No.703822 英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~soranoさん 2014-07-26 01:14:44 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2806 閲覧ユーザー数:2608 |
~1年Ⅶ組~
「―――言った通りの意味です。戦闘能力や身体能力は勿論、政治、経済、導力技術を含めた全ての分野においてレンさんは”天才”なんです。」
「レンはその分野の勉強をすれば、僅かな期間で全て理解して完全にマスターするんです。」
「ええっ!?」
「な、何それ!?幾ら才能があると言っても、導力技術なんて数年学んでやっと扱える技術よ……!?」
ツーヤとプリネの説明を聞いたエリオットは驚き、アリサは信じられない表情で声を上げ
「そう言えばフィーはレン姫の事を知っている様子だったが……」
ある事に気付いたラウラはフィーを見つめた。
「ん……レン皇女は”殲滅天使”の二つ名で猟兵達の間で有名で、恐れられていたから。」
「”殲滅天使”……?」
「何なんだその物騒な二つ名は……」
フィーの答えを聞いたガイウスは首を傾げ、マキアスは表情を引き攣らせた。
「天使のような可憐な容姿を持ちながら、笑いながら敵を”殺す”事から”殲滅天使”の異名で呼ばれ始めたって聞いている。」
「わ、笑いながら人を殺す……ですか……?」
「そ、そう言えばヘイムダルの時も楽しそうに戦っていましたよね……?」
フィーの説明を聞いたセレーネは信じられない表情をし、エマは不安そうな表情でプリネを見つめた。
「ええ……―――――レンは”敵を殺す事に喜びを見出している”んです。」
「勿論その”敵”はメンフィル帝国の”敵”―――例えば敵国の軍人や強盗や盗賊と言った”犯罪者”等ですから、何の罪もない人―――例えば敵国の民等には一切手を出していませんよ。」
「でも、確かメンフィル帝国の皇族の中で最も残虐な性格をしている皇女って噂だけど。」
プリネの説明を捕捉したツーヤの説明を聞いたフィーは尋ね
「も、最も残虐な性格をしている皇女って……」
「―――否定はしません。あの娘がマーシルン皇家の中で、敵に対して全く容赦しない性格なのは事実ですから。」
不安そうな表情をしているエリオットの言葉を聞いたプリネは静かな表情で答えた。
「……レン姫は一体何歳から戦場に出ているのだ?」
「確かレンが初めて戦場に出たのは……賊の退治の時に隠れてついて行って参加した時ですから、8歳だったと思います。」
「は、8歳!?」
「そ、そんな幼い頃からあんな物騒な大鎌を振り回して命のやり取りをしていたの!?」
ラウラの質問に答えたプリネの説明を聞いたリィンは驚き、アリサは信じられない表情で声を上げた。
「ええ。お父様達があの娘を引き取って僅か半年であの大鎌の扱いを完全にマスターし、魔術もある程度マスターしていましたから。」
「……一体どういう経緯があって、平民のレン姫を養子にしたんだ?」
プリネの答えを聞いてある事が気になったマキアスは不思議そうな表情で尋ねた。
「詳しい事は色々と事情があって説明できないのですが……―――あの娘は過去、とある犯罪組織に誘拐され、長期間人体実験をされたんです。」
「なっ!?」
「人体実験ですって!?」
プリネの答えを聞いたラウラとアリサは血相を変え、他の者達も驚きの表情をしていた。
「プリネさん、いいんですか?その事を話してしまって……」
「ええ。セドリック皇子の件でレンの事が誤解されたままにする訳にはいかないしね。」
ツーヤに尋ねられたプリネは静かに頷き
「あの、プリネさん……先程ある犯罪組織が人体実験をレン姫にしたと説明しましたが……」
「一体どんな犯罪組織なんだ!?そんな犯罪組織、国際犯罪組織と言ってもおかしくないぞ!?」
エマは真剣な表情でプリネを見つめ、マキアスは厳しい表情で声を上げた。
「……――――”D∴G教団”。数ヵ月前、クロスベルで大事件を起こした組織です。」
「”D∴G教団”……!」
「”空の女神”の存在を否定し、悪魔を崇拝したと言われている宗教組織か。」
「……空の女神を……」
「……あの組織か。」
プリネの話を聞いたリィンは驚き、ユーシスは目を細め、ガイウスは信じられない表情をし、フィーは静かに呟いた。
「かつてレンはその組織に誘拐されて、数々の人体実験を施され……その組織の壊滅の為に各国と連携して動いたお父様達が救出した際、”地獄”すら生温い光景だったと聞いています。」
「じ、”地獄すら生温い光景”ですか……?」
プリネの話を聞いたセレーネは不安そうな表情をし
「――リウイ陛下達が人体実験をされた子供達が集められていると思われる場所に踏み込んだ際、そこには”人としての原形すら残していない”死体の山で、その中にレンさんだけが生きていたんです。」
「ひ、”人としての原形すら残していない”って……」
「外道が……!」
「………なんで………なんでそんな連中が存在を許されてるんだ………ッ!!」
「……吐き気がしてきたわ………」
ツーヤの説明を聞いたマキアスは表情を青褪めさせ、ラウラとリィンは怒りの表情で声を上げ、アリサは厳しい表情で呟いた。
「―――幸か不幸か、”教団”の人体実験を受けても生き残っていたレンはお父様達に救出された後、お父様達の事を”自分の本当の親だと思いこんだ”事がきっかけで、お父様とお母様がレンを養子として引き取ったと聞いています。」
「”自分の本当の親だと思いこんだ”って……」
「……レン姫のご両親は死去されたのか?」
プリネの説明を聞いたエリオットは信じられない表情をし、ガイウスは静かな表情で尋ねた。
「いいえ、今も生きていますよ。レンさんは自分の産みの親を”自分を捨てた偽物の両親”として憎んでいたんです。」
「じ、”自分を捨てた偽物の両親”って…………」
「……一体何があったのだ?」
ツーヤの話を聞いたアリサは驚き、ラウラは複雑そうな表情で尋ねた。そしてプリネとツーヤはレンの両親の事情――――相場に手を出して莫大な借金を背負い、レンを借金の魔の手から守る為に信頼できる知り合いに預けたが、運悪く”D∴G教団”の手によってレンが誘拐され、そこから地獄を味わい続けたレンは産みの両親を”偽物の両親”として憎んでいた事を説明した。
「それは……」
「幾つもの不幸な偶然が重なったのですね……」
「………………」
事情を聞き終えたリィンとエマは複雑そうな表情をし、ユーシスは目を伏せて黙り込み、他の者達もそれぞれ重苦しい空気を纏っていた。
「あ、勘違いしないで下さいね?確かにレンさんは自分の本当の両親を憎んでいましたけど、それは過去の話です。」
「ええ。自分の本当の両親が今でも自分を愛してくれている事や、両親が望んでレンと離れ離れになった訳ではない理由も全てある方達のお蔭でレン自身が理解し、本当の両親をもう憎んでいませんよ。」
仲間達の様子を見たツーヤとプリネは優しげな微笑みを浮かべて説明し
「まあ……!それはよかったです……!」
「そのレン姫の誤解を解いた人達って一体何者なんだ?」
二人の話を聞いたセレーネは表情を明るくし、リィンは尋ねた。
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第156話