄さんアレ!」

 

フェイトの声にクロノは少し向こうを遠目で見る。

其処には十数人の魔導師が検問とバリケードをして封鎖していたからだ。

服装からして彼らは本局側の魔導師だ。

 

クロノ「ッ・・・クソッ、もうここまで・・・!」

 

フェイト「どうする?車だし、強行突破も・・・」

 

クロノ「いや、距離的にそろそろ大丈夫な筈だ。」

 

フェイト「え?」

 

クロノ「フェイト、これナビ使えるか?」

 

フェイト「う・・うん。」

 

クロノはそう言うとナビを操作し、地図の範囲を広域にする。

範囲はかなり広がり、フェイトはその画面を見つめていた。

 

クロノ「この検問を突破してこっちの地下の道を通っていく。普段は上だけだが、実は下はもう使えるんだ。」

 

フェイト「そうだったの?」

 

リィン「あ。確か其処って地上本部の部隊が迅速に展開出来る様にって最近整備された道でしたね。」

 

クロノ「そうだ。地上本部は迅速的な行動を第一としてミッド各地にこうした隠し道を作っていたんだ。勿論、嘘の名目を本局に流してな。」

 

フェイト「騙し騙されって言うけど・・・凄いね、組織って。」

 

クロノ「まぁな。上がこれなら良いんだけど・・・」

 

フェイト「けど。検問はどうするの?このままだと私達・・・」

 

クロノ「其処は任せろ。検問の近くで一度下ろしてくれ。いいな。」

 

フェイト「・・・うん。」

 

 

クロノがそう言うとフェイトは車をそのまま運転し、検問に近づいていく。

時間的にはまだ他の車も居ても可笑しくはないが、今は車はフェイトのだけだった。

 

封鎖をしていた局員が「止まれ」とジェスチャーすると、フェイトは検問の少し手前でとめた。

クロノは車内でフェイトに何かを告げると、そのまま車を出て、局員達に話しかけたのだ。

 

クロノ「クロノ・ハラオウンだ。何があった?」

 

「ハッ。実は、現在行政区内で機動六課所属の魔導師のフェイト・T・ハラオウン氏が現在逃走しているとの事なので、各地でこうして検問をしていたのであります。」

 

クロノ「・・・何故、彼女が追われているんだ?」

 

「ええ、どうやらハラオウン執務官は六課内で反逆行為を企てていたとの事で・・・その結果、本局から正式に脱走者と認定されたのです。」

 

クロノ「俺の妹が・・・ね。何をしてくれたんだか・・・」

 

「心中察します。」

 

クロノ「・・・ああ。察するよ。君達の馬鹿っぷりには。」

 

「・・・は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロノ「今だ!!」

 

フェイト「っ!!」

 

刹那、クロノの合図でフェイトはアクセルを全開にする。

車は勢いよく走り出し、検問を突破したのだ。

突然車が動くので局員達は驚いて腰を抜かし、両サイドに逃げたのだ。

 

クロノはジャンプして飛行すると、リィンが助手席を開け、其処から中に入る。

後ろからは局員達は量産デバイスで攻撃をするのだが、スフィアは全て車のボディに弾かれたのだった。

 

「なっ!?」

 

「す・・スフィアが弾かれた!?」

 

クロノ「フェイト、この車まさか・・・」

 

フェイト「リョウが何かあったらって言ってボディとかに改造を・・・」

 

クロノ「あの銃馬鹿が・・・」

 

リィン「マ改造ココにありです・・・」

 

ノノ「つか・・とかって・・・・・」

 

クロノ「と・・兎に角、上と地下の分かれ道までこのままだ。其処からは地下の道を通ってくれ。」

 

フェイト「解った。」

 

フェイトはそう言い、アクセルをしっかりと踏んでそのままの道を車を走らせていった。

レジアスの居る場所。つまり、地上本部のテリトリーまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

- 歓楽街プリズム メインストリート -

 

 

ヴィータ「シュワルべ・・・フリーケンッ!!」

 

ヴィータは鉄球を放ち、局員達に向ってバラ撒く。

彼女の攻撃を避けきれない局員達は次々と倒れていき、ヴィータは彼らの前に降り立ったのだ。

 

ヴィータ「テメェ等・・・自分が何してっか解ってんのか!明らかな同属殺しだぞ!」

 

「・・・ヴィータ副隊長殿。貴方を管理局反逆の容疑で逮捕します!」

 

ヴィータ「何っ!?」

 

キョウスケ『どうやら舞台は既に整っていた様だな。』

 

ヴィータ「の様だな。多分、この炎だ。シグナムも居るな。」

 

「・・・武器を捨て、大人しく投降しろ!」

 

ヴィータ「聞く耳持たず・・・か。良いぜ、テメェ等全員、アタシが・・・」

 

 

「待ってください!」

 

すると、ヴィータの後ろから十数人の局員達が現れた。

ヴィータは彼らの援軍かと思われたが、服が焦げていたので恐らくは元々ココに居た局員達だったとわかった。

 

「俺達も戦わせてください!」

 

ヴィータ「は!?お前ら、んな事したら・・・!」

 

「反逆罪ですか?いいですよ!受けて立ちます!」

 

「自分達の勝手な理由でこの街を潰すってのは俺達も腹が立ってます!だから!」

 

キョウスケ『・・どうする。俺的には居てもらった方がありがたいと思っている。少なくともシグナムまで魔力を温存できるからな。』

 

ヴィータ「・・・・・。」

 

シャッコ「守る為に戦いたいという戦士たちが居る。俺達クエント人は同士との戦いは掟で禁止されているが、それでも俺は戦った。」

 

ヴィータ「・・・・・はぁ・・・しゃぁね。無理だと思ったら迷わず後退しろ!それと、まだ逃げ切れてない人が居たら優先して救助!いいな!!」

 

「「「「「了解ッ!!!」」」」」

 

 

 

「くそっ!貴様等も反逆罪に問われたいかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「それがどうした!!」

 

「人を守る管理局が人を傷つけてどうするってんだ!!」

 

「お前ら人間じゃねぇ!!」

 

「オイタケシ、どうした!?」

 

ヴィータの側についた局員達は一斉に本局の局員達に攻撃を仕掛ける。

スフィアで攻撃をしつつ、近距離に入ると近距離用のブレードで接近戦をする。

その攻撃の手際のよさにヴィータは少し関心と驚きを持って見ていたのだ。

 

ヴィータ「すげぇな。アレだけの動きを出来るなんて・・・」

 

「俺達地上組みの訓練の賜物ッス!」

 

「毎日鬼教官にシゴかれていたかんなぁ・・・」

 

「年中お気楽のキャリア本局組みとは違うのだよ!本局組みとは!」

 

「ラルさん、歳なんだから無理すんなってすっげえんすけどぉ?!」

 

 

ヴィータ「・・・ははっ・・・すげぇじゃねぇかあいつ等。これなら・・・!」

 

アイゼン『ッ!!マスターッ!!』

 

 

ヴィータ「ッ!!」

 

 

 

 

刹那。ヴィータはアイゼンで防御をした。

横から彼女に向って剣の攻撃が振り下ろされたからだ。

その剣と太刀筋。ヴィータには見覚えがあった。

 

ヴィータ「やっぱ来たな・・・シグナムッ!!」

 

シグナム「・・・・・。」

 

アイゼンを振るい、シグナムを振り払う。

シグナムは体勢を整えて地面に着地する。

対してヴィータはバックステップで数歩下がり、アイゼンと鉄球を構える。

 

先制攻撃を弾かれたシグナムには後は正面からしか方法は無い。

それは宣告承知。だからこそ、シグナムはヴィータに尋ねた。

 

シグナム「・・・ヴィータ。何故私の邪魔をする。」

 

ヴィータ「別に邪魔する気なんざねぇよ。けどな、こうやって平然と人を傷つける組織なんてのは、アタシもはやてもゴメンだ。だから・・・」

 

シグナム「我が主の命令を邪魔するか・・・」

 

ヴィータ「命令だぁ?ばっかじゃねぇの!はやてがんな命令をすると思っているか?え?」

 

シグナム「・・・するさ。いや、したんだ。私にな。」

 

ヴィータ「・・・は?」

 

 

シグナム「我が主を傷つけた者達。そいつ等を見つけ、粛清する。それが我が使命。我が主の願い。それは平和。それを乱す輩は

 

 

 

 

我が烈火に焼かれて死ね。」

 

ヴィータ「・・・・・・ハッ・・・この言葉を借りるとはな・・・」

 

シグナム「何・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

ヴィータ「テメェ馬鹿か!!はやての言った平和とお前のやっている平和ってのは平行世界一つ分の差があるんだよ!!」

 

シグナム「・・・・・。」

 

ヴィータ「はやての言った平和。それはみんながもう二度と"あんな事"を起こさない場所を作る事。はやては言ってた。それが例え、自分の命尽きるまでに叶わなくとも、その可能性を残せれば、自分は本望だって!」

 

シグナム「・・・・・。」

 

ヴィータ「けど、今お前がしてい事は何だ!?人の悲しみを増やしてるだけじゃねぇか!!それの何が平和だ!何がはやての命令だ!!自己妄想も体外にしろ!この大馬鹿野郎が!!」

 

シグナム「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

 

 

ヴィータ「・・・最後に聞く。何故お前はなのはの味方をするんだ。アイツがやっている事はお前のとは全くの真逆・・・」

 

シグナム「フッ・・・・・・フフフフフ・・・・・ハハハハハハハ・・・・・・!」

 

ヴィータ「っ・・・!?」

 

突如シグナムは笑い出した。何故彼女が突如笑い出したかは解らない。

しかし、その笑いが、自分の言った事の侮辱だというのはヴィータでも解った。

そして。彼女が笑うもう一つの理由。それが彼女の口から語られたのだ。

 

シグナム「誰が何時。私が高町の味方だと言った?」

 

ヴィータ「何っ!?」

 

シグナム「利害が一致しただけだ。元々高町と私達は対等だ。下に付く理由も、意味もない。彼女の圧倒的な力と人望。そして野心。それがあれば、お前の様な主の邪魔をする奴等を一掃できるからさ!」

 

キョウスケ『なるほど。つまり、シグナムは目的を達成できたら高町を殺すという事か。』

 

ヴィータ「テメェ・・・正気かシグナムッ!!」

 

シグナム「正気さ!!私は主の求める世界を作る!その為にはたとえ同士であっても斬る・・・!」

 

 

シグナムの目は既に狂気の目だった。

唯、雲を何時のまでも追いかけるシグナムには、もう何も要らない。

主が全ての状態なのだろう。

 

そんな彼女を見て、ヴィータは静かにアイゼンに力を入れて握り締めた。

そして、キョウスケに助力を頼んだのだ。

 

ヴィータ「・・・キョウスケ。力を貸してくれ。アイツを・・・シグナムを・・・

 

 

 

 

 

イッペンぶん殴るために・・・!!

 

 

キョウスケ『元よりそのつもりだ。行くぞ。』

 

 

 

 

 

 

炎の中、ヴィータのバリアジャケットは変化する。

赤い鎧を身に纏い、狼の牙を己の鉄槌に付ける。

 

たった一匹の鋼鉄の孤狼(ベーオウルフ)。その申し子が再誕したのだ。

 

ヴィータ「眼前に立ち塞がる敵は、討ち貫くのみ。」

 

シグナム「いいだろう。その爪、圧し折ってくれる・・・!」

 

 

赤に彩られた

 

狂気の烈火の騎士

 

鋼鉄の孤狼の戦士

 

 

本来から相対する事のない者達が、今互いの剣を交えんとするのだった。

 

 

それぞれの得物を持ち構える。

シグナムはカートリッジを三つロードし、レヴァンテインの刀身に炎が纏われる。

対し、ヴィータはカートリッジをロードしなかったが、リボルバー型となったアイゼンの弾倉を回し、ハンマーを上げたのだ。

 

 

シグナム「我が主の命を忘れた愚かな騎士よ・・・我が主の名の下に、貴様を断罪する!」

 

ヴィータ「やってみろよ。例え相手がシグナムだろうと、アタシは唯、討ち貫くのみだ。」

 

 

最早言葉は要らない。語るなら剣で語れ。

それが騎士である我等の礼儀だ。

烈火の騎士か切り裂き。鋼鉄の騎士は討ち貫く。

それが私達の戦い方。相手の全ての手の内を知っているなら。

答えは一つだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィータ・シグナム「「真っ向勝負ッ!!」」

 

 

 

二人は正面から相手に向かって突っ込むしかない。

相手の手の内を解っているなら、正面から行き、先に相手に一撃を浴びせる。

つまり、二人のこのぶつかり合いは先に仕掛けた方が、全てをかわし切れた方が勝つ。

 

 

ヴィータ(突進力ならアタシの方が勝っている。勢いに乗じてフェイクを乗せたら・・・!)

 

アイゼンを構え、アルトの加速力で一気に間合いを詰めるヴィータ。

スピードからして自分の方が少しは有利に立てる。

後は、シグナムのカウンターをかわせば勝てる。

勝利の糸口を掴み、ヴィータはアイゼンを構えてフェイクを入れようとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッ!

 

 

 

ヴィータ「えっ?!」

 

しかし、ヴィータの足元に突如バインドが姿を現し、彼女の足を止めた。

まさかシグナムがと思い、足元を見るが、それが誤りだった。

 

身体は急なブレーキによって前に出され、勢いは殺される。

その弾みでアイゼンの構えが解けてしまい、直ぐに気づいたヴィータは正面を向きなおしたのだが。

 

ヴィータ「しまっ・・・!!」

 

既にシグナムがレヴァンテインを構えて振り下ろす時だったのだ。

一歩出遅れたのはヴィータだった。

今からシールドも間に合わない。バックも出来ない。

ならば。

 

 

ヴィータ「ッ・・・・ああああああああああああああああ!!!」

 

シグナム「ッ!!」

 

アイゼンを何処でもいいからと適当に振るい、レヴァンテインの剣の軌道を逸らしたのだ。

軌道は逸れはしたが、剣はヴィータの左肩を切り裂き、其処から鮮血をヴィータは噴出させたのだ。

 

ヴィータ「ッッ!!」

 

シグナム「フッ・・!!」

 

シグナムは勝利を確信し笑みを浮かべた。

今からなら剣の持ち方と軌道を変えてもう一撃いける。

 

 

 

 

 

しかし。シグナムはその時。ヴィータの右腕側を見ていなかった。

いや、見る暇も無かった。勝利に酔っていたからだ。

その所為でヴィータの反撃を見逃してしまったのだ。

 

 

レヴァン『主ッ!!!!』

 

シグナム「・・・・・。」

 

レヴァンテインの声にやっとシグナムは気づいた。

ヴィータは右腕をシグナムに向って殴りかかろうとしていたのだ。

そのヴィータの右腕にあった得物。今シグナムの攻撃を弾いたヴィータの得物。

 

それは、『ノーマルの』アイゼンだった。

 

 

シグナム「ばっ・・・馬鹿な・・・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィータ「ステークッ!!討ち抜くッ!!」

 

 

迷い無く右腕をシグナムの腹に叩き込む。

バリアジャケットを貫通し、そのまま肉にねじ込む。

非殺傷だからといっても威力は保障できる。

これがヴィータのショウダウンだからだ。

 

 

 

ドゴンッ!!

 

 

 

鈍い鉛の音が響く。其れと同時にステークの先端が突き出る。

ハンマーは叩かれ、弾倉の中の高密度に圧縮された魔力が放たれたのだ。

その一撃を喰らい、シグナムは腹から大量に出血したのだった。

 

 

次回予告ッ!!

 

キョウスケ「どうやら本局は全ての手札を出す気らしいな。」

 

ヴィータ「けど、それが命取りだ!」

 

リィン「次回!『ファーストショウダウン』ですぅ!!」

 

 

 

 

 

零人「んじゃ俺達も戻るとするかね。」

 

ソルナ「そうね。そろそろケリをつけましょ?」

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
2
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択