No.705190

英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~

soranoさん

第165話

2014-07-31 15:17:05 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2048   閲覧ユーザー数:1910

~グラウンド~

 

 

『8月特別実習』

 

A班・リィン、ラウラ、エマ、ユーシス、ガイウス、ミリアム、エヴリーヌ、セレーネ

 

   (実習地:レグラム)

 

 

B班・アリサ、フィー、マキアス、エリオット、クロウ、プリネ、ツーヤ

 

   (実習地:ジュライ特区)

     ※2日の実習期間の後、指定の場所で合流すること

 

 

「これって……」

「ちぇ、プリネと一緒じゃないんだ……」

メンバー表と実習地を見たアリサは目を丸くし、エヴリーヌはつまらなそうな表情をし

「A班の”レグラム”は確かラウラの故郷だっけ。」

覚えのある場所を見たフィーはラウラに視線を向けた。

 

「ああ……クロイツェン州の南部に位置する湖畔の町だ。年中濃い霧に包まれ、多くの伝承が残る中世の古城などもある。」

「……中世の古城……」

ラウラの説明を聞いたエマは目を丸くして考え込んでいた。

 

「ふふ、休暇をとっていたら二度手間になるところだったな。」

「はは、確かに。それと、こっちの”ジュライ特区”っていうのは……」

「確か、帝国最北西の海岸にある旧自由都市の名前だな。帝国政府の直轄地だったはずだ。」

「あー、あそこかあ。8年前くらいにオジサンが併合した場所だねー。」

リィンの疑問に答えたクロウの説明を聞いて何かを思い出したミリアムは無邪気な笑顔を浮かべ、ミリアムの発言を聞いたリィン達は冷や汗をかいた。

 

「ミ、ミリアムちゃん……」

「もうちょっとオブラートに包んだ方がいいと思うのですけど……」

エマとツーヤは困った表情でミリアムを見つめ

「オジサンっていうと………」

「まあ、あの”鉄血宰相”のことなんだろうな……」

エリオットに視線を向けられたマキアスは複雑そうな表情で答え

「まったく……もう少し歯に衣を着せることを覚えろ。」

ユーシスは呆れた表情でミリアムに指摘した。

 

「なんでー?別に気にしないけど。」

「ミリアムさんじゃなくて、私達が気にするんですよ……」

「アハハ……」

首を傾げているミリアムにプリネが説明し、セレーネは苦笑していた。

 

「ふむ、とにかくどちらも気になる場所のようだが……この最後の一文はなんだ?今までにはなかったものだが。

「『※2日の実習期間の後、指定の場所で合流すること』……確かに、今までこんなことが書かれたことはなかったわね。」

「サラ教官、これは……?」

クラスメイト達が今まで見た事のない文章に注目している中、リィンが代表して尋ねた。

 

「フフ、それについてはナイトハルト教官とレーヴェの二人から告げてもらおうかしら。」

「心得た。」

「了解した。」

サラ教官に視線を向けられた二人はそれぞれ頷いてリィン達の前に出た。

 

「―――マーシルンとルクセンベールを除いた諸君には各々の場所での実習の後、そのまま列車で合流してもらう。合流地点は帝国東部―――”ガレリア要塞”だ。」

「”ガレリア要塞”……!」

「共和国側に備える帝国正規軍の一大拠点……」

「通常の実習をこなした後で、そんな場所にいくんですか……!?」

ナイトハルト教官の説明を聞いたリィン達は顔色を変えてナイトハルト教官を見つめた。

 

「あくまで特別実習の一環としてな。”ガレリア要塞”では自分も実習教官として合流する。無論、あの場所ならではの特別なスケジュールをこなしてもらう予定だ。」

「特別なスケジュール……」

「へー、なんか面白そう!」

「面白がるな。」

嬉しそうな表情をしているミリアムにユーシスは呆れ

「ハハ、参加早々からハードな実習になりそうだぜ。」

「めんどくさいのじゃなきゃいいけど。」

「ついていけるかどうか、心配です……」

クロウは苦笑しながら答え、エヴリーヌはつまらなそうな表情で呟き、セレーネは不安そうな表情をした。

 

「………………」

「……どうした?」

一方目を閉じて黙り込んでいるエリオットに気付いたガイウスは尋ねた。

「う、ううん、何でもないよ。それよりさっきプリネとツーヤの名前はなかった事が気になったんですが……」

尋ねられたエリオットは答えを誤魔化した後ナイトハルト教官を見つめた。

 

「―――マーシルン、ルクセンベールの二人に関してはB班での”ジュライ特区”での実習後”クロスベル自治州”にて”特別実習”をしてもらう。なおその際は俺も実習教官として合流する。」

「”クロスベル自治州”……!」

「”西ゼムリア通商会議”が開催される場所ですね。」

ナイトハルト教官の代わりに答えたレーヴェの説明を聞いたリィンは驚き、エマは静かに呟いた。

 

「しかも時期を考えると”通商会議”の真最中だぞ……?」

「フム……一体どういう事だろうか?」

「ねーねー、二人はクロスベルで何をするの?」

ユーシスは目を細めて首を傾げているラウラと共にレーヴェを見つめ、ミリアムは無邪気な様子で二人に尋ねた。

 

「私達は”特務支援課”の皆さんと行動し、”支援要請”のお手伝いをする事になっているんです。」

「”特務支援課”って朝に聞いたクロスベル警察の部署じゃないか!?何で二人がそんな所に……」

「あら、あなた達、”特務支援課”の事を知っているの?」

プリネの説明を聞いて驚いているマキアスの様子を見たサラ教官は目を丸くした。

 

「ええ。今朝色々と話が弾んであたし達が話したんです。」

「前にサラが話していたわたし達のパクリをやっている警察の部署でしょ?」

「フィ、フィーちゃん……」

「時期を考えたら”Ⅶ組”の方が真似していると思うのですが……」

ツーヤの説明を聞いて確認したフィーの言葉を聞いたエマは冷や汗をかき、プリネは苦笑した。

 

「なお、”特務支援課”は”通商会議”をする場所である”オルキスタワー”の警備にも関わる為、二人と俺は彼らと共に”オルキスタワー”の警備に関わる事になっている。―――今回二人の実習地がクロスベルになったのは常任理事の一人であるリウイ陛下の意向でもある。」

「ええっ!?」

「プ、プリネ達が”通商会議”の警備をするなんて、信じられない……」

「リウイ陛下が……」

レーヴェの説明を聞いたアリサは驚き、エリオットは信じられない表情をし、ガイウスは目を丸くし

「それにリウイ陛下の意向という事は……」

「フン、大方メンフィル帝国の思惑だろう?」

複雑そうな表情をしたマキアスは鼻を鳴らして真剣な表情になったユーシスと共にプリネとツーヤを見つめた。

 

「―――否定はしません。ですがこの件に関しましては事情を全て知るオリヴァルト皇子も承認済みです。」

「へー、そうなんだ……」

「ま、この”Ⅶ組”を立ち上げた人が許可したんなら、別に問題ないんじゃないのか?」

静かな表情で答えたプリネの説明を聞いたミリアムは目を丸くし、クロウは呑気に呟いた。

 

「フフ、とにかく気を引き締めておきなさい。それと、ガレリア要塞ではあたしも合流するつもりだから。かわいい生徒たちが、頭の固~い軍服のお兄さんにイジメられたりしないようにね。」

「……自分はカリキュラムを逸脱した理不尽なしごきをする予定はない。どこかの気分屋な教官と一緒にしないでもらいたいものだ。」

からかいの表情で言ったサラ教官の発言を聞いたナイトハルト教官は呆れた表情でサラ教官を見つめた。

 

「む……」

ナイトハルト教官の言葉を聞いたサラ教官はナイトハルト教官と睨み合い、その様子を見たリィン達は冷や汗をかいて呆れ

(はあ、なんだか先が思いやられるな……)

リィンは疲れた表情で溜息を吐いた。

 

そして数日後、新たなメンバーを加えた”特別実習日”が来た………!

 

 

 


 
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