蜀の当主として仕事をする一刀のもとに、洛陽より使者がやってきた。
謁見の間で応対する一刀。
使者は一通の手紙を差し出した。
手紙の内容は一刀に、洛陽へ来るようにとの命令書だった。
「この理由について聞いても?」
「お答えしたいところなのですが、私も詳しくは聞かされておらんのです」
困った顔をする使者の男。
どうやら嘘をついているわけではないらしい。
「・・・・・・それじゃ、詳しい事は洛陽で聞くとしますかね」
玉座から立ち上がる一刀。
「色々と準備がありますんで、何日か時間をいただいてもよろしいでしょうかね?」
「無論です。蜀のご当主に四十秒で支度しな!などと無理難題を押し付ける気はありませんよ」
「・・・・・・何故そのネタを知っている」
「は?」
「いや、それじゃあ部屋を用意させますので、準備が済むまでゆっくりしていってください」
「では、お言葉に甘えて・・・・・・」
その日の夜、一刀は貂蝉、紫苑、桔梗、焔耶を自室に集めていた。
「というわけで、俺は洛陽に行かねばならなくなった訳だ。そこで当主代理は、貂蝉!君に決めた!!」
ビシッ!と貂蝉を指差す一刀。
「あらん♪アタシ?」
「ちょっと待てい!!」
すかさず焔耶の待ったがかかる。
「何故こいつなんだ!理由を言え!!」
「何か問題があるか?」
紫苑と桔梗に聞いてみる一刀。
「いいえ」
「よいのではありませぬか?」
「じゃあ問題ないな。で、一応聞いとくけど今回俺が呼び出された理由は何だと思う?」
「私は納得していないぞ!」
「少々黙っとれ、焔耶」
「う・・・・・・」
桔梗に一睨みされ、部屋の隅でいじけ始める焔耶。
それを見届けた桔梗は、一刀の質問に答えた。
「お館様が蜀の当主として就任した、祝いの席でも開いてくれるのでは?」
「ほう・・・・・・」
「もっとも、酒に毒くらいは仕込まれるかもしれませんが・・・・・・」
「ん、同感だ」
頷く一刀。
「ご主人様がここに持ってきた手紙について糾弾するのでは?」
「干吉からも言われたが、その可能性もあるな」
「つまりみんな、ご主人様が行ってもろくな目に会わないって思ってるわけねん」
首を縦に振る一同。
「しかしまあ、行かないわけにはいかんし、そろそろあっちとのケリつけとこうと思ってたところだからな。十分に警戒しつつ、行くとしよう・・・・・・しかし、出来れば華琳の所と馬家も何とかしたかったな」
頭を掻きつつ言う一刀。
「そうだ、一つ言っとく事があった。紫苑、桔梗、それにそこでいじけてる焔耶」
「「「?」」」
「状況次第では戦になるかもしれないから、しっかり兵士を鍛えておいてくれ。ただ、あまり多く兵士を捻出しちまったら国力も低下するし、少数精鋭でいくからそのつもりでな」
「しかしお館様。ある程度の数は確保しておかねば、不利は避けられませんぞ?」
「心配いらねえよ。俺が出発する前に桃香、白蓮、麗羽にも早馬を出しとくつもりだ。連合組めば数の不利はないだろうよ」
「なるほど」
桔梗は得心したように頷いた。
「出来れば穏健に事が運んで欲しいもんだが・・・・・・無理だろうな」
そう言って、一刀は大きなため息をつくのだった・・・・・・・
同じ頃、華琳の元にも洛陽からの使者がやってきていた。
用件は一刀と同じく洛陽へ来られたし、である。
ただ、一刀と違うのは一つ注文があった事だった。
「精強な武官を連れて参られたし、ね」
「華琳様、その意味は・・・・・・」
秋蘭の言葉を、華琳は手を振って遮った。
「何か荒事に巻き込む気でいるんでしょうね」
そう言って肩を竦める華琳。
「それで、随員はどうされますか?」
「そうね、春蘭は当然連れて行くとして、秋蘭、貴方にも同行してもらうわよ」
「はっ」
そして数日後、思案の末、更に凪を加えた華琳一行は一路、洛陽へ旅立つのであった。
華琳と一刀
二人が再び出会う時
時代は大きく動き出す・・・・・・
おまけ
「お嬢様。ついに洛陽での公演が決定しましたよ!」
「本当かや!?」
「勿論ですよ。私がお嬢様に嘘を吐いた事がありましたか?」
「うう・・・・・・今まで頑張ってきたかいがあったのう、七乃」
「ですね~」
「う~~、燃えてきたわ!七乃!準備が出来次第、洛陽へ出発じゃ!!」
「は~い、お嬢様♪」
どうも、アキナスです。
この最後の物語も佳境に入ってきたようです。
一刀は何を仕掛けられるか?
華琳はどう関わってくるのか?
おまけ(美羽)は何かやってくれるのか?
色々な謎を残しつつ次回に・・・・・・
「スーパーライダー閃光キーック!!」
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時代が大きく動き出す・・・・・・